最近、「The Islands War」にはまっていて、頑張って作った日本国防軍の設定を出したい欲も合わさって、そっちの二次にも手を出そうかと考えている今日この頃。
では本編どうぞ。
「フェン王国艦隊。全滅したようです」
汎用駆逐艦"なつかぜ"のCICで、"なつかぜ"所属の無人偵察機から送られてきた映像を見ていた海曹が、艦長にそう報告する。
「そうか・・・・。所属不明艦隊の状況は?」
「針路を変え、再びアマノキに向かっています。このままいけば、あと20分でぶつかります」
「ヘリの状況は?」
「現在収容し、燃料補給中です。命令があれば、武装させますが」
艦長は顎に手を当てて、「ふむ」と考えるそぶりを見せる。
現在、"なつかぜ"は派遣艦隊から離れて、単独行動中である。その目的は、所属不明艦隊の迎撃。政府からは「警告後、反転しなかった場合はあらゆる火器を用いての迎撃を許可する」という通達が来ている一方、「今後の交渉への影響を鑑み、死傷者を可能な限り減らすこと」という通達も来ていた。
この両方の通達をクリアするためにどうするべきか、考えていたのだ。
「・・・・いや。ヘリは出さないでいい。敵状がわからない状態で、ワイバーンがまだいないとも限らない。戦闘ヘリならまだしも、対潜哨戒ヘリでワイバーンとかち合ったら危険だからな。代わりに無人機で観測を行う」
「わかりました」
そばにいた士官が、無人機などを担当する航空科へと連絡を取る。艦長はそれを見ると、砲雷長の方を向いた。
「砲雷長。主砲による船体射撃は行わないように。木造船にレールガンをぶち込んだ日には、木っ端みじんになる」
「しかし、目標艦隊は砲戦能力を有しているようですが?」
「観測結果と市ヶ谷から送られてきた情報だと、目標艦隊の砲の最大射程は2㎞弱といったところ。
確かにそうだ。装填が遅く、命中率の悪い前装式滑腔砲では、最大射程の目標に当てることはほぼ不可能である。それが、超高速で回避行動をとっているならなおさらである。
「いいか。我々は突然攻撃してきたならず者を追い返すだけだ。戦闘は目的ではない。犠牲者が少なくなるならそれ以上のことはないだろう」
―――――――――――――――
20分後。
パーパルディア艦隊は、目の前に現れた巨大船に唖然としていた。
「なんなのだ・・・・。あれは・・・・」
全長は150mと、パーパルディア皇国が保有する最大の戦列艦である150門級戦列艦の2倍以上。どうやら船体は金属でできているようで、船体上にはよくわからないものが取り付けられている。
甲板上には、でっぷりとした服と兜を身に着けた船員が走り回っているのが見えた。どうやら、何かマスケット銃を大型化したような印象を受ける何かが多数取り付けてあり、それを動かしているようだ。
「敵なのか・・・・?」
ポクトアールが思考を巡らしていると、人間の声とは思えない大きな声で警告が飛んできた。
『こちらは日本国国防海軍である。貴艦隊の所属及び航行目的を明らかにし、停船もしくは反転せよ。これらが実施されず、貴艦隊が直進する場合は、本艦には武力行使が許可されている。繰り返す――』
「なんだと?」
ポクトアールは巨大船の目的を測りかねていた。
所属名からして、フェン王国の船ではないようだが、どこかの軍事組織に所属する軍用艦艇であることには間違いないようだ。
しかし、どうやら戦闘は目的ではないらしい。むしろ、戦闘をぎりぎりまで嫌がっている印象を受ける。
すると、ポクトアールの横にいた艦長が進言してくる。
「提督。本艦隊の目的は、フェン王国への懲罰であります。幸い、相手は列強たる我が国との戦闘は望んでいないように感じれます。であれば、この警告もブラフでしょう。ここは無視して、アマノキに向かうべきです」
「そうです。それに、作戦目標が達成できなかったとしたら、あとでどのようになるか・・・・」
横にいた艦隊参謀も艦長の意見に賛同する。
しかし、ポクトアールは悩んでいた。彼の勘は、この警告ではブラフではないと告げていたのだ。確かに戦闘を嫌がっているような印象は受けるが、甲板上での船員たちの動きを見ていると、どうにも本気で戦闘の準備をしているように見えた。
「提督!」
しかし、これは彼の勘である。勘で作戦を中止して帰ることなどできないし、竜騎士たちの安否確認もせねばならない。
ポクトアールは直進することを決めた。
「・・・・よし。本艦隊は直進する。警告は無視せよ!」
「はっ」
パーパルディア艦隊は、警告を無視して直進を始めた。
対する"なつかぜ"は、パーパルディア艦隊の北側3㎞の距離を保ち、警告を続けながら並走する。
―――――――――――――――
「やっこさん、やる気みたいだな・・・・」
CICの中で"なつかぜ"艦長はぽつりとつぶやく。同時に、艦内無線で艦橋から報告が入る。
『艦橋よりCIC。艦長、あと1.5㎞でフェン領海に入ります』
「了解した。・・・・
その問いに答えたのは、そういった武装関係を担当する砲雷長であった。
「すでに配置完了しています。いつでもどうぞ」
「警告射撃を実施する!事前警告をだせ」
その艦長の指示で、今までパーパルディア艦隊に出されていた警告の内容が変わった。
『こちらは日本国国防海軍である。貴艦隊が直ちに停船もしくは変針しない場合、本艦は警告射撃を実施する。繰り返す。貴艦隊が直ちに停船もしくは変針しない場合、本艦は警告射撃を実施する』
警告射撃というのは、目標に当てないようにして撃つ射撃だ。これをしても止まらない場合は、船体射撃という目標の船体に直接当てる射撃が認められている。
「よし、警告は出した。右砲戦!右90度の所属不明艦隊の前方200m!」
「右砲戦、右90度の所属不明艦隊、前方200m」
艦長の指示を砲雷長が復唱する。それに合わせて主砲を担当する砲術士が狙いを定める。
"なつかぜ"に搭載されたMk.55 60口径5インチ単装電磁速射砲Mod.2が旋回し、狙いを定める。このMk.55は、弾道弾迎撃にも使用可能なレールガンであり、純粋な運動エネルギーで敵を撃破するものであった。
とはいっても火薬砲よりも早いM20以上の速度で放たれた金属弾が着弾したときのエネルギーは、同口径砲の榴弾よりもすさまじい。
「てぇ!」
艦長の号令に合わせて、砲術士がトリガーを引く。合金でできた運動エネルギー弾は、電磁石の力で火薬砲などかわいいくらいの速度に加速する。
パァアン
高度なFCSと砲安定装置によって制御されたMk.55は、驚くべき程の命中率がある。この時も、放たれた1発の運動エネルギー弾は、パーパルディア艦隊先頭艦の前方200mピッタリに着弾し、大きな水柱を上げた。
――――――――――――――――
対するパーパルディア艦隊は慌てていた。
何せ、自分達がこれまで耳にした警告もすべてブラフだと考えていたのだ。しかも、相手が大砲を持っているなど想定していなかったから、突然上がった水柱に慌てるのは当然であった。
「発砲確認!撃ってきました!!」
そう報告した見張り員の声も、少しばかり慌てているように感じる。
「奴め。大砲を持っているのか・・・・」
相手との距離は2㎞ほど、その距離から砲弾が届くということは、どうやら相手の大砲の性能はこちらと同等かそれ以上らしい。
「提督!応戦するべきです!」
「そうです!今なら十分に応戦可能です!」
艦長や艦隊参謀らは、盛んにそう意見具申した。
たしかに、艦長らの言うことは一理あった。パーパルディア艦隊にとって、砲戦とは砲の性能以上に、数によって決まるものであるからだ。
砲というのは総じて命中率が低い。だからこそ、その命中率を数で補うために戦列艦は多くの砲を積むことが当たり前となっている。それだけでなく、砲の数が多ければ多いほど、破壊力も増すために80門級戦列艦や100門級戦列艦が生まれ、また戦列艦は艦隊行動が基本となっているのだ。
しかし、目の前の相手の艦載砲は、見る限り1門のみであるようだし、単艦で行動している。普通ならば、80門級戦列艦などを多数有するパーパルディア艦隊にはかなわない。
しかし、ポクトアールの頭は警鐘を鳴らしていた。
―ほんとにそうなのか?奴は撃ってくるまえ"警告射撃をする"といっていた。もし、あの射撃がたまたま外れたわけではなく、狙って外されたものだとしたら?
そこまで考えてポクトアールは、ばかばかしいとも思った。なにせ、砲の命中率の低さは彼が一番よく知っている。
大砲で狙って撃つなど、いったいどのような魔法を使うというのかわからない。それではまるで、古の魔法帝国の誘導魔光弾のようだ。そんなものがあるわけがない。
そして、ポクトアールは決断を下した。
「・・・・よし。艦隊、単縦陣に変更!敵艦を攻撃する!」
ついに第3文明圏の雄、パーパルディア皇国と現代国家との初の戦闘が起ころうとしていた。
いかがでしたでしょうか?
次回でフェン王国領海内衝突事件はいったん集結する予定です。この事後処理とかはもう数話続く予定ですが。
この調子で行くと、パ皇戦終わるのはいつになるのやら・・・・。気長に待っていただけると幸いです。
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ではまた次回、さようならぁ。
次回 EP50 フェン王国領海内衝突事件Ⅳ
お楽しみに