西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

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皆様お久しぶりですSM-2です。
最近、私用が忙しい&設定集を書くので忙しくて次話投稿が滞っておりました。申し訳ございません。
では、本編どうぞ。


EP50 フェン王国領海内衝突事件Ⅳ

「目標艦隊、戦闘準備を進めている模様です」

 

艦橋の横にある見張り台でパーパルディア艦隊の様子を監視していた航海科の隊員は、パーパルディア艦隊の船上で船員らが盛んに動き、陣形を変更しているのを見てそう報告した。

報告を聞いた艦長は、ちっと舌打ちをする。

 

「やっぱり、こうなるか・・・・」

「艦長。やりますか?」

 

砲雷長の問いに、艦長は重々しく頷いた。

 

「うん。事前の想定通り、目標艦隊を阻止する。目標との距離2㎞に入ったら、最大戦速で航行しつつ、機銃を叩き込んでやれ。それと砲は、警告射撃で使うこと、絶対に当てるな!」

「了解!」

 

その命令は艦内無線で各所に連絡され、12.7㎜機関銃の操作要員はそれらに弾薬を装填し、狙いを定める。Mk.38 25㎜機関砲もCICから遠隔操作でパーパルディア艦隊に砲身を向ける。

そして次の命令を待った。

しかしパーパルディア艦隊のほうが早かった。

 

「敵艦発砲!」

「ランダムに回避行動!」

 

いくら命中率の悪い初期の大砲といえど、当たれば装甲の薄い現代艦艇では無視できない損害を被ることになる。

しかし、その心配はなかった。最大射程で放たれた砲弾は、すべて"なつかぜ"の手前に着弾したのだ。

艦長は、ほっと安堵する。

 

「心臓に悪いな・・・・。とはいえこれで思う存分攻撃できる。目標艦隊への船体射撃を実施する。目標は敵艦隊の舵回りとマストだ。攻撃はじめ!」

 

その瞬間、"なつかぜ"に搭載されていた機関砲・機関銃が一斉に火を噴いた。

 

―――――――――――――――

 

それはまさしく光の嵐であった。

なぜなら敵艦から、光の線や光弾が飛んでくる。光の弾は船体にあたると穴をあけて、どうやら火をつけるようだ。対魔弾鉄鋼式装甲を施した一部の戦列艦ならば、光弾の大半(12.7mm弾)を跳ね返せるものの、それでも一部の光弾(25㎜砲弾)によって穴をあけられていく。

 

「な、なんなのだ・・・・・」

 

どうやら、敵艦は舵やマストを狙っているようで、舵がある船尾周りやマストや帆が穴だらけになっており、一部の戦列艦ではマストが折れてしまっていた。

これでは戦闘どころではなかった。舵が壊れれば機動性は下がるし、マストが折れれば帆船である戦列艦は動くこともできない。そもそも最大射程では敵艦に砲を当てることなどできない。

それなのに敵艦は悠々とこちらに光弾を撃ち込んできて、こちらの重要な部分を破壊して、機動力を奪っていく。

 

「提督・・・・」

 

先ほどまで意気揚々と攻撃を具申していた艦長もすっかりおとなしくなっていた。

あっという間に半数の艦艇の機動力を奪われたのだ。当たり前といえば当たり前であった。ここまできて戦闘を命じるほどポクトアールはおろかではない。

 

「撤収だ。航行不能艦艇は曳航する。不可能な場合は、乗員だけ回収して砲撃処分だ。完全に負けたな・・・・」

「わかりました・・・・」

 

パーパルディア艦隊は帆をしまって、停船の意思を示すと曳航の準備を始めた。

 

―報告書を出しても誰も信じまい・・・・。くそ、奴らは一体何なのだ?

 

ポクトアールは今なお悠々と航行する船を忌々しげに睨みつけていた。

 

―――――――――――――――

 

「目標艦隊、どうやら撤収するようです」

 

航海長からの報告が、艦長に上がる。その報告を聞いて、艦長はほっと溜息をついて、指示を出した。

 

「対水上戦闘用具収め。ただ、目標艦隊がフェン王国領海外に出るまで、監視を続行するぞ」

「了解です」

 

その後、パーパルディア艦隊が航行不能艦艇を曳航もしくは砲撃処分してフェン王国領海外10㎞に到達するまで、"なつかぜ"は監視任務を続行した。

こうして、パーパルディア皇国と日本との初の武力衝突となったフェン王国領海内衝突事件は終了した。

パーパルディア艦隊は、戦列艦2隻が大破(のちに砲撃処分)、9隻が中破、8隻が小破し、死者22名*1、負傷者45名という損害を被り、対する日本国防海軍側は"あしがら"が中破、負傷者5名で、死者0名であった。

 

 

その2日後、サルベージ船とともに佐世保海軍基地より第4空母護衛艦隊が出撃。"あしがら"回収のためにフェン王国に向かうこととなった。

また出撃の同日に、日本政府はパーパルディア皇国に事態解決のための外交使節団派遣を決定。翌日のNATO電話首脳会談で米英に協力を要請し、両国はこれを了承した。

また、国際連合においても日本国防海軍とこの世界の地域強国であるパーパルディア皇国との衝突は注目され、一部問題視する声もあったものの、国防海軍がノーカットの録画データを公開したことでそういった声は沈静化し、逆にパーパルディア皇国の野蛮さを懸念する声が目立っていった。

そのほかにも、地域強国であるパーパルディア皇国の監察軍を退けたという噂は周辺諸国に広がり、転移国家群、特に日本へ未だに国交のない各国からの使節団が多くやってくることとなった。

*1
折れたマストの下敷きとなった者が8名、"なつかぜ"からの銃撃による死者が12名、破れたマストの交換中に誤って転落した者が2名であった




いかがでしたでしょうか?
そういえば最近、花粉症の時期ですね。自分は副鼻腔炎の治療のついでに、花粉症の薬ももらっているので、比較的快適です。皆さんもくれぐれもご自愛ください。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回、さようならぁ。

次回 EP51 日本の反応

お楽しみに
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