遊んでたり、書きたくなかったわけではないんですよ?ツイッターでも言いましたが、最近リアルがガチ忙しくて・・・・。1日5時間、3時間睡眠の日がある。
電車の中とか、空いた時間にコツコツ書いておりました。
では本編どうぞ
中央暦1639年10月8日
この日、監察軍の敗北やムーからの連絡を受けて、パーパルディア皇国首都にある皇城パラディス城では緊急御前会議が開かれていた。
パラディス城の内部は、壁、柱、床に至るまで高級な石材が使われ、細部に至るまで美しく繊細な彫刻が施されており、金銀宝石で装飾されていた。魔導式灯具と第3文明圏周辺では珍しい無色透明で不純物がほとんどないガラスが使われており、宮殿はどこも明るく、装飾に使われた金銀宝石が光を反射して、とてもきらきらとしている。
まさしく豪華絢爛という言葉が似あう宮殿であり、各国から来た使節を圧倒するのはよくあることであった。
御前会議はその玉座の間で開かれていた。
「カイオスよ。なぜフェン王国での一件が第3の長であるおぬしではなく、第1のエルトから余に報告があったのだ?」
そうカイオスに質問するのは、若い20代中盤くらいの男であった。カイオスよりも40歳以上も若そうに見える男であるが、その身にまとう威厳というのは見る人間を委縮させるものがあった。
彼こそが、パーパルディア皇国7代皇帝ルディアス帝(ルディアス・ル・ノーリエ)その人であった。
彼は新興宗教にのめりこみ暗君と化した父親、オールフ2世を暗殺し若くに帝位についた男であり、急速な拡大政策と国力増強政策を展開し、初代皇帝オールフ大帝や第2代皇帝フェルチェ帝以来の国土拡張を行っていた。
エルトというのは、パーパルディア皇国でも珍しい女性官僚であり第1外交局局長であるリーゼット・エルト侯爵であった。カイオスとは、第1外務局で同僚だったことがあり、しのぎを削るライバルであった。
「ははぁ。フェン王国での監察軍敗北の件の報告が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。相手が不明であり、報告が遅れていました」
「して、相手はわかったのか?」
カイオスが失態を隠すことなく謝罪し、また理由もきちんとしたものであったので、ルディアスはカイオスをこれ以上叱責することはなかった。
「はい。第1外交局を通じて調査した結果、日本という国家であることがわかりました」
「なるほど、そういえば以前ムーからきた報告にも、日本という国名があったな?」
「アルタラスの一件でございましょうか?」
カイオスの言葉に、ルディアスは頷いた。
カイオスは、ムーからの通達で対アルタラス政策に関わった人間であったので、日本の名前には見覚えがあった。
ムーから、アメリカを中心としたNATOなる文明圏外国家連合がアルタラスを勢力圏にしようと接触してきたと聞いたとき、皇国政府は困惑と怒りに包まれた。
なぜ、第3文明圏外の皇国を裏切るようなことをし始めたのかという困惑と、今まである程度の支援*1をしてやったにも関わらず、他の国にしっぽを振るという裏切りに等しい行為に激怒したのである。
しかし、これは同時に好機でもあると考えた。この状況をうまく使えば、王国が有する世界有数の魔石鉱山であるシルウトラス鉱山を手に入れることができるのではないかと。近年、皇国政府は魔導産業が発達している影響で、アルタラス王国からの魔石輸入が増加し、貿易赤字が拡大していた。むろん、皇国からは魔導加工製品などを輸出していたものの、魔石の対価として神聖ミリシアル帝国から輸出される高品質の魔導加工製品に押されて、輸出が振るわないのが現状であった。
そこで、パーパルディア皇国は、貿易赤字の解消と、アルタラス王国のシルウトラス鉱山を手に入れるために軍事侵攻を準備し始めたのである。
この時点で、NATOのことは頭の外であった。パーパルディア側のもつ情報によれば、NATOがあるのは文明圏外の諸島群であり、そのようなところにある弱小国家がいくら集おうとも、皇国を脅かすどころかそよ風ほどの影響もないと判断したからである。
この流れで、ルディアスをはじめとした皇国政府上層部は、アメリカや日本という国を認識していたのである。
「そうだ。あの時は文明圏外の寄り合いと見逃してやったが、この度は違う。監察軍とはいえ我が国の顔に泥を塗りつけた罪は重い」
ルディアスは厳しい口調でそう言った。そして、ルディアスは数々の勲章を付けた軍服姿の初老の方を向いた。
「アルデ!」
「ははぁ」
呼ばれたのは正規軍である皇国軍をまとめる軍務卿であるクレーマン・アルデ皇国元帥であった。ルディアスが即位したばかりのころに、彼の拡大政策に基づいて行われた植民地獲得戦争に第1騎兵軍団長として参加して以来、植民地獲得戦争が起こるたびに参戦し、多大な戦功をあげてきた歴戦の将軍であった。
しかしながら、その経歴から文明圏外国や文明圏国の人間を見下す癖があり、また相手を過小評価しがちな態度の悪癖もあった。
「今、アルタラス侵攻作戦の進捗はいかほどか?」
「はい。すでに侵攻のために必要な物資と第6歩兵軍団の集結は完了しております。あとは陛下の御下命があれば、いつでもアルタラスを陛下に献上してご覧に入れましょう!」
アルデは、ルディアスの質問に自信満々に答えた。
アルタラス侵攻作戦には、パーパルディア皇国陸軍第6歩兵軍団14,700名余が投入される予定であった。この第6歩兵軍団は3個歩兵師団と1個軽騎兵師団、1個地竜騎兵大隊、1個軍団砲兵大隊からなる部隊で、パーパルディア皇国陸軍が有する28個の歩兵軍団では、最も規模の小さい軍団であった。
しかしながら、アルタラス王国の軍備では第6歩兵軍団でも十分に対応可能であることやワイバーンロード部隊、戦列艦隊の支援があること、上陸作戦を行わなければならないことやそれによる兵站への負担を避けるために同軍団が選択されたという経緯があった。
アルデの回答に、ルディアスは満足げに頷いた。
「うむ。しかし、アルタラス侵攻はいったん置いておく。無期限の延期だ」
「はぁ?」
てっきりアルタラス侵攻を命じられるのかと思っていたアルデは、皇帝に対してでありながらなんとも気の抜けた返事をしてしまう。
その呆けた顔がよっぽど面白く、その場にいた全員がクククと笑みをこぼす。ルディアス自身もクククと笑うと、アルデに指示を続けた。
「代わりにフェンと日本とやらへの侵攻作戦を立案・準備せよ。皇国に泥を塗った連中だ。教育せねばならん」
「なるほど。ではアルタラスはその時に?」
「そうだ。アルタラスが併合されれば、奴らとて警戒するであろう。皇国軍であれば負けることはないであろうが、準備されればその分手こずるからな」
ルディアスの指示に、アルデはしばし考えたあとに答えた。
「それでしたら。第18歩兵軍団と第4艦隊が使えるかと。陛下の指示があれば、2か月ほどで準備できますが?」
「それでよい。すぐさま計画書をまとめて持ってきてくれ」
「ははぁ!」
アルデへの指示が終わったら、ルディアスの視線は文明圏外国との交渉を一手に握るカイオスへと向かった。
「カイオス。ムーからの知らせによれば、まもなく奴らの使節団が来るのだろう?」
「御意にございます」
「ならば、皇軍の準備が完了するまでは時間稼ぎだ。むろん、それまでに奴らが今までの罪を謝してくるのであれば話は別だがな。だが、なめられないようにしろよ?」
「かしこまりました」
カイオスが頭を深々と下げて返事をするのを見たルディアスは、満足げに頷くと玉座の間を出て行った。
この日、ついにパーパルディア皇国はフェン及び日本侵攻作戦を決定したのである。
これは技術支援などのことであったが、皇国は魔石を安く買いたたいたり、奴隷を供出させられたりなどアルタラス側からすれば、損でしかなかった。
いかがでしたでしょうか。
多分、この忙しさは8月まで解消されなさそうですね・・・・。ただ8月からは結構楽になる・・・・と思います。
この先も長い目でゆっくりと待っていただけると幸いです。
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