西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

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皆様お久しぶりです。SM-2でございます。
投稿が滞ってしまったこと、申し訳ございませんでした。実は私めは学生の身分なのでございますが、学業が忙しく、執筆・投稿の時間がなかなか取れませんでした。
今後も、スローペースになってしまうと思いますが、その分クオリティの高い作品に仕上がるよう努力いたしますので、今後も応援よろしくお願いします。
それでは本編どうぞ


EP54 日パ外交交渉

中央暦1639年10月11日

 

この日、ムー政府の仲介を受けた日本政府代表使節団は、フェン王国領海内衝突事件の解決のためにパーパルディア皇国第3外務局を訪れていた。

第3外務局長であるカイオスは、自らが対応することにしていた。これは彼が、現時点での日本侵攻作戦にあまり乗り気でないことが原因であった。

 

――旧式とはいえ、監察軍を退けた奴らだ。ムーとも強いつながりがある。これは情報を一から調べなおさなければなるまい・・・・

 

日本使節団らが待つ会議室に向かう道中で、カイオスはそんなことを思っていた。

彼も当初は、監察軍を退けたという時点で、日本には何かあると思ってはいたものの、それは旧式の大砲を積んだ戦列艦の数で対抗したとか、ワイバーンロードの数を上回るワイバーンで対応したとか、そんなものだろうと考えていた。正規軍たる皇軍が全力で出れば、戦えるだろうとも思っていた。

しかし、ムーが仲介に出てきた今は違った。ムーは、中立を保つだとか言ってはいるものの、監察軍が破れた原因にはムーがいるのではないかと考えていたのだ。

もしそうなのであれば、パーパルディア皇国は大きな被害を出すことになる。だからこそ、今は穏便に対応しつつ情報を集めたいというのが彼の考えであった。

 

 

そんなことを考えている間に、カイオスは日本代表使節団が待つ会議室についた。皇国の建築様式によくある彫刻が施された重厚な扉を、ついてきた部下が開けてくれる。

カイオスが中に入ると、そこにはムーの外交官が着ているような服をさらに質素にしたような服を着た男が3人と真っ白な軍服を着た男がテーブルの前に座り、その後ろに日本側の助手らしき男女2名が座っていた。この6名が日本側の代表者らしい。

パーパルディア側は第3外務局長であるカイオスの他、東部担当外務部長のタール、東洋担当課長のファラール・バルコ男爵、諸島担当係長のマルス・ニコルス準男爵、日本特別担当主任の二コリス・メンソル勲功爵他と事務職員2名など日本が存在する地域周辺の外交を担当する人間が上から下までそろったほか、軍務部長のオーレルも加えて8名が参加していた。

 

「遅れてすまない。パーパルディア皇国第3外務局局長のセドール・フォン・カイオス侯爵だ。よろしく頼む」

 

カイオスの自己紹介を受け、日本側の30代後半くらいの眼鏡の男も自己紹介をした。

 

「日本国外務省第3文明圏局から派遣されました、特派大使の朝田(あさだ) 泰司(たいじ)です。今回の交渉が実りあるものであることを期待しております」

 

朝田は転移前には、日本政府が最も重要視していたアジア・大洋州局で対中国政策に携わるなどのエリート外交官であった。

今回は、フェン王国領海内衝突事件を解決するための代表使節団長として特派大使に任命されていた。横にいた30代前半のもう一人の眼鏡の男も自己紹介をする。

 

「日本国国家安全保障局から参りました、副使の小笠原(おがさわら) 浩介(こうすけ)です。よろしくお願いします」

「日本国外務省第3文明圏局から派遣されました、同じく副使の篠原(しのはら) 健太(けんた)です。朝田大使と共に交渉を担当させていただきます」

 

小笠原に続いて、小太りの男も自己紹介をした。続いて自己紹介をしたのは横にいた真っ白い服の男と緑色の服の男であった。

 

「日本国国防軍統合参謀司令本部から参りました吉見(よしみ) 勇樹(ゆうき)海軍中佐であります」

 

一通り日本側の主要要員が一通り自己紹介を終えると、今度はパーパルディア側のタール、バルコ、ニコルス、メンソル、オーレルが自己紹介を終えた。

とはいっても、タールとバルコ、オーレルの3人は蛮族に教える名などないといった態度で、カイオスが自己紹介をしたから仕方なくといった様子であった。メンソルは日本との交渉を直接行うの人間なので、仕方なくといった様子ではないが、それでも日本側を見下す態度は隠しきれていなかった。

 

「それで?今回はどういった用件で?」

 

自己紹介を終えたところで、カイオスが日本側にそう尋ねた。

 

「すでにムー政府を通じて連絡は入れておりますが、フェン王国領海内での貴国との不幸な武力衝突に関しての解決のために参りました。今回の交渉で、貴国との関係が修復されることを希望しております」

 

朝田の回答に、監察軍の監督を行う軍務部長のオーレルが顔を真っ赤にして怒鳴った。

 

「不幸な行き違いだと!監察軍に攻撃を仕掛けておいて、何たる言いようか!貴様らは我が国を馬鹿にしておるのか?」

 

普段の、文明圏外国家の外交官へ対する態度で交渉に臨むオーレルを、日本側は非常に冷静に見ていた。

すでに朝田は、顔にこそ出してはいないものの内心ではほくそえんでいた。

見たところオーレルは怒鳴るしか能のない外交官で、2流どころか3流もいいところである。転移前には、腹に一物を抱えた中国外交官と言葉の殴り合いを経験してきた朝田からすれば、この手の人間は非常に転がしやすいと考えていた。

 

「失礼ですが、先制攻撃を行ったのは貴国であると認識しております。我が国は攻撃はおろか、軍事的挑発は一切しておらず、我が軍は憲法並びに国防法と国際法にのっとり、適正な自衛権を行使したにすぎません」

 

朝田は、あくまで知的に冷静に答えた。さらに何かを言おうとしたオーレルをカイオスは手で制して話し始める。

 

「なるほど。貴国の主張と希望はわかった。しかし、貴国の主張を信じれるほど我が国と貴国との信頼関係は強くないし、貴国のことを残念ながら我々はよく知らない」

 

カイオスはとても冷静にそう答えた。朝田は、にこやかに「ではこちらが用意した資料ですがご覧下さい」というと、後ろにいた事務職員に合図して資料を配らせながら、内心で舌打ちをしていた。

 

――ちっ。さっきのオーレルとかいうのであれば、転がしやすいんだがな・・・・

 

さっきまでのオーレルであれば、あのまま転がしておけばパーパルディア側が不利になるような発言をさせることもできただろうが、こういうタイプの外交官は、ボロを出すような発言はほとんどしないし、むしろこっちの発言のちょっとしたところをついてきたりする。そういったタイプの外交官との交渉は神経を使うのだ。

 

「1億8000万だと?」

 

タールが言ったのは、資料に記載されていた日本国民の総人口である*1

国土面積は、中規模の島国といったところだが、人口は皇国の7000万人よりも2倍以上といったところだが、文明圏外国であっても皇国より人口が多い国家はざらにあるのでそこに驚きはしない。

しかし、日本と皇国の距離関係からこれだけの規模の国家があったことに気づかないのは、明らかに不自然であった。

 

「貴様はわれらをどこまで愚弄すれば気が済むのか!それほどの国家が、我が国の目と鼻の先に会って気づかぬわけがなかろうが!!」

 

タールも、普段文明圏外国の外交官に対して接するように高圧的に怒鳴りつけた。というよりタールは第3外交局以外での勤務経験が乏しいため、これ以外の外交手段を知らないのである。

 

「資料に記載しておりますが、我が国はほかの友好国とともに数年前に転移してまいりました。貴国が我が国の存在に気づけなかったのは当然のことであると思いますが」

「貴様、たわごともいい加減にしろ!そのようなことは神話の話だ!信じられるわけがないだろう!」

 

相変わらず怒鳴るタールのことを、朝田はほくそ笑む段階を超えて、もはや同じ外交官として軽蔑すらしていた。こんな外交どころか、ヤクザの方がましとすら思える交渉をしてくる人間が、外交官と名乗っていることに、自身の仕事に誇りを持っていた朝田は虫唾が走ったのだ。

 

「では、我が国に使節団を派遣していただきたい。実際、我が国の現状を見ていただければ、真偽ははっきりするかと思いますが、いかがでしょう?」

「世界5大列強たる皇国が、文明圏外の蛮国に使節団を派遣するなど、片腹痛いわ!正規軍より劣る監察軍を退けていい気になっているなよ?正規軍が出てくれば貴様らなんぞひとひねりだ!」

 

タールが顔を真っ赤にしてそう怒鳴ったところで、カイオスがタールをじろりと睨みつけた。

 

「タール。熱くなりすぎだぞ?われらの言葉には陛下の御意志も含まれているのだ。それを忘れるな」

「は、ははぁ・・・・」

 

爵位も役職も、外交官としての経験もはるかにうえであるカイオスの言葉に、タールは慌てて口をつぐんだ。タールが黙ったことを確認したカイオスは、朝田に再び話しかけた。

 

「ところで我が国には文明圏外に5か国、文明圏外67か国の計72国の属国がある。貴国も文明圏外ではなかなかな国力を有していると思うが、いったいどれほどの属国をお持ちかな?」

「我が国は属国を有しておりません」

 

その朝田の回答に、タールらは下品な笑い声をあげる。日本を侮る態度を隠そうともせずにあざ笑う彼らの態度は、外交官のそれではなかった。

 

「おい。外交交渉の場で、そういう態度をするでない」

 

カイオスは、下品な笑い声をあげる参加者をたしなめた。

もともと第1外務局でエリート外交官として働いていたカイオスは、彼らの外交とも言えない恫喝交渉は見るに堪えないものであったが、この状況になっても現状が見えずに下品な声で笑う彼らが、皇国の名前に泥を塗っているように見えて耐えられなかったのだ。

カイオスに言われて、初めて笑うのをやめた彼らを横目に朝田との交渉に戻る。

 

「貴国の要求は了承したが、我が国にも事情がある。使節団の件はしばらく待っていただきたいがよろしいかな?」

「構いません」

「では、また次回の交渉でお会いしましょう」

 

カイオスがそう言って退出していったことで、この日の外交交渉は終了を告げた。

 

―――――――――――――――

 

会議室から局長室に向かう道中で、タールがカイオスに話しかけてきた。

 

「局長。先日の御前会議で陛下が日本への侵攻を計画しており、舐められないようにしろとおっしゃっていたと聞きました。先程のような交渉でよかったのでしょうか?」

 

その言葉を聞いて、カイオスはタールをじろりとにらんだ。

 

「ならば貴様はどうしたかったのだ?」

「ははぁ。皇軍が侵攻するかもしれない事を告げ、謝罪と有利な譲歩を引きずり出すべきだったかと」

 

そんなことを言うタールに、カイオスは局長室の扉を開ける手を止めて眉間にしわを寄せた。

 

「それでは奴らが警戒し、防衛体制を整えてしまうだろう。そのようなこともわからんのか?」

「あ、いえ。しかし、相手は文明圏外国です。多少の抵抗でも皇軍ならば問題ないと思いますが?」

「いいか?用心にすぎるということはないのだ。それに、私にも考えあってのことだ。よいな?」

 

それだけ言うとカイオスは局長室に入って、扉をぴしゃりと閉めた。

 

――外交官の態度、日本側の資料、監察軍の敗北・・・・。もう少し調べなければ・・・・

 

カイオスは日本側との交渉で、今までの文明圏外交とも列強国とも違う違和感を抱いていた。その違和感の正体を探るべく、独自の情報網を使って日本とその同盟国に関する情報を集めることにした。

*1

近年では政府の少子高齢化対策が成功をおさめ、「子供は未来の宝物」というスローガンのもとで一人親への支援拡充や教育・医療無償化など様々な支援の下で日本の人口は増加しつつあった。その分のしわ寄せは高齢者支援などに行っているものの、ある程度の増税と経済対策の成功で、最低限度の支援が可能な財源は確保できていた。

一連の政策は、しわ寄せの行った高齢者層からの支持が低いものの、将来的な年金負担者が増えるという期待を持った中年層、その恩恵をまさに得ている若年層からの高い支持のもと行われていた。




いかがでしたでしょうか?
ここらへんの外交交渉は、原作とはあまり違いませんが、この後の対パ戦争が本格的になってきますと、原作とかなり違ってきます。
それと今回と次回で、戦間期編はいったん終了し、魔王編にいったん突入します。主に強化済み日本がメインを張っておりますので、お楽しみに。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
それではまた次回。
さようなら

次回 EP55 皇国の対応

おたのしみに
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