西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

61 / 63
皆様お久しぶりです。SM-2です。
今年も残すところわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
今年は私もリアルでいろいろあった影響で、なかなか書けずにいましたが、来年こそはと思う次第です。
では、本編どうぞ。


EP59 到着

中央暦1639年11月16日。

この日、「クイーン・エリザベス」を中核とする英空母打撃群によって厳重に護衛され、トーパ王国臨時偵察隊と第201海兵攻撃飛行隊第1小隊と整備部隊、それら部隊の補給物資を満載した日本国防海軍第5輸送任務群がトーパ王国に到着した。

車両や人員、物資が輸送艦4隻に搭載されていた8隻のLCACによって浜辺に迅速に揚陸される。もともと、トーパ王国臨時偵察隊の人員は、上陸戦を主任務とした海兵隊から抽出されたということもあり、すべての物資と人員の揚陸は3時間余りで完了することとなった*1

揚陸時には、トーパ王国臨時偵察隊本隊と第33輸送中隊第1輸送小隊から1個輸送分隊*2が優先して揚陸され、同時に同部隊が使用する武器弾薬、食糧、水、燃料など60トン以上の物資を揚陸すると同時に、全物資の揚陸完了を待たずに、トーパ王国勅令隊騎士団の案内を得てトルメスに出発した。

同時に、第31海兵輸送中隊第1輸送小隊の2個輸送分隊と小隊本部、そして本部中隊臨時分遣隊臨時補給分隊の一部の兵員35名と小型トラック1台と高機動車1台、中型トラック27台は、残る物資の揚陸支援と物資管理のために揚陸地点に兵站本部を設けて、残留することになった。

 

―――――――――――――――

 

元々、世界の扉配備であったガイとモアの2人は、北部守備軍トルメス守備隊に編入されることとなり、北部守備軍も指揮下に入れた魔王討伐軍司令官のペンドレー・アジズ将軍の命令を受けて、まもなく来るであろう日本国国防軍の援軍部隊を待っていた。

彼らは、今いるトルメスの南門から中央の城まで援軍部隊を案内した後、観戦武官として彼らに同行する予定であった。

 

「なぁ、俺らが案内する日本軍って、どんな連中なんだ?300も来るっていうんならまぁまぁな戦力だけど、数だけいてもあいつ(魔王)にはかなわないぜ?頼りになるのか?」

「さあな。だが、噂通りならかなり期待できる戦力になる」

「噂って?」

 

ガイは、世界情勢に敏感な傭兵ではあったが、最近は世界の扉に籠りっきりだったために、最新の情報に疎かったのである。

モアは、正規の騎士ということでトルメス守備隊と世界の扉を行き来することが多かったので、噂について聞いたことがあったのだ。

 

「前に起きたロデニウス戦争で、6万以上の大軍を一瞬で爆裂魔法で撃破したり、空から大軍を送り込んだりしたらしい。しかも、ロデニウス戦争全体での日本軍やその同盟国軍の死者は100人に満たないそうだ。それにパーパルディアのワイバーン22騎を一瞬で全部撃墜したんだとか」

「そりゃ嘘だな。空から大軍を送り込むなんて、いったい何千騎のワイバーンが必要だと思ってるんだ?それに万単位の大軍がぶつかり合う戦争で、死者100人以下はいくらなんでも盛りすぎだぜ」

 

ガイは、今までの経験から即座にうわさを否定すると、大きなため息をついた。

 

「パーパルディアに局地戦で勝ったのは事実だろうし、それだけでも大した国力を持った国なんだろうけど、ワイバーンを22騎全部撃墜したとかは明らかに数字を盛ってるな」

「や、やっぱりそう思うか・・・・」

 

ちょうどそのときであった。遠くから何かがうなるような音がしてきた。聞きなれないその音に、ガイとモアは不安を覚える。

すると、城門上にいる衛兵が叫んだ。

 

「モア殿!日本の方がいらっしゃったようです」

 

遠くの方に、雪煙が見えた。モアは、騎士団員に支給されている単眼鏡を使って、雪煙の方を観察した。

雪煙の先頭には、勅令隊指揮下の騎士団員十数騎が見え、その後ろには雪景色に溶け込むような白っぽい何かがたくさん見えた。

暫くすると、音は大きくなり、ゴゴゴという地響きも感じられるようになった。

 

「な、なんだ。あれは?」

 

モアは思わずそうつぶやいた。隣にいるガイは、口をポカーンと開けて言葉を失っていた。

馬と同じくらいの速さで走る鉄の竜や、馬のいない馬車のようなものなど、モアやガイが見たことのない物体だらけであった。案内のために、彼らの先頭を走る騎士も、心なしか疲れているように見える。

一団は、モアたちの前に来ると止まって、先頭にいた騎士が馬から降りてモアのもとへやってきた。

 

「貴殿らが案内役だな?」

「そうです!」

 

騎士の確認に、モアはコクリと頷いて騎士らしい、キビキビした声で返事した。

 

「日本軍の方々だ。あとはよろしく頼む」

「わかりました!」

 

騎士からモアへの引継ぎが完了し、今まで案内役を務めていた騎士がよけると、先頭にいた馬のいない鉄の馬車のようなものの側面がパカッと開いて白と灰色を基調とした、布っぽい雰囲気の鎧を着込んだ男が下りてきた。男の格好は、騎士の格式や優雅さなど一切感じさせないものであったが、よくよく見てみると鎧や服はとても清潔で、手入れが行き届いていることがわかる。

男は、モアの前まで行くとピッと右手を額に当てて自己紹介をする。

 

「日本国海兵隊第31両用強襲偵察中隊中隊長兼トーパ王国臨時偵察隊隊長の百田太郎大尉です。よろしくお願いします」

 

男が名乗った身分に、モアとガイは驚愕した。

普通、指揮官というのは目立つ格好をしているものだ。これは権威を示すためだとか、優雅さを演出するためだとかそういう理由よりも、伝令兵が指揮官を見つけやすくすることで指揮命令系統の混乱を避けるためだ。

これは魔信があるトーパ王国でも例外ではなく、移動式の小型魔信機がないことから移動している小部隊への命令は伝令を使うことが多い。

しかし、今の百田の格好はその逆、周囲の環境に溶け込むような色合いをしている。これは、小型無線機の発達により、伝令兵などを使わずとも指揮命令が可能になったことや狙撃兵の存在が関係しているものの、そんなものを知らないモアとガイは、今まで考えていた指揮官像というものと大きくかけ離れた存在に困惑していたのだ。

しかし、名乗られたからには名乗り返すのが騎士の礼儀である。モアは慌ててトーパ王国騎士流の敬礼をすると自己紹介をした。

 

「トーパ王国北部守備軍世界の扉・・・いえ、トルメス守備隊騎士、モア・レヌンです。日本国軍の方々を司令部まで案内したのちに、観戦武官として合流させていただきます」

「同じくトルメス守備隊所属のガイ・タッカーだ。歓迎しますよ。日本軍の皆さん」

 

ちょうどその時、百田の左肩に白の下地の中央に灰色っぽい丸が付いた布―日本では低視認性ミリタリーパッチと呼ばれるものが、モアの目に映った。

どこかで似たような構図のを見たことがあるよう思えて、モアは首を傾げた。しかし、それにいつまでも時間を割くわけにはいかない。まず国防軍人らを中心にあるトルメス城に案内することにした。

 

 

南門からトルメス城までの道中は、どうしても市街地を通らざるを得ず、48台の装甲車両と18台のバイク、その他支援車両28台からなる94台の車両と248名の兵士は、1列縦隊を組んで市街地のメインストリートを行進していく。

トーパ王国は当然モータリゼーションにたどり着いていないから、メインストリートであっても道が狭く、特に車幅が3mを超える36式軽戦車と31式水陸両用偵察戦闘車は、道幅ギリギリであるためそばにいる家にこすらないように慎重に動いていた。

沿道の家の窓や小道から、物珍しい外国の軍隊を見ようと市民が殺到していた。そのため、下手に市民が近づかないように、トーパ王国の騎士は先行して警備をしていた。

その様子は、さながら警察官に護衛されながら凱旋パレードをしているようであった。

 

 

しばらくして、市街地を抜けるとついにトーパ王国臨時偵察隊はトルメス城に入った。トルメス城は中世ヨーロッパの集中式城郭と同じような構造をしており、中央にはトルメス守備隊及び北部守備軍司令部がある塔があり、その周りを2重の城壁が取り囲んで、いた。城壁の中に兵舎や訓練場、厩舎、いざというときには食料や物資の集積場としても利用される広い広場がところどころにあるという構造である。

トーパ王国臨時偵察隊の面々が通されたのは、最も外側にある第1城壁と第2城壁の間にある、使われていない兵舎と隣接した広場であった。

ここが、この派遣任務中のトーパ王国臨時偵察隊の駐屯地となるのである。偵察隊は、広場に着くなり車両を駐車させると、隣接している兵舎に割り当てられた部屋に私物を持ち込んだり、通信機や補給部隊のフィールドキッチンを設置するなど、早速駐屯地の設営作業にうつる。

百田は設営作業の指揮を副中隊長らに任せると作戦会議をするために、各小隊長などの幹部と護衛を連れてトルメス城中央の司令部に向かった。

*1

この時、偵察隊に配備されていた水陸両用偵察戦闘車も、足回りへの負担を避けて整備を行う時間を短縮するためにLCACで揚陸された。

*2

兵員:14名

車両:中型トラック 13台(搭載可能物資 5トン)




いかがでしたでしょうか?
明日0:00には、前まで書いており、現在未完となっておりました「ストライクウィッチーズ」の2次創作を、新たに根本的に設定を見直して投稿する予定です。
結局書ききれなかったことに未練があったので、それを今度こそ晴らしたいと思います。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
次回、お楽しみに


次回 EP60 作戦会議
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。