そして、お久しぶりです。SM-2でございます。
一年ぶりの投稿ですが、どうぞお楽しみいただければ幸いです。
では、どうぞ。
翌日、朝早くからトルメス城では、この古風な城には不釣り合いなブルルという唸るような音が鳴っていた。
「おい、キャリバーの弾もってこい!」
「グレネードの箱こっちに・・・・」
指示を出す声が聞こえ、歩兵機動車や戦車、装甲車の脇をアルパインマルチカムのボディーアーマーと迷彩服に身を包んだ兵士が行き来していた。
車両の上についている全周防盾付の銃架に載せられた車載機関銃や自動擲弾銃に弾を込めたり、歩兵機動車の全周防盾の横に歩兵携帯式の28式携帯対戦車ミサイル*1を取り付けたりしている。また、歩兵機動車の荷台に弾薬箱を詰め込んだり、予備の無反動砲やプラスチック製の円形容器に収められた砲弾を詰め込んだりと、戦闘準備を進めていた。
その中で、百田と4人の小隊長は、トーパ王国側から渡されたミナイサ地区周辺の地図を、中隊本部に配備されている27式装甲機動車*21型のボンネットに広げて作戦会議をしていた。
「まず、今回の作戦の目標。トーパ王国側に多大な脅威を与えているレッドオーガ、ブルーオーガの2体の撃破及びミナイサ地区に取り残された民間人の救出だ。レッドオーガはエイブル、ブルーオーガはベイカー。民間人はキングと呼称する」
百田はミナイサ地区の3か所を指さす。
「キングは、大講堂―ポインドアルファと学校―ポイントベータに分散して収容されている。その詳細な人数等は不明だ。このキング解放の一番の障壁は、大通りのこの中央広場、ポイントチャーリーにいるエイブルもしくはベイカーと取り巻きの魔物だ」
そういうと百田は、地図の別の場所を指さして城島の方を向いた。
「まず、城島。お前の小隊は、軽戦車と偵察戦闘車、それと輸送分隊を連れて、ミナイサ地区に入る城門、このポイントデルタからポイントチャーリーの手前にあるミナイサ地区南広場―ポイントエコーに向かえ。チャーリー付近で戦闘になるとアルファにいるキングが危険にさらされる。よってエコーにエイブルもしくはベイカーを誘引し、撃破しろ。目標を撃破したら、チャーリーまで前進。小火器を使って残ったゴブリンやオークなどを撃破してチャーリーを確保。他2小隊の合流を待て」
城島は、地図を覗き込みつつ百田の命令にコクリと頷く。
それを見た百田は、今度は猿渡の方を向いて、今度はミナイサ地区から離れたある場所を指さした。
「トーパ王国からの情報で、このポイントフォックストロットから地下水路を使ってベータに向かうことが可能だとわかっている。お前は小隊を率いて、エイブルもしくはベイカーが撃破されたらベータに侵入。周囲にいる敵を撃破して、キングを解放しろ。その後は、チャーリー確保を待って、第1小隊と合流しろ」
次に百田は犬神の方をみると、先ほどのポイントチャーリー付近のある建物を指さした。
「犬神はアルファのキングを救出することが任務だ。このアルファはトルメス城のこの地点―ポイントゴルフと地下道で通じている。もともとは要人の脱出用だったらしいんだが、これを利用する。お前はゴルフで待機しておいて、第1小隊から連絡が入ったら突入して、アルファ内に潜入しキングを保護。その後はチャーリーで第1小隊と合流だ」
そして最後に百田が指を指したのは、ポイントデルタと呼称されている城門の部分だった。
「吉備。お前はトーパ王国軍とともに、このポイントデルタを防衛しろ。軽戦車4台とRCV6台が使えるはずだ。第2小隊と第3小隊は装甲火力がないから、
「「「「なし!」」」」
「よろしい。では、作戦開始は2時間後の
百田がそういうと、各小隊長は駆け足で自分の部隊のもとに向かっていった。
―――――――――――――――
2時間後、トーパ王国臨時偵察隊の各部隊は配置についていた。
トルメス城内に置かれた戦術指揮所には、百田や副中隊長、中隊先任曹長などが集まっていた。30分前には、各部隊から配置完了の報告が入っている。
「大尉。時間です」
中隊先任曹長が、じっと見ていた腕時計から視線を挙げて百田にそう言った。
それを聞いた百田は、先任曹長をチラリとみてコクリと頷いた。そして、無線機に張り付いている通信兵に言った。
「状況を開始する。作戦開始コードを送れ!」
「了解」
通信兵は、振り返って返事をした後、通信機のボタンを入れて、ヘッドセットのマイクをもって作戦開始の合図を送った。
「こちら
『こちら
『こちら
『こちら
『こちら
同時に、上空に待機している航空部隊からも報告が入る。
『こちら
『こちら空母クイーン・エリザベス。発艦完了。要請があればいつでも支援可能。オーバー』
ついにこの世界に転移して初となるNATOと魔物との衝突が始まろうとしていた。
種類:歩兵携帯対戦車ミサイル
配備部隊:国防陸軍/海兵隊
発射方式:歩兵携帯発射機
誘導方式:赤外線画像誘導/レーザー誘導
全長/直径/全幅:87㎝/12㎝/28㎝
発射重量:12㎏
エンジン:固形燃料ロケットエンジン
最大速度:M3
射程距離:3,000m
弾頭:タンデムHEAT弾頭(貫徹力:1000㎜)
概要:2028年に01式携帯対戦車誘導弾の後継として正式採用された、歩兵携帯対戦車誘導ミサイルである。
本ミサイル最大の特徴は、アクティブ防護システムによる迎撃を避けるために、地面すれすれを複雑な軌道を描いて飛翔可能であることである。また超音速で飛翔するため、アクティブ防護システムによる迎撃は困難となっている。
誘導方法は2種類選択でき、赤外線画像誘導とレーザー誘導の2種類がある。赤外線画像誘導はレーザー誘導に比べて命中率で劣る代わりに撃ちっぱなし能力があり、レーザー誘導はその逆であるが、誘導精度はほぼ変わらないものであるから赤外線画像誘導を選択することが多い。
種別:歩兵機動車
装備部隊:国防軍全軍
全長/全幅/全高:4.96m/2.01m/2.0m
重量:4.8t
時速:120km
行動距離:900km
乗員:5名
エンジン:三菱4N30C 4ストローク水冷ディーゼル 190hp
武装:全周防盾付き銃架1基
防御用装備:6連装スモーク発射機 2基
レーザー警戒装置
装甲:超軽量カーボン鋼装甲
改良型:(基本型/2028年~) 初期生産型
(1型/2032年~) 装甲強化型
(2型/2040年~) レーザー検知装置搭載型
概要:2027年に軽装甲機動車の後継として正式採用された歩兵機動車。
本車は2025年の防衛装備政策転換及び輸出緩和を受け、小松製作所が安価な歩兵機動車として、海外向けに開発したIMVを、国防軍が正式採用したものである。
IED及び地雷対策として二重底面などを採用し、小松製作所が自主開発していた新型装甲材を使用することで、正面装甲は12.7㎜徹甲弾を防ぐだけの防護性能がある。
非常に安価であるため、中小国を中心に輸出も行われており、台湾陸軍がかなりの数を導入している。
いかがでしたでしょうか?
私用でなかなか執筆活動に専念できず、お待たせしてしまい申し訳ございません。いまだお待ちしていただいております読者の皆皆様には感謝の念に堪えません。
どうか、今年一年も何卒よろしくお願い申し上げます。
よろしければ、感想、お気に入り登録等お待ちしております。
ではまた次回、さようなら。
次回 EP62 民間人救出作戦Ⅰ
お楽しみに