西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

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皆さま、どうもSM-2です。
今年最初の投稿です!今年もよろしくお願いいたします。
そういえば先日、ランキングをちらちらと見ていましたら下の方ではございましたがなんとこの作品の名前がありました!とっても嬉しかったです。今まで応援して下さった読者の皆さまには感謝の念が耐えません。今後とも応援のほどよろしくお願いします。

※AH-71攻撃ヘリを、AV-281攻撃ヘリに変更。


EP6 開戦

日本国国防陸軍から派遣された第1工兵旅団が寝る間も惜しんで陣地を構築したため、ギム周辺のロウリアとの国境線には鉄条網やトーチカ、コンクリートで固められた塹壕に機関銃陣地、迫撃砲陣地が無数に作られており、後方には砲兵隊陣地が作られ、交替でNATO軍が警備にあたっていた。ギムの後方にあるダイダル平野には航空基地が建設され、NATO軍の航空部隊や空挺部隊が配置されていた。

NATO軍の合同部隊の指揮を臨時でとることになった、イギリス陸軍のエドワード・リチャードソン少将は中世レベルの軍隊で用意周到に作られた塹壕にこもる現代軍隊に挑まなければならないロウリア王国軍に若干の哀れみを抱くのであった。

――――――――

そうとは知らない、ロウリア軍の士気は最高の状態であった。

クワ・トイネ公国外務局から国境線より軍を引くように何度も通知があったが、もはや戦争は決定事項であり、無視を決め込んでいた。

 

「明日、わが先遣隊6万でギムを落とす!」

 

先遣隊を任されたアデムは伝令兵に話しかけた。彼らは小高い丘の上から眼下に待機する3万の兵を眺めていた。

6万はロウリア王国軍総勢50万からすると大したことのない兵力に見えるが、一回の会戦で使うのであれば十分すぎる兵力だ。

歩兵4万、重装歩兵1万、騎兵4千、特科兵3000、遊撃兵2千、魔獣使い500、魔導士200、竜騎兵150である。数の上では歩兵が多いが、10騎いれば歩兵1万をも足止め可能な竜騎兵が150も配備されている、ロウリア王国軍がこの先遣隊にどれだけ賭けているかが実感できた。そんな部隊を指揮できるアデムは緊張よりもうれしさが勝った。

特にワイバーンは高価な兵科である。ロウリア王国が保有するワイバーンはどんなにかき集めても200騎程度である。しかし今回の戦争には500騎近いワイバーンが投入される予定だ。

聞いた噂によれば列強国、パーパルディア皇国が軍事支援をしているらしい。だが実際のところどうなのか、パンドール将軍以下、だれも知らない。ワイバーンの鎧には国章が付いていないので推測しようがないのだ。

ここでアデムはあることを思い出し伝令兵に問いかけた。

 

「そういえば国境線付近にやってきた謎の軍勢は?」

「はっ、穴や溝を掘りそこに籠っているようで攻め込んでくる気配はありません。兵士は全員緑マダラの服を着ており、ワイバーンは確認されていません」

 

伝令兵の報告にアデムは少し考える。

 

「そうですねぇ・・・。では開戦と同時にワイバーンの半数を差し向けて差し上げましょう。さすがに数が多いですが穴にこもっている状態ならワイバーンの火炎弾で全滅させることも可能なはずです」

「わかりました」

「それとギムでの戦利品だが――」

 

伝令兵は身をこわばらせた。アデムは占領地での住人や捕虜にとても残虐であり、その性格はロウリア王国内でも有名であった。そんな彼がどのような命令を下すのか、伝令兵には手に取るように分かった。

 

「ギムでの略奪は咎めない。好きにしてよい。女はなぶってもよいが、最後に必ず処分すること。一人も町から逃がすなよ」

「はっ・・・・」

 

その命令に恐怖を覚えつつも、この残虐な指揮官から一刻も早く離れたいと思った伝令兵はその場を立ち去ろうとした。

 

「いや、まて!やはりなぶってもよいが、100人ばかりは生かして解放しろ。あとで殺すのに変わりはないが、恐怖を伝搬させるのだ。それと敵騎士団の家族がいたらなるべく残虐に殺すこと。よいな!」

「は、はっ!」

 

アデムは引きつったような、薄気味悪い甲高い笑い声をあげるとさらにつづけた。

 

「さぁ、殲滅の宴を始めようぞ」

 

だが翌日始まるのは殲滅の宴ではなく、鉛と爆炎が舞う作業的殺傷であった。

―――――――――

翌日

「リチャードソン少将!!ロウリア王国がクワ・トイネ公国に宣戦布告!クワ・トイネ第1騎兵旅団と西部方面騎士団、第1航空団が戦闘を開始します!!」

 

ついに始まった。リチャードソンは周りにいた各国軍の指揮官と目を合わせて頷くと指示を出した。

 

「敵のワイバーンに備え、防空部隊と戦車部隊以外は至急、退避壕の中に退避!沖合の空母艦隊と後方の戦闘機部隊に上空待機の指示を出せ!!」

「了解!」

 

すぐさまリチャードソンの指示は高度な軍事用ネットワークシステムにより全軍に伝えられ、ギム国境線に設置された塹壕にいる部隊はワイバーンの火炎弾対策として設けられた防空壕に退避する。

その間にクワ・トイネ公国軍とクイラ王国軍はNATOから供与された戦車やテクニカルなどで武装した近代化部隊を出撃させる。その後方にはモイジという将軍が指揮する西部方面騎士団が出撃を始めた。

――――――――

「よし!敵の陣地を焼き払うぞ!!我につづけぇ!!」

 

ロウリア王国竜騎士団の隊長の指示でワイバーンは一斉にギムに設置された防御陣地と近代化部隊めがけて降下を緩効果を始めた。その時だった。

 

ブゥゥゥゥン

 

戦場に羽虫のような音が響き渡った。竜騎士たちは何事かと思いあたりを見渡すと、雲の隙間から何かがものすごい早さで突っ込んできた。

 

「なっ、回避!!」

 

ワイバーンたちは回避しようとしたが時すでに遅し。10機のA-29スーパーツカノがワイバーンに襲いかかった。両翼に搭載された2丁の12.7㎜ブローニング重機関銃と5つの20㎜ガンポッドが火を噴いた。

 

タタタタタタ

 

12.7㎜機銃と20㎜機関砲はワイバーンと乗っていた竜騎士の体を貫き、当たったワイバーンと竜騎士は血しぶきをあげながら落ちていく。15騎のワイバーンが一気に落とされた。彼らは何者かと竜騎士がその物体に目を凝らすとクワ・トイネの国章が描かれていた

 

「おのれぇ!!クワ・トイネめ!!第1竜騎士隊!!ついてこい!奴らを火だるまにしてやる!」

 

ワイバーン30騎がスーパーツカノを撃墜しようと上昇していくが速度と上昇性で負けており失速したところで上から襲い掛かられ返り討ちに合う。何騎かのワイバーンは火炎弾を発射したが単発のそれをスーパーツカノは軽々とよけてゆく。

スーパーツカノのパイロットはもともとクワ・トイネ公国の竜騎士であった者たちだ。飛行機の操縦はやったことはなかったが、日本やアメリカからは派遣された教官が目を見張るほどのスピードで上達していき、実戦に出れるようになっていた。だが格闘戦は個人技能で差が出るため、教官たちは一撃離脱を心掛けるように指示していた。もともとが優秀な軍人である彼らはそれを忠実に守り、一機の損害もなくロウリア王国竜騎士団ギム空爆隊75騎を撃墜した。

その後、彼らは低空に降りると後からやってきた対地装備のスーパーツカノとともに弾薬が尽きるまで地上部隊に対して機銃掃射を行い敵歩兵500を撃破した。対地攻撃隊のスーパーツカノは密集している敵に適当に爆弾を投下した後、12.7㎜重機関銃の弾が尽きるまで機銃掃射を行った。

 

「くそっ!!なんなんだあれは!?」

 

ギム攻略隊2万の指揮を執っていたジューンフィルアは上空を乱舞するスーパーツカノをみてそう悪態をついた。ワイバーンよりも圧倒的に早いそれは5倍の数のワイバーンをすべて蹴散らしたと思えば地上近くに降りてきて、ロウリア王国軍にワイバーンを撃墜した光弾を打ちかけてくる。

 

「ジューンフィルア様!!あれを!!」

 

上空の光景にくぎ付けになっていたジューンフィルアは兵士の一人が指さした方向を向く。するとそこには箱の上に巨大なパンのようなものをつけたような面妖な物体と馬のいない馬車のようなものが多数自分の方向へ向かってくる光景が見えた。だがそのどれもに、クワ・トイネとクイラの国章が描かれており、ジューンフィルアはそれは敵だと判断した。

 

「あれは敵だ!!何としても撃破しろ!!」

 

ジューンフィルアの号令で歩兵や騎兵が一斉に突撃するが、それらから上空を乱舞する物体を同じ光弾が飛んできて兵士に穴をうがち、そこら地面をえぐる。

それでも散開して敵に近づいた歩兵や騎兵もいたが戦闘を行くそれに槍を突き立てても全く通らず、逆に折れてしまう。それどころか正面から近づいた兵はその物体に押しつぶされてしまった。

見る見るうちに兵士たちは倒れてゆく。そこに華々しさや雄々しさはなくただただ機械的なまでに効率的な殺傷が繰り広げているだけであった。

ジューンフィルアは散っていく部下たちに泣きながら謝る。だが死神は彼だけを見逃すはずもなく、次の瞬間感覚が薄れていくとともに自分の体が四散していく様を見ながら彼の意識は途絶えた。

それは三菱MAV/RAC-Kから放たれた30㎜機関砲弾であった。その後も殺傷は続いていき、降伏や逃げた兵士を除き、ギム攻略部隊2万はクワ・トイネ公国陸軍第1近代化騎兵旅団とクワ・トイネ公国空軍第1航空団並びにクイラ王国陸軍第1機甲旅団と交戦し壊滅した。

戦闘を終えたあとの平野は四散した兵士の肉塊や血が飛び散っており、赤く染まったその大地はとてつもない悪臭を放っていた。気の弱い兵士はそれを見て嘔吐したほどである。

―――――――

「なに!?ギム攻略隊が壊滅しただとぉ!!」

 

アデムは数でロウリアを勝っている謎の軍勢を打ち倒すべく、4万の兵を率いて向かっていた。だがその最中、ギム攻略部隊が壊滅したことを知らされた。

 

「アデム副将軍いかがしますか?」

 

アデムは馬上で腕を組んで考えた。

 

「・・・・ギム攻略隊はなぜ壊滅したんだ?事前に得た情報ではあそこには1万の兵もいなかったはず。小賢しい策を弄そうとも2万の軍勢をもってすれば攻略は可能だったはずだ。事前情報に誤りがあったのか?」

 

その推理は正しかった。確かにギムにはクワ・トイネの第1近代化騎兵旅団という増援部隊がいたのだ。それも今回先遣隊に配備された6万をもってしても攻略不可能にさせるだけの部隊がいたのだ。

 

「・・・・いずれにせよ、我々はここまで来てしまった。こうなったら穴にこもるモグラどもを叩き潰しギムに向かうぞ!上空の竜騎士に連絡しろ!穴を焼き払えと!」

「ははぁ!」

 

4万の兵はそのまま前進を開始した。だが彼らは知らない。その穴にこもる敵にとっては騎兵や歩兵は鴨がネギを背負っている状態だということを、そして密集しているのはその鴨が鍋も一緒に持っているような状態だということを。彼らはこの後地獄を見ることになった。

―――――――

「敵はわが方の倍だ!だが恐るるに非ず!奴らは我々を恐れて穴倉から出てこようとはしない!我々を恐れて出てこない奴らなど敵ではない!!奴らを焼き払うぞ!突撃ぃ!!」

 

竜騎士団長の掛け声とともにワイバーンは一気に急降下を開始した。火炎弾を口に作り出し、ところどころにぽつぽつとできた櫓のようなものに狙いを定める。

 

「発射ぁ!!」

 

火炎弾はまっすぐと櫓のようなものに突っ込んでいった。

―――――――

「敵ワイバーン急降下を開始!!あれは・・・・・トーチカを狙っています!敵の狙いはトーチカです!!」

 

後方に偽装して設置された司令部でリチャードソンは双眼鏡を片手にロウリア王国軍の様子を眺めながらぽつりとつぶやく。

 

「いかにも重要そうにトーチカの上に櫓を立てておいてよかった。自ら、最も硬いものを攻撃してくれるとはな」

 

ワイバーンの火炎弾は粘性があるため、歩兵相手には有効だ。だがトーチカや戦車などの硬いものに発射しても意味はない。

 

「敵、火炎弾を発射!!着弾します!!」

 

塹壕の至る所で火炎弾が着弾し、燃え上がる。兵士は防空壕に待機しているため被害はほとんどない。

 

「よし、これで攻撃を受けた!!高射砲兵隊と戦闘機隊に連絡!!敵ワイバーンからの攻撃を受けた!!防衛のため反撃する!!撃墜せよと!!」

「了解!!」

 

塹壕の至る所で隠されていた短距離地対空ミサイルが自走高射機関砲がその姿を現す。それを見てワイバーンたちは再び急降下を開始した。

 

「目標、ロック!!対空射撃はじめ!!」

 

そのワイバーンの挙動を対空部隊はレーダーで探知し、追尾する。そしてそれらの対空火器が一斉に火を噴いた。

 

シュゥゴォォォォオ

ダダダダダダ

 

陣地の至る所から白煙と曳光弾が打ち上げられ、ワイバーンを正確に射抜いてゆく。射貫かれたワイバーンはバラバラになるか穴だらけになって落ちてゆく。

次の瞬間、ワイバーンたちにとって更なる悲劇が起こる。上空で待機していたNATO軍の戦闘機隊が一気に襲い掛かった。フランス、台湾、ノルウェー、スウェーデン、日本、アメリカの戦闘機部隊は一気に姿を現すとワイバーンをロックオンして、短距離空対空ミサイルを発射してゆく。

 

「ぐわぁあああ!」

「やめろ!ついてくるな!!うわぁああああ!」

「くそっ!振り切れない!!ぐわぁ!」

 

竜騎士たちはミサイルを振り切ろうと必死に散開するが、音速を超え優秀なシーカーで誘導されるミサイルを回避できるはずもなく瞬く間に落ちてゆく。1分もしないうちにロウリア王国軍のワイバーンは消え去った。

 

「なっ・・・・・・くそ!!こうなったら!全軍突撃!敵騎の攻撃も敵陣地に入ればおいそれと手出しできまい!突撃せよぉ!!」

「「「「「うぉおおおおおお!!」」」」」

 

ロウリア王国軍は一斉に突撃を開始した。塹壕まで残り6kmほどまで近づいた。

 

シュゥゥウウウドォォオン

ズドォオン

 

先頭部隊が突如として爆炎に飲み込まれた。その正体は塹壕陣地の後ろの配置された日本、アメリカ、イギリス、韓国、台湾、オランダ、イタリア軍の配備している155㎜自走榴弾砲と203㎜自走重榴弾砲、自走式ロケット砲からなる砲兵部隊の一部の砲撃と塹壕内の迫撃砲陣地から放たれた120㎜重迫撃砲、81㎜迫撃砲、塹壕内から砲塔だけ顔を出している各国主力戦車の130㎜滑腔砲から放たれた榴弾であった。すでに迫撃砲部隊はロウリア軍のワイバーンがすべて撃墜された時点で、優先的に防空壕の中から出ており、迫撃砲陣地に設置されたコンクリート製の半地下火薬庫から迫撃砲弾を次々と取り出し、手ぐすね引いて待っている状態であった。夜間に煙幕弾を使用して事前に着弾観測行っており、あとは事前に設定された仰角でその仰角で着弾する場所にロウリア軍が入ってくるのを待つだけだったのだ。ロウリア軍はその中に入ったといえよう。

 

「くっ、後退を・・・・!」

 

猛烈な砲撃に耐え切れず、そういってアデムは後ろを見るが、その時ロウリア軍の後ろにも砲弾が着弾し始めた。NATO軍は砲兵部隊には射程に入った時に射撃をするのではなく、そこを通り過ぎて塹壕内部隊が射撃を始めたら後退ができないように逃げ道をふさぐように砲撃するように命令されていた。

だがアデムはこの猛烈な砲撃に一か所だけ隙間があることを見つけた。その先には敵の掘った溝が見えていた。

 

「あそこに隙間がある!!全軍突撃ぃ!!」

 

ロウリア軍は後ろから徐々に迫る砲撃に追い立てられるようにその隙間に殺到した。NATO軍もその隙間を埋めるようなことはせず塹壕から1km地点まで来るのを待っていた。

 

「よし!あの爆裂魔法から抜けたぞ!全軍敵を滅せよ!!ロウリア王国軍の意地を見せてやるのだ!!」

「「「「おおおおおおお」」」」

「固まるとあの爆裂魔法の餌食となる。決して固まらず散開して接近しろぉ!!」

 

この時点で1万の兵が失われており、残った3万は仲間の仇を取るべく散開して塹壕に突撃を開始した。

―――――――

「まだ撃つなよ」

 

塹壕内で待機するNATO軍歩兵部隊と戦車部隊、歩兵戦闘車部隊はすでに車載機関銃や機関砲、ところどころに設置された重機関銃、軽機関銃、自身の持つ6.8㎜アサルトライフルの引き金に手をかけていた。3万もの兵が突撃してくる様はとても迫力があり大地が揺れているようだ。

そしてついに敵との距離が800mを切った。そこで配置された鉄条網に敵は足止めされてしまう。リチャードソンは双眼鏡でその様を見ながら待ってましたと言わんばかりに無線機に叫んだ。

 

「射撃開始ぃ!!」

 

ズダダダダダダダ

ドドドドドド

ダンダンダンダン

 

上は40㎜から下は6.8㎜まで、さまざまな口径の銃砲弾がロウリア軍に向かって飛んで行く。

―――――――――

「ぐぉおおおお、なんなのだ!」

 

敵陣から殺到する光弾はロウリア王国軍の兵士の命を次々と奪い去ってゆく。かすっただけで上半身が消えてしまうもの、光弾が連続して着弾し穴だらけになるもの、体の真ん中に着弾し大きな穴が開くもの、方法は様々だがそれらすべてに等しく死が与えられていた。

後ろに後退しようにもNATO軍の砲撃が逃げ道をふさいでいた。各国軍が放つ面制圧射撃は猛烈の一言に尽き、後退しただけでも死、前進しても死、その場にいてもそのうち死がやってくる。

 

ゴォオオオオ

 

一瞬、後ろの砲撃が止んだかとと思えば上から敵の鉄竜が多数突っ込んできた。

 

「ワイバーンの火炎弾攻撃か!?」

 

すると航空部隊は筒のような何かと連続して投下する。糞なのだろうかと思いそれを見続ける。するとその何かが地面に着いた瞬間。あたりに猛烈な爆裂魔法が起こる。それは先ほどまで後ろで連続して起きていた爆裂魔法と非常に似ていた。

編隊を組んで飛ぶ鉄竜は狙いもつけずロウリア王国軍の頭上に糞のような何かを落としていく。着弾する近辺にいた兵士たちは一気に吹き飛ぶ。

 

「クソッ!だが後ろの爆裂魔法が止んでいる今が好機だ!!後退するぞ!!」

 

だが猛烈な砲爆撃と銃撃を食らった兵士たちの士気は崩壊しており、中には何やら奇声を発して剣や槍を振り回すものもいた。

だがそれでも正気を保っている1万ほどの兵士がアデムの指示に従い、後退を始めた。

―――――――

NATO軍の砲撃が止んだ理由。それは連続射撃で熱くなった砲身の冷却と砲弾の補給であった。現代の大砲はいちいち砲身内の清掃などが必要なく連続射撃が可能だが、それは砲撃で生まれた熱を冷ます余裕がないことを意味する。そのためいくらか砲撃したら砲身を冷まさなければ、きちんとした砲撃ができなくなってしまうのだ。

 

「敵軍、約1万!後退を始めました!」

 

すると副官のアメリカ軍准将がすぐさま指示を飛ばした。

 

「よし!!待機中の戦闘ヘリ部隊に連絡!敵の逃げ道をふさげ!!」

「了解」

 

その命令はすぐさま待機していたヘリ部隊に通達され戦闘ヘリ部隊はすぐさま行動を開始した。

――――――――

『アタッカーズリーダー、こちらCP』

 

後方の原野で待機していたアメリカ、日本、ギリシャの合同戦闘ヘリ部隊に出動命令が下された。そこにあったヘリは重武装・重装甲のAH-64系列の戦闘ヘリが半数を占めていた。そのもう半数はAV-281バッファロー、米軍が採用したV-280を改良して、タンデム座席の攻撃機型にした攻撃機であり、最大時速は580㎞、ステルス性にも配慮し、AH-64から引き継いだバスタブ装甲などの重装甲と射出座席の採用による生存性の向上を図ったものだ。

 

「こちらアタッカーズリーダー」

『ターゲットがお家に帰ろうとしている。パーティーに引き留めてくれ』

「アタッカーズリーダー。了解」

 

戦闘ヘリ部隊はロウリア軍の逃げ道をふさぐべく、行動を開始した。

―――――――

「もうすぐ、もうすぐだ!!・・・・・グォッ!!」

 

アデムは配下1万の兵士を引き連れて逃げようとしていた。後ろから敵の追撃がなくもうすぐあの地獄から逃げ切れると思った。

だが前方が突如として爆発した。

 

「アデム様!!あれを・・・・・!」

「あ?」

 

アデムは兵士の一人が指さした方に目を凝らす。そこには羽虫のような何かが多数浮かんでいた。だがアデムはそれらが何なのかすぐさま理解できた。

 

「あいつらかぁ!!!」

 

猛烈な爆裂魔法と光弾で自身の配下を壊滅させたあいつら(NATO軍)の兵器だと。羽虫はワイバーンよりも早い速度で素早く展開するとアデム達を半円を描くようにして包囲する。アデム達は盾を構えて、弓を引き絞り対抗しようとするが、その時間はすぐにやってきた。

 

シュウウウシュウウウシュウウウ

 

戦闘ヘリ部隊はスタブウィングに搭載されたロケット弾ポットから空対地ロケットを連続で発射する。ロケット弾はロウリア軍の真ん中に着弾し爆発する。それと並行して機体に搭載された30㎜チェーンガンを発砲し、ロウリア軍の命を等しく刈り取ってゆく。

―――――――

ものの10分ほどで勝敗は決した。散り散りになって逃げた兵士を除く、その場にいたすべての兵士はすべて物言わぬ屍とかした。

戦闘ヘリ部隊はNATO軍総司令部に敵の殲滅が完了したことを報告すると基地に帰還した。

 

「うむ・・・・予想通りだな。戦車部隊と歩兵戦闘車部隊、歩兵部隊には残敵掃討を行うように伝えろ」

「了解」

 

戦車部隊と歩兵部隊は塹壕を出て敗残兵の掃討や敵負傷者や降伏した兵士の収容を開始した。途中、死体に紛れて歩兵部隊に切りかかった兵士もいたが等しく銃弾がプレゼントされた。

―――――――――

【ギム平原会戦】

 

ロウリア軍

参加兵員数:59、850名(ギム攻略部隊:19,850名、NATO軍陣地攻略部隊:40,000)

死者・行方不明者:56815名(ギム攻略部隊から:17361名、NATO軍陣地攻略部隊から:39454名

重軽症者(NATO軍収容):2011名(ギム攻略部隊から:1390名、NATO軍陣地攻略部隊から:621名)

捕虜:669名(ギム攻略部隊から:416名、NATO軍陣地攻略部隊から:254名)

本土に帰還できた兵員:355名

 

クワ・トイネ、クイラ連合軍

参加兵員数:13、200名(西部方面騎士団:3,554名、第1近代化騎兵旅団:5,043名、第1航空団:4,903名)

死者・行方不明者:18名(西部方面騎士団:15名、第1近代化騎兵旅団:3名、第1航空団:0名)

重軽症者:51名(西部方面騎士団:34名、第1近代化騎兵旅団:15名、第1航空団、0名)

捕虜:0名

 

NATO軍

参加兵員数:165,000名

死者・行方不明者:5名(ロウリア軍の火炎弾攻撃でのアメリカ、オランダ軍に死者2名。残敵掃討時の不意打ちでイギリス軍、日本国防軍、フランス軍に死者3名)

重軽症者:31名(ロウリア軍の火炎弾攻撃で14名。残敵掃討時の不意打ちでの負傷者17名)

捕虜:0名

 

ギム平野会戦はクワ・トイネ、クイラ、NATO連合軍の大勝利であった。対してロウリア軍は6万近い兵力を失い、指揮官のアデムも行方不明。生存者も意味の分からないことを証言したり、奇声を発するような兵士ばかりで頭を悩ませることになる。




《NATO軍ギム合同火力演習派遣部隊内訳》
艦艇:28隻(原子力空母2隻、ミサイル巡洋艦3隻、ミサイル駆逐艦6隻、駆逐艦:3隻、フリゲート:4隻、コルペット:4隻、潜水艦:2隻、補給艦艇:4隻)
航空機:300機(戦闘機:190機、早期警戒機:12機、電子戦機:13機、輸送機:9機、対潜ヘリコプター:21機、戦闘ヘリコプター:17機、汎用ヘリコプター:23機、大型輸送ヘリコプター:15機)
火砲:4410門(装輪自走榴弾砲:360門、装軌自走榴弾砲:500門、自走重榴弾砲:120門、ロケット砲:260台、自走迫撃砲:70門、重迫撃砲:750門、迫撃砲:1020門、無反動砲:2080門)
車両:7140台(戦車:370台、歩兵戦闘車:710台、装輪装甲戦闘車:165台、偵察警戒車:300台、装輪装甲車:1430台、装軌装甲車:1700台、トラック:2150台、その他車両:315台)
対空火器:4240基(対空機関砲:90門、自走式対空機関砲:290台、携帯地対空誘導弾:2140門、近距離地対空誘導弾:800台、短距離地対空誘導弾:650台、中距離地対空誘導弾:270台)
――――――――――――――
いかがでしたでしょうか?
火砲などの数ですが適当に計算したものなのでいろいろおかしなところがあるかもしれません。
今年も応援のほどよろしくお願いします。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております!!
ではまた次回さようならぁ!

次回 EP7 各国の反応

お楽しみに

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