遊戯王BELIEVER ~遊戯王の新作シリーズをフラゲしてきた(笑)~ 作:ミスタータイムマン
―デュエルフェスタ1日目・昼―
俺達、A.ギートの面々は昇格デュエルの後、更衣室で一休みをしていた。
「はぁ~。昇格デュエルがまさかあんなことになるなんてなぁ。アマツさん、大丈夫かなぁ」
難易度が跳ね上がった昇格デュエル自体は何とか勝ったから昇格はできると思う。けど、アマツが最後に倒れたのが心配だなぁ。
「アマツ・・・光導さんは、大丈夫だと思います。よくあるんです。盛大に倒れた後、ちょっとするとケロッと復活して。しかも異常は見当たりませんし」
ため息を吐くように白砂先輩はそう話す。
どことなく遠い目をしている。
「白砂さんは何でそこまで詳しく・・・。そうか、白砂カンパニーってユニティガーディアンの出資会社でしたね」
なるほど、と正志は納得するように頷く。
「えぇ。パーティでもよくお見かけしますよ。それに双子
「えっ、マジですか?」と翔太。俺もビックリだよ。
「フフっ。あっ、赤石さんから連絡が来ました。光導さん、回復したって」
「それは良かったです。それにしても、まさかのアマツ参戦でしかも、デュエルできるって改めてスゲー幸運なんだよな、俺達」
俺はワンキルだったけど、憧れの決闘者の1人とのデュエル、夢みたいだぜ。
「お前らは良いよなぁ。俺も戦いたかったよ。まぁ間近では見れたが」
正志にはやぶ蛇だったぜ。
「まぁ、正志は俺達の守りの要だからなぁ。お前が活躍するって事はチームがピンチって事だし」
「分かってはいるんだが、惜しかったなーって。あの人相手なら、俺もワンキルされるだけだろうしな」
と、正志の視線が遊士に向く。
「だからこそ、奥田。いや遊士、よく持ちこたえたな、流石だ。俺達3人ではどうにもならなかっただろう。お前と白砂さんの活躍のおかげだ。ありがとう」
遊士は2人に向かって頭を下げる姿に目を丸くする。
「頭、上げろって。チームメイトだろ俺達。俺だって、意表をついて何とか数ターン生き延びただけだぞ。悟と翔太の粘りと機転がなかったら、多分各個撃破されていたぞ」
「謙遜すんなって、遊士。あの時のお前マジで凄かったぞ。スゲー、攻めまくってじゃん。プラネッツ・ドラゴンもぶっ倒してじゃんか」
「いや、アレは無理に攻める事でアマツさんの攻撃札を削って、何とか生き延びただけだぞ」
その思考からして既にヤベーんだが。翔太も正志も引いてるぜ。
白砂先輩はなんか、複雑そうな顔してるな。
考え込むような、いや不満そう?
「あの!」
一斉に注目が集まり、表情が強張る白砂先輩。
しかし、意を決したように言葉を続ける。
「…ええとですね。私もチームメイトですから、私の事も名前で呼んでいただきたいな、と思うのですが・・・」
マジすか、アイナパイセン。
――――――――――――――
「これが綿飴…。知識としては知っていましたけど、実物を見ると本当に不思議ですね。よく砂糖を綿みたいに加工できますね」
あの後、俺達は屋台へと繰り出した。
白す・・・アイナ先輩は、こういったお祭りの屋台に行くことがないみたいで、興味深そうに眺めたり、買ったり、体験したりしていた。
「馴染みはあまりないですが、面白い物がたくさんありますね」
「やっぱりデュエルフェスタと言えば屋台が醍醐味ですからね。アイナ先輩、タコ焼きまだありますけど食べます?」
「悟君、お1つ貰おうかしら」
俺が差し出した容器のタコ焼を爪楊枝でプスッと刺して1口で頬張る。
ヤベェ、この一連の流れも優雅だぜ。手が震えて、危うく容器を落とす所だった。
「なぁ、みんな。アッチの方、スゲェ並んでるぜ。行ってみないか」
翔太が指差した屋台は長蛇の列だった。何であそこだけあんなに並んでるんだ?
「アレ、白砂カンパニーのショップじゃないか?SCって見覚えのあるロゴがあるんだけど」
「遊士、目良いな。きっと限定品が売っているに違いないぜ」
正志もコクリと頷く。
「そうだな。これは是非行かないと」
――――――――――――――
「・・・って、何で兄貴がいんだよ!」
「悟!それに翔太に正志、遊士君も!よく来たな。チームで屋台を見て回ってんのか?」
白砂カンパニー直営の屋台にいたのは、
確かに白砂カンパニーの会社員だけど、まさかこんな所で出くわすとは。
「ええと、そちらの方は悟君のお兄様ですか?」
キョトンと首を傾げるアイナ先輩に兄貴が目を剥く。
「悟!おまっ!白砂お嬢様に名前で呼ばれてんのか!」
うわー、言われると思った。
「チームメイトだからだよ。つーか、兄貴。何で売り子なんてやってんだよ?」
「仕事だからな。それにしてもどうよ、この品揃えは」
「うぉ、スゲッ!ユニティガーディアンの限定公式ユニフォームに、ブロマイド。ヤベェ、品揃えが半端ねぇ!」
「翔太が驚くのも無理ない。これは人気が出る訳だ」
「フッフッフ。これらの人気商品がお金だけで手に入ると思うな!全てくクジ引きの景品だ!」
マジかよ!確かに値札が書いてねぇ。番号だけだ。
「ちなみに、くじは1回5口までだ。買い占めるヤツがいるからな」
視界の端にチラリとフリルが映る。何だ?と思って横を見た。
「!ユニティガーディアンのハン?!」
あまりにも様になっているメイド姿はまるでマンガから飛び出したような出で立ちだ。改めて、現代日本にこんな浮世離れしたメイドさんがいるなんて驚きだ。
「では再び5口、くじを引かさせていただきますよ」
「ハン、何で貴女がここに?!」
「愚問ですねー、お嬢様。この私がハクア様のグッズがあるところにいない筈がないでしょう?」
アワアワするアイナ先輩に腰に手を当て、得意気にドヤ顔で答えるハン。
「ハンってメイド。ユニティガーディアンのメンバーなんだよな。何で同僚のグッズを買い漁るんだ?」
そこに、訳が分からないと首を傾げる遊士。
それは当然の疑問だな。
「ハクアって女性人気が高いだろ?チームメイトも例外じゃないんだ。ファンにはいつもの事って感じだな」
「そうなのか?いやでも、うーん。まぁそういう事なのか・・・?」
遊士は余計に混乱したようだが、何とか納得したみたいだ。
その間にハンはお金の支払いを終えたところだった。
「先程までの試行でクジの混ぜ方は把握しました。ハクア様、今こそ逢瀬の時!」
「ハン!」
何故か真っ赤になって叫ぶアイナ先輩だが、無情にも、ハンの手はクジへと伸びていく。
しかし、ハンが掴んだのは虚空。
「しれっと不正を働きそうなメイドがいるので、お嬢様が代わりに引いてくださーい」
「ええと、私ですか?」
「ええ、記念にどうぞ」
アイナ先輩がおずおずとした様子でクジへ手を伸ばす。
「お嬢様!(そこから、左3センチ、下1センチ、奥2センチです!)」
「ソイヤッ!」
顔を僅かにひきつらせた先輩を見て、手首のスナップでクジ箱の中身を揺らす兄貴。
「そんなひどい」
「テレパシーも禁止だ!メイド妹!」
あの2人はどこで戦っているんだ。
崩れ落ちるハンを尻目に兄貴は慣れた手つきで次々とクジを開いていく。
「鉛筆に、デュエルマット、ポスターカード・・・お!当たりが出たな」
向かったのは、大型の商品がある方。
「ユニティガーディアンの写真がついたTシャツだ。絵柄はジンだ!」
「「・・・」」
途端に微妙そうな表情になるハン、そしてアイナ先輩。
何でだ?
「ジンって結構人気だろ。ハンさんはハクア以外、欲しくないのは分かるけど」
翔太も正志も首を捻っている。
「翔太の言う通りだぜ。ジンはユニティガーディアンのトリックスターだぜ。去年のチーム アトリビュートとの優勝決定戦でも忍術を駆使してフラッグを奪う活躍なんて痺れたじゃねぇか」
兄貴もウンウンと頷いている。
「・・・良かったら、お譲りしましょうか?」
「良いんてすか、当たりなのに?」
「ええ」
「ヨッシャー!良いよな、みんな!」
ナイス、棚ぼた!今日のチームの活躍といい、今日は1番ツイている日だ。
「悟はジン好きだもんな。お前のモンで良いぜ」
「良かったな、悟」
「うぉおおお!ありがとう、みんな!」
兄貴が遠い目をしていたが、気のせいだな。
――――――――――――――
仁さん、顔が引きつっているなあ。
家で家族が自分の写真が入ったTシャツを着ているのを想像したら、そうなるか。
ていうか、家族にも話してないんだな、正体。それにアイナ先輩も、ハンさんも知らなさそうだな。とりあえず、話題を変えておこう。
「後、もう1枚クジがありましたけど、どうでした?」
「そうだったそうだった。これは…、シールだな」
差し出したシールにはアームドナイトの方のハクアの横顔に盾のマークが描かれていた。
「最後のはハクアの紋章のシールか。この紋章、凝っていてカッコいいんだよな」
「そうでしょう。カッコいいでしょう。ハクア様の紋章!ハクア様の切り札に書かれたイラストをそのまま使っているんですよ。しかも5枚入りです」
翔太の呟きを待ってましたとばかりにハンさんは直ぐ様、反応。ドヤ顔で解説を始める。
そうか。アレ、必殺魔法のヤツか。ビリーバーにあったら、どうなるのかな。
そんな事を考えていると、ハンさんはアイナ先輩へシールを差し出していた。
「丁度5枚ありますし、皆様にこちらをお渡ししますね。私、これ36セット持ってますし」
「ハン、あなた・・・」
「お嬢様に、こうして普通のご友人の方々ができるのは従者として、嬉しいですからね」
微笑むハンさん。それはそうと、と前置きし、
「お嬢様。もうそろそろお時間なのでは?」
「もうこんな時間ですか」、と俺達に向き直る。
「皆様、今日は楽しかったです。ではごきげんよう」
そう言うと、先輩はハンさんと共にこの場を後にした。
――――――――――――――
「ヨシッ、俺もあがるかね」
アイナ先輩が見えなくなった途端、仁さんはエプロンを脱ぎ始めた。
「兄貴、もう仕事終わりなのかよ。サボりなん?」
「別ん所で仕事だよ。兄ちゃんは、超有能社員だからな。あっちこちで引っ張りダコなんだよ」
そういえば、ユニティガーディアンの試合、1時間後位にあったな。先輩もハンさんもそっちの方かな。
「ああそうだ。遊士君、チョイいいか?」
アノ事だよな。
「はい。悪いけど、みんなちょっと先に行っててくれ。すぐに追いつく」
「しゃあねぇなぁ。俺達は先にアッチの屋台に行っているよ」
―――
「仁さん、ストリアの事ですよね」
俺は仁さんと屋台の脇まで来ると、そう切り出した。
「そうだ。遊士君はアイツと何か関係があるのか?それに、テクノロギアのカードを使ったってアイナちゃんから聞いたんだが、どういう事だ?」
鋭い眼光だ。アイツは多くの人達を傷つけた。
それに近しい立場の俺も疑われて当然だ。
だからこそ誠意を持って話したいけど・・・、
「すみません、答える事はできません。けど、俺の目的はストリアを止める事ただ一つです」
「・・・信じて良いんだな」
グッと頷く。
「分かった。ただ、ムリはすんなよ。手に追えないと思ったら、いつでも俺達を頼ってくれ」
「すみません」
「悪かったな、時間取らせて」
―――――――――――――
みんなはどこに行ったのかな、と辺りを見渡す。
ビルの屋上も忘れずに見る。アイツ、その辺で悪巧みしてそうだからな。いつでも行けるように準備をしておかないと。
視線を屋台辺りに戻す。
アレ?悟達、大勢に絡まれているぞ?
「お前っ!白砂様をチームに入れるなんてどんな汚い手を使ったんだ!」
「だから、何もないって言ってんだろ!先輩はウチのチームに入りたいって言ってくれただけだよ」
相当、ヒートアップしている。ちょっと離れただけなのに何でこうなってんだ?そう疑問に思っていると、隣の人が話し始めた。
「見事に因縁をつけられているね。白砂嬢が離れたのを見計らって、あんな事をしているみたいだね。ちなみに因縁をつけているのは、今季、2部リーグから降格するチームの人だよ」
うわ。何、その逆恨み。後、解説ありがとうございます。
「奥田遊士君、キミのリンクモンスターも先方は言いたい事があるみたいだよ」
え?
「そうだ。お前のリンクモンスターも卑怯だ!誰も使っていない自分だけの召喚法なんて!そんなもの使って恥ずかしくないのか!?」
何を言い出すんだコイツ?
「ちゃんと在府市の検問を通ってリンクモンスターを持ち込んでいますが。もしあなたが俺と同じ立場になったらそうすると思いますけど」
本来、都市固有の召喚法はデュエルディスクに過剰な負荷がかからないように別の都市に持ち込みはできなくしている。
しかし、在府市は
「だけど、卑怯なことに変わりはない!」
尚も口角泡を飛ばしながら詰め寄る男に辟易する。
どう切り抜けようか。
「平行線だね。折角のデュエルフェスタなんだし、デュエルで白黒をつけたらどうかな?実にデュエルフェスタする事になると思うよ」
さっき解説してくれた中性的な顔立ちの人が、シレッとそんなことを言い放った。ていうか、デュエルフェスタするって何、動詞化しているの?
「そうだな。俺達、『チーム獣道』が身の程を教えてやるよ!」
よく分からんけど、コレがデュエルフェスタするって事?