遊戯王BELIEVER ~遊戯王の新作シリーズをフラゲしてきた(笑)~   作:ミスタータイムマン

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名もなきA・弐さん、感想ありがとうございます。

いよいよ3章開始です。
今回の話は3章のプロローグになる話です。
内容は短めですが、結構濃い話になります。



26話 絶望の時

デュエルフェスタから数日が過ぎた。

あれから、日常は幾分か変わった。

ネットの動画に流れるテラーの姿。度重なる目撃情報。更に地上から見た月の色の変色。

テラーの影響は加速度的に広まっている。

 

 

―ユニティ・ガーディアン本部―

 

「テラーの出現が相当数増えてきている。このままでは・・・」

 

苦渋に満ちた表情の片桐局長。何か手を打たないとテラーによる侵攻が始まってしまう。

 

「テラーはこちらの世界がテラーを認識するほどに増えていく。あのデュエルフェスタの件で相当広まってしまいましたからね。それを呼び水にしてテラーの出現数が増加。この繰り返しは、手遅れに近い・・・」

 

「光導さんっ!それじゃあ、この世界はテラーに滅ぼされるってことかよ!」

 

ダン、と壁に拳を打ち付けるグレンー遼一。彼の胸の内に悔しさと無力感を覚える。

 

「でも、それでもできることはあるはずです!」

 

「お嬢様。ですが、アームドナイトの皆様は町のテラー達を倒し続けて被害の拡大を食い止めなければなりません」

「そう、手が足りないんですよ。お嬢様。お嬢様自身の疲労も相当なものでは・・・」

 

「・・・」

 

ハンとソウがアイナを諭す。この状況は正にジリ貧。単純に手が足りない。

 

「それでもっ、それでも・・・」

 

「アイナ。今は休んだ方がいい」

 

「お父様・・・」

 

後ろからアイナの肩を抱きしめるのは父親の白砂幾星。この危機的状況にか彼も駆けつけたのだ。

 

「ジン君。時間稼ぎか何か、もしくは敵地に乗り込んで情報を集められないかい?」

 

みんなの視線が入口の近くにいたジンへと向かう。

 

「俺ですか・・・?」

 

「忍者だろう?斥候とかできないかい?相手の前線の場所はわかっているんだしね」

 

幾星が示したのは変色した月。これは精霊世界のテラーの根城と繋がっている。

 

「あれは月にあるわけではない。月が見える空が変わっただけだ。衛星写真の月は変色していないからね」

 

「社長、忍者を何だと思っているんですか?」

 

「キミ達ならできるだろう?」

 

彼は近づいてジンの肩に手を乗せる。

 

「やろうと思えばできますけどね。グレーテスト・レイヴンもいますし。元々行く予定でしたからね」

 

「期待しているよ。神守(かみもり)(あざな)を承ったキミならね・・・」

 

幾星はジンにだけ聞こえる声でそう囁いた。

 

「・・・では、失礼仕ります」

 

ジンは屈み、床に拳をつくと紫色の風と共に消えていった。

 

 

―――――

 

 

―精霊界・テラーズキャッスル―

 

岩や黒や紫の結晶で覆われた巨大な城、その最上階の大広間に3人のマスターテラー達が玉座のような椅子に腰かけていた。

 

「私達の存在強度は確固たるものになってきましたね。もうじき不自由なく人間界に行くことができるでしょう」

 

空中に浮かんだモニターを見て満足そうに話すのは赤の玉座に座る”獄炎”のブレイウルス。

 

「フン、まだ時間がかかるのかよ。退屈だなぁ。ふあぁ・・・」

 

紫の玉座に頬杖を突き、欠伸をするのは”蝕毒”のヒュドボロス。

 

「では、あなたをいの一番に行かせましょうか。私達はココから眺めていますね」

 

「ああん!?」

 

青の玉座でクスリと嘲るのは"深淵"のティアフィネル。

3体のマスターテラーが集うこの場は伏魔殿。仮に常人がこの場所にいたら、存在圧だけで数秒で死に追いやるだろう。

 

 

ギイィ。

 

 

「たのもー!」

 

気の抜けた声とともに大広間の扉が開かれた。

 

「貴方は翼の隣にいた・・・忍者?」

 

「ティアフィネルって言ったか、あの時以来だな」

 

扉の正面から堂々と入ってきたのはジン。普段の忍者装束である。

 

「キミはストリアに敗北したアームドナイトか。よくもまあその程度で此方に来られたものだ」

 

どうなるかわかるわけでもあるまい、とブレイウルスはプレッシャーを高める。

 

「侵攻を抑えてほしいかなぁって交渉に来たんだが、どうだ?」

 

ジンはそんな事など、どこ吹く風で言葉を続ける。

そんなジンの飄々とした態度にイライラを募らせていたのはヒュドボロスだ。

 

「あぁん、何言ってんだテメェ、ツブすぞ!ん?そうか、お前3年前に俺様にヤラれた奴か。雑魚じゃねぇか」

 

嘲る怪人達にはぁ、とジンは顔に手を当てて溜息を吐く。

 

「そうだった。俺、ヒュドボロスにボコボコにされたんだっけ」

 

ハハハ・・・と乾いた笑い声を出しながらおもむろに忍び頭巾を外す。

 

「じゃあ、イタイ目に遭わせてもいいよな」

 

顔を上げたジンから凄まじい殺気が放たれた。

 

「あぁん!?」

 

ジンは1枚のカードを掲げた。

 

 

《グレーテスト・レイヴン Limited》

レベル7風属性鳥獣族・ユナイト・効果ATK2400 DEF1900/装備ATK+1800

 

 

 

《■■■■■グレーテスト・レイヴン □□□▯》

レベル◘■属性鳥獣族・ユナイト・効果ATK◘◘◘◘ DEF◘◘◘◘/装備ATK+◘◘◘◘

 

 

 

 

 

《紫ノ世界神グレーテスト・レイヴン》

レベル10神属性鳥獣族・ユナイト・効果ATK4000 DEF3500/装備ATK+4000

 

 

 

「な・・・なんだソレは・・・!?」

 

カードから放たれるプレッシャーは自分たちを圧倒的に上回っている。

これほどの力はかつて唯の1度しか経験したことがない。

 

「神・・・。これほどの神が在野にいたというの・・・?貴方は一体?」

 

「俺はアレから神守の字を名乗ることを許された者、カミモリ・ヒトシ。といってもこの名前に意味はもう存在していないがな」

 

まったく、なんで社長は知ってんだか・・・とジン、神守仁は溜息を吐く。

 

「悪いが、看破できる状況じゃねぇんだ」

 

 

【Duel Disc Stand by】

【Set Player card】

 

仁は《紫ノ世界神グレーテスト・レイヴン》のカードをデュエルディスクに掲げる。

 

 

 

―――――決闘共鳴(デュエル・レゾナンス)!―――――

 

 

【Promote Next player card!】

 

仁を中心に紫色の暴風が吹き荒れ始める。

 

「アームドフォーゼ!」

 

紫色に輝く《アームドナイト シジュ》のカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

【Accept! Demi-God is coming!ARMED PHOSE!】

 

これまでより薄い紫色の忍び装束を模した甲冑が装着されていく。

 

【Nobody knows the Armed Knight SHIJU-KAMUI!】

 

横一文字の細長いバイザーから怪しげな光が輝いた。

 

【The Vertex One!】

 

 

《アームドナイト シジュー神威》の降臨である。

バサリ、とマフラーのように首から伸びた大きな翼を模したマントを翻すと、周囲に紫色の波動が解き放たれた。

 

「グッオオオ!」

 

たったそれだけの動作でヒュドボロスが蹲り、床にクレーターができる。

ヒュドボロスにかかる重力が1000倍に膨れ上がったのだ。

 

「頭を垂れるか。グレーテスト・レイヴンの神格としては当然のことだな。実質虎の威を借る狐だがな」

 

『それを言うなら、神の威を借る忍者だな』

 

「あんま口を開かんでください・・・。今の貴方の力だとダメージが起きてしまうでしょう」

 

『ムゥ・・・』

 

「馬鹿な。あの筋肉ダルマが、蝕毒のヒュドボロスが何もできないだと・・・」

 

「そうか、効果範囲外だったか」

 

スッとシジュー神威は手を掲げる。

 

「ッ!」

 

慌てて飛び退ろうとする2体。

 

バチバチバチィ!

 

「あぁ・・・!」

 

彼ら自身から凄まじい勢いで紫電の雷光が迸る。

 

「大人しくしていろよ。あとちょっとで終わるからな」

 

クンと手招きするように指を曲げると、マスターテラー達の懐からテラーカードが浮き上がる。

 

「そんで、ほいっと」

 

軽く腕を薙ぎ払うと紫色の波動がカードへ纏わりつく。

 

「一体、何をするつもりだ。ガァアアア」

 

「ちょっと大人しくしてもらうおまじないだよ。3年前もコレができたらよかったんだがな」

 

マスターテラー達の首元に錠前が出現すると急速に力が抜かれていくのを感じる。

 

《マスターテラー:ヒュドボロス Sealing》

《マスターテラー:ティアフィネル Sealing》

《マスターテラー:ブレイウルス Sealing》

 

 

「精霊界じゃないとコレができないのが難点だよ。俺にとっては今がチャンスだったぜ」

 

彼は変身を解き、忍び頭巾を被り直した。

 

「待て!何故倒さない。それ程の実力があれば、私達を容易に打倒できるはずだ!」

 

「何故か、か・・・答えはただ1つだ」

 

息も絶え絶えなブレイウルスの問いかけに答える。

 

 

現状維持さ

 

 

―――――

 

―ユニティ・ガーディアン本部―

 

 

「テラー前線基地。存在率が低下しています。局長!」

 

何事か、とモニターを精査するオペレーター。

 

 

その直後———、

 

 

「ただいま~。何とかしてきたぞー」

 

「ジン!よくやったぞ!」

 

片桐局長がバン、とジンの肩を叩いた。

その衝撃でジンは崩れ落ちる。

 

「いやぁ、疲れた~。構造上の弱点を発見したしたはいいものの、マスターテラー達に追いかけられて、大変だったぜ。煙玉と空蝉、多めに持っておいてよかったぜ・・・」

 

「ジンさん、よくそんなことができましたね。お疲れ様です」

 

「アイナちゃんにそう言われるとやる気出るわー!復ッ・・・活ッ!」

 

「ジンさん、マジですげぇぜ。流石は最古参メンバーだぜ」

 

「遼一もありがとな。俺は疲れたから、仮眠をとってくるぜ」

 

後でな、と指令室の歓声を余所に仮眠室へと続く廊下に出るジン。

 

 

そこへ―――、

 

 

「ジン、やってくれたね」

 

「翼か、お疲れ」

 

ジンを廊下で待っていたのは光導翼、アマツだった。

 

「全く、君にそんな力があったなんて予想外じゃないか・・・」

 

彼は口を開くとありえないはずの言葉を紡いでいく。

 

「もう少しでテラー達の、オレ達の目標の達成に近づくはずだったのにな」

 

「翼、いやお前—”烈光”が表面化しているのか?」

 

ジンは翼がかつて戦ったマスターテラーの姿を思い出す。

 

「俺は翼で、オレは”裂光”だよ。ティアから連絡があったよ。随分、酷くヤったようじゃないか」

 

「ただ、お灸を据えただけさ。倒すつもりは毛頭ない」

 

「オレからはまあいいさ。だけど3年前、お前は何故その力を使わなかった?」

 

翼からの圧がジンを捉える。

 

「・・・精霊界じゃないとグレーテスト・レイヴンの力が使えないんだよ。悪いな翼、お前をこんな目に遇わせて」

 

「全くだよ。君の事は心の内にしまっておくよ」

 

「俺もさ。同僚にして上司がテラーに与していました、なんて言える訳もねぇ」

 

ハハハと2人は笑い声をあげる。

 

「今度こそ、お疲れジン」

 

「ああ。マスターテラーには動力炉を壊されたっていう設定にしとくよう頼んどいてくれ」

 

翼は指令室へと去っていった。

そんな背中にジンは独り呟く。

 

「翼、お前のソレは必ず俺が解くからな・・・!」

 

 

第26話 絶望の時、未来への願い

 

 

―――――

 

 

―精霊界・テラーズキャッスル―

 

「だいぶやられましたね。しばらくは満足に活動できませんね」

 

「ったく何だってんだ!あの野郎!」

 

「だが手はある」

 

ブレイウルスは懐から1枚のカードを取り出す。

 

 

《デス・ガイアス》

 

 

「理論上示唆された可能性がこうしてあるのだ」

 

「ええ、後4つ・・・」




伏線、大回収の回でした。
今回の話は賛否両論あるかもしれませんが、テラーの性質的にこうなります。
ソレと過去話で示唆していたアレも出せて良かったです。
まぁ、奴のは特殊です。普通はあそこまでパワーアップしません。いきなり最終フォームです。


P.S.召喚法など、活動報告を更新しました。よかったら見てください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=303487&uid=156641
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