辺り一面を木々が覆う深い森の中。
朝露でしっとりと濡れた落ち葉の広がる地面を歩く足が12足。
3匹のウルフが獲物を探し求めて辺りを見渡していた。
鼻息は荒く、いかにも機嫌が悪そうである。
「見つけたー!!」
自然音とウルフの呼吸音だけが鳴る森の中で、左の方から何者かの声がする。
3匹は声が聞こえたほうを一斉に向き、俺の獲物だと言わんばかりに一直線に走り出す。
いくつかの木の根を越え森の中を進むと、ひと際大きな木が立っている開けた所へ出る。
そこには、大きな木の枝の上に座っている金髪の少年と木のそばに立つ緑髪の青年の二人。
「おいおい、大声出すから魔物さんが来ちまったじゃねえか。」
「ごめんごめん、でもようやく人のいる所が見つかってうれしかったんだから仕方ないじゃん。」
溜息を吐きながら、青年は腰鞘から剣を抜き、構える。
「はあ、腹が減ってるのに、戦いたくないんだがな。」
「でも、相手はそれを許してくれなさそうだよ~。」
その言葉通り、3匹はまず地上にいる青年に狙いをつけたのだろう。
じりじりと少しずつ近づきながら、青年を囲う。
囲い込むと同時に3匹は一斉に青年に飛び掛かる。
その瞬間、閃光が走り、ウルフたちの体からは血が流れ、倒れ伏す。
「一丁あがり!っと」
青年はウルフたちを切り裂いた剣を振り、血を取ると腰の鞘へと刃を収める。
「さっすが、
「まあ、この程度はな。それよりとっとと降りてこい、
「はいはーい。」
アルは、木の枝から飛び降りると、先に歩き出したグリンを追いかける。
そして、追いつくと隣に並んで歩き出す。
「あの村で見つかるといいね、至高石。」
「そうだな。とっとと集めて王都でゆっくりしたいぜ。」
しばらく歩いていると、木々がなくなり木の柵で回りを囲んだ村が見えてくる。
「とうちゃーく!看板によると、ここはアムル村だってさ。」
アルは木の柵がない村の入り口の近くに差してある看板に近づくとそう言う。
「こんな森の奧でよく暮らしていけるな...。ん?」
関心するグリンはふと周りからは自然音しか聞こえないことに気が付く。
「なあ、人が暮らしてるにしては静かすぎないか?」
「だねぇ。何かあったのかもね。」
「面倒ごとは勘弁してほしいんだけどな、まったく。」
「とりあえず、中に入れば分かるでしょ。いこっ。」
「嘆いていても仕方ない、か。」
グリンがアルの提案に頷くと、二人は静かなアムル村に入っていく。