その言葉の通りレベル上限や強化限界をはじめとした限界が存在せず、プレイヤー次第で常識を超えた動きができるのが売りのゲーム、世界大会もある
一時期行方不明者が多発した
最初っから注釈機能使えばよかった……
どこか見知らぬ場所に飛ばされる人たち。飛ばされた先は一面の焼け野原
古参と思われる人物ですら言葉を失うほどの光景に口を開く余裕さえなく、焼け野原の真ん中に佇む人影を見つける
人影に左腕はなく、右腕にボロボロになった盾を下げている
それを見て何人かがほっと息を吐いたがそれとは真逆に古参の人達はその体を震わせる
「……ああ、まだ生き残りがいたのか」
ふと、その人影が呟く。言葉を聞くかぎり『生き残り』とは飛ばされてきた自分たちのことだろう
「……まぁいいか」
幽鬼のように歩を進める人影は一度そこで言葉を区切り、身を低く構え。
「どうせみんないなくなる」
視界から消えた一瞬のうちに先頭にいた人達を吹き飛ばしながら呟いた
「……フミ様……ナオフミ様」
目を開けると視界にラフタリアが映った、なんか大きくなった?
「……どのくらい寝てた?」
「えと、一週間と少し」
目をこすりながら聞くとラフタリアは気まずそうに眼をそらしながら答えた
……一週間と少し?
「ちょっとまて、一週間と少し?え?一時間と少しじゃなくてか?」
「は、はい。とても安らかに寝ていました」
いや起こせよ
「はぁ、起こせと言わなかった俺も悪かったが、さすがにな」
まったく、食糧とか素材とか腐ってないだろうな?
「あ、そうだナオフミ様!龍刻の砂時計はもう見ましたか?」
「なんだそれは」
龍刻の砂時計?
「ナオフミ様が寝てる間城下町へ行ったら時計塔のところにあったのですが?」
「ああ、そういえばなんかそんな感じの建物があったな」
「それが龍刻の砂時計です、次の波の時間がわかるのでナオフミ様も見に行きましょう!」
「そうだな」
何時何処に飛ばされるか分からないというのは俺からしても困る。
料理中に呼ばれたら地図を書き換えることになるかもしれん。
万全を期すために行ってみるとしよう。
城下町の中でも高低の高い位置に存在する時計台、近くで見れば見るほど大きな建物だった。
なんとなく、教会のような面持ちのドーム上の建物の上に時計台がある。
入場は自由なのか、門が開かれ、中から人が出入りしている。
受付らしきシスター服の女性が俺を見るなり驚いたような目をした。死んだのかと思ったのだろう。
「盾の勇者様ですね」
「ああそうだ、時期がわからなければ対策出来ないからな」
「ではこちらへ」
そう言って案内されたのは教会の真ん中に安置された大きな砂時計だった。
全長だけで7メートルくらいはありそうな巨大な砂時計。
装飾が施されていて、なんとも神々しいような印象を受ける。
……なんだろう。背筋がピリピリする。
見ているだけで本能のどこかが刺激されるような変な感覚が俺の体を駆け巡っていた。
砂の色は……赤い。
サラサラと音を立てて落ちる砂に視線を向ける。
落ちきるのはもう直ぐだというのは俺にも分かった。
ピーンと盾から音が聞こえ、盾から一本の光りが龍刻の砂時計の真ん中にある宝石に届く。
すると俺の視界の隅に時計が現れた。
02:22
しばらくして22の目盛りが21に減る。
ばるほど、正確な時刻がこうして分かるようになるという訳か。
これに合わせて行動しろと。
時間なさすぎだろ
「ん? そこにいるのは尚文じゃねえか?」
しっている声が奥のほうから聞こえて来た。
見るとゾロゾロと女ばかりを連れた槍の勇者、元康が悠々と歩いてくる。
「お前も波に備えて来たのか?」
目付きがなんともいやらしい。蔑むような視線で俺を上から下まで一瞥する。
「なんだお前、まだその程度の装備で戦っているのか?」
失敬な、少なくとも初心者が着れば俺の全力を2~3回生き残れる装備だぞ、ってそうか見た目変えるの忘れてた
廃人くらいになると廃人産の私服≧NPC産の最高性能重量装備だからな
元康は約一ヶ月前の時とは雲泥の、30Lv程度だと一目で分かる装備をしていた。
鉄とは違う。銀のような輝く鎧で身を固め、その下には綺麗な新緑色の高そうな付与効果がついているだろう服を着ている。しかもご丁寧に鎧の間にくさりかたびらを着込み、防御は絶対だと主張しているかのようだ。俺の足元にも及ばないかわいい防御力だ
持っている伝説の槍は最初に会った時の安そうな槍ではなく、なんとも痛そうな、それでいてカッコいいデザインの矛になっていた。
矛は……まあ、槍だよな。
「あまり装備が目立つと狙われやすくなるから弱く見せてるんだよ」
「ちょっとあんた!この剣どうにかしなさいよ!」
元康に弱い装備にしている理由を話していると元康の後ろからマインが前よりも凶悪な外見になった魔剣を俺に突き付けてきた
あの感じだともう少しだな
「ナオフミ様? こちらの方は……?」
ラフタリアが首を傾げつつ、元康たちを指差す。
「ああ、そこの槍を持っている奴は槍の勇者だ、たいして強くは無いから覚える必要はないぞ。」
「はぁ!?」
と、俺がラフタリアに元康達を紹介していると、入口の方から樹と錬がやってきた
なんだ、みんなしてここに来るの忘れてたのか?
「お、樹に錬か。」
「あ、元康さんと……尚文さん」
樹は俺を見るなり不快な者を見る目をし、やがて平静を装って声を掛ける。
「……」
錬はクール気取りで無言でこちらに歩いてくる。やはり装備している物が旅立った日より遥かに強そうな物で占められている。
それぞれ、ゾロゾロと仲間を連れて。
時計台の中はそれだけで人口比率があっという間に増えた。
4+12+1
4は俺達、召喚された勇者で12は国が選んだ冒険者、そして1はラフタリアだ。
17人も居たらそりゃあ、うっとうしくもなる。
「あの……」
「誰だその子。すっごく可愛いな」
「あ?お前何うちのラフタリアに指差してんの?腐らすぞ?」
元康がラフタリアを指差してほざく。
こいつ、女なら何でも良いんじゃないのか?
勇者が幼女に欲情とは……この国も終わったな。
しかも鼻にかかった態度でラフタリアに近づき、キザったらしく自己紹介する。
「始めましてお嬢さん。俺は異世界から召喚されし四人の勇者の一人、北村元康と言います。以後お見知りおきを」
「は、はぁ……勇者様だったのですか」
「」
おずおずとラフタリアは目が踊りながら頷く。
「あなたの名前はなんでしょう?」
「えっと……」
困ったようにラフタリアは俺に視線を向ける、ふむ……別に名乗る必要はないしそこの槍の名前を覚える必要もないんだがな……
「……気持ち悪いです」
「ブフッ」
「な!?」
ラフタリアに名乗らせようか悩んでいたら元康に気持ちい悪いと言いだして、俺は思わず吹いた
「アナタは本日、どのようなご用件でここに? アナタのような人が物騒な鎧と剣を持っているなんてどうしたというのです?」
「それは私がナオフミ様と一緒に戦うからです」
「え? 尚文の?」
元康が怪訝な目で俺を睨みつける。
「……なんだ、うちの子は渡さんぞ」
「お前、こんな可愛い子を何処で勧誘したんだよ」
元康が上から目線で俺に話しかけてきた。
「お前に言うことじゃないな」
「てっきり一人で参戦すると思っていたのに……お嬢さんの優しさに甘えているんだな」
「ここにいる全員より強い奴に言うか……」
俺は錬と樹の方にある出入り口の方へ歩き出す。
二人とその仲間は道を開ける。
「波で会いましょう」
「足手まといになるなよ」
「こっちのセリフだ、勇者という肩書に振り回されて、もっとも重要なこと忘れるなよ?」
事務的でありきたりな返答をする樹と、お前は何処まで偉そうなんだという勇者様態度の錬に軽く釘を刺しつつ、背を向ける。
ふと振り返るとラフタリアがオロオロとしながら周りをキョロキョロとしつつ俺の方へ駆け寄る。
「行くぞ」
「あ、はい! ナオフミ様!」
俺が声を掛けた所、やっと我に返ったのか元気に返す。
時計台を後にした俺達は城下町を抜けて草原の方へ出る。
「な、ナオフミ様? どうしたのです?」
「ラフタリア、今から拠点に戻るからついてこれるならついてこい」
波まであと二分
準備するには少し長すぎるくらいだ*1
0から100まで一気にスピードを上げた俺は一瞬で拠点に着き、拠点の中にある倉庫に入った
「えーっと、波ってことは四聖オンラインにおける月一イベみたいなもんだろ……?」
だとしたら廃人が来る可能性がある、新規鯖の連中ならラフタリアでも無双できるが錬達じゃ足元にも及ばないし、近くに村とかあったら更地になってしまう
俺は倉庫の奥にしまった装備を引きずり出し手早く装備する
THE・Fortress+99⁺3*2(全身装備)
被ダメージ上限減少(極大)*3 斬撃免疫 打撃免疫 刺突免疫 魔法免疫 HP自動回復(2000HP/0.5s) SP自動回復(1000SP/1s) 被ダメージ蓄積(上限500000)*4 HP減少(大) 移動速度上昇(極大) 効果範囲拡大(減少値小) 軽量化 不壊 魔力装甲*5(使用時MP消費) 魔力ブースター*6(使用時MP消費) 眷属召喚(SP消費(大)&上限5) ステルス迷彩(SP消費) オートマッピング カウンタースキル使用時蓄積ダメージ上乗せ Sacrifice
Shield・of・Fortress+99⁺3(スモールシールド)
防御時範囲拡大(SP消費) 防御時ダメージ吸収*7(上限300000) カウンタースキル使用時吸収ダメージ上乗せ 周囲常時攻撃上昇(極大) 周囲常時防御上昇(極大) Relief*8 身代わり*9 防御無視(極大)*10 装備時MP自動回復(3000MP/2s) 攻撃時自身にダメージ(3%)
一部スキルで封印*11しているが俺の全力装備だ、オーバーキルだ!とか言われそうだが関係ない、野良廃人一人いれば一国が滅びるんだ。勇者として召喚された以上被害を出すわけにもいかない
装備を整えて今か今かと待ち続けていると
00:00
ビキン!
世界中に響く大きな音が木霊した。
次の瞬間、フッと景色が一瞬にして変わる。転送されたのだろう。
「空が……」
まるで空に大きな亀裂が生まれたかのようにヒビが入り、不気味なワインレッドに染まっている。
「まるでブラッドムーン*12だな」
そう独り言ちながら何処に飛ばされたのか辺りを確認しているとダッと飛び出す影が3つ。そしてそれを追う12人。
俺以外の勇者達か
俺と同じく転送されたのだから当たり前だけど、何処へ向っているんだ?
と、走っていく先を見ると亀裂の中から敵がウジャウジャと湧き出ていた。
「リユート村近辺です!」
ラフタリアが焦るように何処へ飛ばされたか分析する。
「ここは農村部で、人がかなり住んでいますよ」
「もう避難は済んで――」
ここでハッと我に返る。
何処で起こるか分からない厄災の波だぞ? 避難なんてできるわけが無い。
「ちょっと待てよ、お前等!」
俺の制止を聞き入れず、三人の勇者とその一行は波の根源である場所に駆け出していく。
その間にもワラワラと溢れ出た化け物たちが蜘蛛の子を散らすように村のある方向へ行くのが見えた。
で、勇者一行が何をしたかというと照明弾のような光る何かを空に打ち上げただけだった。
騎士団にこの場所を知らせる為とか、そんな所だろう。
「チッ‼ ラフタリア! 村へ行くぞ!」
リユート村はまだ避難すら始まっていない。
波で死なれたらそれこそ寝覚めが悪い。
「はい!」
俺達は初心者共とは別の方向に駆け出した。
村に着くと、丁度、波から溢れていた化け物たちが、まさに暴れだす瞬間だった。
駐在していた騎士と冒険者が辛うじて化け物たちと戦っているが、多勢に無勢……防衛線は決壊寸前だ。
「ラフタリアは村民の避難誘導をしろ」
「え、ナオフミ様は……?」
「俺は敵を惹き付ける!」
防衛線に駆け出し、イナゴの群のような魔物に向けて盾を使って殴りかかる。
殴られた魔物は弾け飛び、同時に自分の身体に罅が走る、が逆再生のように元に戻る
「グギ!」
イナゴのような小さな魔物が群を成して俺に向って襲い掛かる。他にハチ、グールと化け物の種類は決まっているようだ。
ガン! ガン! ガン!
当たり前だがこの程度の敵ではダメージすら入らない
「ゆ、勇者様?」
「ああ……お前等、ちょうどいいさっさと立て直せ!」
「は、はい!」
これ幸いにと、深手を負っていない奴まで下がり、防衛線が俺一人になった。
「……えぇ」
何を考えていやがる。
半ば呆れつつ、魔物たちは俺を倒そうと牙やハリ、爪で攻撃してくる。
ガキンガキンと音を立てているけれど、痛くも痒くもない。ただ、全身を這われる感覚は気持ち悪くてしょうがない。
今度は軽く腕を振るう
すると魔物たちは一斉に吹き飛ばされ、遠くにいた魔物を巻き込んでいった
ったく、この世界の連中はどうしてこうも人任せなんだ?
「た、助け――!!」
新人時代世話になっていた宿屋の主人が後方で化け物に襲われそうになっている。
魔物の爪が宿屋の主人を貫こうとする瞬間、俺は叫んだ。
「『眷属召喚』‼」
スキルを唱え、宿屋の主人を守る眷属を呼び出した。
突然現れた眷属に宿屋の主人は驚いていたが、俺の方を向く。
「早く逃げろ!」
「……あ、ありがとう」
腰が抜けていた主人は礼を言うと、家族と一緒にその場を去った。
「きゃああああああああああああああああ!」
絵に描いたような絹を裂くような悲鳴。
見ると逃げ遅れたらしき女性の方へ魔物が群を成して近づきつつある。
「住民を護れ‼アイアス‼」
召喚した眷属に女性を護らせる。
突然の眷属の出現に、化け物たちはターゲットを眷属に変更する。
そうだ。そいつを狙え。狙いは俺達だけで良い。
アイアスと呼ばれた眷属は護るために女性から離れ魔物を連れてくる
だんだんと圧し掛かる魔物が多くなって鬱陶しくなってくる。
いい加減カウンターを発動しようとすると、そこに降り注ぐ火の雨。
魔物の群れの中から外を見ると騎士団が到着し、魔法が使える連中が火の雨をこちらに向けて放っていた。
「おい! こっちには味方がいるんだぞ!」
ダメージは一切入らないがな。
あっという間に引火して燃え盛る魔物たち。
昆虫が多いからな、火の魔法で燃え盛っていく。
真紅に燃え盛る防衛線の中、味方の誤射とはやはり役に立たないNPCなんだろうかと腹が立ちながら、俺はその戦場からツカツカと騎士団を睨みつけながら近づき、マントを靡かせ、炎を散らす。
「ふん、盾の勇者か……頑丈な奴だな」
騎士団の隊長らしき奴が俺を見るなり吐き捨てた。
そこに飛び出すように鞘に納まった刀を振りかぶる影。
ガキンと音を立てて吐き捨てた奴は剣を抜いて鍔迫り合いになる。
ラフタリアめ、殺すことに躊躇して手加減したな?戦場で人が死んでも魔物のせいにできるのに
「ナオフミ様に何をなさるのですか! 返答次第では許しませんよ!」
殺意を込めて、ラフタリアが言い放つ。
「盾の勇者の仲間か?」
「ええ、私はナオフミ様の剣! 無礼は許しません!」
「……亜人風情が騎士団に逆らうとでも言うつもりか?」
「守るべき民を蔑ろにして、味方であるはずのナオフミ様もろとも魔法で焼き払うような輩は、騎士であろうと許しません!」
「五体満足なのだから良いじゃないか」
「良くありません!」
ギリギリと鍔迫り合いを続けるラフタリアを騎士達は囲む。
……はぁ
溜息をついた俺は地面を強く殴りつける
それだけで地面は陥没し、衝撃が騎士団達を吹き飛ばす
「な、貴様――」
「アイアス、そいつ黙らせろ」
鍔迫り合いの相手をアイアスに任せ、俺は多勢に無勢を働こうとした騎士達を睨む。
「……敵は波から這いずる化け物だろう。履き違えるな!」
俺の叱責に騎士団の連中は分が悪いように顔を逸らす。
「犯罪者の勇者が何をほざく」
「なら……俺は移動するから、残りはお前達だけで相手をするか?」
燃え盛る前線から魔物たちが我が者顔で蠢き、最前線にいる俺に襲い掛かる。
その全てを耐え切っている俺に、騎士達は青い顔をした。
仮にも俺は盾の勇者だ。コイツ等だけでは持つはずもあるまい。
「ラフタリア、避難誘導は済んだか?」
「いえ……まだです。もう少し掛かると思います」
「そうか、じゃあ早く避難させておけ」
「ですが……」
「味方に魔法をぶっ放されたが、痛くも痒くもない。ただ……俺が手も足も出ないと舐めた態度を取っているのなら……」
ラフタリアの肩を叩きながら、騎士団を睨みつける。
「……消すぞ。どんな手段を使っても、俺はもう一度魔王としてこの国を消す」
俺の脅しが効いたのか騎士団の連中は息を呑んで魔法の詠唱を止める。
「さて、ラフタリア。戦いを始めるのは邪魔な奴等を逃がしてからだ。なに、敵はいっぱいいる。それからでいい」
思いのほか、耐えられるようだからな。これなら大丈夫そうだ。
「は、はい!」
指示に従い。ラフタリアは村の方へ駆け出す。
「くそ! 犯罪者の勇者風情が」
アイアスに押さえつけられている隊長らしき人物が俺に怒鳴りつける。
「そうか、じゃあお前。一人であそこ行ってこい」
俺の背後に迫る化け物たち。
「アイアス、その雑魚あそこに投げ込め、少しは時間稼ぎできるだろう」
はぁ……まったく、どいつもこいつも、碌な奴が居ない。
俺が勇者じゃなかったらこいつらなんて消し飛ばしていたというのに
背後から聞こえる悲鳴を無視して俺は住民の避難誘導を手伝った
その後、足止めが効いたお陰か波から溢れ出た化け物の処理はある程度完了した。彼の犠牲は仕方がなかった、コラテラルダメージだ(棒)
邪魔な連中の避難を終えたラフタリアが前線に復帰すると俺は攻撃に撃って出た。
騎士団の連中の援護を利用しつつ、空の亀裂が収まったのは数時間も後の事だ。
「ま、こんな所だろ」
「そうだな、今回のボスは楽勝だったな」
「ええ、これなら次の波も余裕ですね」
波の最前線で戦っていた勇者共が今回の一番のボスらしきキメラの死体を前に雑談交じりに話し合いを続けている。
民間人の避難を騎士団と冒険者に任せて何を言ってやがる……。
一ヶ月も経っているというのにゲーム気分の抜けない奴等だ。
「まだ終わってないぞ!」
俺はそんな油断しきっている三人に声をかける
「は?何言ってやがる」
「ボスは倒したでしょう?」
「ここにきて足を引っ張るきですか?」
三人はこちらに目を向け苦笑するが、まだ空の亀裂は閉じていない。そして
「来るぞ!上だ‼」
三人に叫ぶと漸く三人は視線を上にあげ、驚いた声をだした
「あれは……」
「人です!人が落ちてきます!」
「まさか、あれがボスというんじゃないんだろうな⁉」
そのとおりだ、そして落ちてくる奴を俺はよく知っている
「気を付けろ!
強敵だったぜ……(7000文字)
軽いネタバレですが冒頭のあれは主人公の夢で過去です、魔王ルートの強制イベです