スマン、あれは嘘だ。
ですが不定期なのは変わりませんのでどうか。
それでは、20話をスタートしまする。
さて、今この状況を説明しよう。
放課後、日菜に連れられてファーストフード店にいる訳だが、そこで俺は日菜に天才は凡人の気持ちがわかるのか?と質問したら、わからないと答えた。
そこから話はお互いの悩みを聞き、そして日菜はお姉さんに酷い事をしたという自覚をしたらしいのだがなんと!日菜は泣き出してしまったのだった。
そして俺にとっても日菜にとっても、多分一番最悪なタイミングで会いたくなさそうな人に会ってしまった。
「貴方…!!一体日菜に何をしたのですか!?」
日菜に似た顔立ちの人が俺と日菜の席にやってきていた。そのトレイには山盛りポテトが積まれていたが、それを脇の席に置いて、俺に向かって叫んでいた。
「お、おねーちゃん?」
「やっぱりか……」
噂というか、話題にしたら影は指すって本当だな。てかなんで俺に対して怒ってるの!?
「ごめんブッキー、おねーちゃん。あたし帰る!!」
「「えっ?」」
日菜は席を立つとダッシュして、お姉さんが止める間もなく店から出ていった。
「速…」
呆気に取られていたけど、目の前にいた人は外から俺の方に向き直り。
「日菜に何をしたのか説明して貰いますね?」
大量のポテトが乗ってるトレイをさっきまで日菜が置いてあった所に置いた。
おっと日菜の食べたのはトレイごとお姉さんが片付けたのは言うまでもない。そして俺は姉妹入れ替わりで対面にいる訳だが…
「その前に自己紹介しませんか?お互いに名前が知らないと話しづらいでしょうから」
「……確かにそうですね」
さっきまでの憎悪の目はないが、まだ警戒してる感じだ。
「初めまして、私は日菜の双子の姉で
なんだろう、なんか日菜とは正反対ってのはわかるな。優等生で規律とか厳しくしてそうな感じだ。絶対に風紀委員やってるだろ?
「どうかしましたか?次は貴方が自己紹介する番ですよ」
「これは失礼しました」
俺は一度咳払いをして。
「こちらこそ初めまして、俺は
一応お姉さんの手前、さん付けしないといけないな。
「お互い自己紹介も終わった事ですし、今日これまでのいきさつを説明しますね。少し長いですが、氷川先輩は構いませんか?」
「ええ、構いません。話してください」
「わかりました。まずは日菜さんとは先月の中旬くらいに……」
俺は日菜と初めて会った屋上から、全てのいきさつを話した。勿論俺の笛の事をもね、簡単に吹けたと話したら氷川先輩は俺と同じ反応をしたよ。この人はやっぱり、俺と同じコンプレックスを抱いている!間違いない。そしてそれを本人に自覚ないからと伝えたら日菜は泣き出したと。
「そして、今に至るわけです」
「そうだったのですか…」
日菜の事については全て話したけど氷川先輩はひどく落ち込んだ表情だった。
「あの!先程は申し訳ありませんでした!私はてっきり神子さんが日菜を泣かせてるとばかり。早とちりしてしまって本当にごめんなさい!」
氷川先輩は席を立って俺に頭を下げてきた。
「そ、そんな頭を上げてください氷川先輩。誰からも見てもあれは俺が日菜を泣かせてると思いますから!それに…」
「そ、それに何でしょうか?」
「まだ話していない事があるんです。これは日菜に話したのですけど」
俺は日菜に似た天才肌の人がいる事を話した。そして逃げてきた事も。
「それを日菜に言ったのですか。でも日菜は理解はしなかったのですよね?」
「ええ、最初は理解してませんでした。ですから分かりやすく日菜と氷川先輩を例えてやってみました。そして俺の心情も、そしたら日菜は少し考え込みまして泣き出してしまいましたという話です」
話終わって俺は無性にやるせない気分になった。
なんだよ!なんだよ!この姉妹になんで俺は心の内を話してるのだろうか?
この人に俺はシンパシーを感じたからか?だったら何で日菜に話したんだ!?舞衣にだって話してもないのに!
「……っ!!」
何か俺の中から崩れ落ちた。それは何だろうか?
「か、神子さん!?…泣いているのですか?」
氷川先輩がまた何を言っているのかわからない。
俺は今日初めて会った人の前で涙なんて流す筈が…
「あ……」
流していた。
「す、すいません氷川先輩!これは、その……」
「日菜の事でしょう?わかります。私も悔しくて神子さんと同じ気持ちになりましたから。日菜に敵わない、努力では絶対に天才には勝てない、と何度も何度も思いました。私はギターを始めましたのは日菜への対抗心でした」
今度は氷川先輩が自分の事を話し始めた。何故だろう?
「それなのに私を真似するように日菜もギターを始めたんです。そして私がRoseliaに入ると日菜もPastel*Palettesに入ったのです」
「ああ、すみません。私はバンドやっています。Roseliaはご存じですか?」
知ってるも何も友希那とリサがいるバンドやろ?
「ええ、知っています。さっき日菜にもPastel*Palettesの事を聞かれましたから」
何か俺の知り合いバンド入ってるの多くない!?
そしてもう涙出る気持ちも無くなったよ。
「日菜だけにはギターで負けたくないと思っておりました……!ですけど、先程神子さんが言った通りでしたら日菜は私と」
「仲を戻したいと、思ってるかもしれません。ですけどそれは今はまだ難しいと思います。日菜の気持ち、氷川先輩の気持ちはまだ整理もついてはいないのでしょう?」
「俺はもう向こうとは修復不可能まで来てしまいました。氷川先輩は俺と同じ道を歩みたいですか?」
「いいえ、日菜とこれから話してみようと思います。ですから神子さんも…」
「さっき言ったのお忘れですか?俺と
詩音はどう思ってるかは知らないが俺は絶対に許す気はしない。彼奴ら父娘は一生な。
「私には諦めるなと言いたいのですか?」
「ええ、少なくとも氷川先輩が仲直りをしたいのでありましたらきっと大丈夫だと思います」
俺は笑顔で言った。どうしてだろう、氷川先輩を見ると俺は……
「それでは話も済んだ事ですし、俺は失礼しますね氷川先輩」
トレイの上に乗ってるセットメニューは結局手付かずだった。勿体ないなぁと思いながらトレイを持って席を立った。
「あのっ!」
「はい?」
帰ろうとする俺を氷川先輩が呼び止める。
「その…連絡先、交換しませんか?神子さんと私はなんか、境遇が似てまして、お互いに情報交換といいますか、近況報告といいますか…」
「わかりました、氷川先輩」
氷川先輩とLI○Eを交換した。
「あと私の事、名前で呼んでいただけませんか?さっきから日菜って呼んでましたので」
「えっと、紗夜先輩でいいですか?」
「先輩もいらないです」
「ん、じゃあ紗夜さん。今日はありがとうございました。俺も少しスッキリしましたから!」
「いえ、こちらこそ日菜の事を聞けましてありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
ん?これからも?
俺はファーストフード店を後にして自宅へと帰っていった。少しどころじゃないな気分は、俺も逃げずに立ち向かわなければな!
日菜からゴメンねのスタンプが来たので、こっちはありがとうのスタンプを送った。勿論"?"って返ってきたけど、その答えはすぐわかると思うよ。
それと自宅に帰ると、舞衣から花咲川の愚痴やらを聞かされたがその内容はまたの機会にな。
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翌日になり、羽丘学園で昼休みが終わる前に教室で蘭と話をしていたら。
「志吹、GWの予定ってあるの?」
「ないよ?舞衣は一度実家に帰るらしいが」
明日からGWで五連休だ。といっても俺は実家には帰る気はしないし、音楽作りに精を出すかな?
「ふーん、じゃあまた地下で練習しててもいい?CIRCLEはGW中は全部埋まっちゃってたから」
「毎日来るつもりなのか?」
こいつら図々しくないかな。
「流石に毎日は無理だよ、あたしも家の事情があるしみんなもそうでしょ」
「じゃあいつ来るか決めてくれ、じゃないと飯とか用意できんぞ?」
「別にいらないけど、志吹がいいなら」
「何だよそれ、俺が頼み込んでるみたいに聞こえるが?」
蘭が一番図々しいか?モカだと思ってたが。
「冗談だよ、あたしはね志吹の作るご飯は美味しいから好きだよ」
「えっ?」
「あ…ち、違うから!!志吹じゃなくて、ご飯のほうだからね!!!全然そんなんじゃないからね!?」
蘭の奴一体何だ?すごい慌てっぶりだが。
「よくわからないが俺の作った飯が美味いってのは嬉しいよ。家で練習する日の予定、早く頼むな。気合い入れて作るから」
「う、うん…わかった。後でみんなに話しておくよ」
何だかんだでこいつらAfterglowといる時が一番楽しいな。俺の悩み、使命も忘れているくらいな。
俺は心の中で蘭にありがとう、っと言った。
明日からGWかぁ、少し楽しみだ。
日菜と紗夜、二人の仲はまだ修復まではいきませんが、原作と比べてかなりフライング気味になっています。
そこはオリジナル展開と思ってください(汗
感想でも指摘でもメッセージにて送ってもらっても構いませんので、なんでもごされですので、どうぞ