笛吹き少年は少女と共に運命に抗う   作:ジャムカ

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またまた間が空いて申し訳ございません。
決して冬アニメの視聴とかはしてませんよ……



すみません、嘘ですはい……してました。

そんな寝不足は置いといて、26話スタートよよ


笛吹き少年は修羅場とは無縁ではなかった

「それじゃ、俺はこれで失礼しますね。あと生意気な事言ってすみませんでした」

 

「にゃはは!アタシも他のみんなも生意気なんて思ってないよ、ありがとね志吹~またアタシ達の演奏を聴きに来てね☆」

 

「その、まあ暇でしたら…では」

 

 

 

 

彼がスタジオから出ていくと

 

 

「…………っ!」

 

「友希那、どうしたの?」

 

 

リサが友希那を心配そうに声をかける。

 

 

「悔しいわね。私たちRoseliaをあそこまで言われて、今になってショックを感じてしまうなんてね」

 

「湊さん…」

 

「それに、私達の音が合っているようで合ってないとはどういう事かしら?あこと燐子、私とリサは合っていると言ったけど、私には何の事かわからないわ」

 

「あこもそこはわかりませんでした。りんりんだけだって言われましても…?ねえ、りんりんはわかる?」

 

「ごめんねあこちゃん、私もよく…わからなかったから」

 

「だよねー」

 

「…………」

 

「紗夜?」

 

「紗夜だけがアタシ達みたいに合ってるとは言われなかったよねー。もしかして紗夜は何かわかってるの?」

 

「……確証はないのですが、きっとこの事だと思います」

 

 

紗夜は思っていたのをみんなに説明をした。

 

 

 

「………技術だけではなく、協調性と音楽を楽しむ?」

 

「はい。神子さんは抽選的にしか言いませんでしたが」

 

「音楽を楽しむ余裕なんて私にはないわ、仮にそれが私達に足りないとしても何だというのかしら」

 

「「「……」」」

 

「(志吹、私は貴方が必要よ。だから絶対に諦めないわ)」

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「ふう、少し休憩っと」

 

 

俺は羽丘神社の境内で笛を吹いていた。バイトらしき神社の関係者から顔を覚えられて自由にやっていいよと言われた。

 

 

「遥さん大丈夫なのかな?あの人、学生じゃなさそうだけど、もうどれくらい戻ってないんだ?」

 

 

疑問に思いながらも答えはわからない、それに。

 

 

「友希那、あいつは俺の言った意味を理解しないだろう。それにあのままだと確実にメンバーと問題起こすのは目に見えている。それに対して蘭達は違う、かもな?」

 

 

RoseliaとAfterglow、似てるようで真逆だ。

 

 

「休憩終わり、だけど帰るか」

 

 

 

俺は羽丘神社を後にした。

 

 

 

神社の建物から黒い服を着た人が数人居たのを俺は気が付かなかった。

 

 

「こちらA、対象の観察完了した」

 

「了解、こころ様に報告だ」

 

 

ーーー

 

 

「おかえり志吹くん!」

 

「つぐみただいま…って何だ、もう練習終わりか?」

 

 

俺が家に帰るとAfterglowのみんながリビングにいた。

 

 

「モカがな…」

 

「モカがどうしたんだ?」

 

 

巴が奥のほうに指を指すと…

 

 

「ぐぅ~~」

 

 

ソファーの上でモカが横になって寝ていた。

 

 

「練習の途中でモカが船漕ぎ始めていてさ、途中で切り上げらこの有り様だったんだよね」

 

「あはは…モカちゃん朝早く起きてたから眠かったんだよ」

 

「あー…」

 

 

蘭の事でモカは早起きしてたしな。そして遂にガス欠したわけか。

 

 

「起こすのもなんだし、このままにしておいていいか?」

 

 

俺はそう提案すると蘭は

 

 

「モカの事よろしくね志吹。あたし達はもう帰るから」

 

 

そう言って蘭はリビングから出ていくと

 

 

「志吹、モカに変な事すんなよ?」

 

「するかっ!」

 

「まあまあ巴、志吹くんを信じてあげようよ」

 

 

ひまりが俺のフォローしてくれている。

 

 

「………」

 

「つぐみ?」

 

「志吹くん、私は残るね。ちょっと話したい事があるから」

 

「…ん?」

 

 

つぐみが俺に話?なんだろう。

 

 

「おっ、つぐがツグってますかな?」

 

「(バカひまり!志吹に聞こえるだろ)」

 

 

どっちも聞こえてるわい!俺の耳は凄く遠くまで聞こえるからヒソヒソ話も余裕で聞き取れるんだよなぁ。

 

 

「じゃ、じゃあ志吹またなー」

 

「お邪魔しましたー」

 

 

ひまりも巴も出ていくと、ここにいるのは俺とつぐみ…そして寝てるモカだけになった。

 

 

「それでつぐみ、話って何だ?」

 

 

俺はつぐみに聞こうとすると奥から…

 

 

「おはよ~しーくん、つぐ~」

 

 

モカが起きてきた。

 

 

「モカちゃん、絶対狸寝入りしてたでしょ?起きるタイミングが良すぎるよ」

 

「……なんのことかモカちゃんにはわかりませーん?」

 

 

いや、昨日もやってただろ?

 

 

「でもモカちゃんも志吹くんに話、あるよね?」

 

 

つぐみが少し怒ったようにモカに問いただす。

 

 

「あるといえばあるね~、でもつぐと同じ内容っぽいけどね~?」

 

「私と同じ…?じゃあ同時に言わない?」

 

「いいよ~」

 

 

何なんだよ。

 

 

「じゃあモカちゃん、言うよ…せーのー」

 

 

「「昨日蘭(ちゃん)と一緒に寝たでしょ!?」」

 

 

二人同時にハモって同じ台詞を言いおった。だけどマズイ、ここは誤魔化さないと…

 

 

「あ、あのな?朝も言ったが蘭は舞衣の部屋で寝ていたって……」

 

「嘘」

 

「えっ……つぐみ?」

 

 

つぐみがなんか変だ、いつものつぐみじゃない。

 

 

「さっきしーくんの部屋を物色…もとい入ったらベッドにこんなのを発見したんだよね~?」

 

 

そう言ってモカは俺にそのブツを見せてきた。

 

 

「赤い、髪の毛…これが蘭の赤メッシュだと言いたいのか?」

 

 

あの大馬鹿クソ赤メッシュが!!決定的な証拠残してるんじゃねーーよ!!

 

 

これはもう観念するか。

 

 

「……はぁ、そうだよ。昨日舞衣のベッドは固くて寝れなかったから俺のベッド使ったんだよ」

 

「…それで志吹くんはどこで寝たの?」

 

「蘭が一緒にって…しまった!!」

 

「「やっぱり!!」」

 

 

やっぱり探る為の尋問かよ!

 

 

「もう全部話すよ、昨日蘭がベッドで俺はソファーで寝ようとしたら蘭から一緒に寝ようって言ってきたんだよ。だけと何もなかったからな?」

 

 

もう全部話しちゃおう。蘭も悪いんだからな?

 

 

「本当に?何もなかったんだぁ…」

 

「つまんないー」

 

 

良かった、信じてくれたみたいだ。

 

 

「信じて貰えて嬉しいが、ひとつこっちからも聞きたい事があるけど、いいか?」

 

 

二人とも頷くと

 

 

「人の許可なく俺の部屋に入るとはどういう了見だ?んー?」

 

「あっ…!?」

 

「モカちゃんは糸の切れたパンのように飛んでいったので~行き着く先がしーくんの部屋だったのだ~」

 

 

モカは凧かよ!全く…

 

 

「それでしーくん、あの壁に描かれたのはババンボ様~?」

 

「違う、てか何だよババンボ様って…」

 

 

 

 

 

とにかく蘭と一緒に寝たのがバレたが、モカとつぐみが俺の許可なしに部屋に入ったのでお互い様って事で決着がついた。……のか?

 

 

「そんじゃ、しーくんまたね~」

 

「明日私はお店の手伝いだから、もしよかったら来てね?……またね、志吹くん」

 

「ああ、二人とも気を付けて帰れよー」

 

 

 

二人を帰して、俺は一人になる。

 

 

「…………なんか久しぶりに一人だな、さてと…夕飯の準備に取りかかるかな」

 

 

 

 

こうして、長い一日が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

『ご……な……い!』

 

 

 

 

ん……?

 

 

 

 

 

何か聞こえる…だけどまた何も見えないし体も動かせない。

 

 

 

 

 

また夢を見ているんだな、この声は誰だろう?

 

 

 

 

 

『ごめ…なさい!』

 

 

 

 

 

ごめんなさい?どういうことだ?

 

 

 

 

 

 

『謝る必要はないよ、君は何も悪くない。それに元々これは私達が受ける筈だったからね』

 

 

 

父さんの声だ!?だとしたら少女みたいな声は誰なんだ?

 

 

『そうよ貴女は悪くないわ。だからここで起こったことは他言無用よ?スタッフさん達にもキツく言っておくわね』

 

 

母さんまで…!!

 

 

 

『悪いのは私ですのに!!どうして…どうしてそんなにも…うっ、ぐすっ!』

 

 

少女の声が涙声になり、段々声にならなくなってきている。

 

 

『人を助ける為に自分の体も張る!それが私の…だからね』

 

 

 

そうだよな、俺も父さんの……を非常に尊敬しているんだよ。

 

 

『さあ、もう出るよ…白鷺千聖ちゃん』

 

 

白鷺、千聖?

 

 

 

姿が一瞬だけ見えた、ブロンドヘアーだけだったが。

 

 

 

どこかで見たような気がする。しかもつい最近?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…」

 

 

 

GW最終日 朝八時

 

 

 

自分の部屋のベッドで俺は目が覚めると、さっき見た夢を思い出していた。

 

 

「父さん、母さん…どういう事だろう?」

 

 

俺は呪いの事は代々一族が受ける事になる風習があるとは聞いた。しかしそれは俺の一族とは聞いていない、確証がないし、詳しく聞こうにも向こうは箝口令(かんこうれい)を敷いてるから聞けなかった。

 

 

だから関東の神職さんに情報を得ようとしたのも理由の一つだ。だがここは奥州サミットでいないしな。それに…

 

 

「白鷺、千聖さんか…」

 

 

一度会ってみたいけど、どうやって見つけるんだ?有名人だったら容易いけどなぁ?

 

 

「悩んでないで、まずは朝飯にするか」

 

 

 

俺はベッドから出てリビング兼キッチンがある部屋へ向かった。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

朝飯も終えて俺は一人考えていた。

 

 

「………う~~ん?」

 

 

契約していた会社、NFOの新マップ『アマツ』の曲を作り終えたが、これでいいのか最終チェックをしているのだが…

 

 

「大丈夫、だよな?これでいいかわからないが送信するか」

 

 

こういうのは初めてで不安だ。でも出来は俺の中では満足してる。

 

 

 

送信してから数分、音楽担当者から返事がきた。

 

 

「なになに…一度改めてお会いしたい?」

 

 

そういえば担当者には会ってないよな、俺は今から会社に向かいますと返信して家を出た。

 

 

「そういや今日舞衣が帰ってくるんだよな、まあ合鍵あるし大丈夫だろ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ー東京某区内の建物ー

 

 

 

「お待ちしておりました神子様」

 

 

20代くらいの若そうな人が出迎えてくれて、そのまま会議室に案内された。

 

 

「急なお願いでご足労いただき、ありがとうございます。まず私は音楽担当者の藤村と申します」

 

 

そう言って年配そうな人、藤村さんは名刺を出してきた。こちらも挨拶を返した。

 

 

「それで神子さん本題に入ります。送られてきました音楽データですが一度開発者の皆様にも聞かせますのですが、宜しいでしょうか?」

 

 

「構いませんよ。あの、一つ聞きたいのですけど送った曲は不満、でしたか?」

 

 

やっぱり駄目だったのか?だから一度呼んで駄目だしするつもりだったんだ。

 

 

 

 

だけどその考えは違った。

 

 

「いえ、その逆です。私が聞いた限りではその凄くいいと思ってます。正直流石としか言いようがなくてですね…」

 

 

べた褒めだった。

 

 

「今までのNFOでの作曲担当はマップ毎に違う人でやっておりましたが、私が一瞬で良いと思いましたのはこれが初めてなんです。ですからこれを開発者全員にすぐにでも聴かせてあげたいと思いまして…そして皆様に神子さんを知って貰いたいのです!」

 

 

作曲をここまで評価してくれるのは本当に初めてだ。そしてこの人は本当に…

 

 

「実を申しますと私は以前から神子さんのファンでした。コンタクト取れました人には感謝しかありません」

 

「自分のファン!?えっと…あ、ありがとうございます!」

 

 

俺はお礼を言うしか出来なかった、相当テンパってるかもな。

 

 

 

その後は開発者さん達が集まってきて、その度名刺を貰いまくった。

 

 

そしてプレゼン的な感じになったけど、開発者さん全員に称賛の声だった。

 

その後社長にも会い、NFO以外も依頼すると頼まれてしまった。勿論承諾したけど大変になりそうだなぁ。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

会社を後にして俺はもう昼前になりそうだしつぐみの店に行くことにした。

 

 

 

 

(カランコロン!)

 

 

「らっしゃい!何握りましょうか?」

 

「はい?」

 

 

店に入るとイヴがそんな掛け声をしていた。店間違えたかな?

 

 

「イ、イヴちゃん!?それはお寿司屋さんだよ!」

 

 

すぐにつぐみがフォローに入った。よかった…店間違ってなかった。

 

 

「あっ、志吹くん来てくれたんだ!」

 

「昨日来てくれと頼まれたしな、それにここは落ち着くしな」

 

「そ、そうなんだ…いつもありがとね志吹くん!」

 

 

つぐみは片付けの途中だったのか、お盆を持ってて厨房に行ってしまった。案内はイヴがしてくれた、いつもの厨房前のカウンター席だ。昼時なのにお客さんはあまりいない、大丈夫なのかここ?

 

 

「まあいいか、何を食うとするかの…?」

 

 

メニューと睨めっこしていたら、またお客さんが来たようでイヴが向かっていった。

 

 

「イラッシャイマセ!チサトさん、カノンさん!」

 

 

ん、チサトさん?……まさか、ね?

 

 

俺は入り口のほうに目をやった。

 

 

「……なんだ、前の時にいたあの二人、かな?確か花咲川の制服着ていて…」

 

 

そう、以前つぐみの店に来たときにいた二人、水色の髪をした人とブロンドヘアーの人達だ。

 

 

「あらイヴちゃん、今日もバイトなのね」

 

「ハイ!夕方の練習前には上がりですから問題ないデス」

 

「ふふっ、イヴちゃん大変だけど頑張ってね」

 

「ち、千聖ちゃん早く座ろうよ~」

 

 

水色の髪をした人が催促している、そして俺と目が合う。

 

 

「あっ」

 

 

その人は俺に一礼してくれたので俺も返す。

 

 

「花音、知り合い?」

 

「ううん、違うよ。目が合っちゃったから。それに綺麗な人だなぁって」

 

「どんな人?気になるわね」

 

 

ブロンドヘアーの人も俺を見ると…

 

 

「……んーー?花音、あの人は男の人よ?」

 

 

また間違えられてたの俺!?今日俺の格好は普通にジーンズとメンズパーカーなんだけど?

 

 

「ふえぇ!!そうなの!?」

 

 

その人は大慌てで俺にお辞儀をしてきた。俺は苦笑いするしかなかった。だけど…

 

 

「千聖さん、花音さん志吹くんと知り合いなんですか?」

 

 

つぐみがやってきた。

 

 

「いえ、初めてよ。花音がちょっと失礼しただけよ」

 

「ぅぅ…」

 

「あはは、彼はよく間違えられますから…そうだ!」

 

 

つぐみが何かを思い付いたようだった。そして俺の元へ来て…

 

 

「志吹くん、みんなと一緒に食事しない?私も昼休憩で大丈夫だから」

 

「えっ?でも向こうはいいのか?」

 

 

俺はつぐみにそう返すと。

 

 

「あら、私は構わないわ」

 

「わ、私もへ、平気です、うぅ…」

 

 

そんな訳で一緒のテーブル席に座ることになった。

 

 

「まずは自己紹介からいくわね。私は白鷺千聖、花咲川の二年生よ」

 

「お、同じく二年生の松原花音です。さ、さっきは間違えてごめんなさい…」

 

 

松原さんは大変申し訳なさそうに頭を下げた。

 

 

「だ、大丈夫ですよ…松原先輩。あ、俺は羽丘学園の一年生で神子志吹です」

 

 

俺が神子志吹って言うと白鷺先輩がビクっと反応した。

 

 

「え…?」

 

 

そして青ざめてきていた…全身を震わせて。

 

 

「千聖ちゃん?ど、どうしたの……?」

 

「千聖さん…?」

 

 

つぐみと松原先輩が声をかけても反応がない。

 

 

「っ!!」

 

 

白鷺先輩は勢いよく席を立ってそのまま店を出ていってしまった。

 

 

「千聖ちゃん!?ええええっ!!」

 

「怯えていた…?」

 

 

つぐみの言う通り、怯えていた。

 

 

 

間違いない、あの人だ。

 

 

父さんと母さんに何をしたんだ…?

 




夢から始まり
夢で終わる

この作品のテーマでいこうかな?


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