笛吹き少年は少女と共に運命に抗う   作:ジャムカ

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色々ありましてかなり遅れました
去年とは違いますね。





そんな嘆きは置いといて、34話ドーンです!


笛吹き少年はドラムを披露した

「よっ…と」

 

午前11時 ゲーセン内のベンチにて巴とあこちゃんが座っていて、俺も巴の隣に座っていた。

 

 

「アタシが太鼓の勝負で負けるなんてな、信じられないぜ」

 

 

いつもの勝ち気な巴じゃなく、なんというか塩らしかった。

 

 

「お、お姉ちゃん大丈夫?」

 

「悪いあこ、こんな姿見せちゃってさ…」

 

「お姉ちゃん……」

 

 

先ほどまで俺と巴は太鼓の○人でどちらがハイスコアとれるか勝負していた。

 

結果は俺の勝ち、しかも全曲。お互いに満点も数回あったからドローもあるか。巴も相当自信あったのかベンチに座ってうなだれているのであった。

 

 

「と、巴…俺はな初めてなんだよ?ここまで俺についていけるなんてな。久々に本気でやれて満足してるんだよ」

 

「志吹…?」

 

「向こうで有名になりすぎたのか、誰も挑戦してこなくなったし…いや、たまにいたけど直ぐに諦めていったからな。その点、巴は最後まで…しかもお互いにノーミスもあって同点もあって俺は正直嬉しいよ。ある曲なんて難しいフレーズを難なく出来てるし」

 

 

すげえよ巴はさ、でもこれは言わないけど……

 

 

 

 

ソイヤって叫び声は何だよ!?

 

 

そこだけは誉めたくない。

 

 

 

 

 

「アタシの事を誉めてるのか、志吹の自慢なのかどっちなんだよ?」

 

「一応誉めてるつもりだが、そう聞こえたか?」

 

「そ、そっか…そういや難しいフレーズってあの曲か?」

 

「そそ、あれは結構動きがな…」

 

 

俺と巴はあのフレーズはピッタリと同じ動きしていたからなぁ、やっぱり巴とは太鼓で語り合えるな!

 

 

「お姉ちゃんと神子さん…二人は付き合ってたりするの?」

 

「は?」

 

 

何言ってんだあこちゃん?

 

 

「なーに言ってんだよあこ、アタシと志吹はそんな関係じゃないからな?」

 

 

そうだぞ、巴の言う通りだ。

 

 

「だって神子さんとお姉ちゃん、太鼓叩いてる時の息ピッタリだったし!それにそれに…お姉ちゃんも今嬉しそうだもの!」

 

「そうなのか巴?」

 

「っ!」

 

 

俺は巴の顔を覗き込むと…

 

 

「みみみ見るなよ志吹!今のアタシは変なんだから見るなぁーーーー!!」

 

 

巴はベンチから飛び出してゲーセンを出ていった。

 

 

「お姉ちゃん……」

 

「あこちゃんが変な事言うからだよ、俺と巴がどうお似合いなんだ?」

 

「お似合いまでとは言ってないですけど」

 

「巴を追うのも面倒だし俺はもうここを出るよ、あこちゃんはどうするの?」

 

「りんりんが来るまでここで待ってます!それにしてもりんりん遅いなぁ?」

 

 

そういえば元々付き添いで巴と来たって言うけど、もう一時間は経つよな?

 

 

「あ、りんりんから連絡ありました…一時間前に」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

あこちゃんも帰るそうだったので、あこちゃんを家まで送った。結局りんりんさんは用事があって来れないらしい。

 

 

 

 

俺は商店街へ向かう事にした。腹減ったし、初日に来た時に食べたラーメン屋にでも行こうとしたら。

 

 

「「あっ」」

 

 

巴とばったり遭遇した。

 

 

「さっき振りだな巴……」

 

「あ……ああ、そ、そうだったな志吹」

 

 

まださっきのを意識してるのか巴は恥ずかしそうにしている。

 

 

「さっきのあこちゃん発言は気にするなよな?」

 

 

俺はなんとも思ってないからってのは言わないほうがよさそうだ。

 

 

「その、さ……アタシは嬉しかったんだよ。志吹がそこまで太鼓を叩くのが上手いのがさ、同年代にはそういうのいなかったから」

 

「巴?」

 

「ショックだったのは確かだけどな!だから次はドラムマ○アで勝負してくれよ」

 

「おいドラマー!勝てる訳ねえだろ、俺はドラムなんて…」

 

 

一応練習しまくって、動画も見てた成果でそれなりには出来るとは思うんだが。譜面も元から読めるし、だけど人前で見せるにはまだ早いかもしれない。

 

 

今度花音さんにでも見て貰おうかな?

 

 

「そうだったな悪い志吹、それよりもラーメン食べにきたのか?」

 

「そうだよ、ここはちょっと思い入れがあるしな」

 

「なんだよそれ…それより行くぞ志吹」

 

 

俺と巴はラーメン屋に入っていった、もうすっかりいつもの巴に戻っていっていた。

 

 

 

 

昼の時間だし、土曜だからか以前と変わらずほぼ満席に近くて丁度テーブル席が空いたので俺と巴はそこに座った。相変わらず食券販売機はないが。

 

 

 

巴は豚骨、俺は醤油を頼んだ。前に豚骨食った時にはちょっと味付けがアレだったからな。

 

 

「それで志吹、ここに何の思い入れがあるんだ?」

 

 

注文待ちの間、巴が聞いてきた。

 

 

「それはな、初めてここに来た時にここのラーメン屋に寄ってな…カウンター席でやたら旨そうに食べてたから。まさかとは思うが巴だったりしないよな?」

 

「……」

 

「巴?」

 

「志吹が初めてここに来たのっていつの日なんだ?」

 

「んー、三月の……だったな」

 

 

俺がここに初めて来たのは三月下旬、もうあれから二ヶ月か……。意外とそんなに経ってないのに巴達とは随分長い付き合いと思ったりするよ。

 

そんな事考えてたら巴は……

 

 

「それ多分、アタシだ……マジかよ」

 

 

巴に詳しく聞いたが、向かいの羽沢珈琲店から出ていって、すぐにここに来たとの事。時刻もピッタリらしく確定だった。

 

 

「やっぱ巴だったのか、これでようやく納得したよ」

 

「何がだよ…」

 

 

また照れ始めていた巴は

 

 

「ラーメン好きだろ巴は?」

 

「そりゃ大好きだよ、特に豚骨はな!」

 

 

別に豚骨までは言ってないが、まあいい。

 

 

「一度巴は関西のラーメンを食べてみた方がいいな、いや…俺が作るか!」

 

 

すげえ手間かかるけど、一度やってみたかったんだよね。

 

 

「本当か志吹!?」

 

「ああ、味までは保障出来んが任せろ」

 

「楽しみにしてるぜ!」

 

 

うわ、巴の目がキラキラしてる…本当に好きなんだなラーメンが。

 

 

 

その後は俺のつぐみの出会いを話したりしていた、巴は少し笑っていたが。

 

 

「それがなければ巴とこうしてラーメン食べる事もなかったしな、本当につぐみには感謝してるよ」

 

「そうだよな、つぐにちゃんとお礼は言ったのか?」

 

「…………やべっ」

 

「おい志吹?……ははっ!」

 

 

巴は呆れ笑いをされた、ラーメンも来たし食べるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーメン食い終わった後、巴とはそこで別れて俺はやまぶきベーカリーへ向かった。

 

 

「以前、沙綾を困らせちゃったからあまり会いたくはないけどあのパンないとおやつに困る」

 

 

そう、このあとまた神社で笛の練習しに行くからその為にな。だから沙綾が店番してない事を祈るしかない。

 

 

カランコロリン

 

 

いつものドアベルの音が出て店に入ると。

 

 

「いらっしゃいませー……あ、神子君」

 

「沙綾、また来たよ」

 

「う、うん…ありがとね!」

 

 

まあ無理だったか、祈りなんて届く訳ねぇ!

沙綾は前の事を気にしていたのか少しきごちない感じだ。だから嫌だったんだけど、これはどうしようもないな…

 

 

「おやおやこれはこれは、しーくんではありませぬか~」

 

 

そのゆっくり口調で聞き覚えのある声は‥

 

 

「モカか」

 

「モカちゃんですよ~」

 

 

青葉モカがレジ横でパンを食べていた、沙綾と話でもしていたのであろうか?

 

 

「神子君も…モカみたいにお昼はパンだったりするの?」

 

「いや、おやつにするつもりで。さっき巴とラーメン食ってきたしな」

 

 

流石に食えん、でもすぐに腹減るしな。

 

 

「ともちんとラーメンだったんだね~?じゃあ次はモカちゃんとパンなんだね~」

 

「人の話聞いてたか?おやつだってのによ」

 

 

全く、モカはいつも俺の話を聞かないからな。

 

 

「おやつって、ああ…これから練習?」

 

「そうだよ」

 

 

沙綾はドラムと思ってるのかな?残念だが笛なんだ。

 

 

「と、言う訳でほいこれ会計よろしく」

 

 

俺はさっさとチョココロネ五つをトレイに乗せてレジの前に来た。

 

 

「神子君もなんだか、りみりんと同じ買い方してるね…流石チョココロネ同盟は伊達じゃないね」

 

「まあね」

 

 

話ながらでも、沙綾は手慣れた手つきでチョココロネ五つを袋に入れてくれた。

 

 

「はい、どうぞ」

 

「ん…ありがと」

 

 

俺は買い物を終えたし、沙綾はモカとの話の再開するのかと思ったら。

 

 

「しーくん」

 

「ん?」

 

 

店を出ようとしたらモカに呼び止められた。

 

 

「これから神社に行くの?」

 

「ああ」

 

 

俺は笛の練習をしに羽丘神社に行くつもりだ。モカもわかってる筈だったが

 

 

「えっ、神子君はドラムを神社まで運んで…るの?」

 

 

沙綾は驚いた感じで俺に聞いてきた。

 

 

ってヤバい、秘密にするの言ってなかったし沙綾は俺の笛は知らないんだった!俺は猛ダッシュでレジにいる沙綾まで駆け寄っていったが…

 

 

「しーくん、ドラムやってるの?」

 

 

モカが怪しげな目で俺をみている。

 

 

「…………」

 

 

俺は沙綾に目をやると

 

 

「あれ?これって言っちゃ駄目、だった?」

 

 

ああ、秘密にしたかったよ!

 

 

「いや、いいさ。どうせいつか言うつもりだったから」

 

 

俺はもう諦めたように沙綾に言った。

 

 

「前の事も今の事も気にしてないから大丈夫だよ沙綾、だから…そのぎこちないのはもうやめにしような?」

 

「うん!そうだね!……でも笛って何?」

 

「それは後で説明するよ」

 

 

俺はまだ過去の事を引きずってたりするが、それはまだいい。今はモカをどうするかだが…

 

 

「じ~~~~~」

 

 

さっきから俺に向かってガンを飛ばしているみたいに睨み付けていたモカだが、さてどう言い訳するか。

 

 

「そうだよモカ、俺はドラムをやってるよ」

 

 

観念した、俺はモカに告げた。

 

 

「いつからやってたの?GWの時は興味ない~って言ってたから」

 

「あの狸寝入りの時か、よく覚えているな。テスト前日かな?そこから結構練習したが」

 

「一週間くらいなんだね~…ねえ、しーくん」

 

「何だよモカ」

 

「しーくんがドラム叩く所を、見てもいい?」

 

「えっ!?」

 

 

まだ人様に見せられる程じゃないから、断るつもりだったけど……

 

 

「………私も見てみたいな」

 

「沙綾?」

 

 

意外だった、沙綾までとは。

 

 

「わかったよ、って沙綾は店いいのか?」

 

「あ、ちょっと待っててね」

 

 

店の奥に入っていった沙綾、そしてすぐに戻ってきた。エプロンを外しただけかな?

 

 

「お待たせ、お店は大丈夫って父さんが」

 

「そっか」

 

 

沙綾の父さんは存命してるんだな、いやこれが普通なんだよな。

 

 

「それじゃ、しーくんの家へレッツゴ~」

 

「全く、人の予定を狂わせやがって…!」

 

「あはは…神子君も大変だね」

 

 

沙綾は苦笑いしていた。そして何故かモカを先頭でその後ろを俺と沙綾が歩いている。

 

 

そう言えば何で来てくれるのだろうか?

……過去に何があったのか知らないし、知りたくもないがきっとドラム…いや、考えるのはよそう。

 

 

「か、神子君…そんなに私の顔をじっと見てると恥ずかしい、かな///」

 

「あっ…悪い沙綾」

 

「大丈夫…だけど考え事してたの?」

 

「そんなところだ」

 

「そっか…うん、やっぱり私が見たいって言ったからだよね?」

 

 

まあそうなるよな。合ってるしどう答えようか?

あと前を歩いていたモカがちらりとこちらを向いたけどすぐにそっぽむいた。

 

 

「うーーん…まだ人前でやるのはまだ早いってのはあるし、沙綾まで見たいって言うからさ、一体どうしてなんだ?」

 

 

俺は隠すのはやめた、どうせ後で言うと思うし。

 

 

「神子君さ、前に香澄のバンドに誘われたって言ってたじゃん」

 

「ああ、正確にはおたえ…花園たえって人だけどな」

 

 

沙綾も確か花咲川で同じクラスって以前りみから聞いてたけど、一応フルネームで言っておく。

 

 

「あ、花園さんからなんだっけ?でもどっちでもいいけどあの子はね、人を見る目はあると思うんだよ。何て言えばいいのかな…上手く言えないけど神子君がバンドやりたいって感じを見抜いていたんじゃないかな?」

 

「…………」

 

「りみりんもそうだったし」

 

 

りみの事は兎も角、俺はそうなのかな?俺は長くは生きられないかもしれないからただただ単純に青春を謳歌したくてバンドやりたかっただけなんだけどな。まあ蘭達の影響も強いが。またモカがこちらをチラリと向いた。

 

 

それに…な、バンドなら詩音も手は出さないだろう。

 

 

「そうかもしれないな」

 

「あれっ?あっさりと認めちゃうんだ」

 

「まあ元々音楽はやってたしな、昔」

 

「ふーん…」

 

 

昔ってのを付け加えたからか、沙綾はそれ以上聞かなかった。俺たちより前にいたモカは迷うことなく俺の家の前へと到着した。

 

 

「とうちゃく~~」

 

「ここが神子君の家なんだね、ふーん」

 

 

俺は玄関の鍵を開けようとしたけど、そういや朝に黒服さんから連れていかれて鍵閉め忘れてたわ。

 

 

まあ泥棒とか入る意味もないし大丈夫だろ。

 

 

「ほらモカも沙綾も入って入って」

 

「「お邪魔しまーす」」

 

 

二人は俺の家へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

「ただいま…」

 

「あっ、お姉ちゃんお帰りー!」

 

 

アタシが家に帰ると玄関の先にあこがいた。あこの用事も終わったのかな?

 

 

「ただいまあこ、早かったな」

 

「えへへ…実はりんりん用事があって来れなかったって連絡があったの気がつかなくて。神子さんとお姉ちゃんの太鼓に夢中で」

 

「そ、そうか」

 

 

ヤバい、志吹の名前が出てきたら何かアタシ変だ。

 

 

「お姉ちゃん?」

 

「あこ…話があるけどいいか?」

 

「うんいいよー」

 

「ここじゃ話にくいからアタシの部屋でな」

 

 

アタシは玄関で靴を脱いで、あこと一緒に部屋へ向かった。

 

 

あこなら、大丈夫だよな?

 

 

 

 

 

 

「それで話って何?」

 

 

アタシとあこは一緒の部屋じゃないから、あこは座布団の上に座っていた。

 

 

「あのさ、あこはアタシと…し、志吹がお似合いだと思うのか?」

 

 

ああ、恥ずかしい…!こんなのひまりにも言えないな。

 

 

「お似合いとは言ってないけど…ほら、たまに神子さんとシンクロしたみたいに左右対称で動いてる時が何度かあったりしたから、あれであこはピーンと来たの!これは二人は前世では絶対に夫婦だったって。それで、付き合ってるって思ったの」

 

「………あの動きはああしないと出来ないんだよな、打ち方が確立されててな、バチがもう一つ持てれば違ってくる……んだよ」

 

 

前世は無視だ無視、あこの意味不明なのは置いといて。

 

 

「話が逸れちゃったけどアタシは、志吹と…その、さ」

 

 

何で上手く言えないんだよアタシの馬鹿!あこでもこうなっちゃったら、四人にはどうやって言うんだよ…!

 

 

いや待てよ?別に言わなくてもいいんじゃ……

 

 

「お姉ちゃん、やっぱり神子さんの事が……?」

 

「………………」

 

 

アタシは何も言えなかった、でもこれだけはハッキリとわかる。

 

 

志吹と太鼓を叩いてる時、ラーメンを一緒に食べてる時も……いいなって思ったから。

 

 

これが好きって感情なのかはアタシはわからない

 

 

蘭もつぐもこんな気持ちだったのかな?もう志吹にちょっかいも出来ないかも。

 

 

「お姉ちゃん、あこは応援するよ!」

 

「あこ?」

 

「だってだって!あこ、神子さんは凄くこう…ババーン!ってしてカッコいいしお姉ちゃんもカッコいいよ!だから二人が一緒だったら…もっとカッコいいよ!」

 

「あこ、ありがとな」

 

「えへへ」

 

 

アタシはあこの頭を撫でてやった。あこは応援してくれるか、そっかそっか……嬉しいよ。

 

 

「しかしなー」

 

 

明後日から志吹とどうやって向き合おうか、これから考える事にした巴だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「うわぁ…何ここ、有咲の家の蔵みたい」

 

 

地下室に案内した沙綾(とモカ)だけど、第一声がそれかい!だけど言われてみればそうだな。

 

 

「確かにそうだな、あの時既視感があったのはそれか」

 

「ギターまで置いてあるし、まさかギターも神子君はやってたの?」

 

「ギター?いや、そんなのはやってないが…」

 

 

部屋の角にギターが置いてあった、黒と白で分けられていた縞模様だった。これはモカでも蘭でもないな、一体誰が?

 

 

「ん~…これはまーちゃんかな~?」

 

「舞衣?何であいつが…?」

 

「さあ~?それより早くしーくんのドラム見せてよ~」

 

「ああ…そう急かすなよ」

 

 

部屋の中央に置いてあるドラムセットに俺は立っていた。

 

 

「そういや何を演奏するか考えてないけど、俺のオリジナル曲でいいか?」

 

「おーオリジナルなんてあるんだね」

 

「それでやって~」

 

「わかった、じゃあ行くぞ!ドゥカティ・ブルース!」

 

 

俺はスティックを持って、左右のシンバルへ打ち付けた!ちなみに曲の題名は某ゲームから拝借した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 

演奏が終了した、正直どんな感じなのかわからん。だから二人の感想を待っていたが。

 

 

「「………………」」

 

 

二人共無言のまま俺をじっと見ていた、やっぱり下手だったんだなこれ。

 

 

だからまだ人に見せるのは早いって言ったんだが。

 

 

「神子君、本当にドラムを始めてまだ一週間だよね?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「しーくん……」

 

「ほらな、やっぱり人様に見せるにはまだ早…」

 

 

俺は少し恥ずかしながらもそう答えたが二人からは意外な答えが返ってきた。

 

 

「いや十分上手いよそれ…」

 

「凄いよしーくん~」

 

 

普通に上手いと評価してくれた。

 

 

「そ、そうなのか……?」

 

「普通に淀みなく叩けてるし、私から見たら」

 

「そ~だよ~」

 

 

プロのドラマーの動画とか熱心に見てたし、それに近い動きの練習もしたし俺のオリジナル曲もドラム中心だったからだけど。

 

 

「二人にそう言って貰って俺は少し嬉しい、かな…はは」

 

「…………」

 

「どうした沙綾?」

 

「ん、ちょっと私も向き合おうと思っただけ」

 

「?」

 

 

向き合うか、そういや沙綾はドラムで…何かあったんだっけ。

 

 

「そっか」

 

「うん…」

 

 

俺と沙綾はそれ以上何も言わなかった。

 

 

「モカちゃんはこのギター借りてしーくんと一緒に演奏しまーす」

 

「モカ?」

 

 

人のギター使うのかよ。

 

 

「しーくんの演奏聴いて、あたしもギター引きたくなっちゃったので~いきま~~す」

 

「わかったよ沙綾はどうす…」

 

 

置いてきぼりにされそうだった沙綾は、少し思い詰めた表情をしていたが。

 

 

「神子君のドラムも見れたし、今やりたい事が出来たから私は帰るよ」

 

 

だろうな、多分香澄との事だろう。

 

 

「ありがとね神子君、またウチのパンを買っていってね」

 

「おう」

 

「またね」

 

 

沙綾は部屋を出て階段を登る音がした。

 

 

「さて、モカはギターの調整は大丈夫なのか?」

 

 

俺はモカの方を見てみると。

 

 

「む~!やっぱり自分のにするからちょっと待ってて~」

 

 

モカまで部屋を出ていった。他人のチューニングはいじったら流石にマズイよな?

 

単に面倒だった可能性もあるが。

 

 

「…………しかし寂しい」

 

 

俺一人取り残された…

 

 

 

数十分後にモカは自分のギターを持ってきて帰ってきた。

 

 

 

「お~ま~た~せ~……って、しーくん?」

 

 

やっふぉふぃたか(やっときたか)

 

 

俺はモカを待ってる間、チョココロネを食べながらAfterglowの曲をいくつかみていた。

 

 

「ずるい、モカちゃんも食べる~」

 

 

そう言いながら、俺の買ったチョココロネ入りの袋にモカが手を入れようとしたが。

 

 

「おっと」

 

 

袋に触れる寸前で俺が奥へと引っ込めた。モカからは取れないようにな。

 

 

「む~!」

 

「俺が買ってきたんだし、さっき演奏して少し腹減ったんだよ」

 

 

むくれているモカだった。

 

 

「わかったわかった、後でやるからまずは合わせようぜ」

 

「……絶対だよ?」

 

 

まるで獲物を狙う猛獣の目付きで俺をみていた。こええよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後

 

 

「……ほっ!」

 

「お~トモちんみたいだ~」

 

 

ドラムパートや曲によるけど、最後のここはいつも両手のスティックで叩いてしまうんだよな。太鼓の癖かな?それにモカとのセッションは楽しいよ、これがバンドってやつなんだな!

 

 

「やっぱり巴もこうやるのか」

 

「やるよ~、締めって感じだって言ってた~」

 

「だよな、わかるわー」

 

 

太鼓やる同士、やっぱりそこは一緒か。

 

 

「しーくん」

 

 

モカが床に座ると、手を出してきた。

 

 

「ああ、ほらよ」

 

 

俺はチョココロネの入ったやまぶきベーカリーの袋をモカに渡した。

 

 

「ほむっ、もぐもぐ」

 

 

躊躇せず、ひとつ食いやがった。遠慮もないのかよ。

 

 

「全部食うなよ?ひとつは俺のだからな」

 

「ほーい」

 

 

モカはそのまま黙々と食べていた。休憩するとは言ってないけどいいか。

 

 

「なあモカ」

 

「ん~?」

 

「俺がドラムやってるって事はみんなにはまだ秘密にして欲しいんだけど」

 

「何で~?トモちんなんか絶対喜ぶと思うよ~」

 

「今の俺ではまだ巴とは対等ではないからな、今度ドラムで勝負する為にも」

 

 

そう、太鼓では勝てた。だけどドラムでは絶対に勝てないだろう。だから今は練習して腕を磨くんだよ。

 

 

「そもそも何でしーくんはドラムを始めようと思った訳~?」

 

「そこはモカも説明はいるわな、実はな…」

 

 

俺はドラムを始めようとした切っ掛けはお前達なんだと、そしてバンドやりたいという気持ちもな。今はメンバーなんていないけど、いつかはやってみたい。

 

 

俺の命が持てばの話だがな!

 

 

「……そっか、しーくんはモカちゃん達のおかげなんだね~」

 

「そうだよ、だからありがとなモカ」

 

 

俺はモカに近づいて頭を撫でてやった。フードの上からだけど。

 

そういやモカはいつもパーカー着てるな、暑くないのか?

 

 

「っ~!」

 

 

あれ、モカが何も言ってこないな。

 

 

「モカ?どうしたんだ?」

 

「…………」

 

 

モカは手を頭の上に置いたまま固まってしまった。パーカーのフードは取っているが、やっぱり撫でたのがいけなかったのか?

 

昔、詩音や舞衣はこれやると大人しくなるんだよな…何でか知らんけど。

 

 

「おーい、モカさんやー?」

 

しーくんのたらし

 

 

たらし?何のことやら……

 

 

「っておい、俺の分のチョココロネは?」

 

 

袋を見たら空になってた、モカが黙ってる間も黙々と食ってたからな。

 

 

「ごめ~ん、チョココロネ美味しくて全部食べちゃった~」

 

「このやろ…!」

 

 

俺はモカの頭ににゲンコツを喰らわせてやった。男女平等ゲンコツだ!手加減はしてるけど。

 

 

「しーくん痛い~」

 

「俺の分も取っとかないからだ、パンの恨みは恐ろしいんだゾ?」

 

「わかる~」

 

「わかるならやるな」

 

 

もう一発喰らわせたろうかと思ったが、モカがいつもの感じに戻っていたから許してやるか。

 

 

「ほんじゃ、再開すっぞ。大分合ってきたしな」

 

「お~」

 

 

夕方までモカと練習をしていった。

 

 

 

夜になる前にモカは帰っていった、なんだかえらく上機嫌だったな。何だったんだ?

 

 

後で舞衣に聞いたが、あのギターは舞衣のだった。以前自宅に帰った時に持ってきたらしい。

ギターやってるなんて聞いてねえよ!

 

 

 

ドタバタした一日だったな。

 




実はなかった巴回とモカ回でしたね。


相変わらず日にちが進まないのは
ご勘弁を!


感想でも指摘でもメッセージにて送ってもらっても構いませんので、なんでもごされですので、どうぞ
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