死んだと思ったら目の前にホウオウがいて配達便やることになったんだが   作:ベルセリア

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一通目 想いを運ぶ七色配達便 三枚め

「ふぁあ、よく寝た」

 

 翌日、疲れも取れすっきりとした朝を迎えた。

 窓から差し込む日光が眩しい、どうやら今日は快晴のようだ。この天気なら帰るのもすぐかな。留守番を頼んでいる子が待っているだろうからできる限り早く帰りたいところである。はいそこ、なら昨日無理してでも帰ったほうがよかったのでは? とか言わない。

 

『ショオ』

 

「いやまじで昨日帰ってたら俺死んでるから、今日丸一日ベッドの上で生活してるから」

 

『ショオオ!』

 

「わかった、もう帰ります、帰るから叫ばないでくれ。普通に叫ばれるより響くんだからそれ」

 

 なんせじんつうりきで脳に声を届けてるもので普通に叫ばれるより直接くるから頭が痛くなる。しかもモンスターボールの中だと言うのに脳に届くほどに普通のじんつうりきよりも強力な分余計に困る。

 

「まったく、困ったやつだ」

 

『ショオオ!!!』

 

「うわこいつ叫ぶなって言ったのに叫びやがった!」

 

 まあわかってた、わかってたよこいつこんな性格だって。そんなんでいいんですか? 人の嫌がることやって楽しいですか? 幸福の象徴さんよ。

 

『ショオ』

 

「こいつ頷きやがった!」

 

 あれかな、もしかしなくても伝説ポケモンってみんなこういう性格なのかな。なんせこいつがこうだもん、もし仮に他の伝説がこうでないのなら俺もう泣くかんね、泣いちゃうかんね。

 

「朝から叫んでもしょうがない、帰る準備しよ……」

 

『ショオオ』

 

「誰のせいだと思ってんの」

 

 もう呆れしか出ないよ、トホホ。

 まあこんなこと日常茶飯事、ホウオウのことは今は無視して帰る準備しようそうしよう。とりあえずベッドから這い出て洗面台に行って顔を洗った後帰る準備を整える。といってもバッグに物を突っ込んで後は腰に野郎の入ったモンスターボールをつけるだけなんだが。早く帰らないとあの子怒るだろうなあ、なんせ半日ぐらいで帰るっていったのに丸一日待たせちゃってるしな、早く帰ってあげないと。

 

「ようしおわり、帰ろ」

 

 最後にこの部屋の鍵を手に持って部屋を後にする。

 さてここからだと家までどれくらいかかるかな、お昼までには帰りたいところではある。せっかくのフリーなのだ、時間は有効に使いたいのである。

 

『ショオオ!!!』

 

「はいはい、ちゃんと散歩もします。今日はあれね、カントー一周コースね」

 

『ショオオ! ショオオ!!!』

 

「こういうときは素直に嬉しがるのに何故いつもはあんなんなのか」

 

 文句を言ってるうちにここのロビーに到着、今日も今日とて朝から利用者でいっぱいな……なんか騒がしいな。

 特にこれといって異常が見られるわけでもないが、なんというか、こう……少しばかりの恐怖があるような感じ。

 

 ま、鍵渡す際にジョーイさんに聞けばいっか。ということで早速受付へ向かい、ジョーイさんを呼んだ。

 

「なんか騒がしいですね、何かあったんですか?」

 

「それが昨日、どうやら強盗があったらしくて」

 

「強盗?」

 

 それはえらく物騒な。いつの時代にもいるものなんだなあ強盗。あれか、例のアプリ会社にでも入り込んでお金あるだけ奪っていったって感じか? 

 

『ショオオ、ショオ』

 

 なに? 普通すぎてつまんない? すみませんね俺前の世界でもただの一般人だったもんでこんなもんしか浮かばないんですう。

 

「はい。被害はあまり出ていなようですが、どうやら北のほうで出たらしいです」

 

「……北?」

 

「確かニャルマーとピッピ人形が盗まれたと報告がありましたね」

 

 北方面で、盗まれた中にピッピ人形? ……すごい嫌な予感しかしない。昨日の納品の際ニャルマーは見ていない。だがほぼ猫と同じようなポケモンであるのなら外に出てこないのは行った時間が時間なだけに自然だ。そして何より北方面にいる存在でなおかつピッピ人形を持っていた。俺の中で思い浮かぶ限り一つだけ該当する人物は存在する。だがそんなことがあっていいのか? 昨日の出来事だぞ。

 

「それはもしかしてカレン、という女性の家ですか?」

 

「はい、確かそのような名前でしたよ……あれ?」

 

 

「予定変更だ」

 

『ショオオ!!!』

 

 俺はポケモンセンターから出て少し走ったあと腰に下げているモンスターボールを天高く放り投げた。

 

 

「おいこんなもんしかないのかよ!?」

 

「余計な邪魔が入らなかったらこんなことには……」

 

「くそう、こうなったら今晩もまたやるしか……」

 

 

「悪いね、今晩は事情聴取タイムだ」

 

 

「「……え?」」

 

 奥から聞こえる会話に答えつつ、俺はギンガ団二人組に近づいた。

 うわあ現実でみると本当に変なデザインしてるなあの服、そりゃネタにされるよアレはよく普通に着れるな俺だったら恥ずかしさでパンクする自信がある。

 

「お、お前どうやってここがわかった!?」

 

「空から探した。昨日の夜にやったんならまだ近くにいそうだな、なら人のいなさそうな場所でなおかつ人がもう使ってなさそうなところを拠点にしてるんじゃないか? と思って空から眺めてたら本当に出入りしてるんだ、こっちがびっくりする」

 

 主にその無用心に。いやマジでビビった。空から探してたら周りを警戒するそぶりも見せずあんな目立つ服でせっせとこの建物の中に入っていくんだから。さすがはボスのカリスマに魅入られて入ったしたっぱたちである。なかなかな洗脳具合だ。

 

「さて、盗んだ物やポケモンを返してもらおうか、これだけ大きな場所を拠点にしてるんだ、最初の一軒以外も襲っているんだろ?」

 

 こちとらお婆さんから孫に必ず送り届けてねって言われてんだそれを盗んだお前たちに容赦なんてしないからな。

 

「な、なめるなよお! 行けグレッグル!」

 

「行きなさいドーミラー!」

 

 名前を叫びながら投げられたボールから現れたポケモン達。ギンガ団のしたっぱがよく使っているメンツだ。んでもって相性はこっちの方が有利か、まあそもそも相性無視でも負ける気はもとよりないが。

 

「それだけでOK?」

 

「なんだ? 私たちのポケモンにビビったか!?」

 

「あなた一人じゃとても手を出せないんじゃない?」

 

「まっさかあ」

 

 腰に手を回しモンスターボールを取り出して中心を押し標準の大きさに戻す。

 

『ショオオ!!!』

 

「ああ、行こう──ホウオウ!!!」

 

 相棒の名前を叫び、俺もモンスターボールを放った。

 それとほぼ同時に開き、内包されていた存在、七色に彩られた翼を持つ真紅の巨体、幸福の象徴と謳われたホウオウがその姿を現した。

 

「ショオオオオオオオ!!!」

 

 ちなみにすごい激おこである。これでもこの仕事に十分なやりがいを感じているホウオウさんは自分が送った荷物を盗まれたことにとても怒っています。

 

 故に勝負は秒で決まる。

 

「聖なる炎!!!」

 

 俺の声に応えたホウオウはその口から蒼炎を吹いた。

 巨大な蒼炎は一瞬にしてグレックルとドーミラーを飲み込み、同時に気絶させた。うわあ随分と張り切ってますねホウオウさん、炎が眩しいよ。

 

「な、なに!? 一瞬で!?」

 

「ホウオウなんて、勝てるわけがない……」

 

 軽く絶望してらっしゃるがこちとらまだ仕事残ってるんだ。素早く撤退させてもらおう。

 後はもう時期来るであろうハッサムさんに丸投げして、俺はやるべきことをしようそうしよう。

 

 

 時は夕方、無事事件が解決した後俺は再びカレンさんの家の前に立ちドアをノックしていた。

 

「すみませーん! 昨日来た七色配達便なんですけども!」

 

 大きく声を上げて家主を待っていると昨日と同じくカレンさんとその子供が出て来てくれた。二人とも表情はあまりよろしいとは言えないところが少し悲しい。女の子に関してはさっきまで泣いていたのか顔が赤い。

 

「すみません、まだ何かうちに用が?」

 

「はい、とりあえずはまずこの子をお返しできればと。ほら、お帰り」

 

「ニャー」

 

 能天気な鳴き声をあげて挨拶するわけでもなく家の中に入って行くニャルマー。感動の再会なんだから抱きつくなりなんなりすればいいのに。

 

「ニャ、ニャルマー?」

 

「後これをですね……」

 

 バッグから取り出したものを渡した。何を隠そうピッピ人形である。

 いやあよかった、案外わかりやすい場所においていてくれてその横には渡さねえよと言わんばかりにあのニャルマーがいるもんだからすぐ見つかった。そこだけは感謝である。ハッサムさん来る前にこれだけできれば俺のやることなんてもうないしね。

 

「ほら、ピッピ人形だよ」

 

 女の子にピッピ人形を返すと昨日のようないい笑顔を見せてくれた。

 

「ありがとう! はいたついんさん!」

 

「本当にありがとうございます!」

 

「いえいえ、それでは」

 

 

「七色配達便をこれからもよろしくお願いします!」




カナタの手持ちポケモンプロフィール
No.1 ホウオウ
にじいろポケモン
技構成
聖なる炎 ブレイブバード
神通力 羽休め

カナタが死んだのを神通力で偶然見てしまい同じく神通力+αで彼をこの世界に呼び出し蘇生、のちに彼の手持ちとなる。
他の存在には壮大な存在として立つがカナタにだけは一体のポケモンとしてなまいきに接する。これでもなつき度はMAX

基本的にはホウオウに乗って各地方に飛びものを運送する。天候? 大雨? 雲の上なら問題ないね!
カナタと空中散歩をするのが大好きでたとえカナタが風邪を引こうが聖なるはいをカナタに使って無理やり直して空中散歩をさせる軽いブラックポケモン。誰もポケモンにしか使えないなんて言ってないもんね!
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