死んだと思ったら目の前にホウオウがいて配達便やることになったんだが 作:ベルセリア
びっくりですわねー。聞きました? 特に忙しかったわけでもないのに書いてなかったんですって!
まあ、それは酷い!
カントー地方のとある森の中に佇む家の中からこんにちは、カナタです。さて皆様、突然ですがいかがお過ごしでしょうか。
今日は大変お日柄もよく空も透き通っており今日も今日とて空を旅たちたそうなホウオウさんは……俺の横で頭下げてますね。
そして俺はと言うと正座中。こんなシュールな光景がこれまでにあっただろうか。
「ミミ」
そんな俺たちの目の前にはウサギをそのまま直立させたような外見に右脚に淡い青のリボンを付けた俺のホウオウ以外の唯一の手持ちポケモンことミミロップさんが腕を組んで立っております。
ちなみに超ご機嫌斜め。いやあやっちゃいましたね俺とホウオウ。つい感情に任せて動いちゃうとこダメだと思うよ。おかげで二日間家で待機する羽目になったロップさん怒っちゃった。
「ごめんって、いや本当に。な? ホウオウ」
「ショオ」
「ほらホウオウも謝ってるでしょ? 許してくださいお願いします」
反省の意を示してはみるものの目の前のロップさんは仁王立ちのまま動こうとしない。
ああこれは激おこぷんぷん丸ですね。当分ご機嫌とりで過ごす日々が確定してしまいましたねホウオウさん。
「ショオオ……」
悲しそうに頷くホウオウなんて想像できる? ま、想像する以前に横見れば現物見れるんだけどね。幸福の象徴とか言われてんのに自分に幸福呼べないとか可哀想にもほどがある。
「……ミンミ」
え、何その間。呆れ? 呆れてるの? 怒りの次は呆れ?
んでもってそのやれやれって動作はなんですか? いや悪いとは思ってるけどそこまでしなくてもよくない? 泣くよ? 俺たち泣くよ?
俺とホウオウの嘆きも見ず知らずせっせと俺の作業デスクから一枚の紙を取り俺に差し出してきた。
「え、このタイミングで仕事ですか」
まだ帰ってきてから数時間もたってないんだけど。これがブラック企業ってやつか。
とりあえずロップさんから紙を受け取って内容を確認してみる……何これ。
「セキチクシティ在住のヨウスケと申します。仕事内容についてはお会いしたとき伝えたいと考えています。ぜひ検討していただけると有難いです……ってこれ受けたの?」
「ミミ」
珍しいな、ロップさんは基本神経質というか仕事はよく厳選してくれるからこんな不十分な内容のものはロップさんが来てからは滅多に受けたことがない。
そも俺の仕事が配達員である以上仕事内容なんてものを運ぶ以外ないのでは?
えーっと他の内容は……ほほう、現役サラリーマンさんか。の割にはバッジとか持ってるんだ、昔はポケモンマスター目指してたのかな。
「んでもってなんでこんな仕事受けたの?」
ロップさんの事だから何か理由があるのだろうと思い質問してみる。
「ミミロ」
そして即答で帰って来た返答は意外以外の何者でもなかった。
「前の仕事いけなかったから今度は連れて行ってもらおうって?」
「ロップ。ロップ」
「それで手頃でかつ近日の仕事が偶然舞い込んで来たから受けちゃったと」
「ロップ」
お茶目だなあロップさん、いつもよりゆるゆる厳選でしかも成り行きで仕事選んじゃうあたりお茶目だなあ。
「まあ受けちゃったのはしゃあないし、行きますか」
「ショオ!?」
「今回はロップさんを怒らせた俺たちが悪いんだからさっさと動く。ロップさんはボールに入ってて」
「ミミ」
素直にロップさんが入ってくれたモンスターボールを腰につけた後一回ホウオウもモンスターボールの中に入れて外に移動する。
あの図体のデカさだと家のドアも抜けられないのでしょうがないことなのである。モンスターボール本当に便利、いやあすごいなあこの世界。
家を出てすぐに手に持ったモンスターボールを放り投げホウオウを出したあと背中に乗り、それを確認したホウオウは大きな翼をはためかせながら飛翔しある程度の高度に達すると空に虹を描きながら目的地に向け飛び始めるのだった。
そしていざたどり着いたセキチクシティ。
乾燥地帯というだけあって乾いた空気が漂ってはいるがその割には活気で満ち溢れている。理由としては町全体が動物園のようなものとして機能しているためかお客さんがいっぱいいるからだ。更にはサファリゾーンやジムなどこれだけの理由があれば不思議なことではない。
「さてと、ラプラスの前あたりに来てくださいって書いてたから言ってみるか。とその前に」
腰につけていたボールを投げて中のロップさんを出した。
基本ロップさんは俺の助手的なポジションなのでだいたいは外に出している。こっちの方が何かと気が楽だし。
「行きますか」
「ロップ」
ラプラスがいるのは北のほう、サファリパークの手前あたりだった気がするので北に進んで行く。
流石は全体ポケモン園、あたり一帯ポケモン達で一杯だ。中には珍しいポケモンまでいるのだから見所満載で見てるだけでも暇になることはまずないしむしろ時間を忘れてしまいそうになる。現にもうラプラス見えて来たし、それらしい人もちゃんと目の前にいらっしゃるし。
かくいうそのヨウスケさん、妙にツルツルの髪の毛にメガネかけて猫背でなんというか冴えないサラリーマンをそのまま体現したような人だな。いや別に悪口を言ってるわけじゃなんだけども。
とりあえず話しかけてみるか、どうやらあっち側も俺に気づいているっぽいし。
「ヨウスケさんでよろしいでしょうか?」
「はい、私です。貴方が例の?」
「初めまして、七色配達便のカナタです、こちらは助手のミミロップです」
「ロップ」
軽く一礼した後早速本題にかかるべく問いを投げた。
「本日はどのような要件でお呼びになられたのでしょうか?」
「はい、実は……」
ものを言いつつ手に持ったカバンの中から写真を取り出して差し出してきた。そこに写っているのは一人の女性、しかも結構な美人さんだ。んでなんで俺はこれを見せられてるの? もしかして自慢? 恋人綺麗でしょ的な自慢ですか?
「実は近々彼女の誕生日なんです。それで彼女に誕生日プレゼントを贈りたいのですが……残念なことに私はそういうのに疎くて」
「つまり?」
「一緒にプレゼントを選んでくれませんか」
ほほう、つまりあれか。俺が配達業で贈り物に関して強いと踏んで呼んだわけか。まあ確かによく見るけど初めてだなあこんな仕事。
「はい、わかりました」
ま、受けるんだけどね。
「でも条件があります」
「じょ、条件? その、お金、とかですかね」
「いえいえ、依頼金以外は受け取らない主義なので。私は飽くまで助言をするだけにしておきます。贈り物というにはやはり本人がこれだと思って贈ったものが一番嬉しいと思うし気持ちが一番伝わると思いますので」
「ありがとうございます!」
頭をぺこぺこと下げて礼を言われる。
もうあれだ、完全にサラリーマンだなこの人、まるで上司や取引先相手に頭を下げている状態だよ。
「それでは早速行きま……」
「おやおや〜? そこにいるのは影薄ヨウスケ君じゃないか!」
俺の言葉を遮った誰かの声は顔も見てないのになぜか異様に腹が立った。肝心の声主は金髪でワックスキメキメで高そうなスーツ着込んだヨウスケさんとは逆のイケイケサラリーマン。
誰こいつ。
「まさか今からハルノさんの誕生日プレゼントでも買いに行くのかい? しかも他人の力を借りて? 冗談もほどほどにしてくれよ! 君は笑いの才能があるね!」
うっわはらたっつう。何こいつあって早々にこれ!? やなやつ過ぎるんだが!?
「……ロップ」
ロップさんも今にも爆発しそうなんだが、この数十秒でこいつやらかしてんなやめとけよ嫌われるって。
「い、いえ、その」
「ま、もう遅いだろうけど、せいぜい考えながら頑張りたまえよ! おっと時間だ、僕は今からある場所にいかなくてはならないんだ。すまないね、 また今度会おうじゃないか!」
ヨウスケさんの言葉も聞かずトントン拍子で続いた一方的な会話に終止符を自分でつけてせっせとゲートに向かって歩き始める金髪サラリーマンに何も言えずただ見送ってから俺は口を開いた。
「……なんですか、あれ」
「その、私と同期の人で、名前はテルキって言うんですけど……」
途端に言い曇るヨウスケさん。あんな野郎のどこに言い曇るような事があるのだろうか。言いたいことは是非言って欲しい、あれを毎回されてると思うと嫌味以外の何物でもないんだが。今吐けることは吐いて一緒に語り合えるまである。
「実は」
へいへいカモン、この後のやる気を俄然あげる素晴らしい言葉カモン!
「私と同じでハルノさんに恋をしている人なんです。恋敵、ってやつなんですかね」
「へ?」
が、肝心のヨウスケさんの口から出たのは野郎への悪口ではなく衝撃的な告白だった
皆さんはポケモン新作何を買うか決めましたか?
もしソードシールドを買ったらレート対戦始めようかななんて思う初心者な作者さんなのでした。
あ、因みに買うなら私はソード派です