まほろばの夢   作:ぜろさむ

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四話

 はかせの研究所に来てから、三ヶ月が経った。

 後の一ヶ月は、おれはほとんどはかせの部屋で寝起きし、山ほどの書籍と終日格闘する毎日を送っていた。

 部屋から出るのは食事のときくらいで、風呂にもろくに入っていなかったから、身体中がベタついていて気持ちが悪い。服はしわくちゃで、髪もボサボサ。鏡で自分の姿を見たときには、まるではかせの生き霊が乗り移ったみたいだと思って、少しおかしくなった。

 方策は、一応の完成を見た。いや、まだ理論の段階でしかないので、完成とは呼べないだろうが、少なくとも何がしかの「回答」は出すことができた。専門家の目から見たら穴だらけの不完全なものかもしれないけれど、時間制限が存在することを考えれば、これ以上を望むべきではない。

 コンコン、と軽く二回ノックする。開かずの間、メアの療養室。はかせはこの一ヶ月間、ほとんど外にも出ないで、この部屋でメアと寝食を共にしていた。

「入ってくれて構わないよ」

 許可が降り、おれはドアを開けて部屋に入った。

 はかせは一ヶ月前と変わらない姿勢で、メアの前に座っている。体はメアの方を向いており、入室してきたおれには背中を向ける格好だ。

「そろそろ、出発するのかい?」

 はかせが背を向けたまま聞いてくる。

「長々と引き止めてしまって悪かったね。ねじ山も雪解けが終わって通過しやすくなっているだろう。セッカシティへの行き方は――」

「はかせ、テレパシーをしたいですか」

 ぴたり、と。無理矢理流暢に動かしていたような、はかせの口が止まった。

「はかせ」

「少年。いま、何と言った?」

「彼女と――メアとテレパシーをしたいですか」

 背を向けてままだったはかせが、ゆっくりとこちらを振り返る。

 ぞくり、と悪寒が背筋を這い上がり、おれは思わず、その場から一歩後ずさった。

 三ヶ月もの間顔を合わせてきて、おれは初めてはかせのことを「こわい」と思った。今までおれが見てきたどんな表情とも違う。おれが知っているどんな感情とも違う。はかせの双眸には、膨大な感情がぐるぐると渦を巻いていた。忿怒とも、期待とも、悲哀ともつかない、あるいはそれらすべてをごちゃ混ぜにしたような感情の渦潮が、おれにはかせの存在を大きく見せている。ドラゴンポケモンに行き違ったかのようなプレッシャー。

 いいや、臆するな。

 おれは自分に言い聞かせた。

「はかせが彼女ともう一度テレパシーするための方法が()()()()()()。おれに任せてもらえるなら、はかせと彼女の関係を復活させてみせます」

 取りようによってははかせに対する最大級の侮辱とも言える言葉を、あくまで平然と言い放つ。はかせの中に漂う無力感の霧を払うには、ここまで言う必要があるのだ。

 だから、迷うな、ためらうな。

「どういった方法で?」

「バトルです」

「バトル?」

「はい、ポケモンバトルです。はかせはメアと一緒に、おれとコジョンドを相手にバトルをしてもらう」

「ばかな!」

「いいえ、本気です。はかせだってよくご存知のはずでしょう。ポケモンバトルは他のどんな日常の場面より、人とポケモンの信頼関係が試される場面だということを。はかせとメアの間にテレパシーを取り戻させる最も単純な方法は、バトルをしてテレパシーが必要な状況を作り出すことです。事故で動かなくなった腕をもう一度動かせるようにするには、リハビリをするしかない。テレパシーも同様に、バトルを通してリハビリをするのが効果的なはずです」

「それは、理論上は確かにその通りだ。しかし、現実的な解決策としてはあまりに乱暴だ!」

「なぜ乱暴なのですか? はかせはバトルの腕も確かだ。そのことはおれとあなたが出会った日に、ご自身で証明されたでしょう」

「だけど、彼女はもう戦える身体じゃないじゃないか!」

 悲鳴のような反論は、想定されたものだった。おれは予め用意していた言葉を、不敵に笑いながら言い放つ。

「いいえ、それだけではないでしょう。はかせ、バトルを恐れているのは、本当はあなたの方ではないですか?」

「なんだって?」

「はかせ。あなたは、メアと共にバトルをし、チャンピオンロードでの敗戦を再現してしまうことを怖がっているのではないですか? あのトラウマじみた出来事をもう一度味わいたくない。だから、メアの状態を盾にしておれの仮説を退けようとしているのでは?」

「違う!そんなことはない。ぼくは彼女がもう一度ぼくと繋がってくれるならどんなことでも、」

「はかせ、では」

 おれはそこで、一度大きく息を吸い込んだ。

「――もしもメアが傷つかずにバトルをする方法があるとしたら、あなたはバトルをしてくれますか?」

 精神感応の正体を明らかにしようとしたはかせの研究の中に、こんなものがあった。ムンナ種をはじめとする、「夢」に関わる能力を保有するポケモンたちの考察だ。

 ムンナ種のトレーナーは、たびたび睡眠中にムンナ種と自分だけの明晰夢を見ることがあるのだという。トレーナーは、すぐにはこれが夢であることに気づけず混乱するというが、はかせのこの現象に対する解釈はこうだ。

 ムンナ種をはじめとするいくつかの種族には、人の深層意識に干渉して夢に影響を及ぼす能力があり、ムンナ種の場合には、まるで現実であるかのような明晰夢を見せることができる(おそらくこの明晰夢の能力が、夢現(ゆめうつつ)ポケモンという呼称の由来になっていると思われる)。トレーナーとじゅうぶんに絆を深めたムンナは精神感応により深層意識をある程度共有できるので、トレーナーとムンナ種は共通のリアルな夢を見ることができる、と。

「つまり、VR……仮想現実(ヴァ―チャルリアリティ)ですよね。ムンナ種とじゅうぶんに絆を深めたトレーナーは、ムンナ種と自分だけの仮想世界を体験することができる。これを利用すれば、メアを傷つけずにバトルをすることは可能です」

「どういう、ことかね」

「これです」

 おれは、はかせの研究室から拝借してきた例のテレパシー装置を取り出した。人間用とポケモンの用の二つがあり、ポケモン用の方はおれのコジョンドに持たせていた。

「これを使って、おれとコジョンドがはかせとメアの明晰夢の中に入り込みます」

 今の時点からおれやコジョンドがムシャーナと絆を深めて明晰夢に招待してもらう、というのは現実的ではないが、テレパシー装置の補助があれば一度くらい深層意識を共有することは可能だろう、という考えだった。

「しかし、それは欠陥品のはずだ」

「いいえ、はかせ。はかせの装置は完璧ですよ。はかせがメアとテレパシーできなかったのは、他に理由があります」

「他の理由?」

「続きは夢の中で話しましょう。出てこい、ミルホッグ」

 おれは話を強引に打ち切り、未だに尻込みしている様子のはかせの背中を蹴飛ばす勢いで、ミルホッグに指示を出す。

「ミルホッグ、さいみんじゅつ」

 ミルホッグの催眠波動によって一瞬で(くずお)れたはかせの体を、素早く抱きかかえて床に寝かせたあと、おれとコジョンドはテレパシー装置を被って、ムシャーナと向かい合った。

 自分の半身がおれに眠らされるところを彼女も見ていたはずだが、敵意を読み取らなかったためか、メアに怒った様子はない。それどころか、傍目には不可解なはずのこの状況を、理屈を超えた視点で完全に理解しているようですらあった。

 テレパシー装置のスイッチを入れ、おれとコジョンドはメアに意識を集中させる。

 おれとコジョンドの視線を受け止めたメアは、ふよふよと宙に浮かび上がり、次の瞬間、急激に吸い込まれるような感覚とともに、おれの意識は闇に落ちていった。

 

 

 

★★★

 

 

 

 ムンナ種が見せる明晰夢の世界は、トレーナーとムンナ種の関わりの深さにもよるが、幻想的で楽しげな雰囲気の漂う、いわゆる「夢の世界」であることが多い。ムンナ種が絆を深めたトレーナーを楽しませようとして、工夫を凝らすからだ。

 しかし、メアの世界はそんな傾向に反して、極めて殺風景な光景が広がる世界だった。

 まず、色がない。世界のあらゆる視覚がモノクロのみで表現されており、楽しげな雰囲気が欠片も伝わってこない。当然その辺りにむしポケモンが長閑に飛んでいるなんてこともないし、足元に花々は咲き乱れない。地形の変化も少ない。というか、ない。三百六十度真っ平らの地面が延々と地平線の果てまで広がっているだけで、山も谷も見えない。

 そんな非現実的な世界が、理不尽なほどのリアリティを伴って、おれとコジョンドの前に立ち現れていた。

「これが、明晰夢の世界か」

 はかせとメアはどこだろう。

 思い起こして周囲を探してみると、最初からそこにいたかのように、先ほどまで何もなかった空間にはかせとメアの姿が現れる。

 さすがに夢の世界だ。この世界での現実は、人の内面の意識に引っ張られているらしい。

「はかせ、どうですか。これが、メアの作り出した夢の世界です」

「なぜ、ぼくがこの世界に……。ぼくは、メアとの繋がりを失っていたはずだ。この世界は、メアとの繋がりを持つものしか入れないはずなのに」

「それが答えですよ」

「なんだって?」

「今ご自身でおっしゃったじゃないですか。つまり、メアの方ははかせのことを拒絶してはいなかった、ということです」

「ばかな……。それならばなぜ、テレパシー装置の実験はうまくいかなかったんだ? 見たところ、きみも明晰夢の世界に入れている。ということは、ぼくの開発したテレパシー装置は、欠陥品ではなかったということだろう? それならば、一体なぜ……」

「簡単なことです、はかせ。メアがあなたを拒絶していたのではなく、()()()()()()()()()()()()()のですよ」

「どういう意味かね? ぼくは確かに、彼女との繋がりを求めていた。そのために五十年の時を費やし、精神感応の正体を探っていたのだ」

「ええ。そして、完全なテレパシー装置を開発して、彼女に謝罪をしようとしていた、ですよね? ここでひとつ質問なのですが、あなたは彼女に一体何を謝罪しようとしていたのですか?」

「何を、だって? 決まっているだろう。チャンピオンロードでの敗戦のおり、無様を晒したぼくのトレーナーとしての不徳を、だよ」

「メアがあなたにそれを求めたのですか?」

「そうではないが、罪を犯したのなら、謝罪するのは当然のことだ」

「罪ってなんですか?」

「決まっているだろう! ぼくが彼女にバトルを強い、あまつさえ敗北させて一生消えない傷を負わせてしまったことだ!」

「なるほど、ですけど、それって矛盾ではないですか?」

「だから、何が!」

「はかせ、覚えていますか。あなたはメアのことを、己の半身だと言ったんですよ。一心同体の関係だったと。あなたたちが本当に一心同体の関係なら、はかせ、あなただけに罪があるなんてのは、おかしな話ではありませんか?」

 そう、最初からおかしかったのだ。はかせのメアに対する態度は、どう考えても奇妙だった。大きな部屋まるごとひとつ与えて過剰なまでの保護下に置こうとしたり、人目には触れないようにして、あくまでも自分で世話をしようとするのは、「半身」に対する態度ではない。それはむしろ箱入り娘に対する態度であり、内面の理解からは程遠い関わり方だ。そしてそれは、かつてのはかせとメアの関係とは、正反対といってもいい関わり方のはずなのだ。

「たしかに、ポケモンとトレーナーの違いはあるでしょう。どれほど内面を理解し合えるとはいっても、バトルをするのはポケモンの方で、指示を出すのは人間です。危険にさらされるのは常にポケモンであり、トレーナーとしてあなたには彼女を守る義務があったのは確かです。あなたに責任がないとは言わない。あなたに罪がないとまでは言いません。でもね、はかせ。そうだとしても、それであなたが彼女から距離を取っていたのでは、本末転倒なんですよ」

「……!」

「一生消えない傷を負った、バトルをすることもできなくなった。あなたは、そんな非常事態にあってこそ、いつも通り彼女と接するべきだったんです」

 そんなことを口では言いながらも、おれは自分自身に対して嫌気が差していた。おれみたいな若造が、はかせの五十年の苦労を察することもできないのに、口だけで偉そうなことを言っている状況に、辟易していたのだ。自己嫌悪の蟻地獄に飲み込まれそうになりながら、それでもはかせの誤りを指摘することこそ「助手」の役割だと自分に言い聞かせて、おれは言い切った。

「あなたは彼女を、宝物のように大切にしまいこんでおくべきではなかった。同情し、哀れむのではなく、あくまで半身として、痛みを共有しようとすべきだったのです」

「それは……」

 はかせは消沈した様子でなにかを言い澱み、口を閉ざしてしまう。

 彼は迷っている。痛みを伴う試練を前にして、一歩が踏み出せないでいる。はじめてバトルに挑む子供のように、形のない不安に囚われてしまっているのだ。

 はかせは今一度顔を上げ、縋るような視線でおれを見る。

「それならぼくは、一体どうすればいい?」

「罪悪感を消し去るしかありません。あなたとメアの絆は偽物ではないのだと、あなたが心の底から信じ切れるように、あなたは自分の手で 、もう一度勝利を勝ち取るしかない。……おれと、コジョンドが相手になります」

「しかし……」

「はかせ、おれに、あなたの恐怖を推し量ることはできません。あなたの抱えるトラウマは、若輩者のおれでは察するに余りある。だから、これ以上は何もできません。おれはあくまでも臨時の助手に過ぎない。最終的にどうするのかは、あなたが決めてください」

 おれは祈るような思いではかせを見た。

 結局、どこまでいってもこの問題は、はかせの問題なのだ。おれが横から手助けをして、たまたまよい方策を思いついたところで、最終的にははかせ自身の手によって解決されなければならない。おれがどんなに余計な手出しをしても、この問題自体をはかせから取り上げることはできないのだ。

 やがて、俯いていたはかせは顔をあげて、灰色の世界にふよふよ漂うメアを見た。メアもまた、まぶたの向こう側からはかせを見つめている。しばらくじっと、視線と視線は宙で交差し続け、それから二つの視線は同時に離れた。

 はかせが、おれの方を向いて言う。

「よろしく、お願いするよ。ぼくはやはり、もう一度彼女との繋がりを手に入れたいんだ」

 

 

 

★★★

 

 

 

 バトルは、静かに始まった。

 灰色の大地以外には本当に何も存在しない、無という概念を表出させたかのような明晰夢の世界で、おれのコジョンドとはかせのムシャーナ(メア)が相対する。

 牽制の意味で放たれるコジョンドの軽い攻撃を、必死にやり過ごすメア。コジョンドの流れるような連続攻撃の滑らかさに対して、メアの回避行動は見るからにぎこちなく、序盤の立ち上がりの段階ですでにいっぱいいっぱいな様子だった。

 形勢の優劣は明らかだ。有利なのは、コジョンドの方。通常のバトルならばもちろん喜ぶべきことだが、今ここに限ってはそうではない。

 おれの仮説では、はかせがメアとの繋がりを取り戻すには、はかせがおれに対し勝利を収めなければならない。根深いトラウマを克服し、メアの半身としての自身を取り戻すためには、成功体験は欠かせないからだ。だが、勝てさえすればそれでいい、というものでもない。はかせに必要なのは勝利という結果そのものではなくて、メアとのコンビネーションによって勝利するという過程なのだ。だから、おれとコジョンドが手を抜くとか、わざと負けるみたいな小細工をしてもあまり意味はなく、むしろ逆効果になりかねない。

 ここでのおれの仕事は、本気ではかせを倒そうとすること。その役割に妥協は許されない。

「コジョンド、『はどうだん』」

 コジョンドから距離を置き、得意なロングレンジを維持しようとするムシャーナを、特殊技のはどうだんで追撃する。

「メア、避けろ!」

 はかせの指示はいちいち思考にラグが入ったように遅い。熟練のトレーナーならばほとんど反射的に行える回避の指示にも、コンマ二、三秒の遅れが出てしまっている。そのわずかな遅れが積み重なって、全体的に後手後手に回っているのだ。

 はどうだんは吸い込まれるようにメアを捉え、圧縮されたエネルギー弾がメアの小さな体を吹き飛ばす。

 もともとムシャーナが鈍足な種族ということもあって、はかせはバトル開始以降一度も、コジョンドに対して積極的な手を打てていなかった。通常、足の遅いムシャーナが攻撃に回ろうと思うのなら、一度や二度の被弾は覚悟して、むしろカウンターを狙うくらいの勢いで主導権を奪いに行く必要があるのだが、はかせはメアが傷つくことを過度に恐れているため、その指示を出せないでいるのだ。

「はかせ。こちらの技に対処するだけでは、バトルには勝てませんよ」

「しかし……!」

「戦ってください、はかせ。メアもそれを望んでいるはずです」

「だけど、メアはバトルのせいで、自由に出歩くこともできない体になったんだ。バトルに連れ出したぼくのせいで! そんな彼女が自ら望んでバトルをしたいと思うわけがない……」

「それは違います、はかせ。あなたもよく知っているはずだ。ポケモンは、人間よりもずっと自由で、素直で、率直です。本当にメアが戦いたくなかったのなら、彼女はあなたに全力で逆らったはずだ。ましてやあなたたちは、主人と従者ではなく半身同士だったのだから!」

「……!」

「おれなんかよりもあなたの方が、よく分かっているはずです。人間がいくら技術を発達させようと、本当の意味でポケモンを支配することなど、できはしない。いい加減気づいてください。あなたはムシャーナにとって、横暴な主君などではなかった。あなたがメアを使って戦ったんじゃない。あなたとメアは合意の上で、共に共通の敵に立ち向かったんだ。かつての関係を取り戻したいと考えるなら、自分一人で責任を取ろうとするのはやめなきゃならない!」

 戦況が加速し、おれとはかせの声が何度も空中で交錯する。

「メア、『まもる』だ!」

「コジョンド、『フェイント』」

 ムシャーナは眼前に透明な防壁を展開し、コジョンドの攻撃に備えるが、コジョンドはタイミングを外した打撃で防壁をすり抜けてムシャーナを捉える。

 『はどうだん』で回避はできないと刷り込まれた相手に、防御不能の『フェイント』を叩き込む。おれとコジョンドがよく使う十八番だ。連続して指示を封殺されたトレーナーを精神的に乱すこともでき、これまで何人ものトレーナーに対して勝利を納めてきた実績のあるコンボだった。

 コジョンド渾身のフェイントを受けたムシャーナは灰色の大地に叩きつけられ、すぐには立ち上がることができない。

「メア!!」

 はかせが悲鳴をあげ、メアの元に駆け寄ろうとする。その表情は悲痛に歪んでいて、彼は今にも自責の念に押し潰されそうになっていた。

 しかし、はかせがメアを抱き起こそうとしたところで、何かの力がはかせの手を遮った。メアからはかせの方向に向かって不可視の斥力が発生し、はかせを突き飛ばして尻餅を突かせてしまう。

 メアの『ねんりき』だった。

「メア……?」

 呆然と見つめるはかせの視線の先では、メアがふらつきながらもゆっくりと宙に浮き上がり、はかせではなくコジョンドの方を向いて、今日一番の咆哮を上げた。

 

「きゅるるるるるるっっっ!!」

 

 灰色の世界をびりびりと震わせるような、戦士の雄叫び。

 それは騎士の名乗り上げのごとく、敵であるおれとコジョンド、そして味方であるはかせにも堂々と自らの存在を主張する、信念の声だった。

 コジョンドの連続攻撃でダメージは確実に蓄積しているはずなのに、再び立ち上がったメアは先ほどまでより大きく見えて、凛としてコジョンドに相対するさまは、勝利を求める意思の力に満ちている。

「メア……」

 呆然と尻餅をついたままメアを見上げるはかせは、信じられない様子で目を見開いていて、そのはかせをメアは『ねんりき』でもとの位置にまで運んだ。まるで「あなたの立ち位置はそこだ」と言わんばかりに。

 はかせは少しの間何も言えなくなっていたが、やがて覚悟を決めたように、一度大きく深呼吸をしてから、まっすぐおれの目を見た。

 おれは言った。

「続けます」

「ああ、そうしよう」

 はかせの目に、もう迷いはなかった。

 

 

 

★★★

 

 

 

 そして、バトルは回る。

 メアの喝破によって、はかせは彼女のトレーナーとしての自信を少しずつ取り戻しはじめ、バトルの中で右肩上がりに調子を上げている。ずっと噛み合っていなかった歯車と歯車が、大きな衝撃を受けて再び噛み合ったように、はかせとメアのコンビは力を取り戻していた。

 はかせの指示でメアが活き、メアの行動ではかせの思考が回転する。まさしく二人は、互いに互いを補完する理想的なパートナーシップを形成していた。

 急激に速度を増していく戦況の中で、おれとコジョンドもまたこれまでにないシンクロ状態の中にいた。

 明晰夢の世界という特殊な環境だからか、あるいはテレパシー装置の効果なのか、おれとコジョンドは互いに全くクリアな視界で、意思の疎通を成立させることができていた。もはや言葉さえもいらないのではないかというくらいに、おれの思考とコジョンドの行動が同調していって、おれたちはまるで「おれたち」というひとかたまりの存在であるかのようだった。

 コジョンドが攻めて、メアが受ける。ポケモンたちの攻守は目まぐるしく入れ替わり、トレーナーは互いに最適解を選択し続ける。

 回る、回る、バトルは回る。

 やがて空気抵抗さえも置き去りにして、永遠に回り続けるのではないかと思わせるほどに、遮るものなどどこにもないのではないかと思わせるほどに、くるくるくるくると回り続ける。

 それは勝負のはずなのに、まるでおれとはかせとコジョンドとメアによる共同の演舞のようでもあり、その一員としてバトルを回し続けることに、おれは奇妙な達成感を覚えている。

 勝者と敗者を無慈悲に選り分ける勝負。全員が調和し、一体となる演舞。

 それらは正反対のもののように見えて、その実どこか本質の部分で繋がっているものなのかもしれない。ちょうど、イッシュ建国神話で双子の王それぞれに加勢した、「理想」を象徴するポケモンと、「真実」を象徴するポケモンが、もとは一体のポケモンであったのと同じように。

 事ここに至って、おれは自分の中からこのバトルのために掲げていた建前のようなものが消えていくのを感じていた。

 はかせに自信を取り戻させてあげるためのバトル。

 最終的には、どうあってもおれが負けなければいけない勝負。

 心の底で抱いていたそんな雑念が、神聖な光によって浄化されるように消えていく。

 はかせに自信を取り戻させて()()()? 

 最終的にはおれが負け()()()()()()()()

 何を言っている。お前は一体何様なんだ。いまおれが戦っているのは、かつて全トレーナーの目標であるポケモンとの一心同体を体現していた天才ポケモントレーナーだ。遠慮なんてしている場合か? 違うだろ。全力で、勝ちにいけよ。

 最後のしがらみを振り払って、おれは今度こそこの奇跡のようなバトルに没入していく。

 おれが見据える先では、ムシャーナに指示を送るはかせの姿が、先ほどよりも若返って見える。これは錯覚でもなんでもなく、この夢の世界の中だけで本当に若返っているのだ。精神が肉体に優先する明晰夢の世界では、自分の見た目も自己印象(セルフイメージ)の影響を受ける。つまり、はかせが「自分は若返った」と感じたなら、この世界の中では本当に若返るのだ。

 メアが生み出したこの世界は、いわば夢の現のはざまの世界。意思の強さがそのまま現実に影響を及ぼす世界であり、理想と真実が混ざり合った灰色の世界なのだ。

「コジョンド!」

「メア!」

 トレーナーの声に応えて、ポケモンたちはもう何度目とも知れない衝突のあと、弾けるようにトレーナーの前に戻ってくる。

 もう両者とも、残りの体力はわずか。コジョンドは肩で息をしているし、メアも満身創痍の状態だ。一撃、クリーンヒットを食うだけで戦闘不能に陥ることは明白だった。

 コジョンドがちらりと振り返っておれに許可を求め、おれはこくりと頷いた。

 真正面。メアの後ろに立っておれを見据えるはかせの姿は、いまやおれと変わらないくらいの年齢の少年になっている。

 かつてこの地方のジムバッジを制覇し、ポケモンリーグさせ呑み込もうとしていたころの、才能溢れるポケモントレーナーとしてのはかせの姿が、時を越えておれの前に蘇っているのだ。

 おれと目が合うと、はかせはその顔に獰猛な戦意を帯びた笑みを浮かべて、おれもそれにつられて歯をむき出しにして笑った。

 スクール時代からフキヨセジムでのバトルまで、積み重ねたバトルの経験がおれに与えた、勝負師の「勘」のようなもの。それが、頭の中で告げている。

 ここが、勝負どころだ。どんなに拮抗したバトルにも必ず訪れる、「分け目」の瞬間。混沌とした灰色の戦況に、勝者(シロ)敗者(クロ)という秩序を生み出してしまう、決定的な「そのとき」が来たのだと。

 こういうとき、おれがコジョンドに与える指示は、いつも決まっていた。コジョンドが覚えて以来、バトルの最後を託す切り札として、気の遠くなるような時間を費やして錬磨してきた。これまで何度もおれたちに勝利をもたらしてくれたその技を。

 いま、ここで。

 刹那ののち、示し合わせたように、おれとはかせは同時に叫んでいた。

「コジョンド、『とびひざげり』!!」

「メア、『サイコキネシス』!!」

 おれとはかせの見つめる先で、コジョンドとメア、それぞれの最高の一撃が激突し、次の瞬間、世界は真っ白に炸裂した。

 

 

 

★★★

 

 

 

 そして、研究所を発つ日がやってきた。

 早朝に目を覚ましたおれは、はかせと二人で最後となる朝食を共にしていた。メニューは数種類のサンドイッチで、これははかせが腕によりをかけて作ってくれた。朝食が始まってからしばらくは会話はなく、食器のかちゃかちゃと鳴る音だけが、二人の間を満たしている。決して気まずい沈黙ではない。おれには、間を持たせるために無理に話さなくてもよい関係というのは、話さなければならない関係よりもよほど強力な信頼の表れである気がして、少しうれしかった。

 ゆっくりと朝食を口に運びながら、おもむろにはかせが口を開いた。

「少年、君には、感謝してもし切れないくらいの恩を受けたね。本当にありがとう」

 唐突に切り出され、おれはわずかに狼狽える。スクール時代からひとりぼっちが長かったせいで、こういった直接的なコミュニケーションにはまだ慣れていないのだ。

「いや、えっと、おれも一応長い間泊めてもらったわけですし、助手として働いただけというか……」

 素直に感謝を受け止めなられないおれを、はかせはあのにこにこ顔で見守っている。この三ヶ月は毎日顔を合わせていたはずだが、この表情は久しぶりに見たような気がする。

「君はぼくの人生に、かけがえのない贈り物をくれた。君がいなければ、絶対に受け取ることができなかった贈り物をね」

「……」

 なんと答えていいのかわからず、おれは黙ってぺこりと頭を下げる。

「訊いてもいいかい?」

「はい、なんですか?」

「あの夢の世界でのバトルで、きみはなぜメアを相手にするのにコジョンドを選んだんだい?」

「別に、大した理由ではありませんけど」

「ぜひとも聞かせておくれ」

「はあ、まあ、そこまでおっしゃるなら」

 おれは少し間を空けて話す内容を吟味してから、再び口を開いた。

「……主に、理由は二つあります。ひとつは、単純に信頼度の問題です。コジョンドはおれが一番最初にゲットしたポケモンで、いわばおれの相棒です。どんなに重要な勝負だろうと、どんなに相性の悪い相手だろうと、おれが最も信頼してバトルを任せることができるポケモンといえば、コジョンドしかいない。これまでもそうしてきたし、これからもおそらくそうだと思います」

「ふむ、なるほど。では、もう一つは?」

「……はかせを見返したかったから、でしょうね」

「ぼくを、見返す?」

「覚えていますか? おれとあなたの初めてのバトルで、あなたはおれのギガイアスをチラチーノで完封しました。視界もフィールドコンディションも最悪な中でのバトルで、あなたはあまりにも鮮やかに、タイプの相性を戦術でひっくり返してみせた。おれはあのとき、トレーナーとしてあなたに完敗を喫したんです。だから今度は、タイプの不利なコジョンドで、あなたのメアを超えてやろうと思った……。多分、そういう気持ちが無意識のうちに働いて、コジョンドを選んだんだと思います。……結局、負けちゃいましたけどね」

 そう、あの夢の世界でのバトルは、最終的にはかせとメアの勝利で終わっていた。

 コジョンドの破格の身体能力と体重の全てを乗せた『とびひざげり』は、メアの『サイコキネシス』を打ち破ることは出来ず、コジョンドは大きく弾き飛ばされてそのまま戦闘不能になったのだ。

 そしてそのまま、おれとコジョンドは夢の世界から現実へと帰還することになった。おれとコジョンドが夢から戻ったとき、すでにはかせとメアは目覚めていた。当然だが、はかせの姿は元の白衣の老人に戻っており、あの世界は本当に夢の中だったのだと、そのとき初めて実感できた。

 はかせは緊張した面持ちで、メアを見ていた。メアも普段閉じているはずの両目をぱっちりと開いて、はかせのことを見つめていた。一人と一匹が向かい合う様子を、おれとコジョンドは黙って見守っていた。

 はかせは、おそるおそる口を開いた。

「メア……?」

 声は震えて、語尾は掠れてしまっていた。なけなしの勇気を振り絞った一声だった。

『おはよう、ニゲラ』

 その声は、空間に染み渡るように聞こえた。耳や頭蓋骨を透過して、意識に直接染み渡るような声音。それはテレパシー装置を被ったままだったおれとコジョンドにも聞こえてきていた。

「夢じゃ、ないのか……?」

『ええ、今度はちゃんと現実。夢の世界じゃないわ』

 はかせはそこで、まるで子供のようにメアにすがりついて泣いた。わんわんと声を上げて泣くはかせを、メアは安心させるようにゆっくりとあやしていて、おれはテレパシー装置を取ると、メアにちらりと目くばせしたあと、コジョンドを伴って部屋を後にしたのだった。

 はかせが、しみじみと言う。

「なるほど、初日のバトルをね。それは、残念だなあ」

「ええ、とても。――もはや、叶わぬ夢になってしまいましたから」

 あの日、コジョンドとおれははかせとメアの前に敗れ去り、そしてもう二度と、リベンジマッチをすることは叶わない。はかせがメアとの繋がりを取り戻して、ちょうど一週間後、メアは息を引き取ったからだ。

 幸福だったその一週間を振り返って、はかせは言う。

「本当に、奇跡のような時間だった」

 あの日から、はかせとメアは片時も離れることなく、互いのためだけに互いの時間を使って過ごした。失った五十年を取り戻すように、心を通わせ合って一人と一匹だけの時間をゆっくりと味わったのだ。

 おれはポケモンたちと協力して、彼らができるだけ長い間一緒にいられるように、身の回りのことを全てこなした。おれもコジョンドもテレパシー装置は外していたから、彼らがその間にどんな話をして、どんなふうにお互いを確かめ合ったのか詳しくはわからない。

 それでいいと思う。確かなことは、彼らが真の幸せの中で、心と時間を共有することができたという、その事実だけでじゅうぶんだ。

 そして、最後の時はやってきた。メアは最期、()()()()()息を引き取った。常に目を瞑っていて、覚醒と睡眠の境界が曖昧なムシャーナというポケモンだけれど、生物が命を失う瞬間というものは不思議と神秘的な気配を伴うもので、おれにもはっきりと、その瞬間を察知することができた。

 半身の死を思って、はかせはぽつりとつぶやく。

「なぜだろうね。不思議と、悲しみは無いんだ。もちろん彼女にもう会えないというのは寂しいけれど、それ以上に、彼女に終わりに納得している自分がいる。これでよかったんだって、思えている自分がいるんだよ」

 ここではないどこか遠いところを眺めながら、はかせはにこりと笑った。

 メアが息を引き取ったあと、おれとはかせは二人でタワーオブヘブンの共同墓地にムシャーナを埋葬した。タワーオブヘブンは7番道路の途中にあるポケモンたちの墓が集まった塔で、その名の通り天国へ続く階段のような静謐さを備えた建物だ。はかせは旅の日誌やジムバッジケースなどと一緒に、テレパシー装置を副葬品として埋葬した。

 棺を埋めるとき、おれは思わずはかせに訊いてしまった。

「その装置、埋めてしまうんですか?」

「うん。これは多分日誌やジムバッジ以上に、ぼくが彼女のことを思っていた証になると思うからね。天国では楽しい気持ちでいてもらいたいけど、ぼくがどれくらい彼女のことを思っていたのかも、忘れないでいてもらいたいんだ」

「でも、すごい発明品なんですよね? 五十年もかけて作った、はかせの集大成だって言っていたじゃないですか。学会で発表すれば、きっと大きな評価になりますよ」

「かけた時間やコストは、問題じゃないんだ。ぼくは飢えているわけではないし、儲けようとか目立とうと思って作ったものではないからね」

 おれにははかせの主張に納得がいかなかった。これほどの偉業を成し遂げた人物が、皆に認められないのは許容し難い世界の「バグ」であるような気がしたのだ。

 おれが難しい顔をしていると、はかせは笑って言った。

「前に話したろう? ぼくはかつて目立ちたがりの傲慢な若者だった。才能を持て余し、増長した挙句に何よりも大切な半身を傷つけた。それは全て、本当に必要なもの以上のものをぼくが得ようとしたことが原因だったんだ。だからぼくは、彼女と心を繋げる目的で作ったこの装置を、それ以上の目的には使わないと決めていた。彼女は確かに最後に全てを許してくれたけれど、教訓はしっかり生かさないと怒られてしまうよ」

 はかせの表情は見惚れるほど晴れ晴れとしていて、そこには本当に、ひとかけらの未練も残っていなかった。

 おれは自分の未熟が恥ずかしくなり、同時に、はかせのことを強い人だと思った。なぜそんな感想を抱いたのだろうと、ずっと考えていたけれど、つい先ほど、ようやく答えらしきものにたどり着いた。

 要するに、はかせは受け入れたのだ。自分の弱さを、過去の罪を、耐えがたいはずの半身の死さえ受け入れて、その上でもう一度生きていこうと決断を下した。

 それにひきかえおれは、フキヨセジムでの敗戦からずっと、辛いものから逃げていた。自分の才能を否定する強者の存在や、敗北という事実そのものから逃げて、言い訳を欲しがった挙句に、ねじ山を越えようとした。弱さを突っ撥ねて、おれは弱くない、弱くないから強いのだと主張しようとしたわけだ。弱くないことが、強いということだと思っていたから。

 だけど、そうじゃないということを、おれははかせから学んだ。弱さを突っ撥ねたら強さが見つかるのではない。弱さを受け入れて、呑み込んだ上で一歩を踏み出せる人が、強さを手に入れるのだと教えられた。ならば、はかせがそうしたように、おれも。教訓は、生かさねばならないだろう。

 すでにサンドイッチを食べ終え、コーヒーを飲んでいるはかせに、おれは言う。

「はかせ、おれ、ねじ山に行くのはやめにしました」

「それはまた唐突だね。それじゃあ、これからどうするんだい?」

「フキヨセシティに戻ります。忘れ物を、思い出したので」

「そうかい……そうだね、うん。忘れ物は早いうちに取りに行くべきだ」

 はかせは相変わらずにこにことそう言って、おれもまた、つられて笑った。

 朝食を食べ終えたおれは荷物を持って研究所を辞した。久々に背負うバックパックはずっしりと重く、その重みが三ヵ月より以前の記憶を否応なく呼び覚ます。

 腰にモンスターボールを全て取り付け、おれは見送りに出てきてくれたはかせに頭を下げた。

「本当に、お世話になりました。ここでの経験は、たぶん一生忘れません。ありがとうございました」

「ああ、気を付けて行きなさい。ジム制覇がんばって。応援しているよ」

「はい、はかせもお元気で」

 おれは振り返って、歩き出す。頭の中では研究所で過ごした日々がフラッシュバックしていて、おれは名残惜しい気持ちに囚われる。

 そのおれの背中に、はかせが声をかける。

「最後にひとつだけ。長年研究してきたぼくにはわかる。少年、きみもまた、ポケモンと心を通わせる感応者の素質を持っている。その才に飲み込まれることなく、一歩一歩を踏みしめて歩きなさい。大丈夫、きみにはぼくよりもずっと才能がある。

 ――きみなら、いつかこのイッシュのチャンピオンにだってなれるよ」

 最後の最後に、そんな『おいかぜ』を吹かせて、はかせはおれの背中を押してくれた。

 これなら、大丈夫だ。おれは歩いて行ける。ポケモンたちと一緒なら、どこまでだって。

 はかせから貰ったたくさんの経験を胸の中にしっかりしまいこんで。

 七番道路をフキヨセシティの方角へ、おれは一歩を踏み出した。




というわけで、ポケモン二次創作でした。

ポケモンBWと言えば初めて地方のモデルが海外に移ったシリーズとしておなじみです。イッシュ地方のモデルはアメリカのニューヨーク周辺らしいですが、キリスト教のモチーフがそこかしこに散りばめられていたり、ストーリーにも示唆的なところがあってなかなかに魅力的でした。
小話として有名なところでは、御三家ポケモンはダイケンキが和風、エンブオーが中華、ジャローダが洋風をイメージしてデザインされているとか、あとは、「イッシュ地方」というネーミングも、多種多様な人種や文化が集まって一種(イッシュ)類に見えるアメリカの文化を反映しているらしい、というのもありますよね。
ポケモンというゲームはただ遊ぶだけでも楽しいですが、製作者側の視点に立ってみるとさらに味わいが増す稀有な作品だと思います。その雰囲気を少しでも作品に取り入れようといろいろ努力をしてみたつもりですが、うまくいったかどうかはわかりません。

最後になりましたが、ここまで読了してくださった読者のみなさま、ありがとうございました。感想、評価等ぜひともよろしくお願いします。

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