ロックマンエグゼ6 〜熱斗くんにいとこがいるだけの話〜   作:ぴんころ

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第一話

「玲惟、メールが届いているわ」

 

「ん、読み上げてもらってもいいか?」

 

 高校生程度の少年、蒼井玲惟は引っ越しを終えて荷物を片付けている最中に己の『PErsonal Terminal(個人用携帯端末)』……通称PETから聞こえてきた声に、己のPCの設置を行いながら返答する。

 聞こえてきた声の持ち主は彼の持つネットワークナビゲーションプログラム、つまりはネットナビである。

 少女型のナビがその頼みに答えてPETに届いたメールを開く。

 

「……プリンセス・プライドからね」

 

 無口な彼女の声が、常人にはまるでわからない程度で普段のそれよりも不機嫌なものになったことを玲惟は察した。

 それぐらいはできる程度には、彼女との付き合いも長いものだったから。

 ただ、彼が言葉にする前にその少女型ナビは頼まれた通りにメールを読み上げ始める。

 

「拝啓、蒼井玲惟殿」

 

 その文章は、メールであるにもかかわらずプリンセスにふさわしく礼儀正しい一言から始まっていた。

 

 引っ越しをしたと聞きました。

 引っ越し祝い、というのもおかしいかもしれませんが、以前のネビュラ事件の時に言った、クリームランドで新しく作ったPETともう一つ。

 ちょっとしたプログラムをこのメールに添付しておいたので確認してもらえるとありがたいです。

 

「ですって。どうする、今この場で添付されたプログラムを開く?」

 

 どっこいしょ、と最後にパソコンをセットしてから玲惟はPETを腕にバンドで取り付けて首を横に振る。

 

「今日の夜にでも確認するよ。今からは、この街の探索に行こうぜ」

 

「わかったわ」

 

 引っ越し初日、この街に何があるのかの確認をしておきたいという気持ちの方が大きい。

 かつてはゴスペルのオペレーターとして敵対した、そして最近の事件ではチーム・オブ・カーネルの仲間として戦ったプリンセス・プライドから送られてきたプログラム、気にならないわけではなかったのだが、その確認に時間がかかる可能性も考えれば、夜の時間があるときにでもしておきたいと思ったのだ。

 

「母さん、熱斗は?」

 

「熱斗ならもう出かけたわよ。街の様子を見てくるって」

 

 蒼井玲惟。

 彼は今、光一家と共に暮らしている。

 それは、彼の両親がとある飛行機事故に巻き込まれてしまい、彼を残して死んでしまったため。

 父方のいとこである光夫妻のところに引き取られたのだ。

 当時三歳の弟もできて、最初の頃は塞ぎ込んでいたのだが、弟の性格も合わさって今となってはその時の状況からは予想もできないほどに明るさを取り戻していた。

 

「じゃ、俺も行ってきます!」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

「それで、プログラムを開けばいいのよね?」

 

「ああ、頼むよ」

 

 これまでのWWWのように、あるいはネビュラやゴスペルのような悪の組織なんて存在するわけもなく、それらが原因の何かしらの事件が起きるわけもなく、ウィルスに侵された電子機器なんてものもそんなどこにでも転がっているわけもなく、問題なく探索を終えて帰って来た夜、玲惟は己のナビにプログラムを開くように頼んでいた。

 翌日からは学校なのだ。そんな事件に気を取られて街を回ることができずに学校の位置がわからない、ということにでもなれば転校初日から遅刻という恥ずかしいことになってしまいかねない。

 玲惟は、それはごめんだった。

 そのため、添付されたプログラムが何かを確かめるまでの間に明日の登校時の用意をしておいて、そしてナビからの開き終えたという連絡が来たことで、一度その手を止めてPETの前に戻ってくる。

 

玲惟 は 『プライドフォルダ』 を 手に入れた。

 

「……これって、チップデータか?」

 

「チップじゃなくてフォルダみたいね」

 

 用意をしている時間が取れる程度には解凍までの時間がかかったのでただのプログラムではないだろうとは思っていたようだが、さすがにそれがチップフォルダ……三十枚のウィルスバスティングの時に扱うバトルチップで構成されたフォルダとまでは思わなかったのか、驚きに目を見開いている。

 

「プライドが使ってる……ってわけじゃなさそうだなこのフォルダ」

 

「そうなの……?」

 

「ああ」

 

 彼女の保有しているナビはナイトマン。頑健な体と鉄球による攻撃を得意とするネットナビ。

 だが、このフォルダを見ているとどちらかといえばナイトマンの補助をしたりするよりも、防御に思考をおいているフォルダに思えて他ならない。

 よって、これがプライドの扱うフォルダではないのだと判断した。

 

「どっちかっていうと……お前に沿ったフォルダ?」

 

 そう言ってしっくりと来た、という表情になる玲惟。

 彼のネットナビは戦うことを嫌っているので、これまでの事件の際も後方支援に入っていた。

 それに合わせる形なのか、このフォルダには『バリア』『ドリームオーラ』『リカバリー』などの支援用のチップが多い。

 ……戦うことが嫌いというだけで、戦えないというわけではない、それどころか一度戦うと決めてしまえばかなりの能力を発揮するのが彼女のすごいところなので、要するにこれは『彼女が戦うと決めるまでの時間を稼ぐ』ことを目的としたフォルダに思える。

 

「……まあ、プライドからもらったこのフォルダとPETはもしもの時のための予備として持っておこうか」

 

「うん、そうしてもらえると嬉しいわ」

 

 ただ、いきなりもらったばかりのものを使いこなせるか、と言われると不安が残るために一度お蔵入りすることになったよう。

 一応あとで使ってはみるようだが、このナビのオペレーターである彼が組んだフォルダの方が、これまで使って来たことも合わせて使いやすいだろう、という考え。

 そしてナビも、オペレーターもプライドも、どちらも自分のために組んでくれたフォルダだとはわかっているために、特に何かを言うこともない。

 

「……そろそろ寝ましょう? 明日からは学校なんだから」

 

「うん、そうだな」

 

 その言葉に促されるようにして、女性型のナビであることも考慮して一度PETの画面を隠してから寝巻きに着替えて、PETを充電器に差し込んでからベッドに入る。

 

「……おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

 

 少女の声を耳にしてから、少年は眠りについた。

 

 

 

 

 

「コピーロイド……?」

 

「ああ、そうか。そういえば君は引っ越して来たばかりだから知らないのも無理はないか」

 

 翌日、転校初日となるその日に受けた授業で彼はまるで見知らぬ言葉を聞いた。

 

 コピーロイド。

 

 「現実世界にネットナビを呼び出す」特殊な機械。

 このロボットに向けてネットナビを送り込むことによって外見がそのネットナビに変化。現実世界にネットナビを呼び出すことが可能となった。

 水中で活動するナビ等もいるためボディは人間が活動出来ない様な特殊環境にも耐える様式となっており、インストールされたナビの戦闘力も再現することが出来る。

 もちろん悪用されることを考慮してフルにナビの戦闘力を発揮出来ない様にはなってはいる。

 

 そういった説明を玲惟に対して行って、そして何事かを考えた担任教師が頷く。

 

「うん、そうだな。まずは何事も体験だ。蒼井くん、試してみるかね?」

 

「あ、はい」

 

 その言葉に促されるようにして、彼は教卓横に連れてこられたコピーロイドの前に来て、わずかに緊張で震える手を隠しながらPETを手に持つ。

 操作によって赤外線機能がONになり、準備ができたことを彼に対して示す。

 待機状態のPETをそちらに向けて少年が叫んだ。

 

「プラグイン! ()()()().EXE トランスミッション!」

 

 そして、送り込まれたことを示すようにコピーロイドの外見が変わっていく。

 蝶形の髪飾りをつけた、一見して普通の少女にしか見えない姿に。

 彼女こそが彼のネットナビであるアイリス。

 彼がお世話になっている光家の次男である熱斗、彼は自らの兄の生まれ変わりといってもいいロックマンとパルストランスミッションによって出会ったことはあったが、玲惟が自らのナビと出会ったのはこれが初めてだった。




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ついでに両親が巻き込まれた事故は2、3のボスであるシュンの両親が巻き込まれたのと同じもの。
父方のいとこであるので、一応ネットバトルの腕前とか科学者としてのあれこれはある。

アイリスを死なせないための方法→まずは合体した時の爆破プログラムがどっちに植え付けられてるか→いいや、アイリスってことにしとけ→パパならどうにかできるやろ→終了。
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