ロックマンエグゼ6 〜熱斗くんにいとこがいるだけの話〜   作:ぴんころ

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第十一話

「さすが、ですね」

 

「……一度も戦ったことなかったと思うんだけど」

 

「それでも、以前のトーナメントの時に汎用ナビで水没したインターネットの中、アクアマンを探し当ててくれたじゃないですか。あの時のオペレート技術を覚えてましたから、あなたがあなたのための専用のナビをオペレートしたらこういう結果になってもおかしくはないと想像がつきますよ」

 

 アクアマンを倒した直後、舟子はアクアマンを復活させながら授業のまとめに入る。

 

「バトルは水の流れのごとく、流れに逆らわずにそれを利用する柔らかさと、荒波のような激しさの攻撃が必要となるんです」

 

 教えるまでもなかったみたいですけど、と苦笑する舟子の視線は、戦いが始まる前とは違って少しだけ、けれど誰が見ても目に見えるほどに機嫌が良さそうなアイリスに。

 フルシンクロ状態に入れたことがそれだけ嬉しかったようだ。

 

「玲惟さん、これで最終試験は終わりです。今日からアクアマンはあなたのリンクナビになります」

 

アクアマンが 玲惟の リンクナビになった!!

 

 熱斗が普段からやっているものと同じように思わずガッツポーズをとったが、彼にはリンクナビがどういうものなのかはよくわかっていない。

 ついでにリンク”ナビ”を手に入れた、ということでアイリスの機嫌がまた少し悪くなった。

 

「やったぜ! ……で、リンクナビって何さ?」

 

「え〜っと……簡単に言いますとね……」

 

 少し悩んで。

 

「アクアマンもアイリスちゃんと同じように、あなたと通じ合えるようになったということです。これからはアクアマンも好きな時にオペレートしても構いません」

 

 フルシンクロの下地ができたということだ、と説明をする。

 ”通じ合えるようになった”と”通じ合っている”では話は別、そのため、普通のオペレーターとナビのような関係性の第一歩目を踏み出した状態なのだ、と。

 だから、アクアマンをオペレートする権利を得たのだ、と。

 

「玲惟さんは授業を通して、アクアマンをオペレートするテクニックと、水を操る力……それを持ったナビをオペレートできるだけの技術を手にしたんです」

 

 そう言った彼女は一度言葉を区切る。

 そして鞄の中から一つのチップを取り出して、それを玲惟に向けて差し出した。

 

「これをどうぞ」

 

「これは……?」

 

「あなたが水を操る力を手にしたことの証のようなものです。PETにデータをインストールして見てください」

 

 言われて、アイリスにも了承を取ってからバトルチップと同じ要領でセット。

 インストールの間に、このチップについての説明を受ける。

 

「この授業が始まる前にも説明したと思いますけど、私がここに来たのは『クロスシステム』についての授業のこともあります。

 このチップは私の試験を突破した人にインストールしてもらうデータが入っていて、その中身はアクアマンの力を上乗せした姿……アクアクロスになるためのデータです。

 私の授業を理解してもらえば、水を操る力を上乗せしたとしてもオペレートできるはずなので」

 

「そんなものが……」

 

 会話が終わったと同時、ぴろん、という音とともに『インストールが完了しました』というメッセージがPETの画面に表示された。

 

「アイリス、変なところとかないか?」

 

「ええ……大丈夫。……でも、変化があったのかしら?」

 

 姿を見せたアイリスに尋ねれば問題はない、という返答。

 それを聞いてから、取得(インストール)されたデータを再度、今度は玲惟が持つデータの入っていない空のチップに移し終えたことで準備は完了。

 無地のチップはアクアマンのナビマークが描かれたものへと変化した。

 

「まあ、普通はわからないですよね!」

 

 そこに笑顔の舟子の言葉。

 さすがにここまで、『最新の技術』やら『使えるようになった』などと期待させるような言葉を言っておいてさすがにそれはないだろう、というジト目が二人ぶん向けられる。

 

「な、なので実戦で試すための練習用プログラムも用意してあるんです」

 

「なるほど……先生が監修する中で実践のアフターサービスまでちゃんとしているわけか」

 

「試しますか?」

 

「やるか、アイリス?」

 

 こくり、と頷いた彼女を見てお願いしますと玲惟も言う。

 練習用プログラム、インストール。

 そう言った舟子がインストールを行っている最中、わずかに緊張した空気に。

 初めて使うシステムなのだ、それも無理はない。

 

「よし、それじゃ始めましょうか!」

 

 舟子の言葉とともに、よくある戦闘練習用プログラムが作動した。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、まずはそのチップ……クロスチップを」

 

「スロットイン」

 

 データを読み取れば、展開されたフィールドでウィルスの真正面に立っているアイリスにアクアマンの幻影とでも呼ぶべき状態となったデータが重なり、姿が変化する。

 

「おおー!」

 

 アイリスの姿が変化する。

 これまでとは違って、アクアマンという後付けの力を追加されたことでアクアクロスになった彼女自身の武装ということなのか水鉄砲を持ち、髪の色もアクアマンを思わせる水色に。

 髪の色が変化しただけでもかなり印象が変わるというのに、服装までも変化している。

 これまでのものから、白いノースリーブのセーラー服と紺色のスカート。

 そしてその上に透明ながらも水色のコートか、あるいは羽衣か。そう言った類のどことなく緩やかな、まるで天女か何かを思わせる服を羽織っている。

 アイリスも女の子なので、おしゃれをできたという事実にはどことなく嬉しそうな、恥ずかしそうな表情を見せている。

 

「多分、水兵が着てるからセーラー服なんでしょうね」

 

 それを見ていた舟子もこんな形で現れるとは思っていなかったのか少し驚いたような顔。

 そして、アクアクロスについての説明を終えたところで、バトルプログラムが開始される。

 フルシンクロ状態になった今、チップを送る必要もないぐらいに完全なオペレートができて、アクアクロス状態で手に持つ水鉄砲から発射される弾丸代わりの水によってメットールたちがデリートされる。

 

「うん、これなら教えることはなさそうですね」

 

「ありがとう、舟子さん」

 

 それは三つの理由で。

 単純にアイリスの強化と、彼女が現実に出てくるようになってから娘ができたように喜んでいた叔母さんが『アイリスちゃんをおめかしさせてあげられないのはねぇ……』と唯一残念がっていた部分の解消にもなりそうだったから。

 さらにはアイリスまで機嫌が良さそう、ということであればもはや感謝しない理由はない。

 少しだけ、始まる前は面倒だと思っていた気持ちもすでに残ってはいない。

 

 素直な気持ちを述べて、彼は学校から帰宅するのだった。

 

 

 

 

 

「兄さん、明日の放課後にセントラルエリア3でダンスショーをするんだって!」

 

「へえ……」

 

 夕食を終えて少し経って。

 『現実世界でもナビが助けることができる』ことを目的としているのか、コピーロイドであってもクロスシステムは使用可能だったために、アイリスのセーラー服姿を見た光はる香は少しだけ暴走して髪型をいじったりしていた。

 アイリスもアイリスで戸惑ってはいるものの嫌がってはいないことを玲惟も察していたので、しばらくの間はそちらに任せて熱斗から伝えられたダンスショーについての情報をもう少し詳しく聞いていた。

 

「ふぅん、万博開催記念にね……。まあ、楽しんでくればいいんじゃないか?」

 

「あれ、兄さんは参加しないの?」

 

「俺はまだその時間帯は授業なの」

 

「あー……じゃあしょうがないか。兄さんも来られるようなら見に来なよ」

 

「わかってるって」

 

 そう言いながらアイリスの方に視線を向ければクロスシステムのことを理解していないのか、はる香が『着替えられたわけだし』と様々な服装をチャレンジさせようとしている。

 どう説明すればいいのかわからなくなってオロオロとしていたので、さすがにそこには助けに入り、今度時間があるときにでも説明しないと、と思いながら”あらあらうふふ”と笑っている彼女に嫌な予感を覚えながらアイリスのことを引っ張って部屋に連れて戻るのだった。

 

「大丈夫?」

 

「ええ……」

 

 落ち着けば、二人きりでさらにはアイリスが普段とは違う服装という事実が大きく見えてくる。

 少しだけ緊張が走る中、アイリスはスカートの裾を握りしめて頬を少しだけ赤くしながら、

 

「その……似合ってる……?」

 

 狙っていたわけではないのだろうが背丈の差のせいで上目遣いになるような形で問いかけた。

 

「ああ……うん、似合ってる……けど……」

 

 そんな状況下では普段のような受け答えも難しく。

 アイリスがはる香の暴走に巻き込まれたことによってコピーロイドのバッテリーが切れかけていたのがこれほどまでに頼りになったことはなかったのだった。




アイリスのコスプレ姿(クロス状態)の絵、誰か描いて……髪型……スカート丈……全部お任せよ……あなたの趣味にできるのよ……丈が短くて恥ずかしそうなアイリスも……逆に足元まで全部隠れてるのも……思いのままよ……
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