ロックマンエグゼ6 〜熱斗くんにいとこがいるだけの話〜   作:ぴんころ

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第十七話

「ようこそお集まりくださいました。こちらでは、ただいま万博パビリオンのオペレーターナビの選抜予選を行なっております!」

 

 祐一朗に対してメールを送った後、アイリスはセントラルエリア3にまでやってきた。

 祐一朗に何か交渉材料を用意してもらったとしても、まずはオペレーターナビにならないことには相手との交渉の場にまで持ち込めない。

 そのため、アイリスのことをよく知らない相手からしてみたらよくわからないのだが、アイリスのことを知っている面々が見れば一発でわかる程度にはやる気があるのだった。

 

「オペレーターナビに選ばれる条件、それは……」

 

 勿体ぶる選考会の説明をするナビ。

 この場にはロックマンはいない。

 アイリスが選考会に参加すると聞いて驚いていた熱斗にも事情を説明した結果、彼は選考会に参加することをやめたのだ。

 

「才葉シティで最も優秀なナビであることです。……よって、この選抜予選では皆様のあらゆる能力を試させていただきます!」

 

 その言葉とともに、二人いる選考会の説明用のナビのもう一人が前に出る。

 内容の詳しい説明はそちらが行うらしい。

 

「では、本日行う一次予選の説明をさせていただきます。一次予選で試させていただくのは、皆さんの頭脳! これから私のいうものをよく考えて探し出して来てください。まず最初に探して来ていただくもの、それは……」

 

 そして、選考会は始まった。

 

 

 

 

 

「”電脳アシカ”ねぇ……」

 

 呟いたものは探さなければならないもの。

 この才葉シティのことをよく知らないが、”電脳”とついているからには電脳世界に存在するものであり、アシカというからには海、あるいは水関係のところにでもいるのだろうと判断して、シーサイドタウンにまでやって来ている。

 ヒントでも水族館を示すような言葉を言われていたので、これで間違いはないのだろうが。

 

「さすがに頭脳を試されてるのに人から情報をもらうわけにもいかないだろうし、やって来てみたのはいいけれど……」

 

 とりあえず、シーサイドエリアに入ることにしようと思って、街の人にシーサイドエリアにはどこから入ることができるのかを尋ねてみれば、この街の公共施設の中では水族館のHPだけが繋がっているという。

 その話を聞いたので水族館に入り(高校生には少し痛い出費ではあったが)、スタッフに話を聞いてホームページにプラグイン。

 さあ探すぞ、と勢い込んでいると。

 

「……このホームページの壁紙、アシカね」

 

「……いやいや、さすがにないだろ。普通に考えてあの言い方だったら、電脳アシカっていうのがいるって考えた方が」

 

「あ、いた」

 

 いいだろう、と言おうとしたところでアイリスが同じ見た目の女性ナビを発見する。

 正解の場所には同じ見た目の女性ナビがいるのだとあの選考会のナビは言っていたので、きっとこれで正解なのだろう。

 ええ、と思わないわけではなかったが見つかったのであればそれはそれでいい。

 そういうことなのだ、とどうにか自分を納得させてアイリスをそこまでオペレートする。

 ついでにその道中にいたプログラムくんから相互リンクを貼らないかと言われて許諾したりもしたのだが、そういった行動を終えて話しかけると。

 

「オペレーターナビ選抜予選の参加者の方ですか? そうです、『電脳アシカ』はこちらです! 第一問はクリアです! でも油断しないでくださいね! まだまだ問題は続きますよ。続いて第二問! 泳げない魚を探してください!」

 

「泳げない魚……?」

 

「はい! それと、この問題では現実世界からでないと目的地にはたどり着けません。よく、頭を使ってくださいね」

 

 その言葉にアイリスはPETの画面があるとわかっている上空を見つめる。

 プラグアウトして次の場所へと向かいましょう、ということだ。

 それぐらいは言葉にされずともわかる間柄なので、玲惟も何も言わずにプラグアウトしてアイリスをPETに戻す。

 

「どこにあるのかわかる?」

 

「まあ、なんとなくは……」

 

 ”魚”ということで次もまたシーサイドタウン。

 そして、この万博予選の『ナビが待っている』という性質からプラグインできるもの……つまりは本物の魚ではない。

 さらには泳げない、ということは魚の形をしたロボットという選択肢も消える。

 そうなるとあり得るのは。

 

「魚のぬいぐるみか、もしくはたい焼き屋あたりかな」

 

 この街にあるもので泳げないものはそれぐらいしか彼の目には止まらなかった。

 とりあえず、まずはぬいぐるみ屋で魚のぬいぐるみでプラグイン端子がついているものはないのか、ということを尋ねたのだがそれはないと言われ。

 

「ってことはたい焼き屋か……」

 

「もし違ったらどうするの?」

 

「その場合はその場合でもう一回考え直すさ」

 

 たい焼き器はプラグインできる構造になっている様子。

 早速プラグイン、と言いたいところなのだが。

 

「おばちゃん、たい焼き一つ」

 

「はいよ」

 

 さすがに店側からすれば邪魔にしかならないであろうその行為を平然とできるはずもなく。

 とりあえず売り上げに貢献してから頼んでみれば、変なことも特になく許可を得られた。

 

「ここが答えだってわかると許可も得ずにプラグインしようとする子供が多くてねぇ……」

 

「あはは……」

 

 そんな愚痴を聞き届けてプラグイン。

 実はここでちゃんと許可を得られるのかどうかも選考内容らしい。

 子供が参加しているのは別に問題はなく、たい焼きを買わないことも彼らのお小遣いのことを考えればしょうがないことではあるのだが、それでも礼儀正しくできるかどうかは万博の顔になるオペレーターナビを選ぶ関係上大事なこと、だそうだ。

 

「どうやら正解にたどり着いたようですね」

 

 入って話しかければ、アイリスがオペレーターナビの選考に参加していることは知られていた。

 おそらく、電脳アシカを発見した時点で報告されているのだろう。

 逆に、知らされていないナビが来たとしても追い返されるだけ。

 

「次が最終問題です。最後に探していただくもの……それはこんな口癖を持っています」

 

 ”私はいつもザリガニを見ている”

 

「さあ、なんのことだかわかりましたか? 一次予選突破は目前です、頑張っていきましょう!」

 

 

 

 

 

「玲惟、わかったの?」

 

「なんとなく、かなぁ……」

 

 ザリガニは水族館にはいなかった。

 そもそも才葉シティで行われる万博なのに、その一部であるシーサイドタウンでしか行わないのはおかしい。

 そう考えれば、ザリガニがいてもおかしくはない場所が彼の中に一つだけ思い浮かんだ。

 

「才葉学園の初等部。才葉シティ唯一の学園で、そこの小学生なら、おたまじゃくしとか、もしかしたらザリガニなんかの世話をしていてもおかしくない」

 

 そして、それをいつも”見ている”のだ。

 プラグインできないといけない機械が。

 つまり、ザリガニを見ていると判断できる何かがその機械にはついているわけで。

 ”いつも”という文言から動いたりするわけではなく、水槽の中にいるザリガニを常に映している機械。

 つまりは監視カメラ。

 そう考えて学園に入れば、かつて熱斗がひどい目にあったと言っていた警備ロボットがやってくる直前のところに受付があったので、そちらに行く。

 

「あの、すみません。万博の選考会のことで……」

 

「こちらでは何も答えられません。……答えられませんが、万博の選考会に参加していることを証明できれば、中の探索許可は得られるはずです。探すためのヒントとして受け取っている言葉がありますよね、そちらをどうぞ」

 

「”私はいつもザリガニを見ている”」

 

「はい、オッケーです。ではこちらを」

 

 そう言って許可証をもらって中に入る。

 そして、ザリガニがいるかどうか各階の教室を探し回れば、ちょうど角度的にザリガニを範囲に含んだプラグインできる監視カメラがある教室を発見。

 プラグインすれば、中にはちゃんと選考会用のナビがいて。

 

「はい、お見事です!」

 

 そう言って、彼らの奮闘を祝福してくれた。

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