今回、過去最多文字の4000字越えです。ヤンデレになると文字数多くなるのはなぜなのか。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
今俺は必死に逃げている。ただ前だけを見て。後ろを振り向けば終わりだ。足を止めても終わりだ。俺に残された道はひたすら走ること。どうにかしてこの迷宮から抜け出さないと…。
(ハァ…ハァ…そろそろ疲れが…。……!あそこに小さな穴が!とにかく今はあそこに身を潜めよう!)
見つけた隠れ場に身を潜める。暫くすると足音が聞こえてきた。
「いたか?」
「いや、こっちにはいない。」
「まだそんなに遠くまでは行ってないはずだ。手分けして探すぞ!」
パタパタパタ…
足音が消えたことを確認して一息ついた。
「くそ…なんでこんなことに…。」
壁にもたれ掛かりながら1人で呟く。だが理由はわかっていた。
そう、弦巻こころだ。
俺とこころは幼なじみでいつも一緒にだった。最初はお互い中のいい親友同士だったのだが、いつからかこころが俺に向けてくる想いに歪みが生じた。
中学の頃、こころは明るくてクラスでも上位レベルで人気があった。だが、彼女に恋をする男子生徒たちがこころと仲のいい俺に嫉妬して悪質ないじめや暴行を始めた。俺はこころに心配かけない為に必死でその事を隠していた。そして何とかいじめに耐え抜いた。
だがある日、俺をいじめていた奴らが忽然といなくなったのだ。
先生は「転校した」と言っていたのだがどうにも不自然だった。突然3、4人纏めて転校なんかするか?そう思っていた俺はこころを見た。しかし、その時俺の背筋に謎の悪寒が走った。
なんせあの太陽みたいな子が…黒い笑みを浮かべていたのだから…。
その後、高校の進路を探すため俺はネットを閲覧していた。俺はこころと一緒のところに行きたかったのだが、あいにく彼女の目指す花咲川女子学園は名前の通りの女子校。彼女は本気で目指していた訳だし無闇に振り回す訳にも行かないだろうと思い俺は他の共学校を受けることに。彼女にもその趣旨を伝えたのだ。
だが驚いたのはここからだ。ある日突然花咲川女子学園が『本校は来年から共学となります』と発表した。そして俺には野球によるスポーツ推薦が来た。
その事をこころに話すと「良いじゃない!またあなたと一緒いられるのはあたしも嬉しいわ!」と言ってくれた。よって俺はその推薦に乗ったのだ。
……しかし、俺は気がついていなかった。
大切な彼女が
その後、高校に入学してからも女の子と接するだけでこころの顔から笑顔が消えた。俺に歯向かう者は気がついた時には俺を見るだけで怯えたりするようになった。
不審に思った俺はその事について色々調べることにした。そしてある日のこと…
「ねえ、あなたはどうしたら笑顔になってくれるのかしら?」
彼女が聞いてきた。
「最近あなたは笑顔じゃない時が多くなってるわ。それはなんで?」
「えっと…なんか凄く不自然な事が起きててさ。ほら、この間俺とぶつかった奴が次の日には俺を見るだけで怯えたりするし…。」
「つまり…原因はその人にあるのかしら?」
「原因っていうより…」
「大丈夫よ!私が何とかしてあげるわ!」
「あなたの笑顔を曇らせる存在は排除しなきゃね…。」
次の日…彼は学校から姿を消した。
「こころ…」
「どうしたの?今日も浮かない顔してるわね。」
「今日いなくなった人なんだけどさ…。」
「彼がどうかしたの?」
「いや、なんで突然いなくなったのかなと…。」
「……なんで?」
「え?」
「あなたに笑顔でいて欲しいから…あなたの笑顔が見たいから私は彼をこの町から消したのに…どうしてあなたは笑ってくれないの?今度は何があなたを曇らせてるの?ねえ…」
「ドウシテ?」
この時の彼女は俺が知っている弦巻こころではなかった。
彼女は俺が知らないうちに狂っていたのだ。
◆ ◆ ◆ ◆
それから俺は彼女から逃げるように部屋から出た。だが彼女の護衛である黒服は俺を捕らえんとしていた。それにここは弦巻家の屋敷。かなりの大きさがあるため素直に外に出れる訳ではなくこうやって屋敷の中で黒服らと鬼ごっこをしていた。
「どうしてしまったんだよこころ…。」
だが俺は今捕まる訳にはいかない。別にこころが嫌いになった訳じゃない。だが今はどうしようもなくこころが怖い。今彼女の元に戻るときっと…何かが崩れる。そんな気がした。
今はどうにかここから抜け出さないと…。そう思って辺りを見回すと近くに小さな抜け道を見つけた。もしかしたらここから抜け出せるかもしれない。そう思い歩みを進める。
それから歩くこと数分。少し暗いが開けたところに出た。奥には明かりが見える。もしかしたら外に出られるかも知れない。少しだけ希望を抱き走り出した。
だが
「やっと来てくれたのね風音!」
その希望は砕けた。あの道はこころの部屋に繋がっていたみたいだ。
「こころ…?」
「どうして逃げるのかしら?あたしはあなたに笑顔になって欲しいだけなのよ?」
「だとしても…あそこまでやる必要は…」
「あるわよ。」
こころは俺の前に来た。そして話を続けた。
「あたしは世界を笑顔にしたい。それ以上にあなたを笑顔にしたいのよ。もしこの世界のせいであなたが笑顔になれないならこんな世界はいらないわ。」
「え?」
「風音は昔言ってくれたわよね?あたしが太陽みたいだって。
じゃああたしが太陽ならあなたは月。あたしがあなたを照らしてあげるわ。だから心配しないで…。」
この時俺は全てを悟った。
彼女はもう俺の知ってる太陽じゃない。
「あたしに全てを任せて。ね?」
その輝きを俺が濁らせたから…。
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あたしは風音のことが好き。
あたしと風音は昔からずっと一緒で兄妹のように仲が良かった。
「風音、あたし達ずっと一緒にいられるかしら?」
「もちろん、ずっと一緒だ。」
嬉しかった。その時からあたしは心に誓った。
風音の為ならどんなことでもすると。
ある日のこと、何時ものように風音と一緒に学校に行くと教室で3人ほどの男子生徒に声をかけられた。
「弦巻さんおはよう!」
「おはよう!」
あいさつをしあった。ただそれだけだった。でもあたしは見逃さなかった。
彼らを見たときから風音が少しだけ怯えているような表情をしたことに。
「ねえ、風音。どうかしたの?」
「えっ?……いや、なんでもない。」
「…?そう?ならいいのだけど…。」
一瞬だが彼の笑顔が曇った。そして先程の男子生徒を見るととても笑っていた。まるで何かお楽しみがあるかのように。
放課後となり、あたしは風音と一緒に帰ろうとした。でも気がつけばそこに風音はいなかった。
彼を探した。彼がよく向かう図書室や自販機のところも見に行った。だけどそこにいなかった。お手洗いだろうかと思い教室に戻って風音を待つことにした時、裏の方から物音が聞こえた。それが気になって音の法に向かうとそこには……
「オラッ!いい気分だな!毎朝毎朝弦巻さんと仲良くしやがって!」
「さっさと吐いたらどうだ?どんな手を使ってこころちゃんを脅迫してるのか。」
「ガハッ…俺は…何もしていない。ただ…こころとは幼なじみなだけ「嘘ついてんじゃねえ!」」
男子生徒の1人は彼が言い終わる前に更なる追撃をかました。
「脅迫なんかしないとお前がこころちゃんと仲良く出来るわけねえだろ。お前みたいな底辺の陰キャがよお!」
「さっさとこいつ始末して弦巻さん助けようぜ。彼女にふさわしいのは俺たちみたいな高貴な奴らだからな。まあこんなやつパパに頼めば権力でどうにでもなるしな。」
そして男子生徒たちは笑いながら立ち去っていった。
許せない。
彼らが憎かった。
こんなことをしてまで風音を苦しめていた彼らが。そして風音の笑顔を奪っていたことが何より許せなかった。
あたしが風音の傍に行くと彼は気を失っていた。体の至るところに痣があることからかなり前からこんな仕打ちを受けていたのだろう。そう思うと心の中の黒い感情が一気に沸き上がってきた。
だからあたしは…
「風音、安心して。」
「あなたはあたしが守るから。」
その後あたしはその男達に復讐をした。といっても暴力的なものではない。
彼らは一人ずつ精神的に追い詰めた。彼らが最も苦手とすること、嫌いなものを調べあげそれらを突きつけた。彼らは日に日に追い詰められていき、やがて耐えられなくなり転校していった。ここよりもうんと遠いところに。
因みにあたしが実行したことは誰も知らない。誰がやったのか、いつ実行したのかそれすらもわからないほど巧妙な手口で行ったからだ。
こうして風音を苦しめる癌はいなくなった。彼も笑顔になれる。そう思った。
数ヵ月後、またしても彼が笑顔じゃないときがあった。どうやら進路のことで悩んでいたらしい。聞くところによるとあたしが行きたい『花咲川女子学園』は女子校、男子は入れない仕組みになっていた。そのため彼は「こころと一緒にいられないかもな。」と言った。それは嫌だった。何よりもし違う学校に行って風音が他の女に盗られることが嫌だった。
だからあたしは弦巻の力で花咲川女子学園を花咲川学園に変えた。
こうすることであたしと風音は一緒にいることが出来、彼の笑顔を守ることが出来る。彼の笑顔を守れるのはあたしだけ。だから側にいてあげなくちゃ。
その一人として風音にぶつかって怪我をさせた男子生徒を精神的に追い詰めた。流石に今回は転校までは追い詰めなかったけど2度と彼に辛い想いをさせないように恐怖を刻み込んだ。
だけどその男は尚も風音を苦しめた。風音を見るだけで怯えて逃げ出したのだという。そして噂では彼がなにかをしたという根も葉もないものが上がり始めていた。
それを聞いたあたしはすぐにその噂を取り消し、原因となった彼を再び追い詰めた。そして彼はこの町からいなくなった。もう2度と戻ってくることは無いだろう。
これで風音が笑顔になってくれると思っていた。だけど…。
彼は笑顔になってくれなかった。
どうして?障害となるものは全て排除したのに。
どうして?何で?今度は何が貴方の笑顔を曇らせているというの?
「消さなきゃ、風音の笑顔の為に。」
だからあたしは…。
「風音、心配しないで。あたしが守ってあげるから。」
彼のために
うん、ヤンデレというより闇落ちっぽい。あれ、意味一緒なのか?←こういうこというとヤンデレ好きの皆さんからぶっ○されそう。
コメントをくださったぴぽさん、ありがとうございました!
高評価やコメントくださるとモチベーション上がるのでよろしくお願いいたします。
次回はるんっ♪な彼女です。
前書きにその話ごとの設定書いた方がいいですか?
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いる
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いらない