ピピピピ…
脇に挟んでいた体温計を出し、数値を見る。そこには37.6と記されていた。
「風邪引いちゃったか…。」
体温計を枕元に戻し再び横になる。
朝起きると体に違和感を感じた。なんだか重力をそのまま背負っているように重かったのだ。何とか起き上がり、支度をしようとしたが今度は動く度に頭痛がした。
キッチンにいた母に今の状態を話すと体温計を渡された。そして計るとこの結果だ。
「美咲、どうだったの?」
「うん、風邪引いたみたい。とりあえず今日は学校休むよ…。」
そう言って再びベッドに横になる。朝ご飯は作ってくれているんだろうけど今は食欲が湧かない。作ってくれた母に申し訳ないと思いながらあたしは天井を眺めていた。
数分後、部屋をノックする音がして誰かが入ってきた。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
妹の華燐が部屋に入ってきて私の元に近づいてきた。
「うん…とりあえずなんとかね。」
「ごはん食べたの?ちゃんと食べないと元気にならないよ?」
「そうだね…。じゃあ…後で食べとくよ…。」
「お母さんが机の上にお粥作って置いてるって言ってたから欲しくなったら食べてね!」
「ありがとう。ほら、華燐も学校行かないと遅刻するよ?」
「うん!それじゃあ行ってきまーす!」
そう言って部屋から出ていった華燐はそのまま学校に向かった。
その後、台所に行くと鍋に入っていたお粥が置かれていた。お茶碗に一杯のお粥をよそって食べる。食欲はあまりないけれど、風邪を引いたときに食べるお粥はなんだかおいしく感じる。食べやすくて水分もしっかり取れるから食欲がなくても食べやすいのもあるんだろう。
お粥を食べた後、家にあった風邪薬を飲んで再びベッドに横になった。お腹が膨れているからか、早くから眠くなってきた。
そのままあたしは睡魔に促されるように眠りについた。
◆ ◆ ◆ ◆
どれだけ寝ただろうか?
最早時計を見る気力がない。まだ体力が回復してないからか、それとも長く寝ていたことで逆に体力を消耗してしまったのかわからない。まだ頭は痛いし、体も熱い。
夏風邪を引くと何時もよりも辛くなると聞いたがまさに今それを実感している。部屋の気温も暑くなっていて扇風機かエアコンをつけて温度を調節しようとしたが、それすらもままならないようだ。
「こんなときにこころか…あいつでも来てくれればな…。」
今ここにいない人たちのことを呟きながらボーッと天井を眺めていた。
いくら学校を休んでいるからとはいえ、こんなときに都合良く来る筈がないのに。そんなことを考えながらもう一度瞼をおろした。いくら横になっているとはいえやっぱり頭痛や体温上昇は感じてしまう。こうなったらやっぱりおとなしくなにも考えずに寝ていた方がいいのだろう。そう思っていると、意識が遠くなるのを感じた。もしかして、ずっと気温の高い部屋にいたから熱中症も上書きされてるのではないかと思ったが、最早考えることすら面倒くさくなりそのまま意識を手放していた。
「美咲~?入るぞ~?」
なんだか聞き覚えのある声が聞こえた。
まるであたしの心情を読み取って駆けつけたかのように来たその人とは…。
「おい、鍵空いてるぞ。無用心だn……うわっ、蒸し暑っ!」
その声を聞いて安心したのか、あたしの意識は遠くなった。
◆ ◆ ◆ ◆
「なんだよここ…。新手のサウナか?」
学校で美咲が風邪をひいて休んだことを聞いた俺は授業が終わると真っ先に美咲の家に向かった。呼び鈴を押したものの返事がなく、ドアノブを捻ると鍵かかかって無かったのでそのまま上がり込んだが、凄く暑い。サウナにでも入ったかのような温度だ。
えっ?何で俺がしれっと美咲の家に上がり込んでいるのかって?それは俺が美咲と幼なじみだからだよ。昔からお互いに遊びに行ってはどちらかの家にお邪魔していたから別に今更……って感じだし。なんという便利な設定
それはさておき、今は美咲の捜索が先決だ。早くしないと手遅れになるかもだし……えっ?風邪じゃそんなにならないだろって?いやいや、風邪を舐めてはいけない。どっかのフルペンネームが某Vtuberの名前にそっくりな字書きは以前夏風邪拗らせて3日程風邪と格闘した上に治ってからも1週間ほど喉が痛かったらしい。まあ、どうでもいいけど。
「それより美咲は…。」
そう言いながら美咲の部屋の扉を開けた。するとそこには風邪と暑さで横になっている美咲がいた。とりあえず部屋の窓を開け、換気をしてから美咲の方に向かう。
「おーい。大丈夫か~?」
ベッドの傍で声をかけるが一向に返事はない。枕元を見ると熱冷まシートが剥がれていたので、彼女のおでこに手を当てると結構熱かった。
「なんか置いてやらないとな…。」
とりあえず持ってきていたタオルを拝借した氷と水を洗面器に汲み、冷やしてから美咲の頭に置く。冷えピタ買ってくれば良かったなと思うものの後の祭りだった。
暫くすると美咲が気がついたのかゆっくりと目を覚ました。
「うん…?」
「あっ、起きたか?」
声をかけるとじーっとこちらを見つめて何も喋らない状態が続いていた。
「か…ざね…?」
「どうも風音です。」
「お見舞い…来たの?」
「モチのロン。」
そう言うとなんだかホッとしたようにこっちを見ていた。うん、何だろ。風邪で頭回ってないからなのかのか、やけに素直である。そんなことを考えてると「ぐうぅぅ~」と腹の虫が泣く音がした。俺のでは無いため、誰のかは直ぐにわかった。
「腹減ってんのか?」
「…うん。」
「何か食べれるものは……お粥でいいか?」
「お粥なら…朝食べた残りが台所にあるけど…。」
「わかった。ちょっと暖め直してくるから待ってろ。」
そう言っておれは台所に行き、お粥が入っている鍋を見つけ、ガスコンロでそれを暖め直す。そして大体暖かくなるとお盆に鍋敷きを置き、その上に熱々の鍋を置く。後は美咲のところまで運ぶだけだ。
「ほら美咲、持ってきていたぞ。」
そう言って目の前の机に鍋を置き、美咲に語りかける。上半身は起き上がった。しかし、当の本人は俺が渡しているレンゲを受け取ろうとしなかった。
「おい、大丈夫か?欲しくないなら無理しなくても「…食べさせて。」そうか、なら食べさせて……は?」
突然美咲の口から発せられた衝撃的な一言。それに少し困惑していた。まさかこいつ、暑さと熱さのあまり体調不良起こして頭ヒャッハーになってるんじゃないよな?皆何言ってるかわからないって?大丈夫、俺もわからない。
「ほら、食えよ。」
「……あーんは?」
「葉?」
「あーんしてよ。」
うん、何だろ…。なんか訳わかんねえわ。美咲があーんしてくれって言ってんだぞ?あのぶっきらぼうでクーデレの美咲があーんだぞ?もう、こっちの頭がヒャッハーしそうなレベルのギャップ萌えがすごいんだけど。
「……あーん…」
「んっ…。」
美咲は俺が掬って差し出したお粥をゆっくりと食べていた。
「美味しい…。何か加えた?」
「いや、暖め直しただけだけど?」
「でも朝食べた時より凄く甘くて美味しい。」
「……お前マジで大丈夫か?」
なんか思考回路だけじゃなく味覚も回らなくなってる可能性が出てきた。
それからしばらくしてなんとか美咲はお粥を食べ終えた。まあ、全部俺が食べさせてあげたんだけど。
「ふう…。なんか美味しくてちょっと食べすぎちゃったかな?」
「じゃあこれ飲んで落ち着いたら早く寝ろよ?」
そう言って持ってきていた風邪薬とあろはすを渡す。俺の言葉通り薬を飲んだ後はおとなしく横になってくれた。
「じゃあ俺は洗い物してまた様子見に来るわ。」
とりあえずは大丈夫そうだし、そろそろおばさんも仕事から帰ってくるし俺はおいとましようかなと思っていたら、美咲は立とうとした俺の服の裾をちょこんと引っ張っていた。
「ねえ…もうちょっと一緒に…いて…?」
と、普段の美咲が言いそうにない一言を熱で火照った表情で言われた。
いやだからマジでヤバいよこの子。普段がちょっとクーデレかんあるだけに風邪引いたときのギャップがヤバいもん。もう普段興味を示してくれない猫が突然すり寄って来るくらいの破壊力あるもん。あ、クーデレと言えば某赤メッシュさんがいるけどあの子も風邪引いたらこう言うことになるのかな?だとしたら破壊力ダイナマイト越えそう。とりあえずモカにでも聞けば…「あだだだだだ!?」
考え事をしていると美咲が俺の皮膚をつねっていた。
「……他の女の子のこと考えてた…?」
「いや、ない。断じてない!」
「………そう?」
なんて勘が良いんだこの子は!
というか何さっきの?嫉妬?嫉妬なの?ちょっとお兄さん聞きたいんだけど?
「…風音……いかないで…。」
なんか泣きそうな目で言われた。ちょっとこの子熱でやられ過ぎて幼児退行してませんかね?
まあ…形はどうであれ俺もここまで言われて見捨てるほど男が廃っちゃいねえからな。
「わかったよ。俺が傍にいてやるよ。」
「ありがとう…。」
そう言って俺の手を握った美咲はしばらく俺の顔を見た後で眠りについた。俺も美咲につられたのかそのまま眠ってしまった。
後、美咲が寝た後でこっそり洗い物行こうかと思ったらなんか握力やばくて全然離してくれなかった。なんかもう本当は起きてるんじゃないの?ってくらいに。
◆ ◆ ◆ ◆
「んっ…?」
あたしは目を覚ました。
確か風音がお見舞い来てくれたことに安心して眠っていたのだった。それとなんか少しの間良い夢を見ていた気がする。
ふと横を見るとそこにはベッドにもたれ掛かるように寝ている風音がいた。そして彼の左手はあたしの右手に繋がれている。近くを見ると空っぽの器やグラスがあり、今まであたしを診ていてくれたのは直ぐにわかった。そう思うと繋がれているこの手が凄く暖かく感じた。
「……風音、ありがとう。」
「大好きだよ。」
因みに捕捉話すると、風音が看病に着てからのあたしの様子をじっくり教えてくれた。最初は「そんなこと無いでしょ」と思っていたのだが、夢のことを思いだし何も言えなくなった。
「おい美咲、どうした?」
「うるさいこの変態バカ。」
「ナンデ!?」
どうやら、風邪の時以外で素直になるのはまだまだ難しそうです。
本当はな……200%の糖度を目指してたんや…。そしたらギャグにならないギャグ書いてたんや…。
どうしてこうなった!?
こうなったらあの○○○○氏の○○シリーズをこの場で歌ってストレス発散s(不適切な表現があったのでキズカナを退場処分)
あ、twitterの方で美咲の妹の名前募集に協力くださった皆様、ご協力感謝します!
もし良かったら評価や感想の方よろしくお願いします!
次回は…フヘヘなあの子かな?因みに新しいことにチャレンジしますのでよろしく!
kanata_kizuna
前書きにその話ごとの設定書いた方がいいですか?
-
いる
-
いらない