Phantasy Star Convergencer ~PSCg~   作:Father Bear

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ノア編第1話!!!お楽しみ下さい!


ノア編
第1話~ノア~


「はぁ…」

 

目が醒めるといつもため息が漏れる。特に疲れている訳ではないのに。

 

「おはよう、ノアちゃん!今日の天気は晴れ後曇り。湿度は52%。洗濯物を干すにはちょうどいい天気だよ!」

 

「…あぁ、ありがとうフェンリル…あ、おはよう…」

 

その日はいい天気で、カーテンの隙間から覗く太陽の光で目が眩みそうだった。相棒のキャスト、フェンリルに今日の天気予報を叩き込まれ目を覚ます。

 

ノアと呼ばれた女性、ノア・ダンフォートはベッドから身体を起こして、腰の辺りまで伸びた長い髪を後ろでゴムでくくり、そのまま洗面所の鏡に向かった。

 

「………………」

 

 

今でも忘れられない。10年前のあの事件が脳裏に焼き付いて剥がれない。テコの原理とやらでひっぺがそうとしても無理だろう。そのくらい当時のノアには衝撃的だったのだ。昨晩もその事件の悪夢を見てよく眠る事が出来なかった。

 

「ノアちゃ~ん?朝ご飯出来てるよ~!!」

 

「…えぇ、今行く」

 

とりあえず顔を水に当て、目を覚ます事から始めた。そして、鏡のそばに置かれた、10年前に亡くなった親友と一緒に撮った写真を見つめる。

 

「…今日も、頑張るよ」

 

キッチンに移動すると、とても美味しそうな料理が並んでいた。フェンリルが作る料理は彼女の数少ない楽しみの1つである。

 

「今日のメニューは…チーズトーストとコーンポタージュ、新鮮野菜のサラダ…だよ!たんとお食べ!」

 

「…美味しそう…♪」

 

これが彼女の、『日常の始まり』である。

 

 

「ふぅ…いつもありがとう、フェンリル。あなたの料理にハズレは無いわね」

 

「へっへ~ん!ノアちゃんの為に毎日練習してるからね~っ!」

 

薄暗いダイニングで食事を食べ、料理人に感謝を述べる。こういったいつもの流れを行い、ノア・ダンフォードは自室に向かう。

 

「………」

 

パチッ、シュルルッ…

 

静寂とした室内に、ボタンを外す音や布の擦れる音が木霊する。パジャマから仕事服に着替えているようだった。

 

「え~っと…今日の仕事はなんだったか…」

 

ノアは髪にブラシを掛けながら、ディスプレイに流れる仕事を眺める…と、言っても。流れるのはいつも、毎日している仕事だった。

 

「今日もいつも通り…ね…」

 

ノアと、その相棒フェンリルの仕事は至って単純。街の治安維持活動である。

シップ315、"アーバス"にある一般居住区。通称"インソーム・ニアック"その意味は…「眠らない街」。

 

 

「こっちは………よし、と…」

 

ただいまの時刻は午前9:00。担当地域の朝の見回りであった。

 

「最近は酔っぱらいだとか、そういうの減ったよね~」

 

「えぇ、そうね。けどこういう落ち着いた時に限って犯罪というモノは増えるものよ」

 

「そうなの?ボクいっつも何気なく見てたからわかんないなぁ」

 

「ちょっと…しっかりしなさいよ?」

 

「ははは…ゴメンゴメン」

 

仕事着の代わりにキャスト特有の"ロボットフォーム"に換装している"フェンリル"が笑う。。

だが確かに。よくよく気をつけなければ気付かなかった程に減りつつある。決してフェンリルが無能な訳ではない。それほど緩やかに減りつつある。

 

「けど、いないって訳でも無さそうだね。ほら、アレ見て」

 

「…?」

 

フェンリルが獣の爪の様に鋭い指である方向を指す。そこには…

 

「子供?」

 

道の端っこにまだ幼い子供が横たわっていた。

 

「…孤児…?それにしては服の汚れがまだ少ない…最近ここに来たのかしら…」

 

「見る限りそうみたいだね…どうするの?ノアちゃん」

 

ここに置いてきぼりにしたら、まず間違いなく人身売買のカモになるだけだ。そう察知したノアは、次にこう言った。

 

「家に連れていきましょう。」

 

「…え?家に?」

 

「そう。ここに居たら何されるかわかんないでしょ?…ちょっと家が狭くなっちゃうけど…」

 

「ん~…まぁそうなんだけど…役所にバレても知らないからね?ここじゃ君が上官だから従うけど…」

 

フェンリルから承諾を得たノアは、鼻で笑う。

 

「ありがとう、フェンリル」

 

新しいオモチャを買ってもらった子供のような笑みを浮かべながら。

 

 

「ん…?ん~?」

 

薄暗い部屋の中で、"少年"は目を覚ます。おかしい、自分は確か道路の上で寝たはずなのに。

 

「なんだ…ここ…」

 

少年は寝たまま顔を回転させ、周りを確認する。すると…

 

「目、覚めたかしら」

 

「…ッ!?」

 

長い黒髪の女性らしき人物がそこに座っていた。少年は状況から察するに、この人がここに連れてきたのだろうか。と、察する事ができた。

 

「道路で寝転がって何があったかは知らないけど…大丈夫?どこか痛むとかない?」

 

手で顔を掴まれ、女性の方に顔を向けられる。すると

 

「…大丈夫?顔が赤いみたいだけど…」

 

「だっ…大丈夫…です…」

 

女性が顔を近付けた。瞳がリンゴ1つ分くらい先にあった。年頃の少年にはかなりのインパクトがあったろう。

 

「熱は…ないみたい」

 

「……………あのぅ…」

 

少年が女性に質問しようとする。すると…

「おはようノアちゃん!!…と!"少年"!!!」

 

少年が、"少年"と呼ばれる様になったのは、

 

「…え、あ…おはようございます…?」

 

思えばこの日からだった。

 

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