Phantasy Star Convergencer ~PSCg~   作:Father Bear

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第2話~少年~

「それで?なんで君あんな所で倒れていたの?何かあったんでしょう?」

 

道端で保護した少年が目を覚まし、現在ノアに取り調べを受けていた。

少年の見た目はみすぼらしく、髪はボサボサ。目は死んだ魚の様になっており、着ていた服もボロボロになっていた。

ちなみに、気を失っている間に下着ごと着替えさせられた事に気付いた少年は、顔を真っ赤にしたそうな。

 

「うん…けど…ごめんなさいおばさn」

 

「お姉さん」

 

「え?」

 

「お姉さん、復唱さん、はい!」

 

「お、お姉さん」

 

「分かればいいの分かれば。って、話の腰折っちゃったわね。ごめんなさい。続けて?」

 

よっぽど"おばさん"と呼ばれる事に抵抗でもあるのだろう。まぁ20代の女性である以上、それは必然なのだろうが。

 

「う、うん…実はね…ボク…」

 

ノアが手に持ったコーヒーを飲みながら聞く。

 

「違う世界から来たんだ」

 

「………は???」

 

ガシャーン

 

「えっ!?ちょ、大丈夫!?」

 

熱々のコーヒーが入ったカップが割れた瞬間、思い切りドアを開け、戦闘状態になったフェンリルが部屋の中に入る。

 

「ま、待ってフェンリル!」

 

「よいしょっと…ふぇ??そうなの??」

 

フェンリルがヒト型にフォームチェンジし、手に持ったパルチザンを下げる。

 

「えぇ…ちょっとビックリしちゃってね」

 

「え!?あの冷静沈着なノアちゃんがビックリする!?そんな事が…明日は雨かな~…」

 

「殺すわよ、フェンリル」

 

静かなる殺意が室内の温度を下げた。

 

 

「違う世界から来た…って…え?それホント?」

 

「本人がそう言うならそうじゃないかしら。まぁ私も、あんな子供の言う事を鵜呑みにするほどお人好しじゃないわ」

 

「だから…本当だって言ってるのに…」

 

一騒動があってより数十分。落ち着きを取り戻し、割れたカップを片付けた後現在に至る。

ノアが少年から聞いた話をフェンリルに話す…が、やはりすぐには理解出来なかったようだ。むしろ理解できる訳がない。なんせいきなり『違う世界から来た』なんて言われたのだ。信じられるだろうか。

 

「うーん…困ったなぁ…要はアレでしょ?異世界転生ってやつでしょ?」

 

「あらフェンリル。知ってるの?」

 

「知ってるっちゃあ知ってるけど…こういうネット小説でかじった程度の知識しかないよ?」

 

フェンリルの掌に電子ウィンドウが浮かび上がる。そこには様々なタイトルを冠した小説達が並んでいた。

 

「…で?この子がその異世界転生とやらをしたっていう証拠は?」

 

ノアがフェンリルの映し出したウィンドウを、無情にも無視して話を進める。

 

「無視かい…まぁそうだなぁ…」

 

するとフェンリルが少年の前に歩き、ある物を差し出す。

 

「ねぇねぇ。これ、お金なんだけど。見覚えある?」

 

その手に握られていたのは100メセタコインだった。

 

「う~ん。ない」

 

「ほら、ね?」

 

「…なるほどね。いくらこんな子供でも、100メセタコインがわからない子はいない。"オラクルの住人なら"ね」

 

フェンリルがコインを投げて器用にポケットに入れる。

 

「そういう事だよ」

 

そしてノア、フェンリルの両名はある事を確信した。

 

「「面倒くさい…」」

 

これはある日の出来事。

 

 

 

「ノアちゃん、ボク重大な事に気が付いたよ」

 

「フェンリル、皆まで言わないで。私も薄々感じてはいたわ」

 

「どうしたんですか…?」

 

「「いや!なんでも!!」」

 

ノアとフェンリルはある重大な危機に直面していた。それは…

 

((1人増えたら2人でさえギリギリだった生活費が…!!!増える…!!!))

 

そう、実に現実的な問題であった。ただシンプルが故にこれは非常に問題である。

外に吹く風がまるで二人の心を嘆くかの如く流れていく。

 

「なんかその…僕のせいで…すいません……」

 

「いやいや、いいんだよ!少年は気にしなくて!」

 

「えぇそうよ、大人に任せなさい」

 

「は、はぁ…」

 

((とは言ったけどぉ…!!))

 

唸るばかりであった。こればかりはどうしようもなく、現在の仕事量ではどうしても口座の桁が減っていく一方なのだ。

しかもこの二人の仕事は治安維持活動。つまり暴動やらなんやらが起きてくれない限りは毎月の安い給料が上がる事はない。

この二人の場合に限るが、まさに平和と地獄は紙一重である。

 

「「今日も街は平和だぁ…」」

 

 

「そうそう。少年」

 

「はい?なんですか?」

 

ノアが少年の隣に座り、質問を投げ掛ける。

 

「あなた、名前はなんて言うの?」

 

「あ、そういえば色々あって言っていませんでしたね」

 

「ボクも聞きたかったよそれ~っ!」

 

この時は、誰もが思わなかった。

 

「僕の名前は…」

 

●▲■がここに居るなど、

 

「刹那」

 

思えるはずもなかったのだ。

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