Phantasy Star Convergencer ~PSCg~   作:Father Bear

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フェレーナ編、記念すべき第1話!


フェレーナ編
第1話~フェレーナ~


とある日の…昼過ぎ

 

「はぁ…」

 

最近はこの息を吐く音ばかり聞いている。何をやってもつまらないから。

椅子に座り、自分の脚を眺めながら、フェレーナは憂鬱な気分に浸っていた。

人と言う生き物は時として"暇"という言葉の認識が人によってずれる事がある。例えば、ボーッとしてる時の"暇"と、やるべき事が終わってようやく迎える"暇"とでは意味が全く異なる。フェレーナの場合はどちらかと言えば前者である。

 

彼女の名前は『フェレーナ』。4年前、ナベリウスに突如としてダーカーが出現し、次々に仲間が無惨に殺されたアークス修了試験を生きぬいた数少ない生存者。それ以来ミッションに恐怖を感じていて、自分から進んで参加する事はまずない。そんなアークスである。

 

「な~んか、ないかな~っ…」

 

するとフェレーナの目に、ある物が映った。タンスの下に落ちている様だ。

 

「…?なんだろう」

 

タンスまで歩みを進めるて落ちている物を確認すると、"写真"だった。ただしかなり状態が悪く、写真の左側の所だけ印刷が薄まり過ぎて消えてしまっていた。

 

「なんでこんな物が……でも…これって…」

 

フェレーナは写真の片側に映っている黒髪の幼女に見覚えがあった。なんせ"今もここにいるのだから"。

 

「…私…?」

途端、眼球が熱くなるのを感じた。考え過ぎるといつもこうなる。そう、映っていたのは10年以上前のまだ幼いフェレーナだった。

 

「それに…ここ…」

 

撮影された場所はどこかの施設の様であった。無機質な壁が背景になっている事から彼女はそう判断した。

 

「でも……なんでこんなところに…?小さい頃だったから忘れちゃったのかな?」

 

だが、10年以上前とはいえ覚えていない訳ではなかった。毎日初等科学校に通いながら、高等部まで…毎日友達と遊ぶ楽しい生活を……………

 

「友達……」

 

友達。妙にその単語が頭の中で引っ掛かった。一般的…と言うより、むしろ当たり前に使われる部類の単語であるはずなのに、何故かその時のフェレーナの頭の中には強く引っ掛かっていた。

なお、ことわっておくが。フェレーナは別に友達がいない訳ではない。

 

「もしかしてこの写真の反対側に写ってたのって、昔の友達とかだったのかな?誰だったんだろ。気になるな~」

 

「はぁ…ッ…、はぁ…ッ…」

 

どうしてあの時、思い出せなかったのだろう。

 

「どうして…あなたはっ!!」

 

忘れるはずなんてなかったのに。忘れる訳なんてないのに。

 

「……さぁ、どうしてだろうな」

 

黒いフードを被った女性がそう言い残すと姿を消した。

 

「どうッ…してッ…」

 

フェレーナの意識は、そこで消えた。

 

 

「うーん……それにしても、この写真、結局なんなんだろう…。気になるなぁ…」

 

ベッドに寝転がり、写真を両手で持って天井に掲げる。フェレーナは疑問を抱いていた。

 

「場所といいこの消えちゃってる所といい…」

 

悩めば悩む程、この写真に対する疑問が増幅していくだけだった。例えるなら、何かが引っ掛かって抜けない。そんなイメージだ。

 

「………仕方ない、のかなぁ」

 

ベッドから重い腰を持ち上げ、出口へと向かう。

 

「やることも無くって暇してたし…たまにはいいよね……あっ………お金あったっけ………………」

 

 

「はぁ~~っ………一時はどうなるかと思った…」

 

重いのは腰だけではなかった。…いや、この場合"重い"と言うより"軽い"の方が正しいだろう。その"軽い"財布とお茶、最低限の化粧品等をカバンに入れ、アークス達が普段生活しているアークスセンターから出て一般人が生活している"居住区"に降りている。

 

「それにしても暑いなぁ……宇宙船の中で四季なんか再現しなくってもいいのに…」

 

今の時期は春から夏になろうとしている季節と季節の合間である。周りを歩く人々はほぼ半袖になっていた。

 

「えーっと何々…?"捜査はまず聞き込みから"?」

 

ネットに書かれていた情報を元にとりあえずフェレーナは聞き込みを始めた。とりあえず、隣を通りかかった女性から。

 

「あ、あの~…」

 

「はい、なんでしょうか」

 

写真を掲げ、質問する。"この場所を見たことはないですか"と。

 

「ん~…ごめんなさい…見たことないわね……」

 

「あっ、そうですか。すみません突然…」

 

「いえいえ…こちらこそごめんなさい。」

 

こんなやり取りを、フェレーナは様々な人と2時間程続けたらしい。

 

 

「はぁーーーーーーっ…やっぱダメかなぁ……」

 

結局、情報らしい情報は何一つ手に入る事はなかった。なんなら昼から日暮れ頃までこのシップの居住区全域を聞いて回った。

 

「やっぱ十数年の事なんてみんな忘れてるのかなぁ…」

 

そんな事を言っていると、

 

「…お嬢さん、探し物かい?」

 

「…ふぇ?」

 

そんな事を言っていると、突然フェレーナの後ろから老婆が話かけてきた。

 

「さ、探し物…ですか?」

 

「…そう、"探し物"…お嬢さんは"過去"を知りたいのかい?」

 

「は、はい…」

 

突然の質問にフェレーナは最初こそ困惑したもののここは大人。すぐに平常を取り戻した。

 

「…その"過去"を知る事で"今"が変わるとしても?」

 

「今…?なんで過去を知る事で"今"が変わるんですか?」

 

「全ては自が宿命…しっかりと、向き合うのです…」

 

「えっ…!?ちょっと!?」

 

向き合う。老婆はそう言い残して目の前から突然消えてしまった。

 

「向き合う…?一体どういう事…?」

 

すると、フェレーナは消えた老婆の足元に何か落ちているのを見つけた。

 

「なに……これ…?しかも結構古いやつ…」

 

落ちていたのは、何かの機械であった。

 

「テレバイブにも見えるけど…って、錆びてるし…」

 

所々錆びているテレバイブ?らしき物を眺めてみる。

 

「これ使えるのかな…?ちょっと使ってみよ」

 

子供的な好奇心でこの古びたテレバイブを起動する。しかし…

 

「動かないかぁ~…なんでこんな物…」

 

そう言って壁に手をつくと、『ガシャンッ』という機械特有の重い音が壁からした。

 

「うぇ?」

 

気付けば、意識を失っていた。

 

 

「……う~ん…?あれ…ここドコ…?」

 

目を覚ましたフェレーナは自らの置かれている状況に困惑する。いつの間にか真っ暗な所に、フェレーナは寝転がっていた。

 

「な、なんでこんな所に…っていうか私…どうしてたんだっけ…」

 

どうやら軽度の記憶障害が起きているようだった。ここに至るまでの経緯を全く覚えていなかった。

 

「私、確か写真の事を調べる為に…外に出て…それでえ~っと…」

 

慎重に壁を伝い歩きながら必死に思い出そうとする。しばらく歩いていると、先にある扉の隙間から微かな明かりが走っているのが見えた。

 

「あっ…!明かりだ…!」

 

フェレーナは駆け足気味に脚を動かし、明かりに向かった。そして、その明かりが出ていた扉の中を覗く。

 

「何これ…何かの研究所…?」

 

そこにあったのは、素人目でもわかるほど分かりやすく作られた研究所だった。放棄されてからかなり経つ様で、所々からコケが生えていた。

 

「まぁでも、明かりがあるならいいかぁ…あーっ…!安心する~」

 

フェレーナは安堵して、腰を落とす。そして、改めて周りを見渡してみると何処かで見た様な壁のデザインだった。色といい、線といい。

 

「まさか、これって…」

 

カバンに入っていた写真の背景を見つめる。すると…

 

「似てる。とっても」

 

果たして、フェレーナの探していた場所はここだったのだろうか。この時のフェレーナには、確信を得る術などありはしなかった。

 

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