ちょっとまた空いた時間に書いてみました!では行こう!
続くかは貴方の感想次第!
「ハァ……ハァ……精神世界の特訓ってこんなに難しいんですか?」
薄暗い精神世界の中で、【ショックボルト】を
「当たり前だ。
「うえっ、これの片方ならまだしも両方同時に展開するなんて相当な高等技術じゃないですか……」
「俺はそれを
「……流石師匠、特務分室所属だけありますね……」
「はっはっは」
腕を組みながら【ショックボルト】を
元帝国宮廷魔導士団執行官No.13【死神】アッド=エルメイ
僕の身体に憑依している人の名前だ。正確に言えば、僕にはある異能を持っていた。それは
「まあ、そこら辺のセンスが良かったのはアルベルトだったなぁ。グレンは三節くらいの軍用魔術しか使えないし、まあセリカの魔術が使えただけ凄かったか。俺も出来るけど。」
「だったら軍用魔術を教えてくださいよ……」
「駄目だ。人を殺す事に特化した術式はお前じゃまだ早い。即興改変が出来るお前なら余裕で覚えられるだろうが、それは最悪お前が卒業してからだ。気軽に教わろうと考えてるなよ?」
「っ!そうでした……。ごめんなさい」
「お前はまだ怖いと思えるんだ。間違ってもその感情を失くすなよ?おっと、そろそろ時間だ。あの説教娘が起こしにくるんじゃないか?」
「へっ?」
「起きなさい!ラスカ=シュヴァルツ!!」
「うきゅ!?」
精神世界で特訓していた彼は少女の怒声で目を覚まして顔の上にのっけている教本を取って彼女に視線を向けて嘆息する。
「………寝てた?」
「思いっきり寝てたわよ!貴方この学校の生徒である事を自覚しているの!?だいたいーーーーーーーーーー」
ぐちぐちと説教を始める少女の名前はシスティーナ=フィーベル。アルザーノ魔術学院の生徒であり、ラスカと同じ教室で魔術を学ぶ学士である。
アルザーノ帝国魔術学院はアルザーノ帝国が魔導大国として名を轟かせる基盤を作った学校であり、常に最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎で魔術師育成専門学校である。
彼等はここで魔術を学び、日々魔術の研鑽に励んでいるのだ。
その一人がフィーベルである。
純銀を溶かし流したような銀髪のロングヘアと、やや吊り気味な翠玉色の瞳が特徴的な少女は今日も不真面目な彼、ラスカ=シュヴァルツを説教している。
「ご、ごめんって……ちょっと所用があって」
「寝る事の何処が所用なのよ!?」
「あ、あはは。てかまだ授業始まらないの?非常勤講師まだ来てないの?」
そしてヒューイ先生がいなくなって1ヶ月経った日に非常勤講師が来ることとなり、アルフォネア教授曰く優秀な人らしいのだが現在進行形で遅刻している。
魔術師は自分が魔術師であることに誇りを持っており、その誇りを汚さない為にも遅刻や無断欠席などありえないのだ。だからこそフィーベルは現在進行形で遅刻している講師に対して怒りが抑えられなかった。
「遅い!もうとっくに授業時間過ぎてるのに、来ないじゃない!!!」
フィーベルさんは魔術師としての誇りだけでなく、今は亡きおじいさまとの約束を叶えるため魔術に対する熱意は人一倍なのである。まあその熱意が強すぎて講師達からは『講師泣かせのシスティーナ』と生徒達から呼ばれているのだ。
因みに学年主席は僕、二席がフィーベルさん、三席がギイブル君だ。因みに魔術はあらかた師匠に教わったから卒業までの魔術は殆どマスターしてるけど……
「まあまあ落ち着こうよ、もしかしたら何か理由があるのかもしれないし・・・・」
そしてそんな彼女を宥めるのが、彼女の隣に座る金髪の少女ルミア=ティンジェルである
だがシスティーナはルミアへ向き直り
「ルミアは甘すぎなのよ!真に優秀な人なら不測の事態にも対応できなきゃダメなのよ!」
「そうかな・・・・」
「いやいやそれは無理でしょ。落ち着いてフィーベルさんや。飴玉いる?」
「要らないわよ!?」
システィーナがここまで恐ろしく高いハードルを求めるのには、前任のヒューイ先生がお気に入りだったことと、非常勤講師のことを大陸最高峰の魔術師であるセリカ=アルフォネアが太鼓判を押したからだ。
システィーナが文句を言っていると教室のドアが開き入ってきたのは全身ずぶ濡れで皺だらけのシャツ、目が死んでいる男性で左手に嵌めている手袋と抱えてる教本がなければこの男が講師であるとは思いもしないだろう。
『っ!?マジか……!グレンが非常勤講師かよ!?』
精神世界で驚愕していたアッドは思わず叫ぶ。
「やっと来たわね!非常勤講師。最初の授業から送れるなんて・・・どんな神経して・・・」
システィーナは入ってきた男に驚き言葉を失う。なぜならその男は今朝ルミアにセクハラ紛いのことをした男だからだ。
「あ、貴方は──!?」
「違います、人違いです。」
「そんな訳ないでしょ!?あなたみたいな人いてたまるもんですか!」
「いいえ、人違いですぅ。」
あくまで、他人のフリをする男にシスティーナは怒りを隠しきれていない。そしてそれを知ってか知らずか、男は黒板に自分の名前を書いた。名前はグレン=レーダス。元帝国宮廷魔導士団特務分室No.0【愚者】のグレンだ。
自己紹介をシスティーナがばっさりカットし、グレン先生は黒板に『自習』と書いて寝ていた。
「ぷぷっ、自習か。そりゃ面白い」
『……魔術、嫌いになったんだなアイツ。まあその方がいい。裏より表の世界が奴に向いているか……』
「……?師匠?」
『なんでもねぇよ。それより精神世界に来い。またあの練習だ』
「うげっ、りょ、了解です」
ラスカは再び目を瞑り精神世界で特訓をしていた。
そして案の定フィーベルさんが突貫していくその様子を見て、笑うものと呆れるものがいた。その後もグレンは態度を改めることなく、次の錬金術実験で女子更衣室を除き集団リンチされたとか・・・そして数日後フィーベルさんとグレン先生は言い合っているのだが最早いつものことなのでティンジェルも止めることはしなくなっていた。
それから怒涛の三日間、自習が続き最早自習と黒板に書く前にだらけて寝ていた。流石に3日目は腹抱えて笑ったのをフィーベルさんに睨まれた。解せぬ。
フィーベルさんが手袋をグレン先生に投げつけたのだ。左の手袋を相手に投げることは魔術決闘の申し込みを意味しその手袋を相手が拾えば決闘成立である。グレン先生はその手袋を拾い『ショック・ボルト』のみでの決闘で勝負をつけようと提案したのだが。本人は3節詠唱しかできず、1節詠唱ができるフィーベルさんの相手ではない。
師匠曰く『奴の
いつも通り自習をやっていた時にリンさんがグレン先生にルーン語の翻訳を教えてくれと頼んだのだが、そこでシスティーナが口をはさんだ。
「無駄よ、リン。その男には魔術の偉大さも崇高さも理解してないんだから、その男に教えてもらう事なんて何もないわ。」
いつもなら聞き流すようなことをグレン先生は噛みついたのである
「魔術って、そんなに偉大で崇高なもんかね?」
この一言で教室が静まり返った。
ルーン語の翻訳に辞書をリンさんに差し出したグレン先生に、フィーベルさんが軽蔑した発言に対してのグレン先生の言葉である。
フィーベルが嬉々として魔術について語るがへっと笑い軽蔑したような目で見下ろす。
「―――だから、魔術は偉大で崇高な物なのよ」
「……何の役に立つんだ?」
「え?」
「そもそも、魔術は人にどんな恩恵をもたらすんだ?何の役にも立ってないのは俺の気のせいか?」
「……ひ、人の役に立つとか立たないとか、そんな次元の低い話ではないわ。もっと高次元な―――」
「嘘だよ。魔術は役に立ってるよ―――人殺しにな」
暗い顔となったグレンは、そのまま魔術の暗黒面をこれでもかと言わんばかりに語っていく。
「剣術で一人殺す間に魔術は何十人も殺せ、魔導士の一個小隊は戦術で統率された一個師団を戦術ごと焼き尽くせる。ほら、便利だろ!?」
「ふざけないでッ!」
「ふざけちゃいねぇさ。国の現状、決闘のルール、初等呪文の多くが攻性系、『魔導大戦』、『奉神戦争』、外道魔術師の凶悪な犯罪の件数と内容……魔術と人殺しは腐れ縁なんだよ。切っても切れない、な」
「違う……魔術は、そんな……」
「魔術は人を殺すことで進化・発展してきたロクでもない技術なんだよ!こんな下らない事に人生費やすくらいなら――」
ぱぁん
グレン先生の極論と言える発言は、フィーベルさんにビンタされて止められた。
「……だいっきらい!」
フィーベルは涙を溢しながらそう言い捨て、教室を飛び出していく。グレン先生も居心地の悪さからか、次いで教室を後にする。気まずい雰囲気が教室に漂う中……
『………全く、あのアホは。アイツらしいとは言えやり過ぎだろ』
「……師匠は魔術をどう考えてますか?」
『力……だと思う。力の使い道によって神にでも悪魔にでもなり得るのが魔術ってもんだ。グレンの言葉を否定はしないし、間違ってもいないからな。終わらぬ戦いには間違いなく魔術が関わってくる。だから魔術ってのは力であり刃でもあり、心の具現とも言える』
だからこそ、アイツは魔術を嫌悪しているんだろうな……
と心の中で呟いていた。グレンの夢は『正義の魔法使い』だったからこそ魔術に裏切られた現実は計り知れない。
セラは今、どうしてるんだろうなぁ……