提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え? 作:夏夜月怪像
W編魅せ場その1です!
『検索』………
そう聞いた漣は、いったい何をするのかと首を傾げた。
「ご主人様、所長サン?あの人……えっと、フィリップさんでしたっけ?検索って、これから何を……」
そう問いかける漣に対し、翔太郎は一言。
「まぁ、いいから見てな」
そして、フィリップは静かに目を閉じた。
「検索を始めよう」
そう告げると、フィリップの意識は“深い所”へとダイブしていった。
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『
そこには、地球という人智を超越した生命体に刻まれた様々なデータ・記憶が内包されており、フィリップは精神をそこにアクセスし、本棚として収められた様々な情報を愛用の白紙の本に映し出し、読むことが出来る。
しかし……地球が持つデータの量は、文字通り次元が違う。
闇雲に探すだけでは、どれだけ時間があっても知りたい情報には辿り着けない。
翔太郎が集めた情報やキーワードを基に検索し、情報を絞り込んでいく必要がある訳だ。
そして、今。
フィリップの『検索』が始まった。
「知りたい項目はメモリの『名前』。最初のキーワードは『道化師』……」
フィリップが単語を提示すると、《
「『爆弾』……『快楽』……『遊戯』………」
翔太郎が得た情報や、遭遇したドーパントと思しきピエロ姿の怪物の特徴を基に検索を進めるが、それでも本棚二つ分の情報が残った。
「316件の情報が該当した。対象に幻覚を見せる、精神干渉タイプのメモリの総数だ。全てを閲覧するには、なかなか骨が折れそうだね……」
フィリップの言葉に、翔太郎はフム…と考える。
「もう一段絞り込みたいな……『白川成一』はどうだ?」
ひょっとしたら、今回の依頼と関連性があるかもしれない……そう思い、追加キーワードとして挙げてみた翔太郎だったが、フィリップは首を横に振った。
「その名前については既に検索してみたが、今回のドーパントとの関連は薄い……というより、関わりようが無いね」
「っ?どういうことだ?」
相棒の言葉に疑問を抱く翔太郎。亜樹子や漣も耳を傾けた。
「白川成一は、3ヶ月前に勤め先の士官学校で起こった集団失踪事件で既に亡くなっている……」
「!!?」
フィリップの口から語られた、その衝撃的過ぎる情報に翔太郎たちは驚愕した。
「ちょ!?ちょっと待って!?志穂理ちゃん、お父さん見つかったって言ってたんだけど!?ねっ!翔太郎くんも聞いたよね!?」
「あ…ああ、確かに……しかも、あんな嬉しそうに……」
瞬間。
翔太郎は、刃野刑事から聞いた謎の殺人事件と遺体の状態を思い出す。
同時に、志穂理の幸せそうな笑顔が遺体の表情と重なった。
「………そうだ、笑顔だ!フィリップ!追加キーワードは『笑顔』!!」
『笑顔』―――『smile』を提示したことにより、フィリップの前に1冊の本だけが残された。
そのタイトルは……『SMILE』。
さて……いよいよ動き出します、W編!
どうなる、この事件!?