提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え? 作:夏夜月怪像
カオスが嫌な方は、片眼を閉じてご覧下さい。
19話 : 野豚と呼ばれた男
関東のとある地域に、一つの鎮守府があった。
そこに着任している提督《
―――世間的には、の話だが。
「ぐすん……ひっく…ひっく………」
駆逐艦《
着任当初、暖かく迎えてくれた提督に対し、文月は優しい人に迎えられたと喜んだ。
「文月……君にしか頼めない、特別な任務があるんだ。引き受けてくれるかい?」
「なぁに?司令官」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「きゃっ……!」
「…すいません。ちょっと、考え事をしていたものですから……」
文月が在籍する鎮守府に、工廠の出入りをしている一人の男が居た。
歳は40代半ば、太った体型と丸顔、そして団子鼻で垂れ目という容姿から《豚》と陰であだ名されていた。
「うわっ、なにあのオジサン…?」
「あー…あのオッサン?気にしないで良いよ、ただの豚だから」
道端で雑談をしている、女子学生たちがヒソヒソと話をする。
「あのブタだけどね、あの春島中佐が管理してる鎮守府に出入りしてるんだって」
「ウッソ!?そしたら艦娘の娘とかヤバくない!?襲われたりしてるんじゃ……!!」
「ちょっ、声がデカイって!こないだ、裏通りの隅っこで中学生くらいの娘が泣いてるのを見つけたんだけど……その娘、艦娘だったのよね。で……話を聞いたら、知らない男に襲われたっていうのよ。それもヤンキーとかヤクザ関係っぽい連中に」
「うーわ……」
「提督さんも、犯人探してるみたいだけど見つかってないって……」
「まさか、そいつらをあのブタが手引きしてるとかだったり?」
「有り得そー……つか、ほぼ確定じゃね?」
ヒソヒソ話だが、男には聴こえていた。
聴こえてしまうのだ。聴きたくない話であっても。
自分が鎮守府を出入りしているのは仕事のため……それは事実だ。
しかし、それ以外で関わったことは一度も無い。
艦娘という、海で怪物と戦っている少女たちと交流したこともほとんど無い。工廠ですれ違うとき、会釈する…その程度である。
ましてや、艦娘が暴行を受けている話など、知ったのはつい最近の事だ。工廠での仕事仲間である妖精が、半ベソの状態で相談に来るまで、自分は知りもしなかった。
そして、今日。
また、新たに被害を受けたらしい艦娘が、ドックの裏で泣いているのを見つけてしまった。
「………どうした?」
「ぁ……っ…おじさん……もしかして?」
「
隣いいか?と尋ねられ、文月は小さく頷いた。
腰掛けた猪宮の丸みを帯びた姿を見て、文月は豚よりもダルマを連想した。
「ホレ……俺の夜食に買ったやつだが、良かったら食いな?」
コンビニで買った焼きそばパンを文月に渡すと、猪宮は改めて尋ねた。
「何で泣いてた……こういう隅っこじゃないと、泣けない訳でもあるんか?」
一瞬、文月はビクリと反応して、恐る恐る猪宮の顔色を伺った。
「……言えんのなら、それで良ぇ。ちゃんと話せる相手が居るなら、身内なり友だちなりに話しな」
立ち上がろうとする猪宮を、文月はアワアワしながら引き留めようとした。
そこに
「どぉした、
「ん……
「…その人、は……?」
急に現れた、無愛想な男について尋ねる文月。
「3日前に来たばかりの新人だ……。口は悪いが、覚えはそれなりに良い。ホラ…挨拶ぐらいしてやれ」
猪宮に促され、その男は名乗った。
「―――
ハイ、皆さんかなりグダグダな展開になってしまいました(-_-;)
サブタイと関係なくね?と思われた方も大勢いらっしゃるでしょうが、どうかご勘弁を!(汗)