提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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初っ端から胸糞悪い展開にして申し訳ないファイズ編。

その第2話目をお楽しみ下さい。


20話 : 人の皮を被った(けだもの)

「いやあ、話に聞いてはおりましたが、春島中佐は噂以上のお人ですな!」

 

 

執務室で、春島は、海軍への資材提供を行っている企業の幹部たちと共に、新たな輸送航路の確保についての検討や資材の量を増やせるかなど、鎮守府運営に関する交渉をしていた。

 

「いえいえ、そんな……社長を始めとした、会社の方々のお力添えがあってこその我々です。この国の平和を築くため、国民一人一人のために骨身を惜しまずに戦うのが、我々海軍の使命ですから」

 

 

苦労を苦労とも思わぬ発言をにこやかにする春島を、社長らは尊敬の眼差しを向ける。

 

 

「提督……失礼します」

 

そこへ、連絡員として在籍している艦娘《千歳》が入室してきた。

 

「ん?おお、これはこれは!千歳さん、でしたかな?先日の護衛任務ではお世話になりました!」

 

社長が朗らかに微笑み、握手をしようと手を差し伸べた。

 

「いえ、そんな……」

 

 

この時

 

一瞬ではあるが、千歳を鋭い視線が突き刺さった。

 

「コラコラ…千歳。資材を提供してくれている恩人に対して、素っ気無い態度は良くないよ?」

 

 

ニコニコと笑っている、春島から。

 

 

「は、はい……」

 

苦笑いしながら、社長の手を握り返す。

 

 

その手は、冷え性なのかちょっとだけ冷たかったが、社長の人柄が現れているかのように温かだった。

 

 

「それでは、提督。お見送りしてきますね」

「ああ、頼むよ」

 

 

 

社長らを門前まで送ると、社長は振り向き、改めて礼を述べた。

 

「何度も同じことを言って申し訳ないが、君たち艦娘や春島中佐には本当に感謝の言葉しか出ないよ。何しろ、深海棲艦が集中して襲ってくる海域を通らないと燃料やボーキサイトを運べないから」

 

「いえ、そんな!社長さん、顔を上げて下さい!礼を言わなきゃいけないのは、むしろ私たちの方です!でないと………」

 

そこまで言いかけて、千歳は黙り込んでしまう。

 

「千歳さん?大丈夫ですかな?急に、顔色が……」

 

心配そうに話しかけてきた社長に対し、千歳はハッと我に返ると笑いながら手を振る。

 

「い、いえ!ちょっと疲れが溜まってるのかなーなんて……。お気遣い、感謝します。今後も協力お願いします」

 

 

そうしたやり取りを経て、社長らは鎮守府を後にした。

 

 

「………ごめんなさい……」

 

鎮守府に戻る途中、千歳はポツリと呟きながら涙を流したのだった………。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

社長らが鎮守府を出て、僅か数分後のこと。

 

 

突如、社長らの乗った車が不審な強盗グループに遭遇。

 

「な…何だ、お前たちはっ!!?」

 

 

社長を守ろうと、SPが対処しようとしたが

 

 

「っ!!?ま、待て!!()()()()()()………!!」

 

 

黒フードで隠した、一瞬見えたその顔に、社長は心当たりがあった。

 

間違えるはずが無かった。

 

 

何故なら……

 

 

「……ごめん…なさい……っ!」

 

 

 

襲ってきたそのグループは全員、春島の部下である艦娘たちだったのだから。

 

 

―――一方。

 

春島の執務室に、電話が掛かって来た。

 

 

「俺だ。……そうか…」

 

受話器の向こうの相手は、嗚咽混じりに話しているため、言葉が途切れ途切れになり、聞き取りづらい。

 

 

「標的は()()()()()始末したんだな?なら、それで良い。解っていると思うが、確実に殺せよ?下手に生かすと、残りの資材を回収出来なくなるからな」

 

「あと……解っていると思うが、お前らに拒否権なんか無いからな?解体(ころ)されて死ぬか娼婦(おんな)として死ぬか……逆らいたきゃ、どちらか好きなのを選べ。逃げようなんて真似は、考えるだけ無駄だ」

 

 

淡々と話す春島の目は、先程とはまるで別人のように暗く、冷たい眼をしていた。

 

「死にたくなきゃ、命を削れ」




………ハイ、胸糞展開がまた起きてしまいました(-_-;)

次はたっくん、たっくんが出るはず!

出るように善処します!!

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