提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え? 作:夏夜月怪像
丁作戦ながら、紆余曲折を経て。
攻略致しました!!(∩´∀`)∩ナハッ‼
「何をしている。さっさと持ち場に戻れ」
冷たく響く、まるで録音されただけの音のような声に、一同が振り向いた。
「提督……」
艦娘一人一人に目を向け、春島は地面に残された灰の山に目を向ける。
「またか……」
まるで汚物を見るような、心底不快そうに呟くと千歳に告げた。
「そのゴミをさっさと処分しておけ。明後日には大本営の役人が来るんだからな」
「はい……」
「施設内の清掃、それから遠征や演習といった基本業務も怠るな。お前ら1隻がしくじれば、組織の評価は100下がるものと思え」
施設へ戻る直前、春島は巧と目が合った。
「――後始末、よろしく頼むよ?清掃員」
その一瞬だけは、春島はにこやかに微笑んで見せた。
「………」
その笑顔に、何か得体の知れない不気味さを感じた巧は、黙り込んでしまった。
そして、春島の姿が見えなくなるまで、警戒し続けた。
「……長月」
「どうした?」
「お前ら……すぐに此処を出ろ。アレはやばい」
「えっ………」
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水上機母艦千歳型1番艦娘《千歳》と2番艦娘《
二人は、艦娘であると同時に人間としての戸籍を持っていた。
両親は普通の人間だったのだが、幼い頃に突如、二人同時に艦娘の力が覚醒。
以来、人目を避けるようにしながら生活することを強いられることになってしまった。
この当時は、艦娘に対する偏見や差別が今よりも酷く、千歳姉妹の両親や近縁者までもが、人として扱われなくなるという事態に陥っていたのである。
そんな二人が、大切なものを守るためとはいえ、艦娘として海軍に志願、戦場に立つ道を選んだことが、彼女らをより長く苦しめることになるとは、当時は夢にも思わなかっただろう。
「………」
そして、今。
自分たちの指揮官として就いている提督・春島から、これまでに様々な汚れ仕事や過酷な任務を強要され続け、先程も雑務を押し付けられた……のだが。
「おい」
目の前の無愛想な雰囲気の男――乾 巧に、突然呼びかけられた。
「乾さん……何ですか?」
「
そう言うと、巧は千歳を軽く押し退けて灰や衣類などを片付け始めた。
「あ、あの……乾さん?」
「提督に言われたから…とか、命令だから…とか。イヤならイヤで、自分の意思をハッキリさせねえと、ヤツの操り人形になっちまうぞ?」
「乾さん……」
巧の言葉に、五十鈴や長月らは人間らしい暖かさを感じた。
「……あ、あのっ。私も手伝います…というか、手伝わせて下さい!」
「千代田…」
「はぁ?だから、人の仕事を取るなって…」
「文月も手伝う〜!」
「って、文月!」
だからだろうか。
気付けば、巧の周りには小さな集まりが出来ていた。
「乾……」
その様子を眺めながら、猪宮は安堵の笑みを浮かべていた。
一方……
執務室の窓から、巧らの様子を不愉快そうに見下ろす影があった。
「アレもか……
どんどん、話の土台が当初の予定から外れていく……(;´Д`)
次回、かなりムチャな急展開にするかも!?