提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え? 作:夏夜月怪像
本作は基本、艦これと仮面ライダーのクロスなのですが、番外編ではそれ以外のヒーローが出てきちゃいます!!
今回はお正月特番的なノリで楽しんでいただければと思います!
僕たちの鎮守府に“兄”がやってきたのは、鎮守府近辺の桜並木が青々と茂り、初夏の気配を報せている頃のことだった。
「初めまして。今日から、こちらでお世話になる兄の
「弟の
「…………へ??」
それは、本当に突然だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
皆さん、初めまして。
僕はレーベレヒト・マース、艦娘です。
先日、僕たち艦娘に兄が出来ました。
それも一度に二人も。
「提督、次の資料なんですが……」
「ああ、大淀。それについての資料なら―――」
上の兄・譲治。
この鎮守府で提督を任されることになった人で、階級は中佐。
でも、階級に見合わない冷静かつ合理的な分析力を持っていて、しかも目先の利益ばかりに囚われない柔軟な思考の持ち主でもある。
『温故知新』という格言を聞いたことはあるけど、この人のためにこそあるんじゃなかろうかと思ってしまうほどの智将だ。
「少佐ー、お腹空いたよ〜」
「おう!ちょいと待っててくんな!」
下の兄・弟の竜治。
兄が知に優れているのなら弟は力だと言わんばかりに、こちらは腕っぷしが立つ。
でも、この剛力が自分のために振るわれた場面は一度も無い。
力持ちではあるのだが、それを発揮するのは艦娘や人助けのため。
また、手先が器用らしく、間宮さんたちに混じって厨房に立ち、みんなに料理を振る舞ってくれるなど『家族サービス』(本人談)を惜しまない。
(しかも美味しい……)
お陰で、大半の駆逐艦や一部の艦娘たちからは揺るぎない信頼を得ている。
ところが、だ。
これほど話題に事欠かない二人なのに、今まで一度も姿を見かけた事も無ければ、名前を聞いたことさえ無い。
ハッキリ言ってしまえば、何もかもがノー・データ。大本営の方でさえ確認が取れていないのだ。
(まさか………?)
あの二人は、噂に聞く人の姿を借りることの出来る化物……『揚陸侵艦』なのではないか?
しかし、それにしては会話が成立するというのも引っかかる。
考えれば考えるほど、謎が謎を呼び、レーベは頭がパンクしそうになった。
「レーベ?」
「っ!ぁ……アトミラール……」
ウンウン唸っているところへ、譲治が心配そうに声を掛けてきた。
「どうしたんだ?また報告書に誤字脱字でも見つけたのか?」
「ちっ、違うよ!?僕はただ、アトミラールたちが……!」
「俺たちが?」
「ぁ…ぅ……」
聞けない……。
聞けるわけ無い………
こんな、穏やかで純真無垢な眼をした人に、『実は人間じゃないのではないか?』なんて………
「………アトミラールたちは、いつも言うよね?僕たち艦娘は“妹”……かけがえの無い、大切な家族だ……って」
「………ああ」
レーベの不安げな態度を感じたのか、譲治は少しだけ間を取って隣に腰掛ける。
「でも……アトミラールなら聞いたことあるでしょ?『家族』っていう言葉で人を支配して、全てをメチャクチャにしたっていうヒドい事件のニュース……」
「……ああ。あれは本当に惨たらしい事件だった」
「だから怖いんだ……僕が…僕たちが感じている、この幸せも……もし、偽りの物だったらって……!」
「レーベ」
膝を抱え、震えだしたレーベの頭に、譲治の右手が優しく触れる。
「お前は今、俺の手をどう感じている?」
「…………あたたかい」
「ちょっと、抱き寄せるぞ?―――どう感じる?」
「っ……ちょっと、ゴツゴツしてて……でも、やっぱりあたたかい……」
「その暖かいと感じる気持ちが、みんなで過ごした毎日が、全部夢だと思うのか?」
「アトミラール……」
大きく、暖かい手がレーベの頭の上だけでなく、胸の内にまで温もりを届けていく。
「お邪魔だったかな?」
「竜治」
「リュージ少佐!?マックスたちも、いつの間に…!」
すると、そこに二人を探しに来た竜治が、駆逐艦を数人連れて現れた。
「アニキ〜?いくら兄妹仲睦まじくつったって、一線を越えるのはマズイんじゃねえかぁ?」
「なんだよ、それ」
「い、いい…一線って!?」
ニヤニヤ笑いながらからかう竜治の冗談に苦笑いする譲治と、真に受けて顔を真っ赤にするレーベ。
「見ろ竜治、レーベが固まっちまったじゃないか?」
「あっれ?レーベってばジョークが通じないのなあ?」
「リュージ少佐のジョークが、あまりシャレにならないためかと」
マックスの鋭い指摘に苦笑いする竜治と、それを見て笑う一同。
………しかし。
今夜はそれだけで終わらなかった。
「……?何あれ……雨?」
「え?まさか…今日は快晴って………」
突然、降り出した謎の粒。
しかし、それは雨ではなかった。
粒子は塊となり、塊は形を成し。
『ギギ、ガガ……ギガゴガ……』
深海棲艦のような特徴を備えた、人型の異形が数体出現した。
「なっ!?」
「なに、なに!?」
「深海棲艦……なのか!?」
突然の襲撃者に、レーベたちは警戒する。
『カン・ムス…カカ、カンム・ス、スス……』
『カク、カカロカクカカクロカカロカク…』
(鹵獲……!?)
壊れかけたビデオテープのように声が再生されたことで、レーベたちは「艦娘」「鹵獲」という単語を聞き取った。
「竜治、艦隊一同!みんな、逃げるぞッ!!」
譲治の号令により、艦娘たちは一斉に退避を開始した。
しかし、“敵”は一筋縄ではいかなかった。
深海棲艦に似た謎の怪人軍団は既に、鎮守府一帯を囲んでいたのである。
「くっ…、数が多い……!」
「ビスマルクお姉様!門が壊されそうですッ!!」
「やむを得ん……!提督、撤退を!!」
「提督!!」
「アトミラール……!!」
撤退を促す艦娘たちだったが、譲治と竜治は微動だにしない。
「仕方ない……。久しぶりに暴れっか?アニキ!」
「ああ、竜治!」
譲治と竜治。
妹たちを、大切な家族を守るため、兄と弟は立ち上がった。
譲治は右腕を、竜治は左腕を胸の前にかざし。
兄弟の合言葉を叫んだ。
「チェンジ、ダァーインッ!!!」
「―――え…」
次の瞬間……僕たちは目が離せなくなってしまった。
譲治提督と竜治少佐の身体が、不気味に変化……否、『変形』したのだ。
譲治提督はロケットの様な頭をした紅い身体の姿に。
竜治少佐はタイヤなどを備えた青い身体の姿になり、二人の姿はどこからどう見ても“ロボット”だった。
『サイバロイド!スカイゼル!!』
『サイバロイド!グランゼル!!』
『宇宙鉄人!キョー、ダイィーンッ!!』
番外編なので、1本立てにする予定だったのですが、諦めて前後編に分けます(-_-;)