提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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たった一人、君という存在が
僕の世界の全てを変えた。

だが……その時、此処に残ったものは希望か、絶望か……


33話 : 人を愛したJOKER(おとこ)と人を捨てた英雄(おとこ)

街中に現れた怪物・アンデッドを撃退し、一息ついていた始と艦娘たち。

 

だが、そこへ始が『剣崎』と呼ぶ青い騎士が現れ、始に襲いかかった。

 

 

「ちょ……ちょっと待ってよ!?」

 

カリスと激しいぶつかり合いをする騎士・剣崎を止めようと、鬼怒は羽交い締めにかかった。

 

「鬼怒!?止せ!!」

 

「提督は黙ってて!よく知らないけど、その見かけだとあんたも仮面ライダーなんでしょ?なんで提督を攻撃してるのよ!?」

 

説得を試みるも、剣崎の耳にはまるで届いていない様で。

 

 

「フウウ……!ウアアアアァァっ!!」

「キャアっ!?」

 

「鬼怒ちゃん!!」

 

剣崎の剣戟を受け、鬼怒は傷を負ってしまった。

 

「鬼怒!!……クッ!剣崎、《ジョーカー》の力を抑えられていないのか……!?」

(え……ジョーカー?)

 

カリスの呟きに、秋雲は《ジョーカー》という単語が引っかかった。

 

その時

 

 

「まったく……遠征から戻ってみれば、何なんだ?この状況は」

 

 

長身に銀髪、左頬の傷にパイプ、白い軍服と艤装が特徴的な艦娘が現れ、剣崎に向けて発砲した。

 

「っ!!ガングート!」

「その声……貴様、提督か?なんて奇妙な格好をしとるんだ」

 

「ごめんなさい、ガングートさん!今は説明してる暇が無いんです!」

 

鳥海が詫びると、「分かっている」とガングートは返し。

 

「コイツは私が外へ誘導する!貴様らは、早いとこ工廠へ避難しろ!!」

「…すまん!」

 

ガングートが剣崎の注意を引きつけている隙に、カリスたちは工廠へ向かい、鬼怒を入渠室へ運び込んだのだった。

 

 

―――同じ頃。

 

鎮守府からほど近い海岸にて、不気味なローブ姿の怪人が立っていた。

 

『遂に……二人の【JOKER】が揃った……』

『両者が戦い……どちらかが倒れ、封印された時……』

 

『世界はリセットされ……新たな【バトルファイト】が始まる……』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

【SPIRIT】

 

鬼怒を入渠室に入れた後、カリスは秋雲たちの前で《ハートの2》を使い、ヒューマンアンデッド―――すなわち相川始の姿となった。

 

「え……?司令官さん、今のは……?」

「鳥海、ゴメンだけどその件はまた後で。―――提督、あの剣崎って人について教えてくれる?」

 

始の秘密を聞いた後ということもあり、秋雲はこの場の誰よりも冷静になろうと努めていた。

それを感じ取り、始も応えることにした。

 

 

「―――奴の名は剣崎一真……またの名を《仮面ライダーブレイド》だ」

「仮面ライダー……ということは、剣崎さんも……?」

 

扶桑が尋ねると、始はゆっくりと頷いた。

 

「ああ。奴もアンデッドだ………だが、元は人間だった」

「え!?」

 

皆が驚くのも無理は無い。

始が実は人間ではないということだけでも驚きなのに、人間が怪物になるという、SF小説みたいな話がある訳ないと思っていたのだから。

 

 

皆が落ち着くのを待ってから、始は語り始めた。

 

人ならざる己と、かつては人間(ヒト)であった剣崎。そして、両者を中心に取り巻くようにして繰り広げられた戦いの記憶を………

 

 

 

「53体のアンデッドによって行われるバトルロイヤル……《バトルファイト》。勝ち残った者には“万能の力”が与えられ、世界を支配することが出来るという」

「53体……まるでトランプみたい……」

 

「―――だが……【JOKER(ジョーカー)】である俺が勝ち残ってしまうと、世界は《リセット》と称して滅ぼされてしまう。それが、14年前の戦いの結末になる筈だった………」

 

「なるほどな……。あの男は、自らアンデッド(化物)となることで、世界の滅亡を阻止した…という訳か」

 

 

始が説明している途中、剣崎改め、ブレイドを振り切ってきたガングートが輪に加わり、始は頷く。

 

「ああ……アンデッドが2体いれば、戦いは終わらない。そして剣崎は、二度とバトルファイトが始まらないようにと、俺たちの前から姿を消した。俺が……人間たちの中で生きるように告げて」

 

「そこまでした人が……どうして?」

 

そう……

 

ここまでの話だけを見れば、剣崎という人間は自己犠牲を以て、始やこの世界を救った英雄的人物である。

 

それほどの人物が、何故救った相手を襲わねばならないのか。

 

「バトルファイトを管理する存在(モノ)……【統制者】。奴がジョーカーの意識を暴走させている」

「そいつを倒すことは出来んのか?」

 

ガングートが尋ねると、始は静かに首を横に振った。

 

「奴はバトルファイトというシステムその物。倒すことは出来ない……」

「そんな……」

 

すると、始が急に外へ向かって歩きだした。

 

「司令官さん?何処へ……?」

 

鳥海が尋ねると、始は歩みを止めた。

 

「剣崎が近くに居る以上……これ以上留まるわけにいかない」

「それって、つまり……」

 

 

「ああ……提督を辞職して、なるべく遠くの地へ移ろうと思う」




中途半端に切るの、アンタほんと好きねぇ?(誰目線やねん)

次回、新たな敵が乱入&誰かが何かに目覚める!?
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