提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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皆さま、長らくお待たせしました。

(ブレイド)編、続きでございます!!


35話 : 久しぶり

「ハ…ハジメ…ちゃん……?」

 

 

ガングートとは別の遠征任務から帰還した那珂であったが、その眼に飛び込んできたのは、見たことの無い鎧姿の騎士や黒いローブ姿の怪人と戦う仲間たちと、苦しそうに身悶えている黒と赤の鎧に身を包んだ騎士が提督……始の姿となり。

 

『ガアアァァアッ!!!』

 

さらに、緑と黒の外殻に身を包んだ、カミキリムシのような怪物となった光景だった。

 

 

「!?…那珂ちゃん!!」

「ッ!!」

 

鳥海と秋雲が那珂に気付き、目を見開く。

 

 

「よりによって、こんな状況で……!不幸、いえ最悪だわ……!!」

 

この鎮守府のメンバーの中で、那珂が人一倍繊細な心の持ち主であることを知っている為、扶桑は己の力不足に怒りを感じた。

 

 

『軍艦の亡霊ごときに、出る幕は無い』

 

黒いローブの怪人が手をかざすと、影からゴキブリのような姿の怪物・ダークローチやヤモリのような怪物・ゲルニュートが現れ、艦娘たちに襲いかかった。

 

 

「コイツら、街で暴れてた……!!」

「なんだと!?それじゃ、全てはコイツの謀略ということか!!」

 

 

『フウウ……!』

『グルアアァァアッ!!』

 

53番目のアンデッド【JOKER(ジョーカー)】と2体目のジョーカーとなった【仮面ライダーブレイド】。

 

種族を超え、友情を育んだ筈の二人は

 

互いに拳を振るい、異形の証である『緑の血』を流しながら、哀しき闘いを再開してしまった………

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なんで……なんでハジメちゃんがオバケになって……みんなが戦ってるの……?」

 

状況を現実だと受け入れられない那珂は、茫然と立ち尽くしてしまう。

 

「那珂ちん!危ないっ!!」

 

咄嗟に秋雲が抱え、ダークローチの攻撃から守ると、那珂の両頬を強く叩いた。

 

 

「那珂ちん、しっかりしなよ!!いつもの、明るく元気なハカランダのアイドルはどうしたのさ!?」

「っ!」

 

その一言で、ようやく落ち着きを取り戻したのだが

 

今度は、あまりの悲しさに涙が溢れてきた。

 

「だって……こんな状況見せられたら、笑顔も何も無いじゃん!!変なのが居て!みんなを攻撃してて!しかも提督までバケモノに変わっちゃって!!冷静になれっていう方が無理だよッ!!」

「そう、だね……解るよ、その気持ちはみんな同じだと思う」

 

「でもね?あたし思うんだ……提督も、ホントはずっと辛かったんだろうなって。自分は人間じゃない、でも人と触れ合って、人を守りたい気持ちが生まれて……正体がバレたら怖がられたり、拒まれたりするだろうってことも気にしないで、ずっと戦ってくれてたんだって」

 

「そうだよ……提督はバケモノなんかじゃない。あの人らと……《第4号》や剣崎さんと同じ、仮面ライダーなんだよ!!」

 

 

 

 

そう言うと秋雲は立ち上がり、何を思ったのか身に着けていた艤装を取り払った。

 

「秋雲ちゃん、何を……!?」

「せっかく再会したのに……マブダチ同士で、バカやらかしてんじゃないっつうの!!」

 

そして、JOKERとブレイドの元へ飛び出した。

 

 

「こんんの……、バカちんどもがぁああッ!!!」

 

 

それは、JOKERとブレイドが互いの拳を突き出したことで起きた。

 

 

「―――ッ……ゴ……フ……」

 

「―――ッ!!」

『…あ……秋…雲……!?』

 

JOKERの拳が秋雲の胸を、ブレイドの拳が秋雲の背中をそれぞれ貫いたのである。

 

 

「あ……秋雲ちゃん―――ッ!!!」

 

 

しかし、血を流しながらも秋雲は奮起し、両者の腕を押さえた。

 

「駆逐艦秋雲……やってやんぜぇええおりゃあぁぁっ!!!」

 

 

その時、JOKERとブレイドのベルトがやわらかな輝きを放ち。秋雲を含めた3人を包み込んだ。

 

「ッ!?秋雲!!」

 

その光景に、ローブ姿の怪人を相手に戦っていたガングートがようやく気付き。怪人を払い除けて駆け寄った。

 

『………馬鹿な…!?』

 

ブレイドたちが倒れた直後、ガングートに抱き止められた秋雲を眺めながらそう呟くと、ローブ姿の怪人は姿を消した。

 

 

「秋雲?秋雲!しっかりしないか、同志秋雲!!」

「ち……ちょ、ちょっと……ガンちゃん、あんま揺らさないで?マジで死んじゃう……」

 

「何をノンキな事を!胸とお腹を刺されたのよ!?」

 

鳥海たちも駆け寄り、身を案じるが

 

「………あれ…?傷が、無い……?」

 

最上の言う通り、秋雲が負った筈の傷は無くなっており、穿(つらぬ)かれたのであろうという痕跡は衣服の穴しか残っていなかった。

 

 

「……あっ、そうだ!提督たちは!?」

 

何事も無かったかのように飛び起きた秋雲は、JOKERから戻った始とブレイドの変身が解けたらしい男――剣崎一真の様子を伺った。

 

 

「………っ……うぅ…あれ?此処は……?」

「剣崎……!正気に戻ったのか……!?」

「ああ、その子のお陰でな……それより、ホラ」

「?」

 

剣崎の指差す方へ振り向くと、鳥海たちが一斉に駆け寄ってきた。

 

「司令官さん!」

「提督…提督だよね?僕たちの大好きな、いつもの提督なんだよね!?」

 

「っ!…あ、ああ……」

「ハハ、たくさんの子たちに慕われてるみたいだな?」

 

「秋雲ちゃん、何をしたの?」

 

扶桑に尋ねられるも、秋雲は首を横に振った。

 

「分かんない……ただ、提督たちをどうにか元に戻したいって思ったら、提督たちのベルトが光りだして、そしたら力が湧いてきたの。それ以上のことはさっぱり……」

「そう……って、あ!?」

 

話し終えた直後、秋雲はパタリと意識を失い、そのままガングートの腕に抱かれる形となった。

 

「秋雲!?おい!」

「……すぅ……はぁ……」

 

「……大丈夫、気を失っているだけのようです」

 

鳥海が確認をしてくれたことで、皆はほっと一息つく。

 

「秋雲……貴様は甘過ぎる……」

 

そう呟くガングートに、一真が声をかけてきた。

 

「彼女は俺に任せてくれ。信じてもらえないか?」

 

 

その言葉に、皆は一瞬迷った。

 

いくら始の友人で、敵と呼ぶべき相手に操られていただけとは言え、初対面の人物を信用していいのか……

 

 

しかし、ガングートは立ち上がり。

秋雲を一真に預けた。

 

 

「言っておくが……今、私が信じるのは貴様の言葉ではない。秋雲の……我が同志の覚悟と心だ」

「――ありがとう」

 

それに対し、一真は微笑みながら応えた。

 

 

「剣崎、鳥海。秋雲を頼む」

「はい」

「ああ、彼女を看病したら俺もすぐに戻るよ」

 

鳥海と共に入渠室へ向かおうとした、その時。

 

「ああ、そうだ。始!」

「……なんだ?」

 

振り向き、言い忘れていた大切な言葉を贈った。

 

「――久しぶり」

「……ああ」

 

 

微笑みながら挨拶をする友に対し、始もまた笑顔で返し。

秋雲を運んでいく二人を見送るのだった。




人が好きだから、人を守る。

でも、人を守ることは、大変だ。
口で言うほど、簡単じゃない。

じゃあ、どうすればいい?
彼なら答えてくれるだろうか。(「仮面ライダーぴあ」より)
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