提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え? 作:夏夜月怪像
折り返しと参りますm(_ _)m
仮面ライダーブレイド―――剣崎一真。
53体のアンデッドによるバトルロイヤル【バトルファイト】の運命を覆し、人類と人を愛する心を宿したアンデッド・ジョーカーを救った一人の男。
その彼とジョーカー=相川 始の再会を、『艦娘』秋雲の命懸けの行動が実現させたのだった。
「………クッ!!こんなふざけた戦いを仕組んだ奴を、許すつもりは無い………!!!」
抑え切れぬ怒りを拳に込め、ガングートは庭木を叩いた。
「私も、秋雲ちゃんや街の人たちを傷つけた連中は絶対に許さない!」
那珂の言葉に、始や皆も頷く。
「秋雲が命懸けで作ってくれた、この僅かな期間を無駄にしない為にも……!」
ガングートたちの方へ向き直り、始は『提督』として力強い号令をかけた。
「ハカランダ艦隊、整列!!敵は深海棲艦とは異なる、未知の脅威だ!この混乱に乗じて深海棲艦の乱入や、敵が深海棲艦を手駒として使ってくる可能性も十分考えられる!」
「一瞬の油断も許されない!みんな、頼むぞ!!」
「了解ッ!!」
ハカランダ艦隊の艦娘たちは総員敬礼、鎮守府及び周辺区域の巡回と街の人々の避難誘導を開始した。
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『【カイリ】……アンデッドですらないモノごときに、まさかあの様な力があるとは……』
今回の戦いを仕組んだ、黒ローブの怪人が独り言を呟いていた、その時。
「ヤット見ツケタ!探シタゾ?コンナトコロデ何ヲヤッテイタ?」
黒ローブの怪人の前に、人型の深海棲艦《重巡リ級》が現れ、声をかけてきた。
『……?貴様…どうやって此処へ来た?』
「ン?ドウッテ……水聴音機デ場所ヲ探リダシタニ決マッテルダロウ?」
『成程な……。シンカイセイカンとやらは、
「サッキカラ何ヲ言ッテ……ン…!?」
黒ローブの怪人がフードを脱ぐと、その素顔は色白の肌に赤い光の宿った瞳をした深海棲艦―――《戦艦ル級》だった。
しかも、傍らにはリ級さえ見たことの無い、不気味なモニュメントがいつの間にか出現していた。
『
「ギッ!?ァガ……アアア……!!」
黒ローブ怪人の正体……戦艦ル級が手をかざすと、リ級は苦しみだし、やがて力無く項垂れ、膝を着いてしまった。
『立て……』
ル級が指示をすると、リ級は糸で繋がった操り人形のようにユラリ…と立ち上がった。
『深海棲艦を使ってカイリを無力化し……』
「ジョーカーの1体諸共、この世から消す……」
ル級とリ級、2体の深海棲艦は一糸乱れぬ動きで散らばっていた駆逐艦などを集めた。
『「行け……」』
その言葉に、駆逐艦たちもまた忠実に動き、散らばったのであった………。
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一方。
深海棲艦側の動きを把握していない始たちは、迎撃の準備に取り掛かろうとしていた。
妖精さんたちと共に艤装の点検をしていたガングートの様子を見に、始が工廠へ足を運んだ。
「提督……具合は良いのか?」
「ああ……そこそこな。それよりも気がかりなのは、秋雲や皆の事だ」
「【統制者】……だったか。今回の件の黒幕は」
「ウム……【統制者】は恐らく、まだ諦めてはいまい。俺か剣崎……どちらかを封印し、今度こそ世界を《リセット》しようとするだろう」
始の推測に対し、ガングートはフンっと鼻で笑った。
「どんな小賢しい策を弄してこようが、私は同志たちと共に戦うだけだ」
「……前から気になっていたんだが、お前と秋雲は家族なのか?」
艦娘としての
しかし、ガングートは首を横に振った。
「いや……だが、かつて同じ鎮守府に籍を置いていたという意味では、家族と呼べるのかもな。私と秋雲……そして、扶桑と那珂も」
作業を進めながら、ガングートはポツリポツリと話してくれた。
自分を含めた、秋雲と那珂、扶桑の4人は、かつて《海上の脚本家》と讃えられた智将の抱える鎮守府に在籍していた事。中でも自分は初め、秋雲たちと敵対する形で出会ったことを。
「分かりやすく言うとだ。私は艦娘の中でも変わった生まれ方をした一人……《
「ドロップス……」
「だが……アイツらは、そんな私を仲間と呼び、受け入れてくれた。裏切るかもしれない……そんな疑いを、少しも持たずに」
そうして、ガングートを迎えてくれた提督―――沼田統也がこの世を去ったのは、ガングートが皆と打ち解け、秋雲と“同志の誓い”を交わして間もなくのことだった………。
「……人間とは、不思議な生物だ。たとえ、自身の命が危うくなっても、自分ではなく…他人のために何かを遺そうとする。かつて、俺が手にかけてしまった男も…剣崎も……そして、秋雲や沼田も」
「……アイツらは、本当に甘い。寝首をかかれるという事を知らんのかと、問い質したいことが何度あったか……っ」
始の言葉に、ガングートは胸が熱くなり、眼が潤んだ。
「そうだな……だが、その“
「…甘く、か……」
―――俺は、人を愛しているから戦うんだ!
かつて、剣崎が口にした言葉を思い返しながら、始は己に厳しいガングートへ言葉をかける。
そして、ガングートもまた、秋雲の無邪気な笑顔を思い浮かべ、「甘くなる」ことの意味を噛みしめるのだった。
次回、剣編後半戦!
戦士たちの【切り札】は、果たして!?