提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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暑さや湿気、コロナとたまらん日々ですが、みなさんお身体を大事に!


44話 : mの誘い/狂わす磁気

依頼を引き受け、津島狩と水面川の二人を見送った後。

 

翔太郎は「さて……」と一息吐き、フィリップに尋ねた。

 

 

「フィリップ、《デンデンセンサー》で何か分かったか?」

 

翔太郎が話を聞いている間、フィリップはメモリガジェット・デンデンセンサーで依頼人たちの手を縛る“何か”を調べていた。

 

 

「依頼人たちそれぞれの繋がれた手に、強力な磁気が発生していた。恐らく、あの二人の手が磁石に変異した為に、今回の様な事態になったのだろう」

 

「人の手が磁石になるって……提督さん、そんな事が起こるの?」

 

 

夕立が尋ねると、翔太郎は頷いた。

 

「通常なら有り得ないさ。だが夕立、お前なら分かる筈だ。この街だからこそ出来る“有り得ない事”を実現可能にする、たった一つの方法を」

 

そう言われて、夕立と漣はハッとなる。

 

「――ガイアメモリ!?」

「っぽい!?」

「ぽいどころじゃなく、ほぼ間違いなく……だな」

 

「ん〜……ゆうだっちゃん、その独特な口癖は何とかなんない?」

 

夕立の口癖でもある「ぽい」に対し、亜樹子は未だ馴れていないのだった。

 

 

「っし!お前ら、捜査開始だ!」

 

「ラジャ!!」

「ぽーい!!」

「お〜」

 

「摩耶ちゃんと瑞鶴ちゃんも、聴き込みのサポートよろしくね!」

「え?あっちょ!?所長さーん!?」

 

 

鳴海探偵事務所・別名『風都艦隊』は散らばり、事件に関する手掛かりを探るべく、奔走を開始した。

 

 

 

「おっちゃん!こんにちはー!」

「おう、さざなっちゃん!今日はゆうだっちゃんと一緒かい?」

「にへへ〜。あ、そーそー!ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 

 

「クイーン、エリザベス!ちょっといいか?」

「お!まややんだぁ〜!」

「てことは、翔ちゃん達と仕事?」

「そんなとこだな。で、早速質問なんだけど……」

 

 

風都艦隊―――その認知度と浸透率は、翔太郎や翔太郎を提督に推したヒィッツ中将や山県元帥の想像を越える高さと勢いで広まり、翔太郎自身の人柄や人脈もあって、多くの風都市民から受け入れられていた。

 

というのも、漣と初めて交友関係を持った《風都イレギュラーズ》の一人にして漣のSNS仲間でもあるブロガーのウォッチャマンや、同じくイレギュラーズのメンバーである女子大生コンビ・クイーン&エリザベス等を中心に、『風都の艦娘も我らが街・風都の住人である』という情報が発信されたのだが、これが社会で大きな反響を呼んだ。

賛否両論は勿論あるが、艦娘の活躍や待遇の現状についてある程度知ることが出来たお陰で、艦娘にも人権を与えるべきだという声が各地で挙がり、その中でも風都は市内に設置された鎮守府の艦娘達との交流や友好関係を結ぶ活動に積極的に取り組んでいたのである。

 

 

「提督さーん!」

「瑞鶴!」

「……って、いつの間に望月をおぶってたの?」

「くー……」

 

瑞鶴が指摘する通り、望月は翔太郎に背負われ、安心しているのか熟睡していた。

 

「まあ、そう言うなよ。今朝まで夕立と一緒にペット捜索を手伝ってくれてたんだから。ちょっとでも休めるなら、ゆっくりさせてやりてえじゃねえか」

 

 

駆逐艦《望月》……鳴海探偵事務所 兼 風都鎮守府最初の『建造』で迎えられた艦娘であり、風都鎮守府所属の艦娘第1号という事もあって、先輩分である漣や夕立、所長である亜樹子などからも猫可愛がられていた。

 

しかし、口や態度にまでは出さずとも、本人なりに思うところがあるのか。気怠げな態度で誤魔化しつつ、人一倍仕事や任務に励んでくれていることを翔太郎たちはみんな分かっていた。

 

だから、彼女が常日頃口に漏らす「ダルい」とか「メンドー」を聞いても、あまり厳しくは注意せずにいるのだった。

 

 

「……で。何か分かったか?」

 

「うん。どうやら、例の磁石化現象というか引っ付き事件は今回の依頼人たちが初めてってワケじゃないみたい」

「フム……」

 

 

―――この奇怪な事件が、後にさらなる事態を引き起こすことになるとは、この時点では誰一人思いもしなかった………。




嗚呼、やはりムズカシイ……(;´∀`)
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