提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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『風都艦隊』第2集、反撃編です!


48話 : mの誘い/縁切りの疾風(かぜ)

望月の入渠、そして艤装の修理も完了した旨の報せがフィリップや亜樹子、漣たちの元に届いたのは、翔太郎と望月が入渠施設を出てすぐの事だった。

 

 

「そうか……張田正紀はメモリを使って自らの店を崩落させ、破棄したか」

 

「ああ。だが、いくら奴が悪質な縁結びサイトで稼いでいると言っても、表向きの顔である手相見の店をアッサリと捨てるのはあまりにも妙だ」

 

「じゃあ、そのドーパントさんは隠れ家を別に持ってるかもしれないっぽい?」

 

スタッグフォンで話すフィリップと翔太郎に対し、夕立が割り込むと翔太郎が応えた。

 

 

「その可能性は大いにあるな。コネクションのメモリが万物の『接合』を自在に操ると判明した以上、材料や土地さえ揃えば、ある程度の仮住居くらいは(こしら)えられる筈だ。問題は……」

 

「ああ。奴が現在、何処に身を潜めているか…だ」

 

二人の会話を聞きながら、摩耶と瑞鶴は不審がっていた。

 

悪質な縁結びを強要している犯罪者を取り逃がしたのに、何故この二人はこんなにも落ち着いているのか?ましてや、犯人の行方も分かっていない状況なのに。

 

そんな二人の様子を見て、亜樹子は摩耶達の肩を叩き、微笑んだ。

 

「大丈夫!ウチの探偵提督達を信じなさいっ!!」

 

ピースを決める亜樹子に対し、摩耶と瑞鶴は「この所長も案外暢気だなぁ……」と半ば呆れてしまうのだった。

 

 

======================

 

 

連邦統合海軍総司令部にて。

 

翔太郎を提督に推薦したヒィッツ中将同様、翔太郎に大きな期待を寄せている司令部幹部の一人である山県茂正元帥は、ネットニュースに上げられていた風都市内の家屋倒壊について目を通していた。

 

「提督、失礼するぞ」

「オオ、武蔵。《遠出》はどうだった?」

 

執務室へ入ってきたのは、戦艦《武蔵》。山県の艦隊の主力メンバーの一人にして、山県の提督権限により《特命大佐》の地位と一定の行動の自由権を与えられた艦娘の一人である。

ちなみに、山県の言う遠出とは、査察の是非に対する調査と管轄区域の見廻りである。

 

「今のところ、これと言って危惧すべき要素は無い…かな。大本営や本丸たる連邦政府周辺は、海特警やNPFらがしっかりと睨みを利かせているしな。そこらのチンピラ共よりも大人しいくらいだ」

「そうかそうか。まぁ、折角だ。部屋に戻る前に、一杯飲んでいけ」

「かたじけない」

 

鳳翔に茶を淹れてもらい、二人で乾杯する。

 

「……時に提督、いや…親父殿。既にご存知とは思うが、その……風都で」

「ああ、一軒家倒壊の件だろう?それについては心配無い。ちゃんと地元の探偵が探りを入れておるともさ」

 

自信に満ちた山県のその言葉に、武蔵も自然と笑みが溢れる。

 

「親父殿が目にかけている、例の“探偵提督”か」

「ガッハッハ……まだまだ青臭ぇ所はあるが、それがあの若僧の良い所でもある。俺もヒの助も、アイツはいつか、でけえ事を成し遂げる気がしてなあ。そいつが楽しみでならんのだ」

 

子供のように笑う山県に対し、やれやれと笑う武蔵であった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一方、翔太郎たちを仕留めたと思い込んでいる張田は浮かれていた。

 

当然と言えば当然であった。現時点の彼には、翔太郎たちは“ただの探偵”という認識でしかないのだから。

 

ちなみに、張田が避難した隠れ家は、彼が正規の手続きを行って所有している中規模の倉庫であった。

とは言え、倉庫に隠しているのはこれまでのサイトによる収入などで得た脱法ドラッグや『旧組織』の工場跡地から発見・回収したガイアメモリである為、使い方には問題があるだろう。

 

しかし……そんな事はどうでも良い。とりあえず、自分の商売の邪魔になるヒーロー気取りは始末したのだから。

 

 

「さぁて……早速、次の相談をチェックしなくちゃな」

 

ノートパソコンを取り出し、サイトのチェックをしようとした……その時。

 

 

「ッ!?」

 

張田の前に、クワガタムシやコウモリ、クモの形をした小型メカが飛来。パソコンに触れさせまいと攻撃を仕掛けてきた。

 

「なっ!なんだ、こりゃあ!?」

 

懸命に振り払おうとするが、小型メカ達は巧みに動き回り、これを回避。

 

 

やがて、倉庫の入口へと飛び移っていき。そこには三人の人影が。

 

 

「ッ!!?なっ……そ、そんな馬鹿なッ!!」

 

その姿を見て驚きを隠せない張田に、影の主の一人……翔太郎は、帽子で軽く目元を伏せながら睨みつける。

 

 

「どうやら……他人(ひと)の縁は好き勝手に出来ても、自分の縁だけは思い通りに出来ねえみたいだな」

 

「ク……クソがぁアッ!!」

 

半ばヤケクソといった具合に、コネクション・ドーパントと化した張田を見据えながら、翔太郎はダブルドライバーを装着し、フィリップと共にメモリを取り出す。

 

《ジョーカー!》

 

《サイクロン!》

 

「行くぜ?フィリップ!望月!」

「ああ、翔太郎」

 

「あーい!」

 

「変身!」/「変身!」

 

《サイクロン/ジョーカー!!》

 

 

フィリップの身体が昏倒し、翔太郎は仮面ライダーWへと変身。

 

望月はフィリップの身体を抱え、安全な所へ避難させる。

 

 

『望月は大丈夫そうだが、君の方はどうなんだい?翔太郎』

 

飛びかかってきたコネクション・ドーパントの攻撃を躱しながら、フィリップが尋ねる。

 

「ああ。アイツに助けられたお陰でな……だが」

 

しなる様に襲いかかるコネクション・ドーパントの腕の攻撃を受け止め、Wは力強い左ストレートを顔面に叩き込んだ。

 

「コイツをブッ飛ばさねえと、いくら詫びても詫びきれねえ……!!」

 

そして、戻ってきた望月がコネクション・ドーパントの不審な動きを目撃。

 

「提督!ちょっとゴメン!」

 

機銃を発砲し、牽制。Wの援護に成功した。

 

「…また助けられちまったな」

「止してよ、お礼言われる程の事じゃ無いんだから」

 

『ク……!!どいつもコイツも、俺の邪魔をォ……!』

 

「悪いな。テメェの行いが街を泣かせている以上、止めるのが俺達の役目だからな」

「……つー訳で。アンタにはぶっ倒れてもらうよ」

 

苛立ちを剥き出しにするコネクション・ドーパントの攻撃を避けつつ、Wは青いガイアメモリ『トリガー』を取り出し、ジョーカーメモリと交換した。

 

 

《サイクロン/トリガー!!》

 

望月の砲撃に合わせて、敵に反撃の隙を与えぬよう専用武器・トリガーマグナムによる銃撃を繰り出す。

 

 

「ヘェ?結構良いウデ持ってんじゃん、提督」

「お前らほどじゃねえさ」

 

 

やがて、次第に追い詰められたコネクション・ドーパントは、今度こそWたちを始末しようとまたも能力を使おうとした。

 

 

『決めるよ?翔太郎!』

「ああ!望月、遅れんなよ?」

 

「りょーかい!」

 

《トリガー・マキシマムドライブ!!》

 

内蔵されたスロットにトリガーメモリをセット、マグナムを高火力のマキシマムモードへと変形させる。

 

連装砲を構えた望月と共に照準を合わせ、言い放った。

 

 

「『さあ、お前の罪を数えろ!!」』

 

「これで決まりだ…!!」

 

 

「『トリガーストームボム!!」』

 

トリガーマグナムから、竜巻の如く強力な風のエネルギー弾が放たれ。望月の放った砲弾を取り込んだ事で、その破壊力は増大。

 

倉庫の壁ごとコネクション・ドーパントを吹き飛ばし、完全撃破。

土煙が晴れると、そこにはズタボロになって倒れた張田と、粉々になったコネクションメモリだけが残されていた。




次回、一部のタネ明かしと後日談であります。
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