提督が鎮守府より“出撃”しました。これより艦隊の指揮に入りま………え?   作:夏夜月怪像

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こぼれ落ちる砂のように、誰も時を止められない。

例え、それがどれだけ取り戻したい過去であろうと……


58話 : 俺、ようやく参上!!

時雨、白露、そしてガンビアとモモタロスの4人が発見した2体のイマジン。

 

片方は時雨の望みを叶えるとして、片倉中佐に襲いかかったシカのイマジン。

もう一方は、モモタロスらとは別に侵入したらしい、ライオンの外皮の様なマントを纏ったウマのようなイマジンであった。

 

「長良!大丈夫!?」

「白露!良かった!コイツらが急に、執務室に押しかけて来たんだけど……」

 

事情を話そうとした長良であったが、シカイマジンはそれを制する。

 

「我が主の姉上……案ずる事はありませぬ。主たちの同胞には傷一つ付けさせませぬ!某めが討つは(ただ)一人……それは貴様だ、外道!!」

 

そして、片倉に対し、竹刀の鋒を突き付けた。

 

「……オイ。何がいったいどうしたってんだ?」

 

イマジンが入り込んでいる、現状以外の事情をまったく知らないモモタロスは首を傾げる他無かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ?オイ、お前……今、俺を倒すとかほざきやがったか?」

 

シカイマジンの宣告に対し、片倉は不愉快そうに聞き返した。

 

「シカり。貴様が……」

「危ない!!」

「ッ!?」

 

シカイマジンが返答しようとしたところに、ライオンのマントを羽織ったウマの様なイマジン・レオドンキーイマジンが猟銃を模した棍棒を振るい、殴りかかってきた。

 

「うおっ!?」

「っく……!」

 

「提督!?」

「司令官!」

 

シカイマジンと片倉は辛うじて避けるも、レオドンキーイマジンの腕力は思いの外凄まじく、執務机は真っ二つに破壊されてしまった。

 

「なっ!?テメェ、人の大事な仕事道具に何しやがる!!」

 

「良いじゃねえか。どうせ仕事なんか出来なくなるんだしさァ」

「なに……?」

 

怒る片倉に対し、レオドンキーイマジンはあっけらかんと言い放った。

 

 

「お前、提督ってんだよな?提督ってのは偉くて強いんだろ?俺は《強そうな奴ら》を探してんだよ。それがアイツの『望み』だからなあ」

 

「望み?それに、アイツだと……?」

 

イマジンの発言に、まったく心当たりの無い片倉は首を傾げる。

 

 

しかし、同じく話を聞いていた時雨や長良たちには、一人だけ思い当たる人物が居た。

 

 

 

「……ひょっとして、追川(おいかわ)さんの事?」

 

 

 

===================

 

 

汪曲刻鎮守府に所属する憲兵、『追川逸郎(いつろう)』。

 

片倉がばら撒く金に目が眩み、ゴロツキに成り下がった憲兵隊の中では、比較的マトモと言える部類の人間だった。

 

いかに資金難に苦しんでいたとは言え、非合法な手段で稼いだ資金を受け取ってしまった時点で、片倉の手下になる以外に道は無かった。

 

かつては高い志を胸に軍職に就いたというのに、周りは職権乱用をする低俗な連中ばかり。責任重大である提督という立場にありながら、人も艦娘も消耗品程度にしか見ていない男を相手に怒りと不満を抱きつつも、先輩などに押さえつけられて何も出来ずにいた。

 

そして、そんな中で今回、憂さ晴らしを兼ねて暴れていたところを不審な連中に叩きのめされ、さらに先輩連中から理不尽な八つ当たりを受けてしまった。

 

 

(何でだ……何でいつも、俺ばっかり……!!)

 

 

力が欲しかった。

 

威張り散らすばかりで何もしない奴らを……欲にまみれて、力の持ち方を忘れた馬鹿な連中を黙らせる為の大きな力が欲しかった。

 

そして……『そいつ』が現れて、話を持ちかけてきたのだった………。

 

 

===================

 

 

「まさか……その者も、この男や一派に!?」

 

 

シカイマジンがレオドンキーイマジンに問い詰めようとする一方。

 

 

「オイ、なんで行っちゃダメなんだよ!」

「今割り込んだら、余計にモモタロさんが悪者になっちゃいますよ〜」

 

イマジン相手に戦いたくて仕方ないモモタロスを、ガンビアや陽炎が抑えていた。

 

 

「ぐぅぅ……お前ら、周りから頑固だなとか言われたりしてるだろ?」

「ベイっ?」

「いや、あたしらは特には……。言われてるとしたら……」

 

 

そう言いながら陽炎が視線を向けたのは、時雨だった。

 

 

「……なるほどなぁ。持ってる奴に対する、持ってない奴の嫉妬ってのは醜いねえ?」

 

話をある程度理解したのか、片倉の口から出た言葉は相変わらずの物だった。

 

 

「お前も可哀想になあ?そんなクソザコなんか捨てて、俺の手下になれよ。強そうな奴を探してんだろ?俺がお前を有効活用して……」

 

「何を勘違いしてやがる?バカか?」

 

取引をしようとした片倉の言葉を遮り、レオドンキーイマジンは嘲った。

 

 

「『誰よりも強くなりたい』―――それが、俺の契約者の『望み』なんだよ。だから、お前もコイツらと一緒に潰れろ」

 

「………は?」

 

呆けた一瞬の隙を突いて、レオドンキーイマジンは棍棒を振り下ろした。

 

 

「提督!!!」

 

棍棒が当たる直前、反射的に飛び出した時雨が片倉を突き飛ばし。

 

棍棒は身代わりとなった時雨の頭を殴りつけた。

 

 

「時雨ぇーッ!!」

「主ぃーッ!!!」

 

 

「ッ………ぁ……くぅ…」

 

身体の丈夫さに加え、寸での所で致命傷を避けられた為、激しい痛みこそあるが意識を失わずに済んだ。

 

「主…主!我が主よ、気を確かに!!」

 

シカイマジンに呼びかけられ、時雨は体を起こそうとした。

 

「良かった……すぐ入渠に…」

「オイ……」

 

「!」

 

白露がシカイマジンと共に運ぼうとした、その時。

 

「この……役立たずのクソガキがぁ!!」

 

怒り爆発といった様子で、片倉が時雨を蹴り飛ばした。

 

「提督!?」

「貴様!!主は貴様を庇って負傷なさったのだぞ!?その必死の働きを、役立たずなどと……!!」

 

「うるせぇ!!俺に口答えすんじゃねえよ、クズが!!俺がわざわざ奴を引き止めてやってたってのに、さっさと始末しねえから俺の完璧な作戦が台無しになっちまったじゃねえか!!」

 

「役立たずはどっちよ!!作戦ですって?偉そうな口を利くのも大概にしなさいよ、この金食い虫!!!」

 

時雨の厚意を汚され、怒りが頂点に達した白露は片倉を罵り返した。

 

しかし、片倉はそれすら聞き流し。これ以上無い、最低な命令を下した。

 

 

「―――死ねよ」

 

「なに……?」

 

「ここまで俺に恥を掻かせたんだ。死ぬのが当然の償いだろうが?ほら、死ねよ?早く。一人が嫌なら他にも連れてきていいぞ?連帯責任だ。み〜んなで仲良く……死・ね・や♪」

 

 

「……」

 

白露やシカイマジンは勿論、時雨も頭が真っ白になった。

 

 

テレビや新聞、そして人伝に悪い人間のあれこれを耳にしてきた。

しかし……ここまで堕落した、悪意の塊のような人間がいるだろうか?

 

時雨たちの為に剣を取る……そう決心していたはずのシカイマジンであったが、絶望のあまり、動けなくなってしまった。

 

 

「オイ、提督の命令が聞こえねえのか?さっさと……」

 

「…るせぇな」

「あ?」

 

 

「うるせぇつってんだよ!どクズ野郎がッ!!」

 

しかし……立ち上がり、片倉を目一杯殴りつけて吹っ飛ばした人物が一人現れた。

 

 

「……あ…あっと、あの…えっ??」

 

それは、重傷を負ったばかりの時雨だった。

 

しかし……目の当たりにしたその姿に、白露や周りの艦娘たちは動揺した。

 

 

温厚な人柄が表れていた、優しげな青い眼が紅く輝き。

目尻は上がって鋭く、攻撃的な雰囲気を醸し出していた。

髪型も前髪が逆立ち、特徴的なアホ毛も上方へと跳ね、後ろ髪の三編みは解けてシンプルな一つ結びとなっており、赤いメッシュが混ざっていた。

 

「し…しぐ…れ?」

 

「あ、あれ?モモタロさんは!?」

 

白露は豹変した時雨を見て、ガンビアはいつの間にか姿を消したモモタロスに対して驚いた。

 

 

そして……豹変した時雨が言い放ったのは、これまた時雨らしからぬセリフだった。

 

 

「“俺”、参上……!!」




必死に展開を考えた結果、かーなーり強引に(ヽ´ω`)

ちゃんと一区切りつけないと、なのに……
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