魔法戦姫シンフォギア   作:浅田零

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魔法の指輪 「ウィザードリング」。

今を生きる魔法使いはその輝きを両手に宿し、

「絶望」を「希望」に変える。


第5幕 少女の想い、通りすがりと過去

??「やっと…見つけた…ッ!あたしの…あたしだけの最後の希望ッ!」

嬉しそうに笑う

 

ウィザード「えっと、君…は?会ったことあるっけ?」

 

??「な…ッ!?」

嬉しそうな表情から、今にも泣きそうな表情になる

 

ウィザード「ごめん…けど、どっかで…」

その時

 

奏「おーい、晴人〜!」

手を振りながら走ってくる

 

響「はぁ…はぁ……も、もう、ヘトヘトぉ……」

晴人の近くまで走ってきて、バテている

 

??「なんでだよ…晴人………ッ」

(あの時、希望になるって言ってくれたじゃねぇか…)

信じてたのに…あの時あたしは、アンタに救われたのに……っ

 

『俺が言いたいのは、過去ばっかり見て、今を捨てんなって事!』

その言葉を、

 

『それを持っている限り、またどこかで必ず会えるさ……約束する、俺がお前の最後の希望だ。』

ずっと…信じてきたのに…

 

なんで…なんでなんでなんでなんでッ!!!!

ああ………そう、か…

 

??「は、はは…は……」

俯き、笑っている

 

ウィザード「一体君は……」

 

??「そいつらに…何かされたんだな?大丈夫だ、あたしがすぐ助けてやる……」

鞭状の武装を構える

 

??「あたしの希望をッ!返せぇえ!!」

奏と響を狙い、攻撃を仕掛ける。

 

奏「っ!あっぶね!」

何とかギリギリ躱す

 

響「っ……!?」

避けられない、そう思い目を閉じる

 

………だが、攻撃が当たる気配はない

 

ゆっくり目を開けるとそこには…

響「盾……?」

 

翼「――剣だッ!」

巨大化させたアームドギアで防いだった。

 

響「つ、翼さん…!ありがとうございますっ!」

 

ウィザード「翼ちゃん、良かった、無事だったみたいだね」

 

翼「はい、この程度、造作もありません。」

 

そしてギアを構え直す

翼「何者だ、貴様…」

 

??「ッ……」

(流石に装者3人はヤベぇか…けど、諦めたら晴人が……っ)

 

クリス「あたしだ!晴人!雪音クリスだ…ッ!」

 

ウィザード「…!クリス…ちゃん?」

 

両者が向き合い直したその時、

カチャッ、とカメラを切る様な音がする

 

奏「ん?何だ…?」

 

ウィザード「今の音…まさか」

変身を解き振り向く、とそこには

 

??「ここが、ウィザード…いや、シンフォギアの世界か。」

 

黒のパンツ。

ピンク色のシャツの上には、パンツ同様黒色のジャケットを着た、晴人と同じ位の青年が立っていた。

 

晴人「門矢…士…」

 

士「よう、久しぶりだな、操真晴人。」

俯き、カメラを弄りながら

 

響「晴人さん、知り合い…ですか?」

 

晴人「…うん、彼も俺と同じ、仮面ライダーだ。」

 

響「この人もか、仮面ライダーさんなんですか!?」

 

士「あぁ、通りすがりのな。」

カメラを弄りながら

 

晴人「それで、何でここに?」

士の近くに寄る

 

士「まあなんだ、たまたま通りすがっただけなんだが。」

やっとカメラから手を離す

 

士「一応、折角の俺の後輩なんだ、少し協力してやろうと思ってな。」

 

晴人「協力…?」

 

士「ちょっと借りてくぞ。」

そう言い、灰色のオーロラの様なものに吸い込まれていく。

 

晴人「なっ……」

周りを見渡すが、自分以外居なくなり、1人になる

 

【その頃、オーロラに吸い込まれた響達は】

響「あれ……ここは……?」

謎の黒い空間に居た

 

翼「目が覚めたか、立花」

 

奏「ったく、どこなんだよここ…」

見渡すが、どこを見ても真っ黒な空間

 

クリス「……」

(晴人はどこに……後さっきの胡散臭い奴も)

 

その時、後ろから

士「どうやら全員、目が覚めたみたいだな。」

またカメラを弄っている

 

クリス「テメェ!晴人を何処にやった!」

掴みかかる勢いで近くまで行く

 

士「そうカッカするな、その操真晴人の事を詳しく教えてやろうと思ってな。」

 

響「く、詳しく教える…?なら、言葉だけでも良いんじゃ……」

 

士「聞くだけと見るのじゃ違うだろ?だから見せてやる」

 

士「じゃあ見てみるか、操真晴人の過去を。」

 

そう言うと、真っ黒な世界から景色が変わり、雨の中、車に乗っている恐らく父親と母親、そしてその子供であろう少年が映る

 

少年『お母さん、まだつかないの?』

退屈そうに母親に尋ねる

 

響「あの子は…」

 

士「見てればわかる。」

 

母親『“晴人”、わがまま言わないの』

 

少年『……むぅ……』

つまんなそうに持っているドーナツ、プレーンシュガーを食べだす

 

クリス「あれが…子供の頃の晴人……」

 

その幸せそうな空間は、ここで終わる

前から大型トラックが猛スピードで来て、両親と子供もまとめて事故に遭う。

 

翼「なっ……」

 

そして場面は、病院の病室に変わる

 

ベッドに寝ている重症の母親と父親、

幸いにもそこまで重症では無かった少年。

 

少年『……』

 

母親『良かっ…た……貴方…が………助かっ…て……』

 

少年『お母さん…っ!死んじゃやだよっ!』

 

母親『諦め…ない…で……貴方は……お父さんと、お母さん…の……希望、よ……』

手を伸ばす

 

その手を掴む

 

少年『僕が……希望……?』

 

父親『そう…だ……』

 

父親『晴人が生きててくれることが………俺たちの…希望、だ……』

 

父親『今までも………これからも……』

手を伸ばす

 

そしてその手も少年は掴む

そして、2人とも安心したような顔になり、亡くなる

 

少年『嫌…だ………嫌だよ…!』

 

奏「っ………」

 

場面は変わり、大勢の人間がまとめて集められている。

その中には、操真晴人の姿も

 

晴人『ここは……』

 

翼「一体何が……」

 

士「サバトだ。」

 

響「さばと…?」

 

士「あぁ、始まるぞ。」

空を指差す。

 

空を見上げると、太陽が月によって覆われ、日食が始まる。

 

奏「ん…?特に何も起きない……」

 

その瞬間、大勢の人間たちが苦しみだす、そしてよく見ると、その顔や身体全体にヒビが入っていく。

 

晴人『ッ!?』

勿論、操真晴人にもヒビが入っていく。

 

響「い、一体何が…」

 

士「簡単に言えば、人を強制的に絶望させて、怪物を生み出す儀式だ。」

 

そのヒビが剥がれ落ち“ナニカ”が生まれ落ちていく。

 

奏「なっ…なんだよアレ…」

 

士「ファントム、操真晴人がこれまで戦ってきたヤツらだ。」

 

そして遂に、晴人の背中からドラゴンの羽の様なものが出てくる。

 

クリス「晴人っ!」

 

晴人『俺……は………』

空に手を伸ばす

 

晴人『俺は……ッ!』

その身体が光り輝く

 

奏「ど、どうなったんだ……?」

 

日食が終わり、周りには操真晴人以外誰もいない

 

晴人『俺……は……?』

 

翼「…!晴人さんは無事だったんだですね…!」

 

士「あぁ、生き残ってしまった。」

 

響「生き残ってしまった…?」

 

士「ここから、アイツは魔法使いとして…仮面ライダーとして戦うことになる。」

 

また場面は変わり、病室

少年『僕のせいだ…僕がお母さんなんて嫌いなんて言ったから』

 

晴人『違うッ!』

その少年に駆け寄る

 

晴人『お前のせいじゃないし、お父さんとお母さんもまだ居なくなってない!』

肩を掴む

 

晴人『お前が諦めちゃダメだ!お前は…お父さんとお母さんの希望なんだッ!』

 

晴人『だから…お前が希望を捨てるなッ!』

普段のクールな雰囲気は無く、凄く焦っている様に見える。

 

少年『晴人……』

 

響「晴人さん……」

 

少し微笑みかけ、頭を撫でる

晴人『大丈夫だ…お前の希望は、俺が守ってやる。』

 

そう言い残し、病室を出る

と、その後を追いかける黒髪の女性

 

女性『待って晴人くん!』

 

晴人『ファントムはまた2人を狙ってくる、俺が倒すしかないだろ。』

 

女性『晴人くんだってまだ回復してないじゃ…』

 

晴人『無理でもやらなきゃ誰も救えないじゃんかッ!そんなの俺は嫌だ…!』

声を荒らげる

 

晴人『あいつの為だけじゃ無い…怖いんだよ…また目の前で誰かを失うのが……ッ』

震える手を、抑えながら

 

士「アイツは、表面上では気取っているが、実際は本心を見せないように装ってるだけだ。」

 

クリス「……晴人……」

 

士「お前達は、そんなアイツを支えてやれるのか?」

 

響「私は…晴人さんの希望になるって決めたんです!」

 

奏「多分だけど、アタシはあの時…絶唱を使って死んでたと思う…けどあいつは…晴人はそんなアタシを救ってくれたんだ…だから今度は、アタシが救ってやるか!」

ニコッ、と微笑む

 

翼「この身は防人として…剣として生きるものだと思っていた、だが…晴人さんはこんなにも暖かい気持ちを与えてくれた、ならば、今度は私が晴人さんを支える番だ。」

 

クリス「晴人は…あの時からずっとあたしの希望なんだ……だから…今度はあたしが……」

 

士「…そうか、ま、それだけ聞けたら大丈夫だろう。」

士の横にオーロラが現れる

 

士「ここから元の世界に帰れる。」

 

そう言われ響、翼、奏の3人はオーロラの中に入る

遅れてクリスも入ろうとするが…

 

士「雪音クリス、フィーネ…とか言ったか、あいつを信用しすぎるなよ」

 

クリス「はぁ…?どういう意味だ…?」

 

士「俺が言えるのはここまでだ。」

 

クリス「……」

オーロラの中に入る

 

【そして元の世界へ】

響「ん……私……」

 

晴人「皆、無事だったんだね」

 

翼「…戻ってきたのですね」

 

奏「…みたいだな」

 

クリス「……」

 

そこにオーロラから人影が、

士「とりあえず俺のやるべきことは終わった。」

 

晴人「門矢士…」

 

士「じゃあな、また会おう…元気でな。」

手を振り、オーロラに消えていく

 

クリス「晴人……またな」

その場を去る。

 

晴人「……クリスちゃん……」




次回、魔法戦姫シンフォギア
「あたしはもう…必要ねぇって事かよ…」

「言っただろ?俺はお前の希望だ。」

「これだよこれ!俺が求めてたプレーンシュガー!」

「もう…離れるのは嫌だ……」

「さぁ、ショータイムだ」

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