「検体の新しいのから、私の予測した通りの結果が出た」
「兵器化されたウイルスね、感染経路の方は?」
「それに関してはまだだ、とりあえずのパターンの炙り出しはしているが、どれが正解かは私にも···」
「それでもすごいよ···私に一人じゃたどり着けない」
連絡を受けて私は確信を得た、奴の目的に関するものだ
「しかし、本当なのか?」
「えぇ、ホントよ···AGの社長がこれを作った人間」
グレン·アリアス···AGの社長である彼が何を考えているかなんてどうでもいい
だが、世界を破滅させる訳には行かない
だからこそ全力を持って阻止しよう···それか出来るのは私達だけだ
「渡してくれたモノを見たが、私には彼の気持ちも分からない訳では無い···だからと言って行動が許せる訳では無いがな」
「私も同じだよ、だからこそ止めないと···と思うからね」
野望を阻止する、そして訪れるであろう最悪の事態を回避する
人類の為なんてお題目ではなく、世界という訳でもない
理解出来るからこそ、止める必要があるのだ
それは、私がかつて見聞きした、最悪の地獄をこの世界で再現しないために
それは私の使命でもある
「私は奴を殺す···それが彼を解放すると思うから」
殺人を行う事に良心の呵責は当然ある
それでも何より、齎される被害を抑える事の方が優先だ
可能な限りは生かすべきだという意見には賛成するが、生かしては行けない存在もいるのだということを忘れてはならない
彼がその例だ、過去しか見えていない彼には世界など、どうでもいい存在でしかない
だがその世界があればこそ、人類は種として生き延びている
それを忘れてはならない、世界があって人類があるのだということを
「つっ···」
思い出したくない過去が甦ってくる
今も私を苛む、辛い過去···乗り越えたと思ったけど、まだのようだ
「どうした?」
「ううん、なにも」
現実を直視しなければ···理想だけを追い求めた先にあるのは破滅だ
「そう、今はまだ···」
止まるのは後でいい、ふとした時に笑って、そんな事もあったなぁ···と思い出せる時で
今は目の前にある問題を解決することを考えないと
「そうさ、分かってる」
私自身がどうしたいかなんて決まっている
それを果たすためにどのような選択をするかを、間違えなければ大丈夫だ
「今日はどうする?」
「寝る、ゲームする」
「はぁ···」
だから今楽しめる事を、全力で楽しむんだ
そんな小さな幸せが、やがて大きな幸福に繋がるんだから
スランプに陥りながら書きあげた