「やはり、君の身体はこれ以上の出力を出せないよ」
「限界ですか」
「突破出来ない限界もある、コレがそうだ」
ある日、私は診断を受けていた
ここ最近、戦闘時に能力の出力制御が上手くいかない事があった
その原因を探ってもらいに来たのだが、真相は簡単なものであった
私という器の限界に達していたのだ
「第一、今の時点ですら擬似律者と言える程の力を有しているんだ」
「それでも律者に勝てる確率は低いハズです。擬似はどこまで行っても擬似、本物に勝てる訳では無い」
「それはどうかな?」
私の発言を反論するように、後ろから声がする
「闘真さん···」
「擬似的に神に匹敵する力を発現して、神格化した俺を打ち破ったのが君の憧れたアイツだ。不可能なんて訳では無い」
「ですが、私とあの人では違う所がありすぎます」
「確かに、違うな。だが、それを見越してアイツも君に力を受け継がせた」
そう、あの人に託されたのは力だけでないと私もわかっている
「君のやりたいことをやればいい、現状出せる限界が今というだけであり、超えていくことが出来ない訳では無いのだから」
「はい···」
そう、限界は超えていける
私がそうであるようにこの人だって···
「そう言えば、君に開発を依頼されていた装備の件だが、試作品が完成したよ」
「本当ですか!?」
「あぁ···」
渡されたのは大きめのアタッシュケース
そこには制作を依頼していた私専用の戦乙女装甲がある
従来モデルの装甲では私の能力に耐えられず内部が破損することがあった
依頼していたのは能力に耐えられる耐久性を有しながら、安定して使えるようにする機能を持たせたモノだった
異世界のテクノロジーを有する私と闘真さんの共同研究という形であったが実質は丸投げ状態である
「HT-IBF01、イミテートブラックフレーム···あいつの機体の再現機だ」
カズマさんのかつての乗機···自分で研究開発し制作、使用してした歩兵複合兵装システムをこの世界で再現した
その際に幾つかの機能はオミット···飛行用の姿勢制御システム、及び背面スラスター類、外装型サブジェネレーターなどだ
これにより再現前より18%の重量削減に成功している
一方で強化した部分もある、ジャンプ用パワージャッキは出力を向上したバンカーシリンダーへ換装、これによりジャンプに使うエネルギーをそのまま兵器転用できる
その他には関節部モーターユニット、各種センサー類も強化仕様だ
「陸戦配備型という所だな、仕様としては」
装甲色は黒、内部構造材に一部金色の合金があるが、これは主機周りの特殊合金である
エネルギー供給コードは通常時は薄い赤色であり、高出力モード時には鮮血色になる
「外した飛行システムの代わりに武装懸架部分は増設してある」
「出力には余裕を?」
「持たせてある、緊急用のエネルギーコンバーターも内蔵済みだ」
そのうえで徹底したユーザビリティは完全再現している
総合性能は飛行能力をオミットしているぶん低下こそしたが、陸戦能力はより高められている
この再現の成功には、カズマさんがブラックフレーム以前に試作として制作した雛形機、ダークストライカーの陸戦能力強化改修仕様のデータも転用出来たからである
「ありがとうございます」
「とりあえず、次の出撃あたりで使ってみてくれ、感想が聞きたい」
「了解です、早速使いますね」
さて、明日は久しぶりの戦闘だ···