崩壊3rd Destiny Eye   作:アーヴァレスト

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それは奇跡より残酷な再会


Day 44

「そう言えば、艦長さんに会ってないな」

 

私はそのことに気がついた

艦隊行動を取っているが、私自身は艦長に会ったことがないのだ

聞いてみたら、キアナ達を含め、教師以外の全員が艦長と会った事がないらしい

教師連中でも、幹部クラスの実力者以外は数回しか会ってない

 

「今度の出撃で、会いに行くか」

 

そしてその時は来た

 

「失礼します、艦長はどちらに?」

「艦長!!バルキリーの子が来てますよ!!」

「そろそろ来ると思っていたよ···」

 

艦長席に座っていたその人は、そう言いながら立ち上がった

その声を、聞いた事がある···纏う気配も鮮明に思い出して

思わず私は相手を蹴り飛ばそうとしていた

 

「おいおい、挨拶がそれとはなかなか過激だな?」

「ノインツェーン!!」

「その名で呼ばれるのは久しぶりだな···九条アヤカ」

「なぜこの世界にいる!?」

 

蹴りから殴りに移行し、互いに目を見る

 

「それは私にもわからんよ、私にもやるべき役割があるんだろうな」

「つっ···!!」

「そう怒るな、今の私は味方だぞ?」

「ほざけ、裏切り者が!!」

「過去の話を蒸し返すな」

 

そう言われた瞬間、私は一瞬で床に叩きつけられていた

 

「つっ!!」

「私は兄さんから直接CQCの指導を受けたんだぞ?君相手に倒されるわけなど無い」

「ちぃ!!」

 

力を使おうとした瞬間、そのデバイスを奪われていることに気がついた

 

「森谷さんだな、これを作ったのは?」

「・・・」

 

私は質問に答えず睨みつける

 

「あの人も無粋にしていた割には堪えていたのかな···」

「何を言ってるの?」

「君は調べていたんではないか?14年前、何があったのか」

「つっ!!」

 

その言葉に、息が詰まった

それは、確かに調べていたことだから

 

「知っているの?」

「当事者だからな、当然全てを知っているとも」

「教えなさい、何があったか!!」

 

次の瞬間、私は壁に投げ飛ばされていた

 

「がはっ!!」

「人に物を頼めるくらい冷静になってから出直して来るんだな」

 

そう言ってノインツェーンは私を連れてCICを出る

 

「さっき、カズマさんの事···」

「あぁ、あの人は血の繋がりで見れば兄だからな···良い意味でも悪い意味でもな」

「それだけじゃないんでしょう?」

「あぁ、何度も争い、殺しあって私たちは互いを理解した」

 

ふと、昔を懐かしむように目を細め、ノインツェーンは話を続ける

 

「あの人と同じ目的で任務に赴き···小さな笑顔の花と出会い、私の全ては打ち砕かれた」

 

その手に握っているのはきっと、ひとつの花びら

 

「呆然としたよ。理解できなかった。何がなんだかわからず、どれだけ放心していただろう。だけど、それでも···瞳の奥が熱かったのを覚えている」

 

それはきっと、今まで感じたことも無い感情だったに違いない

 

「初めて、感謝されたんだよ。認めてもらった気がしたんだ。お前も周りと変わらない、ちゃんと()()()()()なんだと。こんな、こんなどうしようもない塵屑のような複製(クローン)でも……誰かの為に生きていいと、美しいものを守れるのだと」

 

そう言って、ノインツェーンは外の景色が映る窓に手を触れる

その瞳に宿しているのは、誰よりも優しく誰よりも強い人への憧れ

 

「そう、その瞬間に私は、命を懸ける、理由を知った」

 

渡された花弁を濡らす涙とともに、壊すことしかできなかった拳を、握りしめるべき意味を知った

だから···家族として隣にいることを選んだのか···

 

「私も、無辜の民(だれか)の為に生き、無辜の民(だれか)の為に死んでいこう」

 

光輝く明日を、彼らが笑顔で生きられるように。

いつか自分に代わり、平和の中で笑顔の花を咲かせてくれると信じているから

だからこそだからその想いは、あの人が死んだとしても変わらないし見誤らない。

上か下かに強いか弱いか?強者に報いを?馬鹿馬鹿しい。

最も大切なのは心一つ、想い一つで限界を超えられるという()()()()()()()()()()()()()()()

無敵の力が一体どこから生まれてくるか、何を守り抜くために戦士として誇りを抱くかという部分こそ、最も重要な矜持だろう

 

「そう、だからこそ守り抜く。兄さんが何より大切にしたものを。次の世代を笑って生きる子どもたちは、立派な大人になるんだ。きっと胸を張りながら、私や兄さんさえ超えていくんだ」

 

そしてそれは簡単なことだ、パンでも焼けるようになれ。花を育てられるだけでもいい。そんなことさえ私やあの人はできないんだよ。馬鹿だろう?

そう苦笑いして語った時、わかったと頷く子どもたちの笑顔がために。ならば戦士としてこれ以上の喜びは、この世の何処にもないだろう

小さな命が成長し、やがてそれぞれの道を歩んで先人たちを超えてゆくこと。

自分たちにはできなかった優しくて、穏やかな、新たな境地を描いてくれるその姿に胸の震えは止まらない。守り抜こうと何度でも思えた。

ならばこそ

 

「あの子たちの未来(ユメ)を、奪う奴らは許さないし認めない」

 

ふざけるな。ふざけるんじゃないぞオットー·アポカリプス

だからこそ、地に足をつけた無敵の戦士、ノインツェーンは止まらない。

オットーの計画を破壊すべく、さらなる炎をその鋼の炉心(こころ)に灯す

 

「私は、不死の破壊者。いつの日か、次の世代に未来(セカイ)を託すその瞬間(とき)まで、あらゆる悪を撃ち砕く、笑顔の盾だ」

 

それが、すれ違いの果てに理解へと至った人間の言葉だった




重いぞコレ
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