それは一人の男の人生の終わりから始まるものであった
Day 67
「キアナが攫われた!?」
「えぇ、最悪な事態よ・・・」
「指示したのはオットー大主教、やったのは直属部隊の不朽の刃だ」
「恐らく実行者はリタ・ロスヴァイセだな・・・」
いま、学園は朝になる前から慌ただしい
それもそのはずだ、学園の生徒が上層部から何の通達もなしに連れ去られたのだから
「やってくれる・・・と言いたいけど」
「なんで私がここまで静かにしてるか疑問ですか?」
「えぇ、普通なら貴女ここでマジギレしてるでしょ?なのにここまで静かなのには理由があるはずよね?」
「えぇ、そこまで深い理由ではないんですけどね」
私はそう言うと、小型端末を出す
「さて、そろそろ」
次の瞬間、ホログラムディスプレイが出る
「これは・・・今のキアナの位置!?」
「えぇ、こうもあろうかと学園生に配布される通信端末にバックドアを仕掛けてあってね」
「いつの間に・・・」
それこそ、少し前に言われた事だ
先生達の手が足りないから、生徒に配っていた端末の保守管理を任されたのだ
「私に端末の管理を依頼した時から」
「あっきれた!!どんなひどい手癖なのかしらね!!」
「でも役に立ったでしょ?」
「今回はね!!」
キアナの現在地・・・それは天命の研究施設の本部・・・バビロン
「防御は完璧と言ってもいい・・・でもそれを切り崩す術はある・・・」
そう言うと、闘真さんは少し青い顔で私に質問してきた
「おい、まさかと思うが俺のところから徴用する気じゃねぇだろうな?」
「借りますよ、返せるとは言わないですが」
「俺も行く、何しでかされるか分からねぇし、第一お前には艦隊戦なんて無理だろ」
「それもお願いしようと思っていました」
「はぁ・・・まぁいい、艦の指揮は任せろ」
そう言うと闘真さんは席を立ち一旦自分の研究所へ帰っていく
明日の朝には簡易艤装を済ませて学園の近くに来ているだろう
「さて、ここからが問題だけど・・・」
「キアナがナニカされている可能性があるのは間違いないね、そしてそれは碌でもないことだ」
「どうするというの?それでキアナがどうなると思っているのかしら?」
「律者にでもなるんじゃない?あるいはソレが目的なのかもね」
学園長、姫子先生、その場にいた全員が青い顔になる、それは薄々感じていた事でもあった
芽衣の半律者化の際のキアナの行動による沈静化・・・それは普通ありえない事でもあったからだ
それが可能なのは恐らく、同等の存在のみとされるから
例外はウェンディの際の私の行動、崩壊エネルギーを消滅させながら、身体には殆どダメージを与えないどころかむしろ異常を治して律者化を防いだ
「貴女の場合は自分自身の性質と過去と経験によるものだけど、キアナの場合は最悪を想定してはいたわ・・・それがこんな形で現実になるなんて悪夢以外の何ものでもないけど」
「まだ、防ぐ方法はある」
「何を仕掛けるのかしら?」
「まだ試作段階ではあるけど、崩壊エネルギー対消滅兵装を作っている。既存の崩壊現象のほぼ全てを対消滅可能だ」
レベッカ達技術班による試作兵装、それは私も聞いていたがまさかそういうものだとは初耳だった
「後は実戦でどれほど使えるか試す段階だが、予定を早めてキアナ奪還用に使う」
「可動の安定性は?」
「現在大急ぎで調整させている、2日あれば運用可能まで行けるだろう」
「よし、任せるよレベッカ」
「あぁ、任せろ」
レベッカも退室した、これから大急ぎで調整作業の取り掛かるのだろう
「さて、問題は貴女ね」
「武装はメンテ中だし、アークも装備の見直し中だし、ないないづくしだけど問題はないよ」
切り札がないわけではない、その代わり危険性は言うまでもないが
「さて、明日に備えましょう・・・明日から一気に世界が変わるから」
それは私自身も含めてのことだと、この時の私には分かっていなかった
新章開始、ここより胸糞展開注意