絶望の底へと落とす記憶と記録
それはある男の視点から見た世界そのもので・・・
「やれやれ、想定していたとは言え、これはいささか相手が上だったとしか言えないな」
私は作戦会議後、自分の機体を再構成し直していた
現状使える装備は対崩壊用の通常装備のみ、前の世界で使用していた装備は保存こそしているが再度使えるようにするには、いくつかの回路を調整する必要がある
「それだけでなく、摩耗の激しい部材の交換に、システムの全面刷新と・・・やること多すぎだよ」
幸い、システムに関しては闘真さんから基礎システムを貰い受けているためそれを専用に改修するのみでいいのは救いだが・・・
「このデータ、一体どこから仕入れてきたのやら・・・」
そう、システムデータが完璧な形で揃っているのだ
それこそ、カズマさんの愛機であったブラックフレームの基礎データが丸ごと揃っている
「あの人の機体は前世代機で、ブラックフレームの試作機であるからカーネルだけは似てるのは理解できるけど、ここまで似ているなんて事はありえないはずなんだけどなぁ・・・」
機体の再構成は幸いにもあとはシステムの再インストールのみ
それも一晩あれば終われる
「しかし、闘真さんは一体ここからどうやって研究所に戻って用意してくるんだろ?」
「それは簡単、相棒使って高速移動するのさ」
「まさか、今からかっ飛ばして帰るつもりですか?」
「というより、既に呼んでいるんだなこれが」
・・・は?何言ってるのこの人?
「簡単な話さ、あの研究所自体が偽装工作だということ」
「あぁ、なるほど、お得意の分野でしたか・・・またやりましたね、クソ野郎」
「俺はもともと、スパイだからな、裏から回せる手ならどんなものでも回してみせるさ」
「マッチポンプまでやる必要があるんですか?世界を壊す気?」
そう、この人はこの世界でも自分のシンパを作った上で科学技術の発展を支援していたのだ
世界が今のような事態に陥ることを想定しその対策のために
かつてスパイをしていた時に得た知見を最大限活用し、その上ですべての想定しうる事態に対処するべく
自分を蚊帳の外にいる演者と見せかけながら、裏からと表の両方で関与する
マッチポンプまで駆使して
「はて、マッチポンプとはどうゆうことかな?」
「あなたは、キアナの行方を私に聞かなかった。知っているとしたら私とレベッカのどちらかだというあの状況で」
「それで?その根拠は?」
「その時には既に、キアナのおおよその位置は知っていたから。聞く必要自体がないから聞かなかった」
それに、と私は続ける
「動態保存されていたコンコルドの回送が日本のとある企業に行われていた事をレベッカが掴んだ。そしてその企業は闘真さん、貴方の研究所のフロント企業体の一つだった」
「ありゃりゃ、そこまでバレてたか」
「回送もおそらく演技でしょう、最初から貴方は大主教に奪わせるために手配した・・・違いますか?」
「まっさかー、流石にそれは想定外だよ。本来なら日本着後に奪われる予定だった」
「それまさか空中で行われるなんて考えてなかったと?」
私はそう言う、闘真さんは相変わらず普段と変わらない笑顔のままだ
「そこも考えて、それなりの戦闘力を有した人材を載せていたんだが・・・まさかスパイがスパイを仕込まれるとは笑い種だよ」
「・・・」
「俺も一杯食わされたってことさ・・・まぁ、これから高い授業料をふんだくってやるがな」
どうやら、真実は彼も騙されたと言うことらしい
今の声には静かな怒気も入っていた
「俺はこれから自分の専用鑑を取りに行く、準備はしておけよ?」
「えぇ、戻ってくる頃には終わっていますよ」
「それもそうだな」
そう言って闘真さんは自分の相棒を身に纏い、空を駆けていった
「さて、残りの工程を終わらせるか」
作戦決行まで残り一日、この作戦は必ず成功しなければならない
失敗は人類の敗北を意味するのだから
Q,何故こんなに空いてたか言え
A,死にかけてた、気がついたら半月も意識なかったらしい
ちなみに理由は頭部をうっての一時的な脳圧の上昇によるもの、心臓が3回ほど止まりかけたらしい
いや、死にかけたのは初めてだったよ・・・幸い復活したけど
医師からもこれは非常に珍しいとの事・・・二度と経験したくねぇ・・・