世界が美しくないとは知っていて、それでも人の善性・・・美しさを愛してなお世界を壊した男の視点で・・・
「逝ったか・・・アヤカ・・・」
空を見上げて俺はそう呟いた
胸に穴があいたように感じる喪失感は、それを裏付けるに十分なモノだろう
「また、命が消えていく・・・」
今しているのが、失われる命の数に見合った行動かと言われれば、俺は断じて否と答えるだろう
それであってもアヤカは一人を選んだ、
それが未来において自身が責められる理由になるんだと分かっていて
「それがお前の選択なんだな?だったら」
俺は世界の境界に穴を穿ち、そこに手を突き入れる
「無理くりでも取り戻してやる・・・お前を逝かせはしない」
そして引っ張り出したのはアヤカの肉体そのものだ
肉体を取り戻せば後はそれを足掛かりに魂の繋がりを確保、存在を何とか繋ぎ止めた
自分が現人神として使える数少ない権能の一つを、一度限りのそれをためらいなく行使する
「だが、やはりこれでは足りんか」
それでも何とか繋ぎ止めれたという程度、ならばと次の一手
「お前にとっては不服極まりないだろうが、今一度俺と一体不可分になってくれ」
本人に意思があったら張り倒されているだろう、それでも死なせないために、失わないための一手としてやるしかない
「すまんな、後でいくらでも謝罪する」
それでも蹴り飛ばされるだろうな・・・と思いながらも、やめたりはしない
「さて、ここから先は俺達のペイバックタイムだ・・・総員に通達、直ちに退避せよ」
全員に退避勧告を発令、次の一手を用意しておいて正解だった
「さらばだ、砂上の楼閣、砕けろ」
アヤカにも内緒で各所に仕掛けてもらった爆薬が一斉起爆、バビロン実験室が火の海に包まれる
「撤退戦用意、キアナの回収は後にしていい、彼女なら自力で脱出できるだろう」
「了解、芽衣とブローニャは?」
「眠らせてでも連れ帰れ、後で幾らでも何度でもぶつかってやる」
「了解、じゃあこちらも動くぞ、カズマ」
「あぁ、好きにしてくれ、先生。どうせ師匠もいるんだろうがな」
各員に判断を任せつつ行動の指針を出し、俺は運用している艦に戻る
「やってくれたわね」
「姫子か、俺を裁くか・・・?」
「そうしたいのは山々だけど、まずはアヤカを助けてくれた事には感謝するわ」
「肉体を戻したに過ぎない、魂がない器だ・・・魂に関しては俺と一体不可分に戻した、俺の持てる権能の一つでな」
「一回限りと昨日聞いたわね、どうして分岐させた存在にそこまで・・・」
「ならばこそだ、こいつ等にはこいつ等の物語を描いて欲しいからな・・・それにアヤカはあくまで緊急手段で分岐させただけで、完璧とは言えない部分があったしな」
そう言ってから抱きかかえていたアヤカを別途に眠らせ、俺は椅子に座る
「アヤカは本来、光の属性ではないんだ・・・性格的には確かに合ってはいるんだがな」
「どういう意味よ?」
「アヤカは俺と違って真人間すぎるんだよ、感覚的にも、性格的にも一般人そのものだ・・・それが
「
「正直、今回の作戦も・・・
そう、本来戦闘に不向きな性格をしている人物だから・・・無理し続けた結果がコレなのだ
それではあまりにも、アヤカが不憫だ・・・だから
「だから俺の持てる全てで、アヤカを救ってみせる。それは俺と言う人間を捨てた存在の最後の意地だ」
それが俺の答え、そしてアヤカにできる最後の事
「アヤカに、彼女が本来保有する力を使ってもらうために俺が出来る事は全てやるつもりだ・・・と言うか既にほぼ終わっている」
「後はアヤカの心次第・・・まで終わらせたと?」
「肉体が傷ついてないだろう?」
「まさか・・・スペア?」
「いいや違う、こちらが本来のアヤカの身体なんだよ、今までのが予備なんだ」
俺はそう言って、額に手を触れる
「アヤカの今までの身体は、俺の女性としての器を転用していたにすぎない、こちらが本来の身体だ」
髪色は黒色、身長は170㎝台で大人の身体
子供の身体は俺にとってのサブボディでしかないものをアヤカ用に微調整したものだった
「この身体・・・あなたの願望盛沢山ね?」
「それを言われると言い返せないんだよなぁ・・・いやまぁ確かに?大きい胸の女性大好きですよ?なおかつ甘えさせてくれるともうすぐにオチル自信ありますわ」
「それを恋人の前で話せるクソ度胸は凄いと思うよカズマ?死にたい?」
その場にいないはずの人間の声に姫子は驚いたが俺は平然とした声で振り向きながら告げた
「結局自力脱出してたんだな、イセリア」
「キアナ・・・いや、空の律者の力のお零れを利用してね。逃げ出せたのはついさっきよ」
「リソースの悪用は十八番だものな?」
「それで、私の体形の何が不満なのよ?」
声が非常に冷たい・・・正直に答えないと殺されますわ
「いい方が酷くて済まないが・・・その、一部分がね?」
「姫子さん、判決」
「ギルティ、問答無用」
「逃げさせてもらっ・・・」
振り向いた先にはもう一人の女性・・・先生が居た
「おう、カズマ、遺言の用意は出来たか?」
「・・・」
何てことだ、もう逃げられないぞ・・・
主人公が一時交代ってマジですか?