「あの馬鹿共め・・・!!」
目覚めた私はあの二人が喧嘩している事を艦内のアラートで知った
そのあとは適当に格納庫内のモノを利用してあの馬鹿二人にお灸をすえに行こうと思ったがそこでレベッカが私を待っていた
相棒であるゴールドフレームを渡された後はそのまま飛び立ち、急ぎ向かっている
速度は既にマッハ9.5に達し、未だに加速を続けている
「お灸をすえてやる・・・覚悟していろ馬鹿共が!!」
そして最高速のマッハ11.9に到達した
「流石に、直線機動が限界か・・・よし、ならば!!」
ここまで加速をかければ、フレームシリーズの機体といえど機動には限界がある
そこで私は、馬鹿二人が激突する直前に超大型ビームサーベルで二人の中間にある床を切り裂いて減速、その先の建物の壁面を床代わりにして軌道を強引に変更、二人を上から見下ろす事にした
「間に合えよ・・・!!」
タイミングをミスれば二人のどちらか、あるいは二人共を傷つけてしまう
が、それでもやると決めた
「見えた・・・!!」
見えたと同時に超大型ビームサーベルを展開、最大出力で発振させ二人の間を駆け抜けながら減速
同時にスラストリバースを最大でかけてその先の建物の壁を蹴って斜め上に上昇、二人を見下ろす
「アヤカ・・・!?」
「アヤカさん!?」
「喧嘩している場合か!!この馬鹿共がぁ!!」
私の怒号に、二人が強張る
「痴話喧嘩も大概にしろ!!見ていてうんざりするんだよ!!」
「貴女には・・・」
「関係ないとは言わせないぞ、雷電芽衣。私も見ていてイラつくのでな」
「レベッカ・・・本当に追いついたわね」
「これこそ、私が崩壊に触れて得た力でね。まぁ、正確には応用だが」
レベッカが瞬間移動してきた、応用の幅が広そうな力のようだ
「今のお前達にいくら言葉で言っても、聞くことはないだろう・・・だからこちらも肉体言語で行かせてもらう・・・いいな、アヤカ」
「元よりそのつもりよレベッカ、で、どっち?」
「私は芽衣を叩き潰す」
「じゃあ私はキアナね・・・」
レベッカは芽衣を睨みつけている
私は言葉をかけずにキアナの顔面を鷲掴みして無理やり離れた
「離してッ!!」
「おう、離してやるともさ」
そう言って思いっきり別の建物の屋上に叩き付け、相対するように降り立つ
「なんで・・・」
「そんなことを聞く余裕があるのか今のお前に?」
「つっ・・・!!」
「来いよ、今のお前の実力を見てやる」
そう言って足を肩幅に広げて腕を緩く広げる
それはキアナにとって間違いなく挑発とうつる行為である
「芽衣先輩を止めるために・・・!!」
「それについては安心しろ、レベッカが一方的なワンサイドで勝つさ」
「律者とバルキリーじゃ雲泥の差があるのに!!」
「それがどうした?結局は経験がモノを言うんだよ何事も・・・たとえ律者になったとして、それが何だという?積み重ねも浅いヒヨコが一体何を出来るという?」
「それは・・・」
キアナが回答に困る・・・やっぱコイツ律者になっても頭の回転遅いわ・・・
「お馬鹿なキアナちゃんはこんな事も分からないかな?」
「馬鹿にしてっ・・・!!」
「するとも・・・実際お前馬鹿だし」
次の瞬間、キアナが飛び掛かってくる
それを難なくかわし、逆にガラ空きの腹部を殴りつけてうずくまらせて、脇腹に追撃で蹴りを叩き込み2メートルほど飛ばした
「この程度の安い挑発にも乗るようでは・・・成長してないも同然だよ全く」
やれやれ・・・と大げさに身振りをしてキアナを更に挑発するが、今度は冷静だった
「おや、これは通じないか・・・」
「痛いの2発も叩き込まれたら・・・流石に冷静にもなるよ」
「そうかい・・・では先に言うが、勝てる見込みは?」
「押し通る!!」
「駄目だこりゃ」
やっぱ冷静じゃないわコイツ、本気で潰すか
「なっ・・・!?」
「・・・遅い」
律者の力で対抗するべく亜空の矛で私を囲おうとしたキアナだが、それを読んでいた私はその全てを到達する前に迎撃、破壊した
「成長している面があるとすれば攻撃密度のみだな。それも毛が生えた程度か・・・一体お前は誰の何を見て成長したんだか・・・」
律者になっても戦い方は殆ど変わっていない
だからこそ対応には困らないが・・・それは欠点にもなっていた
「その程度ではたかが知れる、浅いにも程があるぞ・・・」
そして、私は能力の一部を解放した
「セリア、貴方の力・・・貸してくれる?」
「いいだろう、使ってみろよ、アヤカ」
借り受けた力を実体剣に纏わせ、叫ぶ
「天を穿て
一閃と共に放たれたのは爆熱爆光、過去最高の殲滅光として具象し、視界一面を埋め尽くしたそれにキアナは亜空間を展開し逃れようとするが
その先に私は先回りし、次を用意した
「力を貸しなさい、カズマ」
「俺には命令形なのかよ、まぁいいが・・・」
再び剣に纏わせる、今度は光ではなく闇・・・
「怨嗟の叫びよ、天へ轟け。輝く銀河を喰らうのだ!!」
「しまっ・・・」
キアナが気づいた時にはもう遅い、既に射程圏内だ
「
その一閃は亜空間そのものを形成する崩壊エネルギーを消滅させ、展開させたキアナに特大級のダメージを与えた
存在するあらゆる物質・現象を死や消滅に至らしめ得るという恐るべき性質は律者だけでなく、バルキリーにとっても鬼門として作用する
それをほぼ至近の距離で叩き付けられれば、特大のダメージなるのは自明の理である
「が・・・は・・・!!」
「それがお前の限界だ。いくら強くなろうとも、内側にいる存在と向き合えない以上、お前は私に勝てないんだよ・・・キアナ」
キアナは自身の内にいる律者人格・・・シーリンと向き合えていない
それでも何とか、律者の力を発揮出来てはいるが・・・やはり劣化しているのは言うまでもないだろう
「だから今は眠れ、お前は少し休んで頭を冷やすべきだ」
発動したのは事前に協力を取り付けた櫛灘教官の力、
物質を硬化させるその力でキアナの猛攻を小動もせず受け止め、反撃に重い一撃を叩きこんで気絶させた
「さぁて、レベッカは・・・もうすぐ終わりそうね」
レベッカの戦っている方を見ると、もうすぐ終わるのが分かった
アヤカがキアナを連れ去るのを横目に見ながら、私は息を整えて雷電芽衣を見る
「さて・・・アイツに宣言した以上、お前を倒すのは決定事項だ」
「どいてください、レベッカさん」
「そう言われて退ける阿呆がいると思うのか箱入り娘?」
私の発言に眉をひそめる芽衣に私は続ける
「律者になってでも大切な人を護りたいという気持ちは私にも理解は出来る、私自身もそう思っていた時期があったからな」
家族を失ったあの日から、それを思った事は何度もあった
アヤカに出会って一緒に戦い、藍澤カズマからアヤカの過去を聞いて、それは別のものに変わった。
その事に、私は深く感謝している。畏敬さえ覚えている
「だが、それに無関係の誰かが巻き込まれるなら話は別だ。理解は出来ても納得は出来ん」
そう言って、武器を召還する
愛用の
その片方を彼女の足元に投げる
「抜けよ、今のお前に言葉などかけるだけで無駄だ」
芽衣が剣を拾い、言われたとおりに抜く
そして構えて私を見て・・・
「邪魔するなら、倒します」
「あぁ、その言葉を待っていたよ」
その瞬間、私は応用ではあるものの能力を最大稼働させて告げた
「全力で潰してやろう」
展開されたのは莫大な量の兵器
剣だけにあらず、軽火器から重砲、ミサイルまで揃えた武器の暴力
「耐えてみろ・・・耐えられるならば」
同時に放ったのは第二次世界大戦中のドイツ軍が使用した野戦高射砲、Flack37、通称アハト・アハトだ
その絶大な威力で連合国軍を震え上がらせた重砲である
「いきなり・・・!!」
「殺す気だとも、それと空にいていいのか?いい的だぞ」
次はAIM-9Xサイドワインダー、照準はあえて定めず適当にバラ撒く
一定の距離・・・芽衣がいる地点の近くで起爆するようにセットした
「くっ・・・!!」
「そら、逃げれると思うか?」
更に用意したのは、M61バルカンならびにGAU-8アヴェンジャー
アメリカ軍の有名な機関砲の二つから、人間なら簡単に吹き飛ばす大量の砲弾が芽衣に襲い掛かる
「この力・・・!!」
「お前とは理解度が違う。律者として覚醒したばかりで、まだその本質に掠った程度の身で私に勝とうなど笑止だ」
降り立った芽衣にそう告げて今度は無数の剣を叩き付ける
それを芽衣は先ほどと同じく雷の力で撃墜した
だが、それこそが私の狙いでもある
「おいおい、全てを打ち落とすかよ」
「この程度ですか?」
「言ってくれる・・・だが、お前の敗北は既に確定しているさ」
それと同時に指を鳴らして私は告げた
「
打ち落とされ、床に刺さった武器が一斉に起爆する。これこそが私の切り札の二つ目だ
召還した武器を特製の爆弾として起爆させる。その破壊力は内部に貯蔵されているエネルギーの総量に比例する
今回のモノは全て事前に限界まで貯蔵されているため破壊力は絶大である
「が・・・ぁ!!」
「終わりだ、芽衣・・・お前ではどう足掻こうとも私に勝てん」
「それ・・・でも・・・!!」
「お前も寝ろよ、冷静でない頭で何を考えても結果は変わらないからな」
そう言って腹部を殴り、意識を失わせ、キアナを抱えてこちらに来ていたアヤカと合流する
さて次話をどうするか・・・