しかし待っていたのは戦いで・・・
「これが俺の運命だとは思いたくないな・・・あまりにも悲しすぎる」
「それでも、やると決めたんでしょ?」
「あぁ、これだけは譲れんというものがある」
「なら、貫いて・・・カズマ」
あれからさらに数週間、ついにオットーは動いた
旧天命本部施設にて決戦を仕掛けてきたのだ
「あいつは俺からかつて奪った力をも利用して偽神の昇華を行うだろう、そしてそれを安定稼働させるためにいくつもの罠を仕掛ける気だ」
「切り札を塞ぎに来るでしょうね、こちらは戦力も何もかも不足しているし」
「だが保有する戦闘員はどれも粒揃いだ、数では大いに負けていようと質では大いに勝っている。それがこちらの持ち味だし、切り札を見分けやすくしている弱点でもあるがな」
「勝てるわよ、必ず」
「予感か?」
「いいえ、確信よ」
私はカズマにそう告げて別行動を取る
キアナ達と合流して目指す所がある
「あぁ、お前がそう言って外れたことはなかったな・・・」
残った俺はアヤカの最後の台詞を思い出しながら呟いていた
あいつがああ言ってそれが外れたことなど、思い出す限り一度もない
「だから悪いんだが、殿は俺だ・・・デュランダル」
「なぜ、そこまでして彼女たちのかたを持つのですか?あなた一人でも侵攻できる力を有していながら」
「だからだよ・・・俺だけでこの世界を救った所でどうなる?破壊には破壊で返されるのがオチだ。そこから新しい世界を見ようとした所で結果は生き地獄になるだけだ、それを望むほど人は愚かではあるまい?」
「だから次世代に託す、と?」
「お前もその託される側だよ、デュランダル・・・俺やオットーではどうやってもこの先でいつか詰む、どうあがいても絶望が待っている。だからそれを打開できる若い力が必要なんだ」
俺は自分の考えを述べる
これが俺がこの世界でたどり着いた答えだ
「それがお前達なら出来ると信じている」
「では、ここで殿をする理由はなんです?あなたが捨て石になる必要がどこにあるというのです!?」
「あぁ、それか・・・」
俺はそう呟いて笑う
「お前の過去を見せてやろう」
「つっ・・・!?」
そう言って展開したのは、この世界で唯一自由に使える能力、アカシックレコード閲覧能力だ
空間に展開してそこにデュランダルを巻き込んだ
「お前はすでに経験しているのだろうが・・・もう一度見てもらおうか」
そして見せたのはアカシックレコードに記録されていた彼女の記憶
それでも、彼女は・・・
「やはり、そうするよな・・・」
「誰かが言った言葉です・・・嘘や偽善から始まったものであろうと、最後まで貫けばそれは真実へ変わると・・・」
「あぁ、誰かが言った言葉だったな、それは」
それでも彼女は立ち上がった
そして続ける
「彼女と私の人生が嘘から始まったものだとしても、その行動が主教の計画であったとしても・・・彼女も私も、誰かの駒ではありません」
「そうだな、そしてそれが人の・・・」
「えぇ、これまでの行為は全て自身の意志によるもので、歩いた道は全部、彼女にとっての宝物でしょう」
自分がそう信じているからこその答え、そして戦う理由・・・
それに俺は感動さえ覚えていた
デュランダルでもシャニアテでもない、一人の人間として、美しい世界を守るために戦う
「過去も今も・・・そして未来も・・・迷いなく自身の道を歩んで、果たすべき使命を守り続けます!!」
「人類が崩壊に勝つ、その日まで。そしてその後も変わらず、か・・・」
ずっと、心の何処かに迷いはあった。彼女戦うことに関して。それでも、彼女は今自分の意志を強く示した
ならばもう、迷いは断ち切ろう。意思を示したその相手に対してあまりにも無礼すぎる
「それでは、言葉による問答は終わりだ」
ブラックフレームを纏い、俺は告げる
「力を示せ、デュランダル。そして超えて行け、お前にならば、出来るはずだ。お前の正義を貫いてみせろ!!」
かつて彼女を救った者の一人として、彼女をこうした者として、俺のもてる最後の事を、その責任を果たそう
それが彼女にとってどんな意味を持っていようと、それが俺の出した答えを超えるものであると信じている
そうして全力で戦闘を行い・・・やはり俺は負けた
これが俺にとって清々しい敗北だったのは言うまでもなく、人生で三度目の、文句なしの敗北だった
「なぜ、負けたのに笑えるのですか?」
「久しぶりなんだよ、この感覚・・・打ち砕かれる快さ・・・って言うべきかな」
地に倒れなお笑う俺に対しデュランダルの顔は浮かないものだ
「おいおい、デュランダル・・・勝者が、そんな浮かない顔をしてどうする?それにその装備、俺の開発した
彼女はこの場に、俺が天名に属していた頃に開発した装備であるダスクブリンガーを身に着けていた
しかし、その名前は今の彼女に似合わないだろう・・・
「今の君には似合わんな・・・
「良いと、思います」
「そうか、良かった・・・」
今の彼女に似合う名を付け、名称も即座に変更する。開発者権限での変更であるため誰も変更はできない
「行けよ、今はしばらく動けねぇが・・・すぐに追いついてやる」
彼女は、俺に小さくお辞儀をして去っていった
何もそこまで礼儀正しくなくても良いものをと思いまたひとしきり笑い、体を引きずって石柱を背中の支えにして座る
「あぁ、タバコ切らしちまった」
「だろうと思って持ってきたわよ、カズマ」
「イセリア・・・」
「ずいぶんと清々しい負けっぷりね?」
気づけば、すぐ横に最愛の恋人が座っていた。おまけに持ってきてくれたタバコを差し出される
それを咥えて、ついでに火も付けてもらった
「見てたのか?」
「地面に倒れながら笑うところからね」
「うっわはっず・・・見なかったことにしてくれないか?」
「考えとくわ」
そう言って二人で笑う。やはり誰かと笑えるのは良いものだ、それが心から愛する者ならなおさら
「あの子達に託したんでしょ、これからのこの世界を」
「あぁ、俺に出来るのはこれくらいだからな」
「なら、これからは見届けましょう、あの子達の選択を」
「そのつもりだ、これからは楽して暮らせる隠居生活が待ってるしな」
そう言って、決戦の場を俺は見る
そこではこれから、人類のこれからを決する戦いが始まるはずだ
主人公代理あっさり負けてんな?