Last Day (1)
「終わったな」
その声を出したのはカズマだった
その横には自身と同じく途中で加勢に加わったデュランダルがいる
「あぁ、君のお陰で・・・」
「戯言を抜かすな、オットー。ここにいる全ての人間の人生を狂わせてやっとだろうが。あぁ、俺は許してやるぞ、条件としてお前が大主教辞めるならな」
「元よりそのつもりさ、僕の後は、テレサに継がせようと思う」
「えぇぇ!?」
こちらに歩いてきていたオットー大主教は、彼の愛している人物、カレン・カスラナが眠っていた
彼の計画は完遂したのだ
なお突然の発言にテレサは驚くが私は適任だと思っている
「だけど戦闘の終わりじゃあねぇんだよなぁ・・・いや、これからがやっと最終章ってところだが」
「どういう意味なんだい?」
「説明する時間くらいはあるから説明してやる、がその前に質問だ」
カズマそう言って私達を見る
「お前らずっと不思議に思わなかったのか?崩壊獣が霊長類の系統から外れた個体が少ないことに」
「・・・」
「もっというなら、律者が崩壊適性の高い者に集中していたことにもだ」
地面が揺れた、しかもそこそこに大きい
「その正体・・・GODはとある神のことを意味している。その神の名は、ティアマト」
更に揺れる、カズマの背中のその先には一つの巨大な影が生まれつつあった
「原初の創造における混沌の象徴、原初の海の女神。俺は崩壊とは地球の免疫システムが生み出す白血球のようなものであると同時に、ティアマトの後悔が残留思念として残ったものではないか?と推測している」
でなければ他の可能性だけどな、と言葉を濁し、カズマはやっと影の方に振り返る
「であればこの世界の住人たる君達がその残留思念を浄化すればいい。その輝きをしかと相手に見せつけて誇り、前へ進む意思を貫くのであれば」
崩壊が終わる。とカズマは口にした
しかしその後に、戦争は終わらないけど、と小さくつぶやいた
「そしてここには神話を再現するに足る要素が揃っている、風と矢があるからな」
カズマの言う風と矢はおそらく律者を含めた人間そのもの
気がつけば全員がカズマの声を聞いていた
「みんな、清聴ありがとう。少しばかり賭けをしてみない?」
カズマの横に立ちながら、私は皆に背を向けつつ意地悪な笑みを浮かべて質問する
「賭けの内容は何?」
「人類の未来について、神に怯えるか、神を超えるかよ」
「ティアマトは抵抗などしないだろう、彼女にとって人類とはそれ全体が自らの誇るべき子であり、慈しむ存在だ。後悔より生じた残留思念は彼女にとっての影であり、その思想は真逆であれど、な」
現に攻撃は今も起きてない。超巨大な影があるだけだ
その影が少しずつ色を付けつつあるのは復活の兆しだろうか?
「故に、選んでくれ。彼女を倒し世界を人類の手で守り抜くか、彼女に怯えながらその庇護のもとで過ごすか」
「答えは出ているよ」
カズマの問に最初に答えたのはキアナだった
その瞳に宿っているのは決意の焔だ
「神様も知らないヒカリで歴史を創っていけるって、手向けの光を送ろう」
「・・・全員、答えは出ていたようだな」
もう私達が質問するまでもないだろう。それが彼女達の答えだ
異世界の人間に出来るのはここまで、後は彼女達に全てを託す
誰が指示を出すまでもなく、彼女達は動いていた
「後は彼女達の帰還を待つだけだ、帰るぞ、アヤカ」
「私はここで見届ける仕事が残っているわ、カズマ」
「・・・そうか」
カズマに声にそう返して私は皆を見る
カズマはそれ以降私に何も言わずに帰っていった
そして全てを見届けて、私も帰る
ここまで頑張り続けた彼女達が少しでも癒やされるように、ささやかな、でもとびっきり盛大な祝勝会を開くために