崩壊3rd Destiny Eye   作:アーヴァレスト

89 / 90
それは全ての終わった頃


Last Day (2)

「それでは全ての事件が終った事を記念して、静かに乾杯しようかね」

 

カズマはそう言って乾杯の音頭をとった

 

「さて、これで俺達の戦争の一幕は終わったな・・・だが全ての結末はまだだ」

「これから先は、自分達が変えた世界の行末を見届ける・・・んだよね?」

「お、正解だぞキアナちゃん。君には特製のチーズケーキをプレゼントしよう」

「ありがと、でも他の欲しいな?」

 

お、キアナめ、上手く交渉を開始したな?

 

「んー、ならばこれはどうかね、バームクーヘン」

 

これもカズマの特製のものだ、カズマはアレから最速で帰って料理を開始し様々なお菓子を作っていたのだ

私は今マカロンを食っているがこれはイセリアが作ったものである

 

「美味い・・・」

「アヤカのも美味しいわよ?」

「イセリアには劣るよ」

 

私のと同じ作り方をしているのに何故ここまで違うものになるのか分からないくらい美味い

私の作り方が間違っている訳では無いが、きっとなにかが足りないのだろう

 

「というわけでここに参加している元大主教様にはこれから罰ゲームだおらぁ!!」

「何をするんだい!?」

「うるせぇ俺に付き合えこの野郎!!さっさとついてくるんだよぉ!!」

 

カズマはそう言ってオットー大主教を連れて外に出た、きっと男二人で何か話すことがあるのだろう

 

「私はこっちとかな」

 

そう言って私は残されたカレンさんに目を向けて近づく

私とほぼ同タイミングでデュランダルとキアナも来ていた

 

「初めてお目にかかりますね、カレン・カスラナさん。私は横にいるあなたの子孫であるキアナと同級生にして彼女の師の一人、九条・アヤカ。そちらにいるのは現在の天命最強バルキリーであるビアンカ・アタジナです」

「アヤカさん、それは私がやろうとしていたのですが?」

「必要以外しゃべらないのによく言えるわと言ってみた方がいい?」

 

私がそう言うとデュランダルは黙り込んだ

それはそうだろう、言われて思い当たるフシがあるのだから

 

「オットーから聞いたわ、私達のせいで要らぬ負担を負わせてしまってごめんなさい」

「それでも、大切な人達に会えたから幸せだよ。デュランダルも、でしょ?」

「えぇ、そこは同じですよ、キアナ」

 

何かと馬が合わない二人だが、その思想はやはり同じ遺伝子を持つ者なのか共通している

 

「所で失礼なことを聞くのだけど、良いかな?」

「何かしら?」

「料理はできる?」

 

3人の顔が凍った

これはアレですね・・・地雷だったわ

 

「い、一応は・・・」

「目がすっごく泳いでますけど、出来ないなら出来ないで問題はないですよえぇ」

 

私はそう言って、いい笑顔で返す

私の目が黒いうちに矯正してやろう、3人共な!!

 

「手取り足取り、スパルタンに教えて差し上げますので、どうぞご安心ください」

「鏡があったら今の貴女に見せてあげたいくらい良い笑顔しているわよ」

「意中の人に振る舞いたいでしょう?」

「オットーとはそんな関係じゃ・・・」

 

私の質問に返したカレンさんの顔は真っ赤だった

自身の好意に気づいた今、とても恥ずかしいのだろう

 

「まぁ、そう言っても答えはもう出ているわ・・・貴女の言う通りよ」

「まずは今の世界を旅して満喫してください、教えるのはその後です」

 

そう言って用意していたとある紙を渡す。それは世界一周の船旅のペアチケット

カズマがイセリアといつの間にか立ち上げていた旅行会社の最高級の旅のプランだ

普通に入手するならば最低でも750万は下らない代物で、問い合わせが殺到しているのだとか

それを無理を承知で融通してもらい、ペアチケットを確保した

 

「まずは世界中で美味いものを食いましょう、そしてこの世界が美しいと再認識してください」

「貴女は・・・自分以外に優しいのね」

「それは少しだけ違いますよ、カレンさん。自分に厳しく在れるから、誰かに優しく出来るんです」

 

そう言って渡し、渡しは二人に目配せをした

あとは子孫との語らいの時間であると思ったから

 

「アヤカ・・・あなたはこれからどうするの?」

「やれることはやるだけやった、あとはその結果を見ていくだけだよ、イセリア」

「カズマと一緒じゃない」

「ほとんど中身同じだしね、違うのはそのために何を成すかの考え方と、性別くらいかしら?」

「これからも戦うの?」

「どうだろう、少なくとも今はゆっくり休みたいわね」

 

そう言って、頑張り尽くしだった相棒を優しく撫でる

ゴールドフレームも大変良く頑張った、しばらくは休みたいだろうしそれだけの時間は当然ある

問題はその時間の後自分がどうするかだ

 

「私達の生まれた世界と、この世界では戦争の意味が違うわ」

 

ふと、これまでこの世界で過ごしてきた時間の感想を口にし始めていた

 

「国家や思想でもなく、利益や民族のためでもない。人が人のままに尊厳を持って生きるために戦う・・・ここはまだそんな世界のままで、それこそが私の守りたいもの」

 

かつて私やイセリア、カズマですら人としての尊厳を蝕まれた

尊厳を踏みにじられ、戦わされた

この世界はそこまで腐っていない、人が人のままに尊厳を持って生きている

 

「命を消費する戦争が、合理的で痛みのないビジネスに変わることはないと思う、そうなりそうなら私が死力を尽くして止めるけどね」

「全てが制御された世界という地獄を作り出さないために?」

「もちろん」

 

ナノマシンによって遺伝子を、情報を、感情を・・・あまつさえ戦場ですら監視され、統制された世界など地獄と言わずしてなんという

たしかにそんな世界では抑止ではなく制御されているから、大量破壊兵器によるカタストロフィなどおきはしないだろう

だが、戦場の制御は歴史のコントロールとも言える

戦場が制御管理されたとき、戦争は普遍のモノに成り下がった

そんな世界に私達は生まれた、そして反旗を翻し、本来あるべきと想った形に世界を作り直した

その結果として100億を超えていた世界人口が4割以下に減ってしまったけども、その屍を超えて来たことに後悔などはしていない

 

「だからまだ、この身が燃え尽きぬ限り、私は戦い続けるわ。ありのままの世界を守るために、ね」

「今度は仲間も一緒に、ね?」

「えぇ・・・」

 

そう言って、私とイセリアは互いの手の甲をぶつける

親愛と、信頼の証として。そして、この世界を守る同士として

そう、私達の戦いはあくまで一区切りがついただけだ

これからも戦いは続いていく、この身体が朽ち果てるその時まで




おっもいけどこれで本編は終わり、次回はついに・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。