宇宙世紀0120年が過ぎた時代、俺はジオン共和国周辺のコロニーで配送関連の商売をしていた。
主に地球の食料やらの日用品を輸入して扱っている。
愛機はMS-06、通称ザクだ。
こいつは戦争で亡くなった親父も搭乗していた量産機でジオン公国だった頃に配備された主力MSだ。
まあ、今となっては軍事用からオミットされ、兵装の外された民間機として活躍している。
もっとも、今は更に民間用にオミットされたホビー・ハイザックやギラ・ドーガなどに押されてザクは骨董品扱いだが……。
まあ、走行距離やらが色々オーバーして中古で安く手に入ったもんだから、文句は言えん。
俺はコックピットに乗ってザクを操作し、これまた中古で買ったコムサイⅡから商売道具の入ったコンテナを下ろす。
銃火器がないから、その分、スペースを商売道具に回せるから扱いが良くて気に入っている。
欠点を上げるなら、ジオン共和国まで燃料を途中のコロニーで補給しなきゃいけない事だろう。
「……さて」
コンテナをコロニーに下ろすと俺は宇宙用のスーツのまま、ビーコンを出しているハッチに着陸する。
「身分証を」
「はいよ。いつも、ご苦労様」
俺は顔馴染みでまだ新米の警備員にそう言うと身分証を見せた。
「……はい。確認しました。
いつもご苦労様です」
「そっちこそ、お疲れ様」
「あ、そうだ。いつものビールはありますか?」
「あるよ。相変わらず、地球はドンパチが絶えないが、平和な所は平和だね。
おっと、今回のビールは良い物が手に入ったんでね。いつもより高いよ」
「ええ?」
「うちは紛い物無しの正規品扱ってんだから、文句は言わせないよ」
「今月は厳しいんですよ。顔馴染みじゃないですか?まけて下さいよ?」
警備員の頼みに俺はヘルメット越しに頭を掻くと溜め息を吐く。
「仕方ないな。今回だけだぞ?」
「はい!ありがとうございます!」
「それじゃあ、店で待ってるから、後で来な」
俺はそう言うとザクに乗り込み、コムサイへと向かう。
ネオ・ジオンだのアクシズだのやっているが、共和国になったジオンは今日も平和だ。
「さ、今日も一日頑張りますかね?」
俺は誰にともなく、呟くとコムサイをコロニーに停泊させ、コンテナから商品の入った荷物をトラックに乗せる。
これが地球の輸入品を扱う俺の一日だ。
あとは店に商品を置いて、客が来るのを待つだけだ。
今回は目新しい商品も入ったし、きっと売り上げに期待出来るぞ。
俺はホクホク顔でトラックに荷物を乗せ終えるとザクを有料ハッチに収納し、エンジンを切ってからトラックに乗り換える。
改めて、言おう。
ジオン共和国は今日も平和だ。