- 可愛い女の子 -
俺の目の前に、キスをせがむ女の子(仮)が居る。そして、ケルベロスの提案によって勝負してキスをするだと?
「本当に女の子かよ?」
「本当に女の子だよ」
鎧でわかんねー。とりあえず、俺はマーナに触れる。
「顔も男っぽいんだよな」
「ボーイッシュで悪かったね」
自然な流れで下半身に触れる、
「な、何してるんだい?」
「鎧が邪魔で触れないな」
『お兄ちゃん……』
もっと触りたかっただけだもん!
「どんな勝負するんだ?」
「ヤタガラスは居るかな」
「居るぞ」
「呼んでくれ」
呼ぶ必要もなくヤタガラスは現れた。
「早くね!?」
「聞いていたのだよ」
「あっさり隠れてたって暴露したぞこいつ」
玄関で話してるからな、仕方ないか。
「ヤタガラスをどうする?」
「こうしたらいいかなって」
玄関を出て、ヤタガラスを挟んで2人で手を繋ぐ。
「ケルベロスも来るかい?」
「うん……」
「マーナ、女の子っぽい喋り方をしてくれよ」
クレイジーワールドを使うらしい。
「ヤタガラス、頼むわよ」
「フフッ」
ヤタガラスは気味が悪いほど、嬉しそうだった。久々の出番に頬を赤らめてる。
「わ、笑うな!」
『クレイジーワールド』
世界が反転する。
「はー来ちゃったか。男とキスするの嫌だわ」
ケルベロス、マーナ、ヤタガラスが居るよ。めんどくさ。
「男じゃないから、僕は女の子」
「触らせろよ」
「それはダメ」
「勝ったら無理矢理剥ご」
2人が心配している中、俺は空間の裂け目から黒剣を引き抜く。この世界だと普通の見た目だな。
『残響で消してやるから来いよ……』
「ふむ、やっぱりだね」
俺のステータス増加の反動を何食わぬ顔で見ると、マーナも武器を召喚するつもりらしい。
『久しぶりだよ』
羽を描いた紋章がマーナの手を伸ばした先に現れる。
『
手を突っ込んで引き抜くと、鎧とは見合わない白羽の剣が召喚される。
抜き終えた瞬間、紋章は剣に吸い込まれた。
「さあ、始めようか」
光と闇が合わさって最強に見える。そんな言葉があるが、本当らしいな。
「お前それでいいのか?」
「大丈夫だ、問題ないね。僕はまだ変身を2回残している」
よく分からないが、俺は気にせず先制攻撃を仕掛けるために詰め寄る。大きく黒剣を振りかぶって。
「武器は破損する」
羽剣とでも言うべきか。当然斬撃は凌がれ、不思議な事に俺の剣が砕け散る。
「またかよ! なんだよ次は」
カラミティを即座に召喚して切りつけてみた。
『バルデス、羽には破壊属性がついてるから』
ヤタガラスが丁寧に教えてくれた。羽に触れたらダメってことだよな。
「ま、ネタバレしないと僕に勝てないのかも」
サタンエンヴィしかないかもしれない。属性だから、それより上を用意したらいいのか?
考えている間に剣が振られる。避けることしか出来ない。
「避けてもダメだよ?」
なるべく大きく距離を取って白い剣と黒い剣を召喚し、二つを合わせる。
『ヘルカラミティ』
この次がサタンエンヴィなんだが、唱えなかったら武器だけなのかもと思った。当然武器だけ。
「これなら行けるぜ」
武器の名前はバスターンサ・ドレイジンとか言うらしい。めっちゃ右手が疼きそうな名前だ。
「最終段階の一歩手前を逆手に取ったわけか」
試しに羽剣と鍔迫り合いに持ち込んでみたが、壊れなかった。サタンに持ち込んでもいいかもしれない。
「そうでもしないと勝てねえ」
俺の体を超える大剣を振り回し、近づかせない。いや、どんなに振っても当たってくれないんだよな。
「でもステータスは低いな、弱点はないのになぜ使わない?」
「なんとなく」
実際サタンでキスすると恋人が増えるからちょっとな。
「僕から行くよ?」
「行けば?」
大剣を交わしながら、羽の剣が刀の様に切り替わる。紋章が刀の丸い部分に切り替わり――
『
刀に黒いオーラが宿った。刀身が半分だけ黒く染まっていた。
『僕は僕を超える』
影のように見えなくなった途端、俺の目の前で刀を振るうマーナ。俺は防ぐ事が精一杯だった。
「え、ちょ早すぎだしぬしぬ」
「待つことはしないよ」
まるで武器で浮いているような移動で、上から下へ、縦の回転斬りを放つ。
ガギィン……!
「やべぇ、ヤタガラス説明しろ!」
武器の形態を解き、カラミティとヘルの2本持ちで時間を稼ぐ。カラミティは一瞬で砕け散ってて寄生かよって思った。
『バースト・カラミティ』
「えっと……実は知らないんだ、てへ!」
自身の頭にコツンと軽く叩き、天然アピールをするヤタガラス。年齢を感じる。
「可愛くねー」
「仕方ないじゃん!」
マーナだけ重力に逆らっているとでも言うのか? 遠心力を使った様な回転斬りが多過ぎる。
受け止める度に火花が散っていく。
「降参したらどうかな? 間違えて刺し殺してしまいそうだ」
キス魔に見えてきたわ。俺に四天王は殺せない、まだ一段階上もあると考えるとゾッとするな。
「なんでそんなに……強いんだ」
「堕天使、だからかな」
マーナは一瞬で俺の横を過ぎ去る。
ピキピキ……。
黒剣にヒビが入り、耐えかねたように砕け散った。
まだだ! まだ終わってない。
『バースト・カラミティ』
何も無い空間から最後の剣を引き抜く。
「そんな形態は役に立たない」
剣の前にスッと現れ、引き抜こうとしていた剣に一筋の閃光が走る。勝ち筋は潰えない、剣は何度でも甦るからだ。
『数字を数えた方が身のためだぞ』
俺はマーナの黒い刀を掴む。
「……ッ!」
『ライトカース』